関西発の演劇男子集団「劇団Patch」4期生が誕生!

2015.9.17
レポート
舞台

4期生として合格した4名の後輩らを囲むPatchメンバーたち

最終公開オーディショングランプリは16歳、田中亨!

グランプリを受賞した高校2年生の田中亨

「演劇で関西を元気に!!」を合言葉に、舞台、映画、ドラマにと活躍の幅を広げる、関西発の演劇男子集団「劇団Patch」。城田優、瀬戸康史らを輩出するワタナベエンターテインメントの俳優集団D-BOYSの弟分でもある彼らが12日、大阪ABCホールにて4期生を決定する最終公開オーディション「アホでも必死になったらええねん!」を開催。会場には約1000人の応募者の中から予選を通過した22名が集結し、約3時間の激闘の末に大阪府在住の高校2年生、田中亨(たなか・とおる)がグランプリに輝いた。ニキビ肌も初々しい、キラキラの16歳だ。
 

さらに、準グランプリの納谷健(20)、キャラ得部門の尾形大悟(18)、同じくキャラ得部門の藤戸祐飛(213名もそれぞれ栄冠を勝ち取った。

司会はPatch1期生の松井勇歩、杞山星璃。ワタナベエンターテインメント代表取締役社長・渡辺ミキをはじめ、ABC朝日放送ほか各テレビ局の番組プロデューサー、雑誌編集長、劇作家ら10名が審査員を務めた。

今年で4回目を迎えた公開オーディション。今回は初めて『キャラ得』部門が新設され、グランプリ受賞者には(いきなり!)ABC朝日放送ドラマ出演デビューが約束されるなど、「なにわ史上最強のオーディション」を謳い、最終候補者にも実力派が勢ぞろいした。結果、急きょ新たな賞が設けられるなど、蓋を開ければ2名の合格枠を4名に拡大するという予想外の展開に! 大混戦かつ充実のオーディション当日をレポートする。

定刻になると松井&杞山の軽妙なトークで幕が開いた。まずは審査内容の説明に加え、劇団紹介にも余念のないふたり。

松井「どもー!劇団Patchです。僕らは関西在住の男性ばかりの劇団です」

杞山「劇団名は関西弁で、一生懸命の最上級を表す“必死のパッチ!”から来てるんですね」

松井「『関西、グイグイ、劇団』で検索すると、「劇団鹿殺し」を抜いて一番上にヒットする。いま関西で一番勢いのある劇団です! ところで、今回のグランプリ受賞者は、いきなりABCさんでドラマデビューですか!」

杞山「凄いですよね~」

松井「Patchメンバーはいま十数名でやってますが…」

杞山「そこ、なんで曖昧なん!」

松井「や、13名か! その中でABCのドラマ経験者って2名ですよ。今回『俺もオーディション受けよかな…』と真剣に悩むメンバーが何人おったことか!」

杞山「あかんけどね(笑)」

……といった具合に。(多少の脚色はあるものの)息の合ったテンポ良い掛け合いが、場の緊張を心地よくほぐしていく。その後、松井の「出てこいや!」という男気溢れる掛け声を合図に、16~23歳までのファイナリスト22名が雄叫びを上げながらステージに登場、会場を埋め尽くす約300人の一般審査員から拍手と歓声が沸き起こった。

審査項目は1分間の自己アピールと、4チームに分かれての集団演技&ダンス。自己アピールでは、得意の歌やダンス、バトントワリング演技で世界2位の実力を見せつける正統派から、歌まねメドレー、リンゴ片手潰し、コーラ3本連続一気飲み、映画「天空の城ラピュタ」より名場面の再現……などインパクト重視な“飛び道具派”まで。ネタのチョイスはもちろん、舞台での佇まいや審査委員との質疑応答にもそれぞれの個性が垣間見え、改めて粒揃いな面々であることを印象付けた。また、実技審査では例年通り「青春のパッチ―ズ」という台本が継承された。日本一のダンスチームを目指す若者たちの衝突と友情を描いた8分の青春ストーリー。約1ヶ月の稽古期間を経て、4チームそれぞれがディレクションしたという作品は、同じ台本とは思えないほど変化に富んでいた。

4チームに分かれ集団での演技審査に挑む候補者たち

 

同じセリフでも自嘲気味に声を荒げる人、涙声で囁く人。異なる役への理解が、声の出し方や態度に現れる。さらに、舞台上での立ち位置や仕草が変わるだけで、こんなにも役への印象や、作品の見え方が変わるのかと、改めて演劇の奥深さにも気づかされた。一般審査員も真剣な候補者らの表情に引き込まれ、集中力を切らさない。実技が終わるたび、熱心にメモを取る人の姿が、そこかしこで見受けられた。 

演技に続くダンスでもチームごとに様々な振付が工夫された

 

劇団Patchの生みの親で、審査員を務めた劇作家の末満健一(ピースピット主宰)から「このまま劇団としてやっていけそう!」と賛辞を受けるチームも出る中、いよいよ審査は最終選考へ。結果を待つ間、現Patchメンバーによる対決企画が催されたが、いつになくメンバーのやる気に火が付いたことは言うまでもない。「アグレッシブさを体現しよう!」とのお題には、客席内を縦横無尽に駆け抜けるメンバーが続出。観客もしばしの“余興”を楽しんだ。

そして、発表の時。「大阪の底力を見せてもらった!」と渡辺社長が急きょ合格枠を増やすことを宣言し、受賞者4名の名前を読み上げると、劇場は歓喜の渦に飲み込まれた。受賞の瞬間、すぐには状況が呑み込めないというように、目をパチクリさせる姿が印象的だった、グランプリ受賞者の田中亨。審査では得意のシャドーボクシングを披露し、今年度中に朝日放送でのドラマデビューの座を勝ち取った。田中について、同局の飯田新プロデューサーは「透明感と清涼感が際立っていた!」と絶賛。ドラマ現場で再会できる日を楽しみにしていると、激励のコメントを贈った。

 準グランプリなどに輝いた3名についても、末満氏が「劇団の可能性を広げてくれる今までにないキャラクターを選んだ。即戦力ばかり!」と太鼓判を押すように、納谷は実技に加え笑いも取れるバランスの良さ、尾形は登場と共に観客の心をつかむファンシーな存在感、藤戸はパワフルな歌唱力とぽっちゃり体系で群を抜いていた。

 結果的に“大豊作”で幕を閉じた4期生の公開オーディション。総勢17名にパワーアップした新生劇団Patchは、12月に森ノ宮ピロティホール初進出となるPatch stage vol.7「幽悲伝」を上演する。勢いに乗る彼らの雄姿をぜひその目で見届けて欲しい。

尚、本作は同一脚本を異なる演出家によって連鎖上演するDステとの合同企画。大阪では11月に先行上演される瀬戸康史主演Dステ17th「夕陽伝」も要チェック!

公演情報
D-BOYS WEST PROJECT “Patch-パッチ-"  Patch stage vol.7「幽悲伝」

【大阪】
期間:2015年12月19日(土)~20日(日)※全3公演
会場:森ノ宮ピロティホール 
作・演出:末満健一(ピースピット)
音楽:南ゆに