虹の国・南アフリカの希望のハーモニー「ドラケンスバーグ少年合唱団」が来日ツアー

ほがらかな歌声、天性のリズム感、心身まるごとのパフォーマンスで聴衆を魅了する「ドラケンスバーグ少年合唱団」が7月4日～8月10日　来日公演する。聖歌やクラシック、ミュージカルソング、ポップス、アフリカ音楽など、幅広いレパートリーを持ち、曲に応じて手拍子で盛り上げたり、太鼓をたたいたり､ノリノリのダンスも得意だ。

彼らは、南アフリカ共和国の東南部に連なるドラケンスバーグ山脈地帯の中部にある音楽学校「ドラケンスバーグ少年合唱学校」の生徒たち。全寮制で、10歳から15歳まで約100人が在籍し、合唱を専門的に身につけつつ一般科目も学んでいる。

毎週水曜日の校内コンサートの他に、国内そして英米仏豪など海外を含め年間約40回もの公演をこなしている。変声期を迎えた少年たちはテノールやバスで歌う。バリエーション豊かで厚みのあるハーモニーが魅力だ。日本でも公演のたびに人気が高まり、今や「ドラキーズ」とか「ドラケン」などの愛称で呼ぶファンがいるほど。

南アフリカ共和国は、複数のアフリカ先住民、オランダ系、イギリス系、アジア系など多人種からなり「虹の国」と呼ばれる。反アパルトヘイトの闘士だったネルソン・マンデラ（1918～2013）が、1994年に大統領に就任したとき、多民族が融和する希望の国にという願いを込めて掲げた言葉だ。

合唱団にも理念が息づいていて、国内選抜のアフリカ人だけでなくヨーロッパやアジアなど世界各地の試験で受かった団員も少なからずいて、人種や国籍を超えて学び合い、感動のステージを作り上げる。2015年のオーディションでは、募集30人に対し1600人の応募があったというから、かなり狭き門だ。

そんな少年たちが、澄んだ「ワン・ヴォイス」で聖歌やクラシックを歌うにとどまらず、アフリカの民族楽器を演奏したり、両足の長靴で床を踏み鳴らしながら「ガムブーツダンス」を歌い踊るなど、南アフリカの歴史や民族文化の多様性がストレートに伝わる音楽も舞台いっばいに繰り広げるさまは、一般的な「少年合唱団」のステージを超越している。「ガムブーツダンス」は、炭鉱の黒人労働者たちの意思疎通が起源ときくが、疲れを知らない彼らと客席のテンションが一体化して、まさに融和の境地が訪れる。

学校創立50年の節目に当たる今回は35人編成での公演予定。南アフリカといわれても大自然やサッカーくらいしか思い浮かばない日本人がまだ多数派だが、まるでオペラの民衆合唱のように個々の声が生き生きと響き合うエネルギッシュな「希望のハーモニー」を、ぜひナマで！