SPICE編集長イチ推しバンド・Sunrise In My Attache Case、日本で独自進化を遂げたサーフロックバンドに迫る

インタビュー
音楽
2017.5.1
Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

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応募総数が300組にも及んだというRed Bull主催のバンド・コンテスト『Red Bull Live on the Road 2016』で頂点に輝いた、奈良出身のサーフ&ポップを軸にしたバンド・Sunrise In My Attache Case。ポップパンクやエモ、そしてR&B、エレクトロテイストなど、現行のポップ・ミュージックのトレンドを幅広く消化しつつ、オーガニックなグルーヴを持っていることが何よりの個性である彼ら。ジャンルの壁が溶け出して、各々のバンドのカラーが打ち出されるであろう2017年を象徴するようなバンドでもある。初登場となる今回はバンドのプロフィールに触れつつ、活動のギアアップのきっかけになりそうなニューシングル「The Wall」のリリースについても聞いてみた。

――結成地がカナダのバンクーバーだそうですが、Kazuyaさんが行ってたんですか?

Kazuya:僕とギターのanoppeが一緒に向こうに行ったんですけど、僕もanoppeも別のバンドをやってて、anoppeが先輩で僕が後輩っていうつながりで。で、お互いのバンドが解散したんですけど、海外への憧れもあるから「ちょっと一回行ってみようかな」って、二人で行ったんです。でもその時は別にバンドをするためじゃなくて、単純に向こうの生活がどんなものか見たいっていう目的で行って。作曲もしたりしてましたけど、だいたい遊んでましたね(笑)。

――音楽的にカナダを選んだっていうことでもなく?

Kazuya:カナダの音楽も好きだったんですけどね。。

――カナダってそれこそビルボードのトップにいるようなアーティストもインディペンデントな人もいて、面白いですよね。

Kazuya:そうですね。好きなアーティストも多いですね。ニッケルバックとか、アヴリル(・ラヴィーン)とか。

cubs:シンプル・プランとか。

――ところでみなさん奈良なんですか?

Kazuya:ドラムの岡Pだけ大阪で、あとはみんな奈良です。

――奈良って言われるとTHE ORAL CIGALLETESとLOSTAGEあたりがまず思い浮かぶんですが。

cubs:めっちゃ近いです。というか、奈良ってバンドの母数が少ないんで、だいたい奈良出身だったらみんな知り合いみたいな感じですね。僕とオーラルは中学校の同級生で……あと、Age Factoryも。だいたい住んでる地域も奈良市のどこかだったんで、飲みに行ったらたまたま会ったりするんですね。

Kazuya:飲みに行く場所もみんなだいたい一緒なんで(笑)。

――狭いが故のジャンルのなさですね(笑)。結成自体はいつなんでしたっけ?

cubs:2011年か12年ぐらい。ただその、二人が海外行ってた間は全く活動してなかったので。

Kazuya:帰ってきてからもライブは2~3ヶ月に一本ぐらいのペースやったんですよ。で、その感じでやってるうちにベースが抜けるってなって、cubsが入ることになって、cubsが入ったのをきっかけに一回CDを作ろうと。それまでに曲がすごい溜まってたんですよ。それで「もうこれ、アルバムを作ってしまったらいいんじゃないか?」ってなって、そこから本格的に動き出すようになって、それが2013年ですね。

cubs:めっちゃユニークだったのが、僕が入る前に無料配布のデモを奈良で配らはったんですけど、2枚組で10曲ずつぐらい入ってるんですよ(笑)。

――2枚組(笑)。

cubs:そう。で、一気に奈良では広まって。無料配布としては音源としてもクオリティ高かったし。みんなそれを携帯に入れて、ずっと聴いてましたね。

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

――じゃあcubsさんの友達とかもみんな知ってるぐらい話題だったんですか?

cubs:結構知ってましたね。だから当時、その3ヶ月に一本ぐらいしかないライブがめっちゃ動員あるみたいな。

――なるほど。みなさんのバックボーンもお聞きしていいですか? 音楽を始めるきっかけになったアーティストや事柄とか。

Kazuya:音楽をやるきっかけは映画『アルマゲドン』を見て、エアロスミスの曲聴いて、「うわ、俺もこんなんしたい!」っていうのがいちばん最初のきっかけですね。映画もめちゃくちゃ感動した上に「曲、何これ?」みたいな。その感じが新鮮で。それが小学校6年ぐらいやったんですけど、「これはやばいな」と思って、ずっとそういうサウンドをやりたいっていう意識があったんで、今回のシングルはそこをイメージしてたりもします。

――スケール感って意味ではそうですね。cubsさんは?

cubs:僕はKazuyaが前やってたバンドのアルバムを高校生の時に聴いたのがきっかけで。もともと、中学校の頃から洋楽がめっちゃ好きで、オアシスとかビートルズとかUKの音楽をずっと聴いてたんですけど、高校生の頃にあんまり好きになれる音楽がない時にそれ(Kazuyaの前のバンド)を聴いて。で、学祭でバンドをしたりするようになりました。

――すごいですね、オアシス、ビートルズの次だとは。

Kazuya:ははは(笑)。確かに。

――じゃあcubsさんはバンド内の超初期のファンなんですね。

cubs:そうですね。でも最初に出会った時に「あ、俺、そのバンドのボーカルや」ってKazuyaが言った時に、「絶対嘘や」と思ったんですよ。

Kazuya:僕がスタジオで働いてたんですけど、cubsがお客さんとして来たときに「こういうバンドが好きで始めたんです」っていうから、「あ、それ俺やで」「嘘つくなや」みたいな。こんなとこにいるはずないやろと思ってたみたいなんですけど、ほんまやって(笑)。

――cubsさんの中で大きな存在になってたんですね。

cubs:映像とかもなかったから、ほんとに声だけ曲だけだったんで、初めてアコギで生で歌ったのを聴いた時に鳥肌立ったのを今でも思い出します。

――音楽でそこまで妄想が広がってるとは。

cubs:いや、もっと偉そうな感じの人やと思ってたら、普通にフラットやし、そういう意味でも意外でしたね。

――それはメンバーになりたいと思える理由に?

cubs:いや、その時はまだそんな感じじゃなかったですね。「メンバーやれへん?」って言われた時に初めて、そういう選択肢が見えたっていうか。それまでは一ファンとしてだったんで。

――それもシーンが狭いが故のメリットかも。

Kazuya:そうですね(笑)。

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

――面白いな。岡Pさんのバックボーンは?

岡P:僕はゲームですね。ドラムマニア。それにハマったことが全てを始めたきっかけですね。中学1年生ぐらいの時にゲームセンターに行った時に友達がやってるのを見て……最初バカにしてたんですよ。「何やってるん?」みたいな。「いや、おもろいからやってみろ」、で、やったら見事にハマってしまって。で、家庭用のそのゲーム機も買って(笑)。

Kazuya・anoppe・cubs:ははは(笑)!

岡P:「トレーニングモード」とかで、流れて来る譜面を止めて、(譜面を確認する仕草)「なるほどな!」と。そこからパターンを覚えて行って、1年ぐらいやり込んで、実際ドラムを叩いてみたいと思ったので、ヤマハの教室に習いに行って。

cubs:あ、習ってたんや?

岡P:ちょっとだけ。先生も驚愕みたいな、「え?ゲームでそんなに叩けるん?」。

Kazuya・anoppe・cubs:あははは(笑)!

――ちょっとそれ新しい入り方かもしれない(笑)。最初からドラムに触れる機会はなかなかないですもんね。

岡P:触る機会がなかなかないし、スタジオとかも知らなかったですし。田舎で育ってるんで。

――もしかしたら音ゲーの開発者と近い将来、対談ができるかもしれない。

岡P:KONAMIさんにお話を(笑)。

――実際にドラムを始めてからは?

岡P:最初は青春パンクから入って、そこからメロコアとかエモの感じとかすごいハマって。そこで初めて2ビートっていうものを聴いて、「はっや!」「すげえ!」「かっこいい!どうやってやってんの?これ?」みたいな。で、メタルに行って、ツーバス行って、「YOSHIKIすげえ!」みたいな(笑)。

――今こんなオーガニックな音楽やってることが想像できないです(笑)。

岡P:でもこういう自分らの感じのゆるい音楽聴くようになったのも、ボーカルのKazuyaの影響で。それまで全然聴いてなくて。知らんアーティストばっかりやったし。

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

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――anoppeさんは?

anopee:なんかませてる感じの子が中三の時にギターを担いで何かやってたのを見て、「ああ、ギターってかっこいいな、やってみたいな」っていうのがあって。で、最初は奥田民生さんにハマって、そこから洋楽聴くようになって。母親が昔からビートルズとかカーペンターズとかそういう音楽をずっと聴いてたんで、そういうのがずっと好きっていうのはありますね。

――おしなべて普遍的なというか、エバーグリーンなものが好きなのかもしれないですね。で、結成時と今の音楽性ってかなり違うんですか?

cubs:当時、Kazuyaがやってたのはもっとポップパンク色が強い感じだったんですけど、通じる要素も感じるし、曲調は変わったけど一貫してるものはあるなと思います。

――今回の「The Wall」に関しては、いわゆるジャック・ジョンソンなどのサーフロックというよりは、日本でいろんなジャンルを経由してきたサーフロックという感じがしました。いつ頃から今のサウンドの軸ができてきたんですか?

Kazuya:結成する前にちょこっとやってたバンドがあって、そこではアコースティックの感じ、やけど、もっとポップパンク寄りみたなことをやってたんですよ。で、そこからSunrise~に変わる時に、「もっとアコギ・メインで行こう」ってなって、そこから今の形になったんです。R&Bとかも取り入れたいっていう気持ちもあるし、サーフの感じもあるけど、今のシティ感も足して、でもメインは生っぽい。けど、エレクトロの音も入ってる。みたいなものを今、イメージしてて。そこにさっき言ってた映画とか、ああいう壮大なサウンドのイメージも加えたいという感じですね。

――言葉にするとジャンルが多様すぎるくらいだけど、実際にはごく自然に聴こえます。あまりアッパーで暴れるような曲は自分たちではやろうと思わない?

Kazuya:そうですね。

cubs:例えばアルバムに11曲入ってたら、それをずっと聴けるアルバムが好きなんですよ。一回聴いて満腹になっちゃうやつっていうよりは、それこそドライブとか、日常の中でその曲をずーっと聴いてたいなと思うようなアルバムの方が自分たちは好きで。テンション上がるやつはライブで見るのは好きやけど、じゃその音源、日常で聴くか?って言ったらあまり聴かへんかなっていうところがあって。いい意味で完璧じゃない感じにしたいというか、物足りないぐらいの方が、どんどん好きになって行くところがあるので。

Kazuya:アレンジとかもちょっと違ったりして、「これが完成形ですよ」っていのはライブで見せたいんですよね。そこはイメージしてます。

――英語で歌うっていうのはずっとポリシーとしてある?

Kazuya:日本語の曲もこれから作って行こうかなと思ってます。でも英語のニュアンスが好きなんですよね。

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

――面白いのは、作詞をanoppeさんがしていて、作曲をボーカルのKazuyaさんがしている点で。この二人の役割分担はどうなってるんですか? 歌う人が書くことにこだわらない?

Kazuya:僕はどちらかというと景色を書くというかイメージ重視で。で、こういう内容にしたいってイメージはあるけど、実際の言葉があんまり出てこないところがあるので。anoppeはそういうの得意なので、僕のイメージを伝えながら二人で「こうした方がよくない?」「ああした方がよくない?」って言いながらやるスタイルをずっと続けてて、それがしっくりくるんです(笑)。

――今回、シングルのタイトルは「The Wall」で、タイトルチューンを3曲目に配置した意図はあるんですか?

Kazuya:単純に曲調がバラードなんで、締めな感じの方がいいかなと思って最後にしたんですよ。で、1曲目はアゲめな感じで始まって。で、2曲目でちょっと違うロックバラード的な感じを持ってきて、最後はもう王道のバラードにしようと(笑)。

――1曲目なんかは割と意外だったんですよ。シンセリフだし。そういうところもポップでいいなと思いました。音楽性の幅も出るし。

Kazuya:そうですね。ああいう音楽も好きなんで。さっき言ってたシティ感の僕の中での解釈ですけど。アコギ主体やけど、シンセの音を入れるのが面白いなと思ったので。

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

――そして全部、歌詞が何かに立ち向かって行く感じで。

anoppe:今回は特に(笑)。色は強いですね。特に意図的なわけじゃないんですけど、Kazuyaと話して、作って行く段階で自然とそういうふうになっていった感じですね。

――そんなメッセージでも、こういうサウンドで聴くと「来いやー!」というふうには聴こえないですもんね。

一同:ははは。

――だから自然に聴ける。

cubs:どっちかというと聴きやすい、ゆったりした感じのサウンドが多いけど、僕らがライブで見せたいのは熱さだし、そこらへんはラウドとかそういうジャンルに負けないぐらい、内面の熱さみたいなものを前面に出したいっていうか。だから歌詞のメッセージもすごい大事にしてて。こういう音楽やってるから歌詞も緩いというわけではないというか。

――バンド名も象徴的ですね。“日の出をアタッシュケースの中に”というのが。

Kazuya:日の出が「音」みたいなイメージで、それを運んでいくみたいな感じですね。

――自然と都会とかオンとオフみたいな感じもありますね。

Kazuya:……それ、いただきます(笑)。

cubs:景色感がほんとに大事なんで、海とか山とか空とか、それを曲聴いたみんなに見て欲しい。聴いてどこか旅に出て欲しいとか、そういう思いもありますね。ま、シンプルに一人でも多くの人に聴いて欲しいです、音源を。

Kazuya:とにかくSunrise In My Attache Caseを広めたい。僕らの音楽を生活に普通に取り入れて欲しいです。

 

取材・文=石角友香 撮影=風間大洋

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

Sunrise In My Attache Case 撮影=風間大洋

リリース情報
Sunrise In My Attache Case「The Wall」
 発売日:2017年5月3日(水) 

 

価格:¥1,000(税抜価格)+ 税 
品番:DWRC-003 
レーベル:Double Wing Records 
<収録曲> 01. Higher  02.Flight  03.The Wall

 

プロフィール
Sunrise In My Attache Case​

Kazuya(Vo, G)、anoppe(G)、かぶす(B)、岡P(Dr) Red Bull主催のバンド・コンテスト『Red Bull Live on the Road 2016』で、応募総数300 組から頂点に輝いた奈良出身のサーフ&ポップバンド。バンクーバーで結成された経緯をもち、ワールドワイドな感性で産み出された壮大なミドルチューン「The Wall」(M3) はレッドブルの世界観を伝えるWorld of Red Bull のテレビCM ソングに決定。
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