打首獄門同好会のやんごとなきツアーファイナル@新木場スタジオコーストはアイデア盛り沢山に武道館発表など特濃極まる仕上がりだった
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打首獄門同好会「やんごとなきツアー」ファイナル@新木場スタジオコースト
2017.03.25(土)@新木場スタジオコースト「やんごとなきツアー」ファイナル
最新作『やんごとなき世界』のリリースに伴い、打首獄門同好会が今年1月より決行した全国行脚『やんごとなきツアー』。そのファイナル公演『やんごとなきワンマン』が新木場スタジオコーストにて開催された。2千人以上を収容する会場ながら、
会場に足を踏み入れると、開演時に流れるというオープニングVTRの“メイキング映像”が上映されており(これが抱腹絶倒のシロモノ!)、ライブがスタートするまで時間を持て余すことなく過ごせるという、バンドの心づかいがまず嬉しい。そしていよいよ始まったオープニングVTRだが、ファンにはおなじみのキャスト、アシュラシンドロームの青木亞一人(Vo)による名演が見事に編集され、さらなる爆笑を誘う。しかし、これはまだライブ前。十分すぎるほどフロアが温まったなか、バックドロップシンデレラの「池袋のマニア化を防がNIGHT」をSEに、ついにメンバーが登場する。
大澤敦史(G,Vo)の流暢な口上と共に、「DON-GARA」で本編がスタート! 生々しいサウンドで勢いよく走り出し、「TAVEMONO NO URAMI」、「私を二郎に連れてって」と、一言では形容できない、ユーモラスでキャッチー、そしてラウドなミクスチャーナンバーを間髪入れず連打していった。
大澤、河本あす香(Dr,Vo)、Junko(B,Vo)から成る3ピースに加え、パワーポイント使いのVJ(VJサカムケ)とガチVJ(VJナマハゲ)がタッグを組んで上手に陣取り、後方の大型モニターに画を流す趣向で、これが非常に秀逸。曲の世界観に合わせて、映像・文字・写真・イラスト等々を絶妙に組み合わせて演出し、ハイテンションなステージを作り上げていくのである。歌詞もタイミングよく画面に出るので、隣りで観ていたチビっ子も終始口ずさんでノリノリであった。
撮影:新倉映見
続いて、ゲストのバイオリニスト・たまきあやが呼び込まれ、「Natto Never Dies」をプレイ。まさしくヘヴィメタル由来のリフと疾走感を持つナンバーで、歌詞は笑えるが、純粋にカッコいい。さらに間奏で大澤とたまきはステージ最前に飛び出し、ギターとバイオリンによるツインリードのソロをこれでもかと奏で、その展開も様式美全開! 中高生時代はメタル浸けだったという大澤のバックグラウンドも納得だ(しかし“納豆・粘・大豆”とは、よくできている……)。
「新木場スタジオコースト、心のなかでお遍路してもらいます」(大澤)と語られたあとに始まったのは、「88」。曲のテーマに則って、メンバーも菅笠や白衣などを身につけた出で立ちに。大澤と河本のツインボーカルが際立ち、一方でJunkoはストレートヘアを振り乱してスラップベースを響かせたりと、映像と併せて目にも耳にも刺激的だ。
撮影:白石達也
次いで、「ワンマンは新曲や未発表曲もできる」ということで、この日は「キレイエアー」なる曲が披露される。事務所にシャープ製の空気清浄機を導入したことをツイートしたところ、シャープから御礼のリプが来たのをきっかけに生まれた楽曲であり、ご丁寧に空気清浄機をマイクスタンドの前に設置する小ワザも忘れない。グランジーなリズムに乗る、喉がイガイガしているかのようなしゃがれ声と、“プラズマクラスター~♪”と歌われる清涼コーラスが生むコントラスト――この分かりやすさが素晴らしい(笑)。
撮影:白石達也
また、「きのこたけのこ戦争」では、バックドロップシンデレラのメンバーがきのこの山とたけのこの里の巨大ぬいぐるみを持って登場。極悪スラッシュリフが轟くなかなかにイカついナンバーで、一転、突き抜けた明るくパンキッシュなコーラスをフィーチャー。途中、オーディエンスをキノコ軍とタケノコ軍に分けてウォールオブデスを炸裂させる飛び道具もあって、そこではフロアに倒れた人を助け合うファンの姿も見られた。
曲が終わると、その過熱する様子を心配して、大澤は「本当にヤバい人に渡して」とペットボトルの水を何本も用意し、回してあげるよう指示する。「今日という日を、いい日にしたいから」と真摯に話していたが、彼らのライブにピースフルな空気を感じられるのは、こうした精神が根底にあるからだろう。
撮影:新倉映見
この時点でライブはまだ中盤。恐るべき濃さだ……。ゲストのDr.COYASSがラップを担当する「歯痛くて」などを経て、佳曲「もつ鍋が呼んでいる」が登場。キレのあるカッティングから始まるこのナンバーは、河本のクリアな歌声とフックの効いたリズムが光り、展開もドラマティック……サビの歌詞は“もつ鍋が呼んでいる~♪”だけれども。ラストは“ラララ”と歌うオーディエンスのコーラスで大団円を迎えた。
撮影:白石達也
『岩下の新生姜』リスペクトの「New Gingeration」が終わり、『うまい棒』を題材にした「デリシャススティック」では、ステージ中央に設置されたパネルに再び青木亞一人が映像で現れる(ここでもメイキングが流れた)。当日はアシュラシンドロームのライブと重なっていたため会場に来られなかったらしく、バーチャルで打首獄門同好会とセッションするというわけだ。大澤曰く「パネルやプロジェクターなど、ここが一番お金がかかった」のだそう。
撮影:新倉映見
終盤に向けてもテンションは一向に下がらず、「島国DNA」でビニール製のマグロがオーディエンスの頭上を回遊したのをはじめ、「マイクロウェーブアタック」になるとサークルピットが3ヵ所も出現。さらに「日本の米は世界一」が、フロアの熱気を一気に上昇させる。分かりやすくノリやすい彼らのミクスチャーサウンドは、すこぶるライブ向きである。
「最後に、もう一度大きな声を出してもらっていいでしょうか!」(大澤)
ラストは、“カモン、カモン、カモン、福沢諭吉”のコール&レスポンスを繰り広げる「カモン諭吉」。大量の偽札がフロアに降り注ぐなか本編は幕を閉じた。
撮影:新倉映見
アンコール――。ステージに戻ったメンバーは、手始めに「フローネル」をプレイ。そしてライブを締め括ったのは、ミニアルバム『やんごとなき世界』のラストナンバーでもある樋口了一氏のカバー楽曲「1/6の夢旅人2002」だ。この曲は、『やんごとなきツアー』全公演でラストナンバーとして演奏されてきた。ポジティブな歌詞とメロディ、メロディックパンク的流儀で爽快に駆け抜け、場内が一体となったサビの大合唱もグッとくるものがあった。
メンバーの記念撮影が終わり、最後の挨拶をしている途中で、“急告”の文字と共に突如暗転。三たび大澤と青木による映像が流れ、そこでアナウンスされたのは何と『2018年・日本武道館ワンマンライブ決定』のニュース!
次回は青木にゲスト出演してもらうために、“スケジュールがカブらないように”とイチ早く彼に伝えるドッキリ企画も兼ねていたのだが、実に最後の最後まで楽しませて驚かせてくれるバンドである。春夏秋冬連続リリースや全都道府県ツアーなど、武道館に向けた様々な企画を用意している彼らの動向は、今後も要注目だ。
取材・文=早川洋介 撮影=白石達也、新倉映見
1. 夏秋冬春 四季連続リリース計画
2. 47都道府県 ライブ全国制覇
3. 北海道~九州全地域 フェス全国制覇
4. インターネット番組「10獄放送局」大型新企画
▼「目指せ武道館!!2017-2018 戦獄絵巻」特設ページ
http://www.ldandk.com/uchikubi/sengoku
1.DON-GARA
2.TAVEMONO NO URAMI
3.私を二郎に連れてって
4.Natto Never Dies
5.数多の数奇な物語
6.まごパワー
7.88
8.きれいエアー
9.失われし平和な春の日よ
10.きのこたけのこ戦争
11.歯痛くて
12.猫の惑星
13.もつ鍋が呼んでいる
14.New Gingeration
15.デリシャススティック
16.島国DNA
17.マイクロウェーブアタック
18.ヤキトリズム
19.日本の米は世界一
20.カモン諭吉
[ENCORE]
21.フローネル
22.1/6の夢旅人2002
4/2(日):G-FREAK FACTORY “FREAKY” TOUR 2017@金沢vanvan V4
4/15(土):Zephyren presents「A.V.E.S.T project vol.10」@渋谷複数会場
4/22(土):FM NORTH WAVE & WESS presents IMPACT!?@札幌複数会場
4/30(日):ARABAKI ROCK FEST.17@みちのく公園北地区エコキャンプみちのく
5/5(金・祝):VIVA LA ROCK 2017@さいたまスーパーアリーナ
5/7(日):COMIN’KOBE 17@神戸ポートアイランド
5/12(日):Dizzy Sunfist“THE DREAM IS NOT DEAD”TOUR 2017@横浜F.A.D
5/26(金):祝10代目梅雨将軍2man series オメでたい頭でなにより企画 「三ヶ月連続 Free Mosh License」九発目@池袋Adm
6/3(土)・4(日):百万石音楽祭2017~ミリオンロックフェスティバル~@石川県産業展示館
6/24(土):FREEDOM NAGOYA2017@愛知県名古屋大高緑地特設ステージ
7/29(土)・30(日):OGA NAMAHAGE ROCKFES VOL.8@秋田県 男鹿市船川港内特設ステージ