上妻宏光が市川猿之助や由紀さおりらと熱狂のコラボ

2015.8.31
レポート
クラシック
舞台

稀代の三味線プレイヤー​​上妻宏光​が市川猿之助等、各界のトップランナーと強力コラボした公演が大成功

今年ソロ・デビュー15 周年を迎え、伝統的な津軽三味線をベースに、ジャンルを超えたセッションを重ね進化を続ける
三味線プレイヤーの上妻宏光が、国内のトップアーティストを集結させたイベント「日本流伝心祭 クサビ 其ノ四 -伝統と革新-」を​8​月​29​日(土)渋谷公会堂にて開催した。

「日本の文化や風土に立脚しながら、世界に通じる新しい価値観を発信したい。」という上妻の想いに賛同したアー ティストを集め 2011年に立ちあがった「クサビ」は、開催​4​回目を数える今年も、例年に劣らない豪華なラインナッ プを揃え、満員御礼の公演となった。

公演は静寂を打ち破るかのように上妻宏光と歌舞伎囃子方・田中傳次郎の二人による「大蛇」(おろち)にて開演した。この曲は昨年、市川海老蔵氏の自主公演「ABKAI 2014」のために上妻が書き下ろした楽曲だ。三味線と小鼓のコラボに会場中が惹きこまれる。

その後、和装に着替えて登場した上妻は、フラメンコギタリスト・沖仁とのジャンルを越えたコラボによる「卯月花嵐」(うげつはなあらし)を披露。東西の撥弦楽器が出会い、それぞれの違いと共通性を浮き彫りにし、ぶつかり合うさまは圧巻だ。

さらに、真っ赤なきらびやかなドレスに身を包んだ由紀さおりがステージへ。

上妻との交流について由紀さおりは「もともとラジオで上妻さんのアルバムを紹介してからお友達になりました。このあと登場する猿之助さんのプロデュース公演でコンサートを行った際に猿之助さんに三味線で一緒に歌わせて欲しいという希望をかなえていただいたのが縁で以前に共演もしました。」と​語る。​そして、ピンク・マルティーニがコラボし大きな話題となった​2011​年発売のアルバム「1969」収録の「マシュ・ケ・ナダ」を披露。続いて上妻の最新アルバム「伝統と革新-起-」にボーナストラックとして収録されている美空ひばりのカバー「リンゴ追分」を披露​した。昭和が誇る大歌手へのリスペクトを感じさせながらも、上妻の勢いのある三味線の音色と由紀の透明感のあるボーカルにより、まさに伝統と革新のふたつの要素が封じ込まれた「りんご追分」となっており、会場一体が惹きこまれた。

和太鼓の第一人者、林英哲と、上妻、沖仁のトリオによる「YOSARE」は、豪放な和太鼓のリズムと、三味線、フラメンコギターによるまさに異種格闘技のセッションで、筋書き無しの一本勝負の様相を呈した熱いステージに観客の熱は最高潮に達した。

そんな中、いよいよ後半のクライマックスに差し掛かったところで市川猿之助が登場。歌舞伎の演目「春興鏡獅子」にインスパイアされて制作された上妻の楽曲「荒獅子」を、市川猿之助の“獅子の舞”と共に披露するコラボレーションを行なった。

獅子の姿に身を包んだ猿之助が登場すると会場は沸きに沸き、その後は上妻、そして林英哲の和太鼓、さらに、田中傳次郎率いる囃子方による、圧倒的な熱を帯びた演奏が繰り広げられ、猿之助のパフォーマンスと一体化。上妻がプロデュースする「クサビ」の本質がここで最高のかたちで提示されることとなった。

(左から)上妻宏光、市川猿之助、林英哲

日本の文化、「和」を世界に発信するために今できることは。

伝統に根ざしながら、新たなカルチャーやジャンルを取り入れ飲み込む蛮勇を持ちつつ、聴衆を自然と熱狂させるエンターテイメント性も忘れない。そんな離れ業をオーガナイズする上妻の発信力をまざまざと見せつけた一夜となった。

(レポート提供:日本コロムビア)

イベント情報
ソロ・デビュー15周年 上妻宏光「生一丁!」Tour 2015〝伝統と革新″

9月9日(水)福島・会津若松市文化センター
9月13日(日) 新潟・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 能楽堂
9月18日(金) 北海道・札幌コンサートホールkitara小ホール
9月26日(土) 愛知・岡崎市シビックセンター コンサートホール
10月4日(日) 茨城・多賀市民会館
オフィシャルホームページ:http://agatsuma.tv/

 

上妻(あがつま) 宏光(ひろみつ) <三味線プレイヤー>

1973年茨城県出身。6歳より津軽三味線を始め、幼少の頃より数々の津軽三味線大会で優勝を重ね、純邦楽界で高い評価を受ける。ジャズやロック等ジャンルを超えたセッションで注目を集め、2001年『AGATSUMA』にてメジャーデビュー。1st・6thアルバムは「日本ゴールドディスク大賞」を受賞。2009年、ピアニスト・プロデューサー塩谷哲とユニット“AGA-SHIO”を組みアルバムをリリースし、翌2010年には日本・ヨーロッパ各所・アフリカの9カ国にてツアーを行う。同年、津軽民謡を中心とした古典曲をスタジオにて録音した『十季』とベストアルバム『THE
BEST OF HIROMITSU AGATSUMA-Freedom-』を同時リリースし、11月に渋谷Bunkamuraオーチャードホールにて綾戸智恵・志村けん・藤原道山・夏川りみ・村治佳織をゲストに招き「10周年特別公演~伝統と革新~」を行う。2011年には、海外で評価の高い日本人アーティストを集結させたプロデュースイベント「日本流伝心祭−クサビ−」を立ち上げる。2012年には藤原道山(尺八)春風亭小朝(落語)との公演「和心伝心」を行う。“津軽三味線の伝統と革新”を追求し、様々なジャンルを超越した創作を続ける姿勢は国内外から高い評価を得ている。2013年内閣総理大臣主催の「TOKYO2020公式夕食会」、「第5回アフリカ開発会議公式首脳晩餐会」において、日本を代表して演奏を披露する等、新世代津軽三味線の第一人者である。また日本全国の小学校において日本の伝統音楽の魅力を伝える授業を行っており、次世代への文化伝承にも力を注いでいる。

オフィシャルホームページhttp://agatsuma.tv/

[CD情報]


「伝統と革新-起-」 上妻宏光 3,000円+税/COCQ-85261
1.越天楽(えてんらく)弦奏曲
2.獅子の風
​ ​  尺八:藤原道山
3.六本の伎
​ ​ *六本木歌舞伎『地球投五郎宇宙荒事』(2015年)
4.津軽おはら節
5.風 2015ver.
​ ​ 謡:山井綱雄
6.大蛇(おろち)~ABKAI~
​ ​ *市川海老蔵 第二回 自主公演
 「ABKAI 2014」新作舞踊劇『SOU~創~』(2014年)
7.津軽じょんから節
8.荒獅子
​ ​ 鼓:亀井広忠、田中傳次郎
9.解脱(げだつ)
​ ​  *初春花形歌舞伎『通し狂言 壽三升景清』(2014年)
10.津軽よされ節
11.<ボーナストラック> リンゴ追分(ヴォーカル:由紀さおり

由紀さおり(歌手)/藤原道山(尺八演奏家)
亀井広忠(葛野流能楽師大鼓方)・田中傳(でん)次郎(じろう)(歌舞伎囃子方)/山井綱(つな)雄(お)(金春流能楽師)
杵屋勝(かつ)松(まつ)・杵屋勝(かつ)国(くに)悠(はる)(長唄三味線方)/望月太(た)喜(き)之(の)助(すけ)(歌舞伎囃子笛方)