フジファブリック、sumikaらも出演する『FM802 Rockin’Radio!』の魅力をFM802 DJたちが語る
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左から、鬼頭由芽、飯室大吾、土井コマキ
大阪のラジオ局FM802(以下、802)が主催している“関西発”のオムニバスロックイベント『FM802 Rockin’Radio!』が、5月21日(日)に今年も大阪城音楽堂で開催される。春の恒例イベントとして毎年注目を浴びる『FM802 Rockin’Radio!』は、ラジオ局主催だからこそ出来るイベント内容となっており、オープニングアクトを投票で決めるというリスナー参加型イベントとなっている。今回は、イベント当日にMCを務める802で活躍中のDJ・土井コマキ、飯室大吾、鬼頭由芽の3人にインタビューを遂行した。それぞれが語る『FM802 Rockin’Radio!』の思い出、魅力、楽しみ方、更には今年のタイムテーブル予想(!?)などを語ってもらった。
――元々FM802 とSPACE SHOWER TVが大阪城音楽堂で開催してきた『SWEET LOVE SHOWER SPRING』が前身イベントで『FM802 Rockin’Radio!』になってから今年が5回目の開催ですね。
土井:私が802に入る前から行われていたイベントで、ちわきまゆみさんと中島ヒロトさんがMCをされていたんです。若手バンドからシンガーソングライターと幅広く出演されていて、私は昔からそういうアーティストさんが好きだったので1年に1回は“絶対に行かんとあかん”というイベントだったんですよね。で、途中からMCで参加させていただいてイベント名も『FM802 Rockin’Radio!』に変わってから、ブッキングも802がさせてもらうイベントになったんです。
――実際、お客さんとして参加していたイベントのMCをするということに関してはいかがですか?
土井:嬉しかったです。だけどプレッシャーがすごくて。ロックシーンにおいて ちわきさんはカリスマ的な存在ですし、あんなふうになりたいという憧れは今もすごくあるんですけど、絶対になられへんなと思ったり……。私はMCで立たせてもらってますけど、MCというよりかは来てくれてるお客さんの代表で、たまたまステージで話しているという感じなので、一緒に楽しもうという感じで立たせてもらってます。
土井コマキ
飯室:うん。名前は変われど、この初夏の大阪城野外音楽堂の恒例イベントでMCさせてもらうというのは、僕もすごく嬉しかったです。
――そして、昨年からは鬼頭さんが加わり。
鬼頭:私も『SWEET LOVE SHOWER SPRING』の頃からずっと大好きだったイベントなんです。MCとしてやらせていただくことはすごく嬉しいですし、実際MCになってステージ裏とかにも行くようになって思ったのが、アーティストやスタッフがみんな和気あいあいとしてるんですよ。その雰囲気とかもすごく楽しくて、この空気感を一緒に作れているのはすごく嬉しいなと思います。
鬼頭由芽
――『FM802 Rockin’Radio!』に変わってから、ココが今までと違うというところはありますか?
土井:802がブッキングをしてるというところでバンド色が強くなったり、すごく威勢の良い感じになったなと思います。
飯室:確かにそうですね。それまでは、結構幅広くっていう感じだったんですけど、タイトルで“Rockin’”と言ってるし、この頃からバンドシーンがすごく元気になってきたというのもあって、より802と密接な人たちが出演してくれるイベントになっていったなと感じますね。
――なるほど。ちなみに今年の2017年の出演アーティストはどのように決まっていったのですか?
飯室:ブッキング会議があるわけじゃないんですけど、『Rockin’Radio!』のプロデューサーの頭の中になんとなく設計図はありつつも、我々DJの現場の声を吸い上げながら決まっていくという感じです。
土井:やっぱりオンエアとリンクしてないイベントをやっても意味がないじゃないですか。ラジオ局がやるイベントなので、“オンエア“が私たちの核にあって……そこから派生したものとしてイベントをやるので、現場で相談しながら提案していくんです。もちろんアーティストさんのスケジュールもあったりするので、全てが通るわけではないのですが、“これで決まりました”となった時は“なるほど! うまくいったな!”と思いました。
飯室:イベントとして売り切れればオッケーじゃなくて、アーティストと今後も一緒に何かを作っていく感覚に近いかもしれないですね。それを見据えてのブッキングだと思います。それが僕らラジオ局がやってるイベントの醍醐味というか。このイベントが点となって、次の点があって線になって繋がっていくものだと思います。
鬼頭:あと、このイベントには若手アーティストだけじゃなくて、キャリアのある人にも出てもらうというのがあって。それが今年で言うとフジファブリックかな。そうやってキャリアのあるアーティストと若手のアーティストが一緒にやってるのを見れるのも楽しいかなと思います。
左から鬼頭由芽、土井コマキ、飯室大吾
――実際、リスナーさんからの反応はどうですか?
鬼頭:私の番組で発表になったんですけど、どこか1組にリアクションがあるというより、ちゃんとリスナーさんがどのアーティストにも反応出来るというか。若手のロックシーン、これから勢いのあるロックシーンに注目しているリスナーさんが今年のラインナップを見て偏りなくどれも楽しみにしてくれているんだなというのを感じました。
土井:イベント自体がうまく育ってきたんだなと思うんですよね。去年とか特に出演アーティストがすごくバラバラで。もしかしたら、ここで手を挙げるとかこういう動きをするとかお約束がない、自由に聴くというスタイルのアーティストのライブを初めて観ることになった人も多かったと思うんです。Suchmosとか今までとは違う新しい流れだったと思うし。だから、決まった音楽しか聴かないという人にとってはあまり楽しむことができないイベントかもしれないんですけど……そうではなくていろんなものにそれぞれの楽しみ方があって、全部をまとめて楽しめる人たちがお客さんとして集まってきてくれてるイベントなんだなと去年はすごく思って。
鬼頭:今年の出演アーティストもそうですよね。きのこ帝国とか雨のパレードみたいに聴かせる曲の多いアーティストもいれば、感覚ピエロみたいにガンガンあげてくアーティストもいたり。フジファブリックやsumikaはすごくポップスだと思うし。
飯室:『FM802 Rockin’Radio!』という名前が育ってきたというか、定着して良い感じになってきたと思うんです。毎年誰が出るかわからないけど、『FM802 Rockin’Radio!』は楽しみにしてるというお客さんが多いから、毎年ラインナップを発表すると“今年も『FM802 Rockin’Radio!』やっぱりメンツが良いね”という反応がくるんですよ。そう思って来てくれることは嬉しいですね。
土井:このアーティスト知らなかったけどライブ観たら楽しかったとか、良かったから他の曲も聴いてみたくなったとか。イベントに来てくれた人もそうやって音楽と出会うのが楽しいと思っているのかなって考えると、ラジオDJとしてすごく嬉しいです。だから今年の出演アーティストもバラけているけど全部ひっくるめて新たに音楽と出会う場所だと思って反応してもらいたいですね。いろんなジャンルの音楽を認められるアンテナって、すごく良いアンテナやと思うし、10代とかの若いリスナーの人たちにそういうアンテナを持ってもらえるように音楽を提供するのが、私たちミュージックステーションのDJとしての仕事なのかなと思うので。
飯室:この出演アーティストはラジオならではだと思うんです。ラジオの電波にのって聴こえてくる音楽が様々なのと同様に、キャリアもジャンルもシーンも全然違う人たちが出てるのを、みんなで一緒にその日1日を作るというのがラジオっぽいというか。
飯室大吾
――去年から実施されてるオープニングアクト選出企画も楽しみですね。
鬼頭:『Eggs The Future In Our Hands』というコーナーが番組内にあって、インディーズ……何ならアマチュアに近いくらいの若手のバンドにもスポットをあてるコーナーで、そこから『FM802 Rockin’Radio!』のオープニングアクトをセレクトしようという企画が始まったんです。当日までお客さんが参加できるコンテンツが増えたことは結構大きいなと思っていて。それこそラジオを聴いてるリスナーさんがリクエストをするのと同じで、イベントとして一方通行ではなく双方向というか、お客さんからの働きかけでイベントが作られるので、お客さん自身楽しんでくれてるんじゃないのかなと思います。
――今年も11組がエントリーされてますが、気になるバンドはありますか?
飯室:これこそジャンルが様々ですからね。それぞれ普段ライブハウスで頑張っている人たちなので、本音を言えば全部出て欲しいです。
鬼頭:そうですよね。大吾さんの『RADIO ∞ INFINITY』で取り上げてるバンドが多いですよね。
飯室:このオープニングアクト枠が出来たことによって、“ネクストブレイクをみんなで一緒に見つけようぜ”ということも出来るわけじゃないですか。そういう楽しみ方も出来る。最近のお客さんは早耳なので「ポルカドットスティングレイとかはもう知ってるで~」みたいなこともあるかと。
鬼頭:「あ、ポルカ出るんや〜」みたいな、早耳の人にはすでに浸透してますよね。
飯室:これは脅威の速さですよ。Mrs.GREEN APPLE、ヤバイTシャツ屋さんときて、次はこのバンドくらいの速さ。
鬼頭:昨日ライブを観たLenny code fictionとリアクションザブッタも、すでに沢山のお客さんがライブハウスに来ていて、お客さんを巻き込んでいたので楽しみです。
土井:個人的にはパノラマパナマタウンはオープニングアクト枠のオーディションに出てる場合じゃないだろうって思います。そうじゃなくて彼らは本編の方にランナップされるくらいのキャリアがあると思うので。いろんなオーディションとかでも最終まで残ったりしてるし。
左から、鬼頭由芽、土井コマキ
鬼頭:本当にどうなるかわからないというか。ライブハウスに行っていて、本当にそのアーティストを好きな人たちはもちろん投票してるんですけど、ライブハウスに行ってないけど802を聴いてる人たちが1回オンエアされた1曲が衝撃で投票する人たちも沢山いるので、どうなるのかなと私自身すごく楽しみです。そこがラジオ局がやってるイベントの面白いところでもあるし。
土井:オンエアする側もすごい責任重大やね。
鬼頭:その1曲で結構左右されたりしているのかなというのはすごく思いますね。
飯室:あと野音のステージは容易に盛り上げられないのだと若手は痛感するんじゃないですかね。ステージはライブハウスに比べると大きいし、野音の独特の空気感があると思います。
鬼頭:うん。もちろんステージの前の方に来て盛り上がってる人たちもいるんですけど、座席があるので座って聴いてる人、後ろの方で芝生で寝っ転がりながら聴いてる人もいるから、確かにちょっとライブハウスでやるのとは勝手が違うかなと思います。
鬼頭由芽
――オープニングアクトの若手からキャリアのあるアーティストまで本当に幅広く出演するイベントはあまりないですよね。
飯室:そうですね。フジファブリックと一緒に出れることにテンション上がってる共演バンドはすごくいると思う。
土井:それこそフジファブリックは、2005年の『SWEET LOVE SHOWER SPRING』に出演していたので、そこが先輩枠で出るのは感慨深いものがある。
飯室:うん。反応が楽しみ。
土井:やっぱキャリアのある人たちのステージはすごく説得力があって、イベントが締まるし“これか!”ってなる。だからそれをお客さんにも体感して欲しい。
鬼頭:確かに同世代のアーティストばかりが出てるイベントだと実感出来ないですしね。
飯室:『FM802 Rockin’Radio!』は、キャリアを積んできた人たちの凄さが際立つ。過去のHUSKING BEE、サンボマスター、the band apart。細かいことをせずに、ど真ん中・直球でやってしまうというか。だから本当に楽しみ。
左から、鬼頭由芽、土井コマキ、飯室大吾
――お話を聞いてると『FM802 Rockin’Radio!』が益々楽しみになってきました。
飯室:あと、毎年やたら天気が良いんですよ。バックヤードに楽屋があるんですけど、外にテントを出して机並べて、そこでスタッフの人も出演者もケータリングのご飯を食べたりして、みんな喋ってるというのが『FM802 Rockin’Radio!』のバックヤード名物。何故かみんな外に集まってスタッフ同士が話してたり、バンド同士が“久しぶり~”とか挨拶してたり、バックヤードはいつも賑やかです。あの空気、僕はめっちゃ好きなんですよ。
鬼頭:あの雰囲気はお客さんからは見えないけど、イベント全体に広がってるのかなというのはあります。
飯室:やたら入りの早いバンドがいたり(笑)。自分たちの出番が終わってからも帰らない人たちがいたりして、見ていて面白い。
土井:だから、出演してくれる人たち同士も一緒にはイベント出たりっていうのはないけど、お互い気になっていた存在であったり。そういう人たちを別に意識してるわけじゃないけどブッキング出来ているのかもしれないですよね。私たちは違う視点ですけど結果としてそうなっているのかもしれないですね。
飯室:あとタイムテーブルもどうなるんでしょうね。毎年タイムテーブルは僕たちもすごく楽しみにしていて、先輩枠がどこにいくのかというのも気になる。雨のパレードが昼イチにやったらどんな雰囲気になるかなとか。
鬼頭:去年はSuchmos、KeishiTanaka、ceroと続いてて、自由に楽しむ横揺れパートが良い感じに夕暮れ時やったりして。
土井:私は今年のラインナップで1番暑い時間にきのこ帝国が観たい。
飯室:お!面白いこと言いますね〜。
土井:もう頭がボーっとしてきそうな時に、あの轟音ね。そして涼しい歌声。
飯室:確かに。今年どうなるかな~。今頃、タイムテーブル考える人悩んでるんちゃうかな(笑)。
――最後に『FM802 Rockin’Radio!』へ来るみなさまに向けてメッセージをお願いします。
飯室:外で天気が良いと風が吹いて緑が揺れるし、ちょうど季節的にも初夏の緑が濃い季節で“風が気持ち良いな~、鳥が飛んでるな~”というのを1日感じながら音楽に触れ合える経験はあまりないと思うので、全部ひっくるめて楽しんで欲しいなと思います。夕暮れ時にやったあの曲良かったなとか、きっとすごく思い出に深く残ると思います。
土井:野外の音楽イベントが沢山ある中でも『FM802 Rockin’Radio!』は、野外音楽イベントに行ったことがない人にとってはピッタリなイベントだと思うんです。環境もそうだしラインナップも。いろいろ自分が知らない音楽を知るキッカケにもなるし、野外イベントの楽しみ方も知るキッカケになれば良いなと思っています。当日晴れてるとイベント中は暑いので、帽子と水分補給はしっかりとしてもらって、上に羽織れるものがあった方が逆に涼しいです。あとはイベント後も出会ったアーティストを応援してあげて欲しいですね。CDを買って聴いてみるとか、ワンマンに行ってみるとか。ラジオにリクエストして“イベントでやってた曲と違う曲をかけてください”と言ったら、“これが良いよ”とみんなかけてくれると思うので、ラジオはタダですから利用してもらえたらなと思います。
鬼頭:先輩2人が野外について仰っていたので、私はラインナップのことで。去年SuchmosやWANIMAが出てたんですけど、もうこの2組なんて今や
取材・文=YUMI KONO 撮影=K兄
会場:大阪城音楽堂
出演者: