2017年春アニメ振り返り&夏アニメ注目作語り合い! 編集部座談会をお届け

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2017.7.10
TVアニメ「賭ケグルイ」公式サイトより ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

TVアニメ「賭ケグルイ」公式サイトより ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「賭ケグルイ」製作委員会

バラエティ豊かな春アニメが終りを迎え、どれを見れば良いのか迷ってしまうほどに粒ぞろいな夏アニメの時期がやってきた。季節の変わり目と言えばSPICE編集部座談会、ということで今回もアニメライター4名が集って喧々諤々のトークを展開したので、その模様をお届けしていこう。

●各ライターの春アニメ個人的推しは?

鶴岡:春期は全体的に『エロマンガ先生』が覇権を取った感じしますが、皆様の覇権は何だったでしょうか? 
岡本:ごめんなさい私今期話せるものがすくないのですが……『正解するカド』には興奮しました。
taichi:『ID-0』が好きでした。SFの作品では今期一番良かったです。
加東:『ID-0』はホントよかったよねえ…
鶴岡:『ID-0』は独特の表現とSF要素が絡み合って注目してました。『正解するカド』は、『シン・ゴジラ』感ありましたね。
岡本:そうそう、本当にそう思っていました

taichi:『正解するカド』、前半と後半で結構印象変わりました。
加東:カドは正直、最後肩透かしだったのが本音ですね。
鶴岡:カドのラストわかります、肩透かし感あった。
岡本:わたしも思っていました、なぜなのか議論したかったです。
加東:そこからいきますか?
taichi:ヤハクィザシュニナの愛が重くて、人間らしくなったなぁと。あれはあれで好きですけどね。
鶴岡:あー、そういう視点。なるほど。
岡本:ほう……! 確かに、ザシュニナの寺島拓篤さんの演技も変わっていった気がしました、前半と後半で。
加東:まあザシュニナが真道の影響を受けて人間に近づいていった、ってのはいいと思うんですけど、やっぱり前半で感じた「異形に対して人類はどう立ち向かうのか」ってのを追求して欲しかったんですよね、僕は。
鶴岡:異方技術が何でもあり感しか無いのに、真道がアウトしたまま終わっちゃったり、どこにフォーカスを当てたかったのかがちょっと微妙だったかなと。
加東:端的にワムに対して国際社会の恐れと脅し、それに対する日本政府の対応の落とし所の綺麗さに俺らは「おおっ!」と思ったわけで、そのまま行って欲しかったよね……。
taichi:変身ヒロインになってから趣が変わってきたなぁ…確かに東映ではあるんだけど
岡本:結局対立構造になるなら、なんかバトルに振り切ってほしかったですね、逆に。
taichi:ワムを紙で作れちゃったところすごい好きでした。
鶴岡:そのあたりは凄い興奮しましたね!
加東:ワムの処理とかその辺は最高によかったね
岡本:ワムほしい、あと寝なくていいやつ。
鶴岡:仕事に活用しようと考えてるあたりの国民性よ……。
岡本:個人的にはヤハクイザシュニナには、圧倒的な謎生物感を保ってほしかったんですけれども。
鶴岡:もろもろ込みで惜しかった気はしますね。でも皆好きだった作品でしたね。

宇宙物として頭抜けていた『ID-0』は?

鶴岡:これまた注目作だった『ID-0』に移行しましょう。

岡本:『ID-0』おなしゃす! 教えてください!
taichi:マインドトランスといって、マシンに精神を移し替える技術が発達した世界の話で、マシンに精神を移しておけば、死ぬような目にあっても問題ないといった世界観があって、危険な宇宙資源採掘とかを行なう採掘業者がメインとなって話が進むんですけど、訳あってほとんどのメンバーが元の体を失って、マシンの体のまま過ごしてるんです。
その中でも重要人物であるイドは記憶も失っていて、自分を識別できるもの、IDがなにもない。
岡本:ほうほう
taichi:人間は精神と器のどちらをもって人間と呼べるのか、人はなにをもって個人と認識されるのか、そんな問いを投げかけるような物語でした。
鶴岡:taichiさん、すばらしいまとめです!
岡本:とても哲学的だ……。
taichi:なんか色々考えさせられるんですけど、やっぱり子安さんが凄い!!
岡本:ほ~~~その心は??
taichi:凄い良い役です! 熱演でした……。
岡本:それだけでも見る価値ありってかんじですかね・
鶴岡:敵っぽいポジションなんですけど、主人公の友人として立ちふさがる役でありながら、イドに愛情を持っている。そんな心の機微を美しく描いた演技でした。
加東:あと、アニソンDJも嗜む身としては、主題歌が素晴らしかった。
鶴岡:曲良かったですねえ。

taichi:オシャレかっこ良いですよね!
鶴岡:『ID-0』は独特の映像表現とSF要素が絡み合って新機軸の作品でしたね。個人的には最終話のソーラン節にやられちゃいましたね。全部持ってかれました。
加東:うん(笑)。
岡本:これ何が起きてるんですか、wikiみてて不思議だったんですが(笑)。
taichi:戦闘じゃなくて炭鉱夫が作業してるだけだからソーラン節って聞いて、なるほどなーと。
鶴岡:ソーラン節はニシン漁の歌なのに! 炭坑節じゃない! とか思いました(笑)。
taichi:はーどっこいしょー!
岡本:それわらっちゃうなあ(笑)。
 

見落としてませんか? こんな作品も

 

鶴岡:ちなみに鶴岡の推しは『リトルウィッチアカデミア』なんですけれども! すごい夢とロマンが詰まった話でした。

岡本:おおおお。
鶴岡:トリガーらしさが詰まった作品といいますか、魔女をテーマにしつつ、科学もアンチテーゼにしていたり、青春と友情と成長がくまなく描かれていたり、もう語り尽くせぬほど魅力的でした!
taichi:まだ未見ですが凄い気になってます…
加東:いい作品でしたね。
鶴岡:深夜帯じゃなくて、夕方とかに女子向けで放送してほしい……そんな作品です。
加東:残念ですけど、今夕方アニメって視聴率取れませんからねえ……。
鶴岡:わかる……でも、「信じることがあなたの魔法」……信じてます……。ぜひBDとか配信で見てほしいです!
岡本:み、みます!!!
taichi:見ます!
鶴岡:本命に入る前に、先に加東さんのオススメ聞きたいな。
加東:『Re:CREATORS』の話がしたいんですけど、あれは二期あるので一旦置いて話しますね。
鶴岡:『Re:CREATORS』は2クール目見ないと評価できないっすねえ。
taichi:二期もの結構ありますよね、『サクラクエスト』も。
鶴岡:『サクラ』も2期目見ないと判断できない……今のままだと……。
加東:まず真面目に選ぶなら、『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』・『冴えない彼女の育てかた♭』・『アリスと蔵六』になります。
鶴岡:オススメしてもらったやつは皆良かったですねえ。『冴えカノ♭』の安定感、『アリス』の桜美かつし監督の少女モノの旨さとか。
岡本:贔屓目ですが、『グランブルーファンタジー』はよかった。
加東:『グラブル』は良かったんだけど、アニメの完成度としたらやっぱり『バハムート』はぶち抜けてましたね、地味だったけど。それで、ネタ枠なら『SIN 七つの大罪』『僧侶と交わる色欲の夜に』。
taichi:僧侶きたー!
鶴岡:僧侶は地上波班だったので全くわからないまま進んだ記憶が(笑)。
加東:『アリスと蔵六』も本当に良かった、次点的に『月がきれい』かな。
岡本:『月がきれい』は見逃して後悔している1作です。
鶴岡:『月がきれい』はイライラしないで見られる恋愛物として推したい。
岡本:イライラしないで(笑)。
加東:立ちはだかる難関が「受験」とか、リアルなんですよね。
岡本:くううう。
taichi:青いなぁ……。
加東:なんかノスタルジー持ちながら応援したくなる一作。
鶴岡:初恋が最後まで結ばれるし、そこまでの葛藤も主人公たちの等身大で美しかった。
加東:丁寧な作品でしたね~
鶴岡:でしたねえ。
岡本:主役の千葉翔也氏も自分の青春時代を思い出しながら演技していましたと語っていました。
加東:なんか、ここから少し偏見も含めた意見言ってもいいですかね。
鶴岡:どうぞどうぞ。
加東:今期、埋もれた良作結構あるんですよ。『ゼロから始める魔法の書』『ソード・オラトリア』『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』とか。
鶴岡:あ、見事に埋もれてるタイトルですね。
taichi:『すかすか』大好きですよ!
加東:でも、世界観が「異世界ファンタジー」だからどうしても一緒くたになっちゃうし、勿体無い。
鶴岡:もう少し散らばっててもいいだろうに。
加東:ぶっちゃけ『バハムート』も埋もれ気味なわけで、そうなると……。
岡本:重なるのはもうどうしようもないんでしょうねえ。
taichi:もったいないですよね、隠れてしまうのは。
加東:今期ファンタジーアニメとしてはパブリックがラウドだった『グラブル』になっちゃうんですよね。重なるのは仕方ないとは言え、やっぱり飽和してるし、正直視聴する僕達も見きれない。なんかこう……うまくいかないですかね? っていう答えのない話なんですけれども。
鶴岡:なるほど。埋もれてしまったものも、つまらないから埋もれたわけではないんですよね。全部追ってましたけど、ただ特色とか刺さりかたで生き残るかどうか決まってしまうのはつらいですね。

今期の覇者だった『エロマンガ先生』は何故評価されたのか

鶴岡:では今期一番人気だった『エロマンガ先生』の話行きましょうか。

加東:まあ……よかったですよね……ものすごく……(笑)。
岡本:女子からみても「かわええ」てなりました。
taichi:かわいいですよねー!
加東:『俺妹(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)』が好きで『エロマンガ先生』嫌いな人いないでしょ!
鶴岡:いないと思いますよ(笑) ゲストでちょいちょい『俺妹』のキャラが出たりとか、あざとかった。ファンサービス含めて、満点の作品だと思いましたけど、原作読んでる組としてはもっと大事に話を使っても良いのになって思いました。二期しばらくなさそう。
加東:そうですね、結構思い切り良かった。
taichi:ストック消化しきれない作品が多い中めずらしいですね。
鶴岡:大胆に使いましたよね。
岡本:なんか狙いがあるんですかね?
加東:その辺も含めて、僕は良かったですけどね。
岡本:ヒロインがカワイイだけじゃなくて、魅力がありますよね。
鶴岡:だってメインヒロインは血がつながってないし、稼いでくれるし、依存してくれるし、理想的なヒロインですよ?
岡本:「血がつながってないし、稼いでくれるし、依存してくれるし、理想的なヒロイン」てすごいですね(笑)。
鶴岡:いや全ヒロイン、主人公を食わせるだけのスキルが有るんですよ……。どれを選んでもアタリ。
岡本:それはつよいですね。
taichi:理想郷か。
鶴岡:そして全員、主人公のことをもれなく好き(笑)。
加東:それでもなんか腹がたたないのは、キャラデザ・演出・主題歌含むあの世界観のお陰だと思うんですよね。
鶴岡:加東さんの仰る通り、その中で妹を選ぶ理由もちゃんと描かれてるんですけども。
加東:でももうなんというか、『俺妹』なんですよね、あれ。『俺妹』見ればいいじゃん!って気持ちにもなるけど、それでも良かったって思うのは、『交響詩篇エウレカセブン』に対する『エウレカAO』にはならなかった、っていうのが僕の中で『エロマンガ先生』の評価です。
鶴岡:あー! わかる! ちゃんと自分の足で立ててる『AO』だ!
加東:そう、ちゃんと自分の足で立ててる。決して『AO』を批判しているわけではないのは分かって欲しいんですけど、『AO』は僕の中でもっと独立してほしかったんです。
taichi:前作が大きすぎると思うところが出てきますよね、自分だと『アクエリオン』でした。
鶴岡:『アクエリオン』に対する『アクエリオンロゴス』とかですかね。結局、見事に前作からの期待に応えた『エロマンガ先生』偉い、という感じですかね。
加東:というか、『俺妹アナザー』ではなくて、ちゃんと『エロマンガ先生』だったんですよ、枠組みはもう俺妹なのに、単体で立とうとしていた。『エウレカ』も『アクエリオン』も初代を見ないと腑に落ちない部分があるんですけど、『エロマンガ先生』から入って『俺妹』に入っても何の問題もない、それがいいんです。まあ続編というわけではないから当たり前なんですけどね。

 

夏アニメの期待作は?

鶴岡:さてもう放送も始まってますけど、期待の作品はありますか。
taichi:まだ見れてなくてチェック中ですが……『異世界食堂』が気になってます。

加東:『異世界食堂』僕も気になる。
鶴岡:見ましたけど、すごいまったりしてる。あとメシテロってほどではないので安全。人情噺が中心ぽいので、今後に期待ですね。
加東:注目作としてあがるのは事前からの期待通り『活撃 刀剣乱舞』と『Fate/Apocrypha』がやっぱり強いかな。特に『活劇』は凄いですね。

鶴岡:『刀剣乱舞』と『Fate』見ていますが、今のところ良い感じの滑り出しですね。
taichi:『刀剣』期待してます!
岡本:私は『刀剣乱舞』『ボールルームへようこそ』、あと『DIVE』もみます多分。


鶴岡:『ボールルーム』『DIVE』はどちらも面白いですが、僕は個人的に『ボールルーム』がスタイリッシュでオススメですね。あとは『恋と嘘』、『賭ケグルイ』ですかね、いまのところ。


岡本:『恋と嘘』、胸が苦しくなった……。
加東:『賭ケグルイ』は原作が良いですよね、原作の良さで言うと『将国のアルタイル』も面白いですよ、内容どこまでやるんだろう?あと気になるのは『セントールの悩み』と……。


鶴岡:『THE REFLECTION』ですかね。
加東:でたー!僕もそれですね!
鶴岡:スタン・リー原作でキャラデザが『ハートキャッチプリキュア!』などを担当した馬越嘉彦さんという、特盛り感は要注目ですよね。
岡本:これ私もチェックしてます。


taichi:僕もアメコミ感あって期待してます。あと『悪魔城ドラキュラ ―キャッスルヴァニア―』も見てみたいなと。あとは『新規絶唱シンフォギアAXZ』かなぁ。


加東:あと個人的に夏のアニメとして気になってるのは『クリオネの灯り』ですね。夏はやっぱり切ない系アニメ見たいんですよ(笑)。


岡本:あはは!(笑)
鶴岡:エモい夏希望?
岡本:わたしはアツい夏希望です!
加東:後は、夏アニメって枠で良いのかわからんけど、劇場版『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』は期待大ですね。予告だけで泣きそうになった……。


鶴岡:あー、期待しちゃいますよね『エウレカ』。
加東:アツいもエモいもありますが、熱波になりそうなのでそれを忘れさせてくれるような作品を期待したいですね、前半の熱量が最期まで続く作品を待ってます!
 

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