完成直後の第一声 LAMP IN TERRENの正統進化を告げる最新作『fantasia』が生まれるまで
LAMP IN TERREN 撮影=風間大洋
1st『silver lining』(2015年1月)、2nd『LIFE PROBE』(2015年7月)と、シーンに登場するや立て続けにアルバムをリリースして、音楽ファンに鮮烈な印象を与えたLAMP IN TERREN。それから1年9ヶ月。ついに3rdアルバムとなる『fantasia』が完成、4月12日に届けられる――という報せを聞いてまず率直な疑問として浮かぶのは、「なぜこんなに間隔が空いたのか」というシンプルな問いだろう。本稿で語られるその答えは、「悩んでいたから」だ。アルバム完成直後に4人揃っておこなったこのインタビューでは、その間の葛藤や心境がリアルに語られており、どちらかといえば「暗い」話題が多いかもしれない。ただ、その中から生まれてきた『fantasia』という作品は、バンドの正統進化のかたちを示しながら、新たな扉を開くに値するものであり、おそらくは彼らを好きなリスナーに対しては「なぜテレンに惹かれるのか」を再確認させるだけの力を持った一枚になっている。『fantasia』へと続く長いトンネルを抜けた彼らの完成直後の第一声、じっくりと読んでほしい。
早くこのアルバムを聴かせたい。今の自分たちを見せたい
――どうやら『fantasia』完成後最速インタビューということになるようですので、まずは作り終えての一言をいただけますか。
松本大:完成して……(大屋に)完成して、どうですか?
大屋真太郎:最初、俺はちょっと不安だったんだよね。パッケージ感というか、いろんな曲があるので「これは一つの作品としてまとまるのかな?」っていう。一曲一曲の主張が強いっていうことはみんなも感じてると思うんだけど、それがとっ散らかるんじゃないか、どちらかに偏るんじゃないかっていう。でも、こうして10曲聴いてると、その心配は杞憂だったなって。
中原健仁:俺は制作が終わった達成感がすごくありました。アルバムって毎回そうなんですけど、今回は特にすごくポップな曲もあるし、今までの俺らが持っていたダークで影のあるタイプの曲にしても、ダークさ加減がかなり強い曲もあるし。ライブでみんなで飛び跳ねたい曲にしても、そのノリが今までで一番リズムとして難しいというか。2曲めの「地球儀」っていう曲なんかがそうなんですけど、そのグルーヴをうまく出せるのか?とか、今回はそういう技術的な部分もみんな頑張ってる曲が多いです。
川口大喜:俺は想像を超えてきたと思いましたね。良いものになることはわかってたんですけど、それを超えてきた。
松本:俺は、作り終えた感想というよりは、作り終えるちょっと前くらいから新しい曲ができはじめたので、そっちに移行しちゃっている(苦笑)。すでにその次、みたいな頭になっちゃってるから、やりたいことがまた見つかったなぁと思いつつ、フワッとしてます。
中原:次のアルバムの話してたもんね、終わった瞬間に。
松本:これからライブでやっていくうちに染み付いていったりとか、アルバムとして全然違う聴こえ方をしたりとか、いろんな面白い発見はあるんでしょうけど、意識としては次に向かってます。
――解放された感覚もなく?
松本:あ、解放された感はあります。もう締め切りに追われなくていい、それだけはありました(笑)。
中原:アルバムに凝縮しきっちゃうんだろうね。作り終わったあと「達成感あったのかなぁ?」って毎回言っているので。
大屋:俺はね、達成感あったよ。アルバム作るのは初だったから。
中原:あ、そうか。
――前作のときはレコーディング現場にはいたものの、しっかり参加はしていなかったですもんね。
松本:唯一「multiverse」のときはコーラスを歌ってもらいましたけど、それだけだったので。一緒にメンバーとしてガッツリやったのはこのアルバムが初めてでしたね。
大屋:だからライブとかでも早くこのアルバムを聴かせたい。今の自分たちを見せたいという思いはすごくあります。
LAMP IN TERREN 撮影=風間大洋
大が作る曲って、「自分が主人公だ」って再認識させてくれる
――その、何度かお話の中に出てきている“ライブ”っていう要素は、制作過程で意識の中にありました?
松本:うーん、ライブを意識したっていうよりは……大前提として話すと、2ndアルバムまでは、個人的に僕がこの世界で生きるために表現したいことだったり、自分が自分に対して言い聞かせたいものを、無意識的に作っていたと思うんですよ。今回は、僕が音楽をこの世界で戦うための武器にしていたのと同じように、みんなにもその武器を手に取ってもらいたいなっていう風に思っていて。本当に音楽を……もしかしたら大した力はないのかもしれないですけど、聴くだけで日常が様変わりしたりとか、一瞬でそれこそファンタジーの世界に飛び込んでいけるようなものを作りたいと思っていました。イメージでいえば「みんなも手に取って戦える武器」みたいな。
――元々、テレンは「ライブでこんな景色が見たいからこういう曲を作ろう」みたいなタイプではないじゃないですか。
中原:ああ、確かに。
松本:それはそうですね。
――でも結果として僕はライブの画が浮かぶ作品だなと思うんですよ。
中原:アルバムを出すまでの期間にライブをたくさんしていて、お客さんがいることって本当に当たり前じゃないということを感じたんですよ。俺らも人間だから、ステージに上がるまでの出来事とかコンディション、精神面なんかで、ステージに上がること自体がすごく怖くなったりすることもあるし、対自分の戦いみたいなところもあるんですけど、そういうときにお客さんがいると本当に救われるんですよね。自分だけが戦ってるんじゃなくて、一緒にいるんだっていう感覚。それをこのアルバムを出すまでのライブでものすごく感じていました。それに大が作る曲って、「自分が主人公だ」って再認識させてくれる曲が多いんですよね。映画の中で主人公が歩いていて、そこにBGMがかかってくるような感じの。僕はお客さんにとってもそうであってほしい。だからそういう意味で、よりお客さんのことは意識してました。僕は特に。
――その聴き手と一番直接的にコンタクトが取れるのライブですからね。
松本:そうですね。だから「ライブだったらこうなるだろうな」「こういう風に鳴らしたいな」っていうイメージは作りながらありました。キーボードを弾いたりピンボーカルでやったり、新しい自分たちの面を見せたいなっていう曲もありますし、曲が出来ていくにつれて、アレンジも多少ライブに寄っていったり。
中原:実際、「涙星群の夜」とか、ライブでやったあと変わったしね。
――さきほどの技術的な部分でも頑張った、という発言に関しては?
中原:色々な曲に挑戦する中で、今までやったことのないジャンル――ちょっとUKっぽい曲やすごいポップな曲もあったりして、そのノリを今まで出したことがなかったので、そこが個人的には大変だったというか。新しい作業をやっている感じでした。
松本:曲からの要求がものすごかったイメージはありますね。このコードに対してこのメロディが乗っていて、このリズムだったら、ドラムは絶対こういかなきゃいけないんじゃないか?とか。結構柔軟に考えながらやってはいたんですけど、最終的にはやっぱり一番最初の案に行き着く……一番俺らがやりたくないところに行き着くっていう(笑)。
中原:やりたくないわけではないけどね(笑)。
――楽はできないっていうことですね。ドラムはどうでしたか。
川口:ああ~難しかったっすね。難易度はどの曲も高かったです。毎回レコーディングの時はちゃんと練習していくものなんですけど、(今作は)今まで以上にやったんじゃないかなって。一人でスタジオでやってるとフレーズとかで悩みすぎて、もう明日録らなあかんのにアイデアがいっぱい出てくるんですよ。でも、当日それを持っていくじゃないですか。で、レコーディングします……と、やりすぎちゃってて、結局最初に戻るんですよね。まぁ、大変でしたけど、そういうことをしないと(前作を)超えてはこないなと思いましたね。楽したらやっぱりその程度のものにしかならない、そのことを頭ではわかってたんですけど、身にしみて感じました。
松本:大喜は相当難しかったよね、ドラム。
川口:うん。どんどんムズくなっていく(笑)。
松本:デモを作ってる段階で「これ、ヤベエかなぁ」と思いつつ、「ちょっとゴメン、大喜」って。「俺はこれ以外道がないと思うんだわ」みたいな。
川口:しかも大の打ち込みってかなり、なんというか……精密?
――緻密?
川口:ちみつ? ……そう、緻密。で、ちゃんと人間ができる範囲内で打ち込んでくるんですよ。普通ドラムやってない人が打ち込むと、それは手が足りないよ!みたいなものになったりするんですけど、そうじゃなくてできちゃうことを打ってくるんですよ。
――頑張ればいけるライン。
川口:そう。聴いたときは「うわ、ムズ!」とか思うんですけど、「でも……できるこれ」みたいな。タチが悪いんですよ(笑)。まぁでも今回のデモは表現したいものがかなり緻密に――
松本:覚えたての言葉を使うなよ(笑)。
川口:(笑)。もう大の頭の中で完全に出来上がってるから、その表現をこっちが忠実に再現していくっていう曲が多かったです。
中原:そうだね。俺もそれはあったな。
川口:大の頭の中の音を受け継ぐ感じで。
LAMP IN TERREN 撮影=風間大洋
誤解を恐れず正直に話せば、本当に自分に自信が無かった
――そのイメージのキャッチボールはスムーズにいったんですか。
松本:うん。スムーズどころか、意思疎通が完璧だった気がします。
中原:でも「まさかできるとは」っていう感じだったんじゃない?
松本:「うわぁ、本当にできた!」って思ったよ。
――同期っぽい音も今回は多いじゃないですか。そのあたりも最初の構想段階から頭の中にあったんですか。
松本:はい。『fantasia』っていう言葉がかなり早い段階からもうあって。その時点でアルバムの中でまだ出来上がっていない曲の歌詞とかをどういう風にもっていこうか?って考えたときに、「“日常の中にある不思議”のことを書けたらいいな」、「つまらない日常から一瞬で不思議な世界に行けたらいいな」と思って。その時点では、もう振り切ってこれくらいのアレンジをしよう、頭に浮かぶものは全部やってみようと決めてました。だから今までのバンドのイメージから逸脱しているポイントもあるかもしれないです。前までは絶対こんなことやらなかっただろうなっていうことだったり、今回はそもそもバンドであるっていうことをあまり意識せずに作っていたので。
――そうなんですね。僕としては正統進化だなと思って聴いていたんですけども。
松本:お、本当ですか! それは良かったです!
――どうくるんだろう?と思っていたんですよ、やっぱり。間隔も空いたし、シングルでも色々な試みをしていたから。でもこのアルバムはちゃんと続き感もあるし、新しさもあるなっていう受け止め方をして、嬉しく思いました。で、その1年9ヶ月というインターバルについては、まぁ率直に言えば「だいぶ空いたな」っていう。
松本:空きましたねぇ……。
――単純に時間の経過的なところと、その間の動きも含めて、何故こんなに空いたんですか?
松本:なん……ででしょうね(苦笑)。でも、本当に曲、ひたっすら書けなくて。1年9ヶ月空いたうちの1年間くらいはもう本当に「時の旅人」(ライブで披露しているが本作には未収録)しか書けてないくらいだったんですよ。去年、一昨年、『LIFE PROBE』を出してからの自分……誤解を恐れず正直に話せば、本当に自分に自信が無かったです。ひたすらに。
――うーん。
松本:そんな中で自分が何をやっていったらいいのかもわからなくて、(今作は)手さぐりの状態からもう一度自分に自信を持とうと思っていく中で沸いてきた曲たちで、1年9ヶ月間悩んだり苦しかったりしたことが入っています。だからこそ、それを完成させた今の自分はモードが全然違って、もっともっといろんなことができる、唯一無二の自分みたいな感覚があるんですけど。アルバムができるまでは本当に……全部に対して不安だったし、正直、何回か辞めてしまおうかとさえ思ってました。
――そこまで考えていたんですか。
松本:そう、何をやっても冷めちゃう。どんな曲を作って、どんな歌詞を書こうとしていても、何も自信が持てない、何も良いと思えなくて。何をやっても楽しくなかったし……もともと楽しい前提で曲を作るタイプでもないんですけど、こんな自分が続けていいわけがないと思ってました。去年の秋ぐらいは。
――そのスランプ状態は何故だったんですかね?
松本:うーん……でも、あまりにミュージシャンであるということに無知だった……無知すぎたんですよね。考えなさすぎた。ずっと“今この瞬間に自分がやりたいと思ったことをやれればいい”と思ってきたし、どこか自分の内面の部分で「好きじゃないやつは聴かなくていい」とか、「聴きたくないならわざわざ入ってくるんじゃない」「ていうか好きになれ」くらいに思っていたんです、極端な話。そういう自分にも気づいちゃったし、自分の言ってることと自分がもともと核で思っていることとがものすごくズレていて、何をやっててもそこがリンクしない。自分の本質的な部分と、自分の行きたい方向、目の前にいる人に伝えてきてる言葉だったりが、もう矛盾の堂々巡りをずっと起こしていて。もう脳が3つくらいある感じで、ライブ脳と作曲脳と本来の自分の脳みたいなものが、全部バラバラに動いていてバランスが取れなくなっていたんですよね、どこかで。
LAMP IN TERREN 撮影=風間大洋
気持ちとは裏腹に曲はどんどん良くなっていった
――辻褄が合わなくなったということですね。
松本:そこを合わせるために曲を書こうとしていた部分もあって。そんなんで良くなるわけがないんですよ(苦笑)。
――いつの間にか、整合性を図るための曲作りになってしまってたという。
松本:そう。一人の時間がものすごく長くて完全に引きこもりになっちゃって(苦笑)、そうしているうちに本当の意味で自信がなくなっていって。ライブでもSOLDできなかった会場があったりとか、自分のやっていることに対する結果も見え始めて、それでさらにドーンと落ちました。地獄だったです(笑)。「innocence」とか「キャラバン」「heartbeat」あたりはその中で生まれてきているので、終わりにしたいという心境の中で、逆の方向に……光を見たいっていう曲になった。書いている本人がどん底にいましたね。
中原:結局、曲の中ではどこか最終的に光はあるんだけどね。
松本:だってさ、やってらんないじゃん、そうじゃないと!(笑)
――何より自分自身がその光を求めていた。
松本:それはそうだったと思います。そういう意味ではあの曲たちはちょっと異質かもしれない。
――だからこそ“つまらない日常から不思議の世界へ”っていうキーワードの作品が出来上がったんでしょうし。
松本:そうですね。だから、聴く人の武器にもなりたいなと思っているんですけど、やっぱり最終的には自分に言い聞かせてるんだと思います。
――その状況的に底を打った状態から、抜け出すタイミングはいつだったんですか。
松本:抜けたのは……MIX最終日じゃないですか(笑)。
――それはなんでだったんですかね?
松本:……いまの自分の現在地がわかった、良くも悪くもいろいろなことに諦めがついたとか。……まぁあの、シャッターが降りて締め切られちゃったので(笑)。もうこれ以上作業できないっていう。ある種の開放感と、でも次に行かなきゃいけないっていう、そこまでに溜め込んでしまっておいたいろんな思いと向き合えるようになったことが大きくて。そこから自分の中で変わった気はします。
――納期があって区切れたことで、かえって良かったのかもしれないですね。
松本:そうですね。アルバムをさっさと作れば良かったんですよね(笑)。でもこれでいろんなことを学んだし、あらためて自分が歌う意味みたいなものをちゃんと掴みたいとも思ったし、それがちょっとだけ垣間見えた経験でもありました。僕等にしかできないことであったり、僕らだからできること、聴いてる人に必要とされたい、必要とされるためにはどうしたらいいだろう?って考えてたり。自分の言っている言葉を本当に具現化するにはどうしたらいいんだろう?とか、そういう問いとはしっかり向き合えましたね。だから、自分の気持ちとは裏腹に曲はどんどん良くなっていった気はします。悩むだけ悩んだけど、今見ると歌詞がすごくスッと入ってくる曲になっているし、サウンドと同調してものすごい歌詞に聴こえたりとか。いろいろと面白い発見もありましたね。
LAMP IN TERREN 撮影=風間大洋
この1年9ヶ月悩んだことがものすごく大切なものになった
――確かに閉塞的な心境や状況を感じさせる曲もありますけど、僕はアルバム曲からはそれをあまり感じなかったんです。
松本:本当ですか! でも、そう思ってもらえてるということは、やることをやれてたんだなという感じではあるので……うん。
中原:僕としては今作を作る中で、大を支える意味でも、自分自身ができることってもっといっぱいあるよなって思いました。それを意識しだしてから、よりお客さんや自分とも向き合うようになったし。このアルバムは特に寄り添うことをたくさんしたなって個人的には思っていて。大が作ってくる歌詞を読んでみて、「こいつ大丈夫かよ」っていう主人公の話だったりとか、それが大自身だったりするんですけど――
松本:わかんないよ、それは。俺自身じゃないかもしれないよ?(笑)
中原:(笑)。でも実際に「地球儀」を作ってるときに突然電話がかかってきて、「歌詞をすごく迷ってる」っていう話をされて。それで「ああ、今こいつはこう思ってたんだ」っていう見えてなかったことを話されて、そこで知ったこともあって。なんかこう、もうちょっと寄り添っていきたいなとか、もっと大が書いてくる内容と一体になりたいなって思うことが多かったんです。それだけに、もっとみんなで前を向いていけたんじゃないのかな?っていう気は、いま話を聞きながらしましたけど……これから、これからまた変わっていけるんじゃないかな。
松本:全然曲は書けてなかった間にも、ライブで直接伝えることや届けたいことってたくさんあって、今回の曲は全曲みんなと歌いたい曲だし、みんなと一緒に手に取りたい武器だと思うので。それが世に出て行くにあたって個人的な願いとしては、当たり前ですけど、すごく大事にしてほしいなという思いはあります。手にとって戦える武器であり、聞くだけで不思議な世界に行けるものであり、自分としては新天地でもあって。いま話していて思うのは、この1年9ヶ月悩んだことがものすごく大切なものになったなっていうことで、これからも大切にしていきたいものが見つかった。「正統進化だ」って言ってもらいましたけど、僕は本当に……なんだろう。……ひたすら不安だったので。そう言ってもらえて良かったなって、すごく背中を押してもらえた気がしました。ありがとうございます。
――いえいえ。でもやっぱり、ものを生み出していくって辛い作業ではあって。
松本:そうっすねぇ(笑)。毎回ぶち当たる気もするんですけど、あらためて思い知りました。
――今回にしても、悩んだだけのことはあると思うし、それはアルバムに表れていて。バンドが進化していく上での必要な課程だったんじゃないですか。よく言う、高く飛ぶためには屈まなければならない、という。
松本:そうですね。メジャーデビューをしてから、わりかし色んな部分で階段飛ばしで進んでいった感もあったので……っていうか、メジャーデビューするまでも僕らは階段飛ばしだったので。それをあらためて埋めるような1年9ヶ月だったのかな。
一緒にライブをするっていう関係は絶対に崩しちゃいけない
――で、そこから視界が開けて曲もできてきたという今のモード。そこを我々が体感できるのはやはりライブの場になりますけど、まず『列伝ツアー』があって、リリース後にはワンマンツアーが控えています。そこに向けては?
松本:まず今までの自分たちの強みを見せていくことが一つ、それと対照的にこれから先に自分たちが進む道も見せていきたいなっていう気持ちと二つあるんですよね。僕個人的な意見としては。
中原:ただ主軸となる部分はぶれないように。4人で歌を鳴らす、お客さんと一緒にライブをするっていう関係は絶対に崩しちゃいけないし、多分崩れることはないと思うので、そこを強みにしていきたいと思いますね。
松本:ワンマンに関しては『in “fantasia”』っていうツアータイトルにしたので、その気が満々なんですよね。音源の中でつまらない日常から不思議の世界に行けるとしたら、『in “fantasia”』ツアーはそれを体現するものでありたい。やりたいことはめっちゃあるんですよね。
――『fantasia』=不思議の世界をどう具現化するか。
松本:はい。自分の中ではある種の劇じゃないですけど、それくらいのイメージがあって。ライブはもちろん肉体的なものでありながら、自分たちが掲げるテーマとしては「一緒に不思議な世界に飛び込んでいく」っていうこと。みんなで作る物語を各会場で作れたらいいなっていう気持ちはあります。まだ考え中ですけど、すごくいいツアーになりそうな気はしてるんですよね。
中原:そうだね。新しい楽器にも挑戦してみたり……例えばフレットレスだったり。視覚的にも面白いことができたらいいですよね。ライブハウスの中をfantasiaっぽくするとか、そういう試みができたら。
――大屋くんはどうですか、ツアーに向けて。
大屋:まず楽しみだし、今までにない自分たちが出せるツアーになるんだろうなって。前のツアーから、「あれもこれもやりたいけど、今回はできないな」って色々と溜め込んできたものがあるので、それを『in “fantasia”』では実現できるのかなっていう期待があります。
――最初からガッツリ携わったアルバムのツアーになるわけですしね。
大屋:そうですよね。だからこう、食い気味で……。
中原:いや。その言い方、食い気味ぽくないでしょ(笑)。
LAMP IN TERREN 撮影=風間大洋
そろそろ飛び出そうぜって
――川口くんは。
川口:『fantasia』の曲は全部、録ってる段階からライブをしてる画がなんとなく見えていたんです。ただ、個人的には表現の仕方を『in “fantasia”』からは変えていこうかなと思っていて、やっぱり幻想曲なので非現実なものを見せたいと思いながら、具体的にはまだ何にも考えてないです(笑)。でもそういう新しいところに飛び込んでいくツアーにしたい。自分が頭で思い描いているものに挑戦していくようなツアーにしたいですね。……頑張りたいです、そろそろ本気で。……いや、本気ですけど(笑)、そろそろ飛び出そうぜっていう。秘めてるものを全部出して、過酷になると思いますけど楽しんできたいと思います。
松本:そうだね。リリースして、実際にライブに行ってそこで新しく見えるものもあると思いますし。それにもう、その後ちょっとしたらまた新しいところに行きたいですね。
中原:先のこと、めっちゃ出てくるねぇ(笑)。
――それだけの気持ちになれているということでしょう。
中原:かなり前向きっていうことで。
松本:今はね(笑)。
――さっきまでの話が嘘のように。
松本:(笑)。そうなんですよー。やりたいことがあるときはね、すごく前向きになれるんだけど、何をやってもダメな時は地に堕ちるしかないタイプだから。
中原:レコーディングやっと終わって、「帰って寝れば」って言っても「今書いておかないと」って曲書いてますからね。
松本:うん。だから作業量的には何にも変わってないんですよね。変わったのは気持ちだけ。
――いや、そこが一番大事。
松本:はい。でも本っっっ当に大切なアルバムになりました、自分の歴史の中で。もう、ここから一曲につき2時間は話せるくらいですから(笑)。
取材・文・撮影=風間大洋
LAMP IN TERREN 撮影=風間大洋
5月7日(日)北海道・札幌COLONY OPEN16:30/START17:00
5月13日(土)愛知・名古屋CLUB QUATTRO OPEN17:00/START18:00
5月20日(土)岡山IMAGE OPEN16:30/START17:00
5月28日(日)宮城・仙台HOOK OPEN16:30/START17:00
6月2日(金)香川・高松DIME OPEN18:30/START19:00
6月3日(土)福岡BEAT STATION OPEN17:30/START18:00
6月11日(日)新潟CLUB RIVERST OPEN16:30/START17:00
6月18日(日)大阪・心斎橋BIGCAT OPEN17:00/START18:00
6月30日(金)東京・LIQUIDROOM ebisu OPEN18:00/START19:00
:前売¥3,300 (+1D) / 4月1日(土)一般発売
2017年4月12日発売
初回盤
品番:AZZS-61
通常盤
品番:AZCS-1066
1.キャラバン
2.地球儀
3.涙星群の夜
4.heartbeat
5.innocence ※劇場版アニメ 第二部『亜人 -衝突-』主題歌
6.at (liberty)
7.pellucid ※映画『何者』劇中挿入歌
8.オフコース
9.不死身と七不思議
10.eve
2016年に行われたワンマンツアー「GREEN CARAVAN TOUR」より恵比寿LIQUIDROOMのツアーファイナルライブ映像を8曲収録
<DVD収録楽曲>
1. ボイド
2. heartbeat
3. pellucid
4. とある木洩れ陽より
5. メイ
6. 緑閃光
7. innocence
8. キャラバン
タワーレコード・タワレコードオンライン:直筆サイン入りオリジナルステッカー(タワレコVer.) ※数量限定
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