【今日の編集部】ゲット・ラッキー
そろそろ「帰宅」の二文字が頭をよぎらないでもない午後7時。
加東さんがやってきた。
「風間くん、ジャンケンしよう」
そう。この【今日の編集部】コラムを書く人を決めるジャンケンである。ふと見渡すと今日は珍しく、僕ら以外にもほとんどの編集部員がオフィスにいる。
「せっかくだから全員でやりましょう」
そう僕は言った。決して書きたくないわけじゃない。でも毎日いろいろな人が書いた方が、このコーナーにもバリエーションが生まれて良いじゃないか。もう一度言う。決して書きたくないわけじゃないんだ。だから、僕はこう提案した。
「勝った人が書きましょう」
明らかに書きたくなさそうなメンバーの顔も見えたが、本来編集部を代表して好き勝手コラムを書くというのは名誉なこと。勝者にこそふさわしい、というようなことを僕は言った。
そうして始まったじゃんけん。何度かのあいこの後、勝負は一瞬で付いた。
「ジャーンケーン……」
「ホイ!!」
念のためルールを再確認すると、今日は勝った人がコラムを書くのである。そして僕が今これを書いているということは、渾身のグーを繰り出しているのが僕ということ。ちなみに、誇張、ねつ造はしていない。
一撃で全員をなぎ倒したのだ。僕のグーは。
うーん、なんというラッキー(白目)。
「やっぱ書くのが好きなんだな」「さすが」
口々にそう祝福され、今日も元気に書いている。
……なんで「勝った人が」とか言ったんだろうと悔やみながら。
[風間]