アート、lovefilm、きのこ帝国、シロップが集結! UKP“ダイマス”バースデイ・イベント“バンドの日”
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55 daimas "Another year of experience" よりsyrup16g 撮影=Yuki Kawamoto
55 daimas "Another year of experience"
2017.1.30 LIQUIDROOM
下北沢の老舗インディ・レーベル、UK.PROJECT(以下UKP)の代表取締役でありUKP内のレーベル「DAIZAWA RECORDS」のマスターである遠藤幸一の55歳を祝うバースデイ・イベント、リキッドルーム2デイズ。
誕生日前日の1月29日(日)は“ウタの日”というテーマの弾き語りライブ・デイ。越雲龍馬(polly)、石毛輝(lovefilm)、ヤマジカズヒデ(dip)、百々和宏(MO’SOME TONEBENDER)、金井政人&柿沼宏也(BIGMAMA)、ホリエアツシ(ストレイテナー/ent)、五十嵐隆(syrup16g)、木下理樹(ART-SCHOOL) がライブを行った。
そして誕生日当日の2日目・1月30日(月)は“バンドの日”。ART-SCHOOL、lovefilm、きのこ帝国、syrup16gの4バンドが出演した。
越雲龍馬(polly) 撮影=Yuki Kawamoto
百々和宏(MO’SOME TONEBENDER)/ ヤマジカズヒデ(dip) 撮影=Yuki Kawamoto
金井政人&柿沼広也(BIGMAMA) / ホリエアツシ(ストレイテナー/ent) 撮影=Yuki Kawamoto
五十嵐隆(syrup16g) 撮影=Yuki Kawamoto
木下理樹(ART-SCHOOL) 撮影=Yuki Kawamoto
以下、その2日目の全アクトのショート・レポです。なお、開場中と転換時は、これまでUKPからリリースされてきたさまざまなバンドの曲が流れ続けていました。POLYSICS、LOST IN TIME、椿屋四重奏、PLATON、OGRE YOU ASSHOLE、POTSHOT、killing Boy、VENUS PETER、PILLS EMPIRE、BAZRA、トモフスキーなどなど。
遠藤幸一(UK.PROJECT) 撮影=Yuki Kawamoto
最初に、本人曰く「(このイベントの)イラストにちょっと寄せてみました」という理由で、蝶ネクタイ・黒スーツ・シルクハット姿の遠藤社長が登場、前説をする。
昨日は“うたの日”で今日は“バンドの日”であること、大好きなアーティストばかりであること、誕生日イベントなので出演者に合わせて日にちをずらすことは不可能だったのに、惑星直列みたいにすばらしい4組が揃ったこと、あとここ2~3年で一緒に飲んだ回数が多い順のようなことにもなったことなどを話す。
特に「ART-SCHOOLとsyrup16gが共演するというのは、ゴジラとガメラが一緒に出るようなもの」と力説。前説を観るためにフロア最後方の関係者エリアに来ていたシロップ中畑大樹は、その言葉で爆笑していたが、個人的には「そうかなあ? 俺、観たことあるけどなあ」と思った。で、記憶をさらったら、それ、2003年にこの2バンドが、レミオロメンやモーサムと一緒に全国7ヵ所を回ったROCKIN’ON JAPANプレゼンツの『JAPAN CIRCUIT TOUR』だった。うわ、14年前か。確かにレアですね。
ART-SCHOOL
ART-SCHOOL 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
トップを買って出たことといい、下記のような鉄壁なセットリストで臨んだことといい、すっごいグルーヴの演奏と、すさまじい切迫力の木下理樹の歌でフロアをロックしまくったことといい、もうなんか「立役者!」とか「1アクト目で
ギターのトディ(戸高賢史)が「昨日も出たでしょ? 理樹さん」と理樹に振ると「ここには出てないけど。別の子扱いだった」と、昨日は2Fのフロアで歌ったことを愚痴る。で、「今日はすごいですよね、シロップをリキッドで観れるなんて」と持ち上げておいて、お客さんを見て「あの、『徘徊』って書いたTシャツはシロップのTシャツですよね? うん……すっごいやりづらい」。フロア爆笑。
「本当遠藤さんにはお世話になってて。遠藤さんがいなかったらいまのアートはないと思ってるんで。ほんと感謝してます」という言葉からの「その指で」をはさんで、「僕らあと2曲で終わりますが、この曲は遠藤さんが好きだというので急遽セットリストに入れました。みんなで『なんもねえ』って……(歌いましょう)」と、長らくこのバンドのキラーチューンであり続ける「あと10秒で」へ突入。
その言葉どおり、「なんもねえ」の怒号のような大合唱が響いた。そう、今“怒号のような”と書いたが、今日のフロア、男のお客さんが多い気がする。出演者のせいか、主催者のせいか。
lovefilm
lovefilm 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
「Hours」と「Beautiful End」、江夏詩織ボーカル曲→江夏詩織&石毛輝ツインボーカル曲の連打でスタート。じわっとフロアをあっためてから、3曲目「Ghost Dance」に入ろうとするも、機材トラブルでイントロのシーケンス音が止まってしまうアクシデントが。しかし「こんばんは、lovefilmです。遠藤さん誕生日おめでとう……と言う前に、今日のリキッドルームには幽霊がいるぜ。トラブルです。トラブるなうです。これがライブってもんですね。楽しんでいきましょう」と曲名にひっかけてネタにする石毛、さすが。
無事「Ghost Dance」をプレイし終え、石毛、「遠藤さん、誕生日おめでとうございます。今日が誕生日です。誕生日の日にトラブルが起こる、でも遠藤幸一って人はそういうのが好きな人だと思います。では、遠藤さんに捧げます!」と「Capricorn」に突入、そして江夏&石毛のツインボーカル&ハモリがとても美しい「Kiss」でシメた。ステージから吹く風がART-SCHOOLからガラッと変わったみたいな、不思議な、かつ心地いい時間だった。
きのこ帝国
きのこ帝国 撮影=Yuki Kawamoto
今日出演の4バンドの中で唯一、かつてはDAIZAWA RECORDSからリリースしていたが今はレーベルもマネージメントもUKPとは無関係な存在。にもかかわらず、2016年10月4日のDAIZAWA RECORDS15周年記念イベントには、若手バンドに交じってゲスト出演したし、この日もこうして出演するバンド。まあ、関係性とか、気持ちの問題なんだと思います。
「東京」で始まり「クロノスタシス」「ヴァージン・スーサイド」や「愛のゆくえ」を経て「夜が明けたら」でピークを作って「ありふれた言葉」で締める、という、“ダブと爆音ギターとその他いろいろ”な最近のきのこ帝国を余すとこなく見せつける最高のステージ。個人的に超絶大好きな「LAST DANCE」をやってくれなかったのが残念だったが、まあこのセトリだったら入れないよね、と納得。MCほぼなし、遠藤社長へのメッセージもなし……と思ったら、ラストの「ありふれた言葉」の最後の最後のブレイクで、佐藤千亜妃、「遠藤さん誕生日おめでとう!」とひとこと入れてバンド4人で「♪ジャーン!」とやって終了、「ありがとう、きのこ帝国でした」で終わり。という、かっこよすぎるし、きのこ帝国っぽすぎるエンディングでした。
syrup16g
syrup16g 撮影=Yuki Kawamoto
lovefilmとこのsyrup16gは、リリースだけでなくマネージメントもUKPだが、唯一、じゃない唯二、遠藤社長が自らマネージャーをやっているバンドである。会社から「社長をやれ」と命じられた時、「じゃあ俺はさあ、自分が見つけてきたバンドとか、自分が好きなバンドはどうやって関わればいいんだよ? 社長ってそういうのできないんでしょ?」とぶうぶう言っていたのを思い出し、「結局やってるじゃないですか」と言いたくなったりしているうちに、シロップ、懐かしい「センチメンタル」でスタート。と思ったら次は昨年11月リリースの『darc』収録曲の「I’ll be there」、また懐かしい「生活」、そしてまた再生後の「Share the light」──と、昔の曲も織り交ぜつつも現在進行形のシロップを聴かせていく構成。
シロップ、昨年末のライブハウス・ツアーからお客さんが解放されたというか、リアクションがアッツくなったのが目に見えてわかったのだが、この日も違わず。フロア熱い熱い。例によって頻繁にギターを取り替えながらステージを進めていく五十嵐も、それにあおられてか、どんどんテンションが上がっていく。
あんまり何度も書くと本人にいやがられそうだが、でも実際そう思うので書くが、五十嵐、そもそもあんまりライブが得意なタイプのミュージシャンではない。フットワーク軽くパッとイベントなんかに出て行けるタイプでもない(キタダマキと中畑大樹はフットワーク軽いが)。というキャラだったのが、昨年末のそのツアーから様子が変わり始め、それがそのまま、いやよりいっそうテンション上がりながら持続している感じがする。バンドを始めてから現在までの間で、もっともライブを楽しいと思えるようになっているのが今なのでは、という気すらする。なんせすばらしい、昔の曲のパフォーマンスも、復活後の曲のパフォーマンスも。
「遠藤さん、たんじょびおめでとうございっます」と噛みながらのお祝いの言葉を述べた五十嵐、フロアの笑い声に「けっこう言えた方だよ」と返してから、「生きているよりマシさ」、そしてキタダマキのあのベース・イントロが響き、五十嵐のシャウトにフロアが大歓声で応えて「Sonic Disorder」へ。やっぱり熱い、ステージの上も下も。
「空をなくす」「真空」の2連打でライブをしめくくり、3人はステージを去ったが、客電がついてもアンコールを求める拍手、止まらず。
と、遠藤社長が登場。「シロップのメンバーが登場してくると思ったはずですけれども」と前置きしてから、「僕が好きなものをみなさんも観てくれるのは、広い意味では人類愛。音楽の力ってすごいなあと思いました」「自分がほんとにかっこいいと思うものを他人に紹介していく仕事です。これかっこいいでしょ、好きでしょと思うものを共有できるみなさんとすごせて本当によかったです」とお礼を述べる。
そして、「この企画を思いついた時に最初に相談したのは五十嵐くんだったし」「アンコール、個人的にリクエストした曲です。今日はこの曲でしめてもらいます」という紹介でシロップが再登場、「Reborn」をプレイした。
曲を終え、五十嵐はいつものようにフロアに向かって手を合わせ、中畑は遠藤社長のシルクハットをかぶって、ステージを下りた。
前日の「うたの日」もこの「バンドの日」も含め、レーベル/マネージメントとしてはすでに関わりがなくなっているバンド(きのこ帝国)も含めて、あるいは関わりがあったことを本人も忘れていたりしたアーティストも含めて(ホリエアツシ。かつてFULLAMORとしてUKPからリリースしたことがあるのを思い出してホッとしたそうです)、これだけのメンツが一同に介して誕生日を祝ってくれる、というあたりに遠藤社長の人望がうかがえるイベントでした。これからもお元気で──とか書いて締めくくるべきなんだろうが、それ以前にこれ、自分の55歳の誕生日にかこつけて……いや、かこつけないとできないサービスをお客さんにしている、そういうイベントだったんだなあ、と、終わってから思った。
このサイズのハコで、これだけのメンツが揃って、こんな安い
というわけで、企画・主催した遠藤社長本人よりも出演ミュージシャンよりも、観る側がただただ幸せな時間でした。ありがとうございました。
取材・文=兵庫慎司 撮影=Yuki Kawamoto、Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
2017.1.30 LIQUIDROOM
01. サッドマシーン
02. スカーレット
03. real love/slow dawn
04. ウィノナライダー アンドロイド
05. プール
06. その指で
07. あと10秒で
08. FADE TO BLACK
01. Hours
02. Beautiful End
03. Ghost Dance
04. Capricorn
05. Kiss
01. 東京
02. クロノスタシス
03. ヴァージン・スーサイド
04. 愛のゆくえ
05. 夜が明けたら
06. ありふれた言葉
01. センチメンタル
02. I'll be there
03. 生活
04. Share the light
05. 生きているよりマシさ
06. Sonic Disorder
07. 空をなくす
08. 真空
[ENCORE]
09. Reborn
2017.1.29 LIQUIDROOM
越雲龍馬(polly)
1. 沈めてくれたら
2. ふつうのせいかつ
3. 哀余る
4. 言葉は風船
5. hello goodbye
1. Flowers On The Wall
2. Youthful, Utopia, Innocent
3. goodbye(新曲)
4. If I'm a Heri(新曲)
5. KE
6. Love & DISCO
1. I Shall be released
2. Water Lover
3. Setting Sun
1. ポテトフォーピープル
2. スーパッパ
3. すきにして
4. 悪女
5. ロックンロールハート(イズネバーダイ)
1. Sad Vacation(Vo.百々)
2. Heart of gold(Vo.ヤマジ)
3. case of insanity(Vo.ヤマジ)
4. どうしようもない恋の唄(Vo.百々)
1. 秘密
2. Jeffrey Cambellのスケートシューズで
3. ヒーローインタビュー
4. レインコートになれたら
5. 悲しみが生まれた場所 with ホリエアツシ
1. Forever and Ever
2. 彩雲
3. 月に読む手紙
4. High and Dry
5. 羽ピネス
6. シーグラス
1. 愛と理非道
2. 翌日
3. カルマ
4. うお座
5. 負け犬
6. 明日を落としても~落堕
7. Rookie Yankee
1. 14 souls
2. Perfect Lovers
3. LUCY
4. Call 4 U
5. HEAVEN'S SIGN
6. たとえば僕が死んだら
[ENCORE]
7. たとえば僕が死んだら