吉沢亮×山田裕貴インタビュー 波長の合う二人が『トモダチゲーム 劇場版 FINAL』で見た“役者”としての互いの魅力

2017.9.2
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左から、山田裕貴、吉沢亮 撮影=鈴木久美子

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別冊少年マガジン(講談社)連載中の山口ミコト原作、佐藤友生作画による漫画を実写化した『トモダチゲーム』シリーズ。幼い頃から「金より友達」と母から教えられた主人公・片切友一が、仲の良い友達とともに大金のかかった「トモダチゲーム」と呼ばれる謎のゲームに参加する物語である。そんなシリーズの最新作であり、完結編でもある『トモダチゲーム 劇場版FINAL』が9月2日(土)から公開中だ。

同シリーズの中核となるのが、主人公・片切友一を演じる吉沢亮と、友人であり相棒の美笠天智を演じる山田裕貴である。吉沢は『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』『ママレード・ボーイ』など、山田は『HiGH&LOW』シリーズ、『闇金ドッグス』シリーズ、『亜人』など多数の映画に出演し、どちらも若き演技派俳優として注目を浴びている。初の本格共演にして、「波長が合う」というほど打ち解けあった二人は、『トモダチゲーム』の現場でお互いを役者としてどう見ていたのか。インタビューでざっくばらんに語ってもらった。

 

壁ドン、顎クイの次は“顔舐め”がくる?

左から、山田裕貴、吉沢亮 撮影=鈴木久美子

――ドラマと『トモダチゲーム 劇場版』と比べ、今回の『トモダチゲーム 劇場版FINAL』(以下『劇場版FINAL』)は人間ドラマにシフトしていると思いました。

吉沢:そうですね。シリーズ最後の作品だから、ということもありますけど、「友達とはなんぞや?」と考えるところだったり、それぞれの過去が暴かれていって、どんどん疑心暗鬼に陥っていって友達に救われるところなんかは、『トモダチゲーム』のテーマをよく表すものになっているな、という気がします。前作と全く違っていて、すごく面白いと思いました。

山田:(ドラマと『劇場版』では)ゲーム性がピックアップされた中で、登場人物みんなの騙しあいだったり、葛藤だったりが描かれていました。今回の『劇場版FINAL』は、色んなことが明かされるので、そういう部分をシンプルに観ることが出来ると思います。友一が四部(大倉士門)に「馬鹿野郎!」と言って、友達のために泣けるところなんか、いいですよね。

――前作とのテイストの違いといえば、今回は吉沢さんの説明台詞がすごく減っていました。

吉沢:いや、ホントに(笑)。『劇場版』では、説明台詞がすごく多かったので。

山田:あれはしょうがないんだけど、すごい大変だったよね(笑)。

吉沢亮 撮影=鈴木久美子


――『劇場版 FINAL』ではそのぶん、吉沢さんが“ゲス顔”で感情を表現するシーンが増えています。何か意識したことはありますか?

吉沢:実は、このシリーズは『劇場版FINAL』から撮り始めたので、あまり意識せずに“爆発”させていました。だから、すごく楽しみながらやれたんです。『劇場版FINAL』でおもいっきりやれたので、ドラマ版や『劇場版』のゲス顔は、そこから引き算するイメージで見せています。最終的にここまでいくから、今回はこれくらいに抑える、という感じで。

――だからあんなに振り切っていたんですね。水瀬マリア役の上野優華さんの顔を舐めるシーンとか、かなり思い切ってやってらっしゃるな、と思いました。

吉沢:あのシーンは、一度はやめるかもしれなかったんです。最初、ぼくが変に気を遣っちゃって、「どれくらい舐めればいいのかわからない」って言ったら、監督も「じゃあ、舐めるのはやめようか」とおっしゃって、なくなりそうになった。「それはそれで悔しいな」と思っていたら、上野優華ちゃんは、「えーなくなるんだ」みたいなこと言っていて。彼女は相当度胸がありますね。女性にとっては結構キツイだろうと思っていたんですが、それを聞いて、監督に「やっぱり舐めましょう!」と話して、撮ってもらいました。

――上野さん、なかなか肝が据わった方なんですね。

吉沢:『劇場版FINAL』に関しては、彼女の魅力も見どころのひとつだと思います。上野優華ちゃんはすごいですよ。度胸が半端じゃないです。

山田:あのシーンはよかったよね。壁ドン、顎クイの次は“顔舐め”が来るんじゃないですか(笑)。

山田裕貴 撮影=鈴木久美子


――いや、普通にやったら大変なことになりますよ(笑)。山田さんの演じられた天智は、『劇場版』では騙す側でしたが、今回は友一をすごく信頼しているのが印象的でした。

山田:ぼく(天智)は『劇場版』で友一に負けて、自分のことをさらけ出して、全てを話した。それが悪いことであっても、自分のことを全て知ってくれた相手を信じた結果があれなんです。友一の「トモダチゲームの運営を潰す」という言葉を信じたから……と天智も劇中でも言ってますけど、そこを一番に意識しました。父親の復讐のため、ということもあるんですが、だからこそ友一を絶対に信じ切ろう、と。一度みんなのことを裏切っているのに、そこでもまた信じなかったら、人として終わる。そういうプライドを、(天智は)持っているんです。

――そのやりとりをする洞窟のシーンは、お二人ともすごく寒そうでしたね。息も白かったですし。

吉沢:山の中で、めっちゃくちゃ寒かったです。寒いだけじゃなくて、“マナブハウス”みたいな山荘に、仮設トイレが一つだけしかなかったり(笑)。そんな状況だったので、ぼくらは大丈夫だとしても、女の子は可哀そうだな、と思いました。物理的に過酷な現場だったんです。でも、その過酷さが映画にとっては良かったところもあるよね?

山田:うん。追い込まれた感じで撮影できたというか。洞窟の中も寒かったです。あれは初日に撮ったんですけど、1日半ぐらい食事を摂らずに臨んでいます。そういう悪条件が逆にプラスになって、よりリアリティを持たせられたんじゃないかな、と思います。

左から、吉沢亮、山田裕貴 撮影=鈴木久美子


――あのロケーションを探し出した人はすごいと思いました。

吉沢:監督も、そこにはすごくこだわりを持ってらっしゃいました。

――今回は専業の俳優さんではないYouTuberのシルクロードさんも参加されています。何か刺激を受ける部分はありましたか?

吉沢:シルクロードさんとのシーンは、めちゃくちゃ楽しかったです。シルクロードさんは、殴ったときに睨み返してくる目がすごく良くて。役者だけをやっている人が持つパワーとは、また違う勢いみたいなものを持っていて、すごいと思いました。あの目を観ていると、こっちもどんどん気持ちが昂り、「何だコイツ!」という気持ちになって、テンションが上がってくるんです。楽しさでいうと、あのシーンが一番かもしれないです。

 

吉沢亮、山田裕貴が見た役者としての互いの魅力

左から、山田裕貴、吉沢亮 撮影=鈴木久美子

――現場では吉沢さんが座長で、山田さんが最年長です。誰かが引っ張っていく、みたいなところはあったんでしょうか?

吉沢:引っ張っていくのとは違うかもしれませんが、(山田は)ぼくたちのテンションをつねに保ってくれているところがありました。楽しく、場の空気が悪くならないように。物理的に過酷な現場だったんですけど、みんな明るくて、やる時はやるし、ふざけるときはふざける、みたいな緩急が出来ていました。山田くんとか、士門くんがムードメーカーになっているところは結構ありました。

山田:辛くなってきたかな?っていうときに、ちょっと気を抜けるところがあると、みんなもやりやすいかな、とは考えてます。それは、どの現場でもそうなんですけど。

――山田さんはどの現場でもムードメーカーになるらしいですね。

山田:なぜでしょう……ぼくの地なんですかね(笑)。作品が面白いから、そうなるというのもありますが、「辛かったね。苦しかったね」となるよりも、「山田がいたからちょっと楽しかったね」と思ってもらえれば、とはどの現場でも思います。監督にせよ、スタッフのみなさんにせよ、キャストのみなさんにせよ。

――以前のインタビューで、“友達の作り方”について聞かれたときに、吉沢さんは「話しかけられやすい空気を作る」と、山田さんは「こちらから話かける」という風に答えてらっしゃいました。お二方は対照的な性格なんでしょうか。

吉沢:でも、意外と似ていて波長はすごく合いますよ。確かに性格的なところは違ったりしますけど。ぼくは基本的に、何事も受けの性格なので(笑)。

山田:意外だよね。受けに見えない。

左から、吉沢亮、山田裕貴 撮影=鈴木久美子


――だからこそ相性がいいのかもしれないですね。役者としてれぞれのいいところを教えていただけますか?

吉沢:褒め合いですか(笑)。

山田:でも、それはいつも言ってるよね。

吉沢:山田くんは、作品に対する温度が高いです。現場で色んな役者さんに出会いますけど、山田くんは特に熱が高いな、と思います。現場への想い、作品への想い、この役をどう作るか、っていう熱の入れ方が“役者”という感じなんです。だから、単純に上手いし、役へのアプローチの仕方がクサくなくていいな、と。クサくない、っていう言い方は変かもしれないですけど(笑)。

吉沢亮 撮影=鈴木久美子


山田:でも、それは意識してるかも。結構、重要なシーンでちゃんとした台詞を言う時、クサくなるじゃん? クサくなりそうなラインで、クサくならないようにする、っていうのは、すごく考えてるかもしれない。だから、余計なことをしないっていう。

吉沢:うん。それは大事だよね。

――山田さんから見た吉沢さんの魅力的なところは?

山田:ぼくも単純に上手いな、と思うんです。それこそ、ぼくは最初に見たときから、「この子すごくカッコいいな」と思ったんです。あんまり、普段は思うことはないんですけど、「顔がカッコいいな」と(笑)。雰囲気がカッコいいな、とか、全体的にカッコイイな、というのはよくあるんですけどね。でも、作品を観ていくと、やっぱりお芝居がしっかりしているんです。それは、考えてやってるんでしょうし、そのまま出ている部分もあるでしょうし。そのバランスが、絶妙というか。

――ああ、わかります。

山田:天然でそれをやっているんだったら、本当に天才だと思います。でも、それはきっと考えてたり、全体を読み取って細やかに表現している。爆発的な感情を出すシーンも出来るし、万能ですよね。色んな役が出来るだろうから、もっと、脱力系のクズっぽい役を演じているところも見てみたいです。「もう、何もやりたくない」って言ってる役とか(笑)。色んな可能性があるんだろうな、と思いますね。

山田裕貴 撮影=鈴木久美子


――『トモダチゲーム』シリーズはコミックの実写化作品ですね。吉沢さんには、以前のインタビューで、原作があることの面白さ、難しさをお聞きしました。山田さんは、原作を意識されることはありますか?

山田:原作はもちろん読みますし、設定や、役の背負える部分は背負います。だからこそ、髪型や髪色も変えてみたりして、見た目も変幻自在にできるよう頑張るんですけど。ただ、実写化の醍醐味って、2次元が3次元になることだと思うんです。だから、「人間がやるうえで重要なことは何なのか?」と考える。役は生きていて、すごく流動的なので、原作との間を埋めるのは、演じるぼくでしかない。そこをどう膨らませるか、その中でよりお客さんに役の感情を伝えるにはどうするか、ということに関しては、原作のことは考えないかもしれないです。それよりも、映画の作品内での役割とか、ポジショニングとかを考えるようにします。原作のあのシーンをやりたいとか、あの仕草をやってみたいということはありますけど、基本的には映画の台本が映画になるわけなので。何が一番適しているかは、映画の台本から引き出すことになるので。原作から持ってくれば何でもいいわけではないですけど、持ってきたほうがいい場合もあるので、そのあたりは考えますけど。ただ、原作がすべてと思っているわけではないです。

吉沢:作品自体のテンションにもよります。それこそ、ぼくが参加した『銀魂』は完全に“原作の実写化”という感じだったから、他のキャストの皆さんも原作に寄せていました。そういう風に、原作に寄せざるを得ない雰囲気のものもありますけど、作品によっては、実写化する意味を考えます。リアリティみたいなことを追求する現場だと、ちょっと違いますよね。

――なるほど。『劇場版FINAL』は、吉沢さんがおっしゃった「友達とはなんぞや?」というテーマが強いので、より映画の脚本によった芝居になるのかもしれませんね。設定はぶっとんではいますが、普通の生活をしている人が観て、共感できるところもありそうですね。

吉沢:あるんじゃないですかね。お金で友情がなくなるところまでいくかどうかはわかりませんけど、ぼくはお金にだらしない人は、普通に好きになれないです(笑)。

――なるほど(笑)。

吉沢:でも、それだけじゃなくて、高校生が主人公なので、高校生に響くんじゃないかな、とも思うんです。金額なんかはとんでもないし、ゲームもかなり現実ばなれした設定ですけど、お金に対する感情だったり、やりとりは結構リアルなんです。高校生って、初めてアルバイトをし始めて、自分でお金の管理をちゃんとし始める時期だと思いますし、友達との仲間意識みたいなものも強い時期だったりもする。だから、響くとまではいかないですけど、何か感じてもらえるものがある気がします。学生の方には特に観ていただきたいな、と思います。

左から、山田裕貴、吉沢亮 撮影=鈴木久美子

『トモダチゲーム 劇場版FINAL』は公開中。
劇場版第1弾『トモダチゲーム 劇場版』8月23日(水)ブルーレイ&DVD発売予定。

取材・文=藤本洋輔 撮影=鈴木久美子

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吉沢亮、山田裕貴サイン入り色紙 1名様に

左から、山田裕貴、吉沢亮 撮影=鈴木久美子

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作品情報
映画『トモダチゲーム 劇場版FINAL』

 

監督:永江二朗    
原作:山口ミコト 佐藤友生    
脚本:永江二朗 佐上佳嗣    
出演者:吉沢 亮 内田理央 山田裕貴 大倉士門 根本 凪
上野優華 天月-あまつき-/久保田悠来 ほか

『トモダチゲーム 劇場版』
発売中
【Blu-ray】4,800円+税
【DVD】3,800円+税
Blu-ray&DVD共通特典映像:メイキング映像、舞台挨拶映像、予告編
発売・販売元:キングレコード
作品公式サイト:tomodachi-game.com

(C)山口ミコト・佐藤友生/講談社 (C)2017「トモダチゲーム」製作委員会
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