シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』市川染五郎&猿之助の自由すぎる初日舞台挨拶

2017.6.5
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(左から)杉原邦生、市川弘太郎、市川猿之助、市川染五郎、浜本正機 シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛<やじきた>』 ©松竹


6月3日、全国の映画館で上映中のシネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛<やじきた>』が、東京・東劇で初日舞台挨拶を開催。歌舞伎俳優の市川染五郎、市川猿之助、監督の浜本正機、構成の杉原邦生が登壇した。

シネマ歌舞伎の魅力とは

2016年に歌舞伎座で上演された「八月納涼歌舞伎」『東海道中膝栗毛』は、十辺舎一九による、やじさんときたさんのお伊勢参りまでの珍道中を原作にしている。歌舞伎なのにラップが入り、お伊勢参りなのにラスベガスのシーンも登場。奇想天外な物語とド派手な演出が話題となり連日大盛況となった。その時の公演を、シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛<やじきた>』として全国の映画館で楽しむことができる。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 ©松竹

シネマ歌舞伎の監督を務めた浜本によれば、2日間に渡り撮影は行われ、各日11~12台、述べ20台以上のカメラで映像を収めたという。また、上演中の歌舞伎座の舞台の上にカメラをのせたのは今回が初めてのことなのだそう。実際に、映画本編では歌舞伎座の席からは見られない距離感や、舞台上の役者よりもさらに深い位置から見上げるようなショットを楽しむことができ、これらの点で、従来の劇場中継とは一線を画していた。

高麗屋&澤瀉屋のエースがラップを披露

初日舞台挨拶には、弥次さん(染五郎)×喜多さん(猿之助)のラップが話題となったPR動画「Cinema Kabuki "YJKT"」をBGMに、観客席の後方通路から染五郎が、中央通路から猿之助が登場。会場を埋めた400人のファンは、大きな拍手と歓声で迎えた。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 ©松竹

猿之助は冒頭のあいさつで「<やじきた>で…、えーと、どっちだっけ…。あ!喜多八を演じました!市川猿之助です」と会場を和ませる。続く弥次郎兵衛を演じた染五郎は、「歌舞伎もするラッパー、市川染五郎です」と挨拶。さらに「目指せピコ太郎です。仕事の合間や、トイレに入った時や出た時、席についた時など1日80回くらいこの動画にアクセスしてほしい。見なくてもいいからアクセスして!」と猛アピールし会場を笑わせた。

【松竹チャンネル公式PR動画】「Cinema Kabuki "YJKT"」

 

八月納涼歌舞伎

染五郎によると、『東海道中膝栗毛』は、かねてより猿之助と温めていた演目だったという。

「納涼歌舞伎に出るのは久しぶりでございましたので、(納涼歌舞伎に出ると)決断するには時間がかかりました。しかし、出ると決まれば以前から猿之助君と話していた『東海道五十三次』をやるのは、今しかないんじゃないか?と。ようやく実現したので、本当にうれしかった」

本作の見どころのひとつとして、ドリフターズに許可を得て、ドリフのコントをそのまま再現した大仕掛けがある。そのシーンに関して話が及ぶと、「ドリフに育てられた世代」を自称する染五郎は「カトちゃんが観にこられたんです! 桟敷席にいらしていると聞き、こちらからお席まで会いに行きました。加藤さんは、よくぞやってくれた!と言ってくださいました」と嬉々としてコメントした。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 市川染五郎 ©松竹

猿之助は「『東海道中』は、ひいおじいさん(初代・猿翁)が毎年歌舞伎座で上演し、好評をいただいていたシリーズです。いつかはぜひと考えていましたが、ひとりではできない芝居なので、誰かお相手はいないかと思っていたところ、ここぞというタイミングで(染五郎とやることができた)」と語る。稽古期間が極めて短かった(他の演目も含めて1週間!)にも関わらず、滞りなく仕上げられたのは旧知の仲である染五郎との「コンビネーションがあってこそ」と振り返る。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 市川猿之助 ©松竹

シネマ歌舞伎の条件とは

シネマ歌舞伎という試みについて、猿之助は「舞台は舞台で観ればいいんです。映画にする必要があるのかと、僕らはそういう考えの持ち主なので、映画でないとみられないものになるならやりますと言いました。浜本監督は、見事にそれに応えてくれました。映画のレンズでなければ観られない角度から撮っていただけました」と満足げな表情。

染五郎も「シネマ歌舞伎の上映にあたっては、舞台よりも面白い映画になっていることを条件にしています。この作品も、舞台よりも面白くなっています。シネマ歌舞伎と言う新しいジャンルをお楽しみください」と語った。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 猿之助と染五郎 ©松竹

構成の杉原は「ひとつアイデアを出すと、2人がどんどん次のアイデアを出し、膨らませていってくれた。楽しい現場だった。舞台以上にテンポの良い映画になっている。90分はあっという間に感じられるはず」と語る。監督の浜本は「映画でなければ見られないアングル、映画だからこそ聞こえる音を楽しんでいただけるよう苦心して作りました。最後まで映画として楽しんでいただければ」とコメントした。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 杉原邦生 ©松竹

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 浜本正機 ©松竹

この日、猿之助は映画『花いくさ』(主演・野村萬斎)の舞台挨拶もこなしていた。それを絡め、他社の映画であるにも関わらずタイトルの入ったウチワを客席に配ったり、そのウチワでアキラ100%の真似をしたりと、隙あらば作品をPR。染五郎も「ここでやっちゃダメ!」と叱りつつ、笑いをこらえきれない様子だった。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 ©松竹

今年の夏も歌舞伎座でYJKT!

歌舞伎俳優のホーム・松竹株式会社による、シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛<やじきた>』の舞台挨拶だからこそ許される自由すぎるジョークで司会を務める市川弘太郎を翻弄する猿之助だったが、最後はきっちりシネマ歌舞伎と八月納涼歌舞伎を紹介。「今年の8月には『東海道中膝栗毛』のパート2が歌舞伎座の舞台で上演されます。このシネマ歌舞伎を最低3回は観ていないと分からないように、パート2の舞台を作ります(笑)」

染五郎は「今年の八月納涼歌舞伎も、暑い時間に始まり暑い間に終わる第二部に『東海道中膝栗毛』のパート2を上演します。(足が遠のきがちな)八月の歌舞伎座の第二部を、お客様でいっぱいにするつもりでがんばります」と締めくくった。

超一流の人気歌舞伎役者による、本気のどたばたコントと、笑いの合間に魅せる本物の様式美を楽しめる『東海道中膝栗毛<やじきた>』。八月納涼歌舞伎の予習もかねて、まずはシネマ歌舞伎をチェックしてみてほしい。

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 ©松竹

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』舞台挨拶 ©松竹

イベント情報

シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』
■監督:浜本正機
■撮影監督:鈴木達夫
■サウンドデザイン:瀬川徹夫
■音楽:富貴晴美

■原作:十返舎一九
■構成:杉原邦生
■脚本:戸部和久
■脚本・演出:市川猿之助
■配役:
弥次郎兵衛:市川 染五郎
喜多八:市川 猿之助
盗賊白井髭左衛門:市川 右近
天照大神:市川 笑也
十六夜:中村 壱太郎
茶屋女お稲実は女盗賊三ツ大お新:坂東 新悟
五日月屋番頭藤六:大谷 廣太郎
信夫の若君 伊月梵太郎:松本 金太郎
供侍 伍代政之助:市川 團子
読売屋文春:市川 弘太郎
老船頭寿吉:市川 寿猿
大家七郎兵衛:松本 錦吾
役者/女札親師毬夜:市川 春猿
石油王夫人麗紅花:市川 笑三郎
役者/用人山田重右衛門:市川 猿弥
闇金利太郎:片岡 亀蔵
アラブの石油王亜刺比亜太:市川 門之助
五日月屋女房お綺羅:市川 高麗蔵
大家女房お米:坂東 竹三郎
(※出演者名は上演当時の表記)

■上映会場:
北海道    札幌シネマフロンティア 011-209-5400 2017年6月 3日(土)~
岩手    フォーラム盛岡 019-622-4770 2017年6月 3日(土)~
青森    フォーラム八戸 0178-38-0035 2017年6月 3日(土)~
宮城    MOVIX仙台 022-304-3700    2017年6月 3日(土)~
宮城    MOVIX利府 022-767-7400    2017年6月 3日(土)~
山形    フォーラム山形 023-632-3220 2017年6月 3日(土)~
山形    鶴岡まちなかキネマ 0235-35-1228 2017年6月 3日(土)~
福島    フォーラム福島 024-533-1717 2017年6月 3日(土)~
東京    東劇 03-3541-2711 2017年6月 3日(土)~
東京    MOVIX亀有 050-6861-0135 2017年6月 3日(土)~
東京    MOVIX昭島 050-6861-0325 2017年6月 3日(土)~
東京    109シネマズ二子玉川 0570-077-109 2017年6月 3日(土)~
神奈川    横浜ブルク13 045-222-6222 2017年6月 3日(土)~
神奈川    川崎チネチッタ 044-223-3190 2017年6月 3日(土)~
神奈川    MOVIX橋本 042-700-3100    2017年6月 3日(土)~    
神奈川    109シネマズ湘南 0570-016-109 2017年6月 3日(土)~
千葉    MOVIX柏の葉 04-7135-6900 2017年6月 3日(土)~
千葉    京成ローザ10 043-225-6355 2017年6月 3日(土)~
千葉    シネマイクスピアリ 047-305-3855 2017年6月 3日(土)~
埼玉    MOVIXさいたま 048-600-6300 2017年6月 3日(土)~
埼玉    MOVIX三郷 050​-6861​-​4255 2017年6月 3日(土)~
埼玉    MOVIX川口 050​-6861​-​5410 2017年6月 3日(土)~
埼玉    109シネマズ菖蒲 0570-040-109 2017年6月 3日(土)~
茨城    MOVIXつくば 029-868-7200 2017年6月 3日(土)~
栃木    MOVIX宇都宮 028-657-6200 2017年6月 3日(土)~
栃木    109シネマズ佐野 0570-019-109    2017年6月 3日(土)~
群馬    MOVIX伊勢崎 0270-30-1700 2017年6月 3日(土)~
新潟    イオンシネマ新潟南 025-385-8787 2017年6月 3日(土)~
長野    アイシティシネマ 0263-97-3892 2017年6月 3日(土)~
静岡    MOVIX清水 054-355-1400    2017年6月 3日(土)~
静岡    TOHOシネマズ浜松 050-6868-5011    2017年6月 3日(土)~
愛知    ミッドランドスクエアシネマ 052-527-8808    2017年6月 3日(土)~
愛知    MOVIX三好 0561-33-3400    2017年6月 3日(土)~
愛知    ミッドランドシネマ名古屋空港 0568-39-3911 2017年6月 3日(土)~
石川    イオンシネマ御経塚 076-269-0740    2017年6月 3日(土)~
三重    109シネマズ四日市 0570-051-109 2017年6月 3日(土)~
大阪    大阪ステーションシティシネマ 06-6346-3215    2017年6月 3日(土)~
大阪    なんばパークスシネマ 06-6643-3215 2017年6月 3日(土)~
大阪    MOVIX堺 072-226-4800    2017年6月 3日(土)~
大阪    MOVIX八尾 072-995-7200    2017年6月 3日(土)~
大阪    109シネマズ箕面0570-001-109 2017年6月 3日(土)~
兵庫    神戸国際松竹 078-230-3580 2017年6月 3日(土)~
兵庫    MOVIXあまがさき 06-4960-7500 2017年6月 3日(土)~
京都    MOVIX京都 075-254-3215    2017年6月 3日(土)~
奈良    シネマサンシャイン大和郡山 0743-58-5111    2017年6月 3日(土)~
岡山    MOVIX倉敷 086-430-3600    2017年6月 3日(土)~
広島    八丁座 082-546-1158 2017年6月 3日(土)~
鳥取    MOVIX日吉津 0859-37-1800 2017年6月 3日(土)~
島根    T・ジョイ出雲 0853-24-6000 2017年6月 3日(土)~
山口    MOVIX周南 0833-45-2600    2017年6月 3日(土)~
愛媛    シネマサンシャイン大街道 089-986-6633 2017年6月 3日(土)~
香川    イオンシネマ宇多津 0877-49-8450    2017年6月 3日(土)~
福岡    福岡中洲大洋 092-291-4058 2017年6月 3日(土)~
福岡    T・ジョイリバーウォーク北九州 093-573-1566 2017年6月 3日(土)~
熊本    熊本Denkikan 096-352-2121 2017年6月 3日(土)~
鹿児島    鹿児島ミッテ10 099-812-6662 2017年6月 3日(土)~

■公式サイト:http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/34


 

八月納涼歌舞伎

■会場:歌舞伎座
■日程:平成29年8月9日(水)~27日(日)
第一部 午前11時~
第二部 午後2時15分~
第三部 午後6時30分~
【貸切】10日(木)第三部 ※幕見席は営業
発売予定:7月12日(水)
■公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/534
  • イープラス
  • 松本幸四郎
  • シネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛〈やじきた〉』市川染五郎&猿之助の自由すぎる初日舞台挨拶