松岡昌宏、40歳1本目の舞台で「経験したことのない扉を開けたい」二人芝居『ダニーと紺碧の海』公開稽古
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TOKIOの松岡昌宏が4年ぶりに出演する二人舞台『ダニーと紺碧の海』の公開稽古と囲み会見が5月12日(金)午後、紀伊國屋ホールにて行われ、稽古後はロビーにて松岡と共演の土井ケイト、演出の藤田俊太郎が囲み会見に応じた。
本作は1983年に米劇作家ジョン・パトリック・シャンリィが手がけた同名戯曲。ニューヨーク・ブロンクスの深夜のバーで、二人の男女が偶然出会う。男の名はダニー(松岡)。繊細さゆえに傷つきやすく、心の痛みを暴力によって吐き出すため、他人となかなか理解し合えない孤独な男だ。女の名はロバータ(土井)。日々の生活に疲れ、また過去に犯した罪を悔やんで、自分は幸せにはなれないと心を閉ざしている。二人の心は徐々に近づき、お互いのエネルギーをぶつけ合って心の傷をさらけ出していく。そしてダニーは、ロバータにいつしか真心をぶつけるようになる…。
公開稽古では、時には汗を飛び散らせ、また時には本気の涙を流しながら、胸の奥に抱える苦悩を、身もだえしながら叫び、激しくぶつけあう松岡と土井。二人の生々しく、激しく、切なくも瑞々しい姿が、観る者の心に突き刺さる。あっという間の1時間40分(幕間なし)だ。
今年1月11日に40歳の誕生日を迎えた松岡は、TOKIOとしての活動はもちろん、いち役者としては、コメディからシリアス、時代劇から現代劇と多彩に活躍、その実力を発揮している。舞台は『スサノオ~神の剣の物語~』『TRUE WEST』『JAILBREAKERS』『灰色のカナリア』『ロスト・イン・ヨンカーズ』と出演を重ね、本作が40代最初の舞台となる。一方、演出の藤田は故・蜷川幸雄のもとで演出を学び、『ザ・ビューティフル・ゲーム』『ジャージー・ボーイズ』などの作品で、読売演劇賞をはじめ数々のタイトルを受賞。今、演劇界でその演出力が最も注目されている。さらに土井は蜷川が全幅の信頼を寄せた新進気鋭の女優。『ダニー~』のあとにはすでに2本の舞台出演が決まっている注目株だ。
公開稽古のあと、劇場ロビーで行われたフォトセッションでは、ムービーカメラに向かって手を振って欲しい、と求められ松岡たち。「この格好とこの傷(メイク)でお手ふりですか(笑)ところで日本だけなの?お手振りって文化は!?」と素朴な疑問を口にする松岡に、「いや、ただ動きが欲しいだけなんです」と報道陣。すると「動きが欲しいならこういうのでもいいよね」と足を左右に滑らせて踊り出す松岡。すかさずその動きをマネする土井。芝居での激しさとは一転、持ち前のサービス精神で場を和ませる二人だった。
土井ケイト、藤田俊太郎
いよいよ明日が初日ということで今の気持ちを聞かれると、「一か月の稽古を経てやっとです。二人芝居なので(舞台袖に)ハケることなしで、ぶっぱなしでやってます。稽古場で作ってきたものを、余計なことをせずそのまま本番でしっかり出せればいいかな」とマジメに語る松岡。が、土井と二人でしゃべりっぱなしの状態を「夫婦漫才のよう」と笑いをとり、無口な男という設定と違うのでは?というツッコミに対して「昔から不器用な男ほどよくしゃべる、という日本の文化が…」と笑顔。
演出の藤田は、この日が蜷川の命日ということもあって、本作について「蜷川さんへの思いを込めて演出していました。松岡さんと土井さんと世界一の作品を作ったと(蜷川さんに)伝えたいですね」と語る。松岡と土井については「才能と優秀さと努力がある二人だと、こんなに素晴らしい役になるんだな。毎日違うアプローチで稽古をやってきた二人が積み重ねてきたものは、確かなものだったんだな。今日のゲネプロで実感しました」と振り返る。
藤田俊太郎
なお、蜷川といえば「稽古中に灰皿を投げる」のイメージが強いが、その門下生である藤田は?と問われると、「蜷川さんのように灰皿や怒号は飛ばさず、愛情を飛ばしてました。二人がダニーとロバータでいられるように愛だけを送って、あとは自分たちで持って帰ってもらえるように」その言葉にニヤリ&クスリと笑う松岡と土井。
松岡はそんな藤田に対し、「僕らジャニーズ事務所の面々は幼い時代に蜷川さんに教えをいただいている。でも藤田さんは藤田さんの新しい作品をお作りになっているので、僕らはそれに乗っかるだけ」と全幅の信頼を寄せる。「藤田さんからいろいろなアイディアをいただいて、どんどんいい意味で変わっていく芝居。本番が始まっても『おもしろいと思ったらどんどん変えていく』とおっしゃっていたので、楽しくやらせていただいてます」
土井は藤田の演出について「全く別人のよう」と語る。「藤田さんと出会ったのは蜷川さんの演出助手の時代。(今回の舞台で)演出家の藤田さんとは『初めまして』という気持ち。違う顔を見れて楽しい。そして勉強になります」また松岡については、「ダニーという人物は松岡さんが演じるからこそ、本当に愛されるキャラクターになっています。心から「何、この人!?」と思わせるものを出される方ですね」と微笑むと、その隣で松岡は照れ笑いを浮かべていた。
土井ケイト
ふと、「ロバータのような女性がもし現実にいたらどうする?」と聞かれた松岡。「もしいたら速攻シカトします!」と返したが「ただ…大変な女性って…好きでしょ!?」と男性リポーターに同意を求める。「だから(作者の)シャンリィが本作をお書きになったときに何かひっかかるものがあったんじゃないかな。大変な者同士がくっつくとこうなるんだって。2,3歳の子どものケンカですからねー。思ったことをはっきり言う。喜怒哀楽ははっきりしている子ども同士。隠し事もなくかけひきもない。そうなるとこんなパワーでぶつかり合うのか、と。『ホン(台本)で感じ、読んで感じ、演じて感じ』…大変だなと思いますね」
いよいよ13日(土)から公演が始まる。TOKIOの他のメンバーは舞台を観に来てくれるのか?と聞かれると「忙しいんじゃないですかね? 一人はバタバタしていますし、一人は帯(番組)やっていますし、一人は死んでいるのか起きているのかわかりませんし…誰とは言いませんけどね」と口にする松岡。その言葉に該当メンバーの顔を想像したマスコミから思わず笑い声が。「舞台をやっているのがほぼ自分だけなので、メンバーが観にきてくれると、『舞台っておもしろいね』と言われることもあるんです」
そして、40歳1本目となる舞台で演じるにあたり、「身体にはくるんです。そんなに動いている芝居じゃないんですが、節々にくるんです。怒鳴っている、力んでいるとかで。この芝居は節々にきます。これから観る方もぜひ節々には気を付けていただきたい」ここまで随所に笑いを入れてきた松岡だったが、最後はマジメに「自分が経験したことのない扉を開けたいと思い台本をいただき参加した。毎日勉強になっているので、もしよかったら劇場に足をお運びいただき、芝居を観に来ていただければ」とシメていた。
取材・文・撮影:こむらさき
※未就学児入場不可
※営利目的の転売禁止
※車イスでご来場予定のお客様は、ご購入席番号を公演前日までにパルコステージ宛にご連絡ください。
■一般のお問合せ:パルコステージ
03-3477-5858(月~土 11:00~19:00/日・祝 11:00~15:00
【兵庫公演】
阪急西宮北口駅南改札口より連絡デッキで直結/JR西宮駅徒歩15分(阪急バス7分)
※未就学児はご入場いただけません。
0798-68-0255(10:00~17:00月曜休・祝日の場合翌日)
■公式サイト:http://www.parco-play.com/web/program/danny/