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屋良朝幸が主演ミュージカル『ドッグファイト』再演を語った~「自分とは正反対のキャラクターを演じる」

2017.9.23
インタビュー
舞台


2015年、屋良朝幸主演で上演されたミュージカル『ドッグファイト』が一部キャストも新たに再演される。2012年にオフ・ブロードウェイで初演。作曲・作詞はベンジ・パセック&ジャスティン・ポール。今年話題をさらった映画『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞主題歌賞を獲得、舞台『ディア・エヴァン・ハンセン』ではトニー賞オリジナル楽曲賞に輝くなど、今もっとも注目を集める新鋭コンビだ。舞台はベトナム戦争出征前夜のアメリカ、サンフランシスコ。エディ・バードレイス(屋良朝幸)はローズ(宮澤エマ)を誘い「ドッグファイト」に参加する。これはパーティーに一番イケてない女の子を連れてきた者が賞金を得るという海兵隊に伝わるゲームだった。主演の屋良朝幸が、大阪公演の合同インタビューで再演への意気込みを語った。

「自分が変われば世界が変わる、”もっとできるはずだよ”というメッセージを伝えたい!」

ーー早くも再演が決まりました。作曲・作詞のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールの活躍も話題ですね。

楽曲はバラエティーに富んでいてキャッチーな分、すごく難しいですね。初演ではみんな本番ギリギリまで「そのキーが出るか、出ないか」の戦いだったので。今回はそこをもっとクリアにしていきたい。初演はベンジ・パセックさん、ジャスティン・ポールさんにも観て頂きました。日本版はダンス要素を増やして、僕たちならではの『ドッグファイト』だったので、「これだけアグレッシブにナンバーを表現してくれているのが嬉しい!」と言って貰えました。オフ・ブロードウェイ公演の映像を観たら、まったく踊っていませんでしたね(笑)。日本版は振付の桜木涼介さんが料理してくれたので。若者のエネルギー溢れるナンバーを日本で表現できたことは、大きな成果だったと思います。

ーー全体を通して印象的な楽曲は?

ローズと歌うナンバー≪ファーストデート/ラストナイト♪≫は心に響きます。ローズ役の宮澤エマさんがすごく歌がお上手なので、僕は引っ張って頂きました。お互い初恋なので初々しさを表現しながら歌うのが難しくもあり、楽しかったです。

2015年公演より 撮影:岸隆子(Studio Elenish)

ーー幕開けを飾る海兵隊のナンバー≪最後の夜♪≫もインパクトがあります。

≪最後の夜♪≫は歌いながら全身を着替えるので大変でした。パンツ一丁になって、「このサビまでにズボンを履いて」とか段取りが決まっているので、すごいシビアな感じなんです。だから全然間に合わなくて、本番でチャック全開な時もありました(笑)。そこのライブ感がまた楽しくて。失敗したらみんなのアドリブで乗り切ったり、毎回ヒヤヒヤしていましたね。

ーー初々しい男女の出会いの一方で、戦争を描いた作品でもありますね。

戦争について映画などで色々と調べましたが、まだまだ勉強不足な部分もあると思います。エディたちもベトナム戦争がどれほど危険なものなのか無知なところがあって。トレーニングはしたけど必要ないぐらい圧倒的にアメリカが有利だし、戦争から帰れば「アメリカのヒーローになれる!」くらいにしか思っていない。でも実際に行ったら全く違っていた。そこがすごく怖いなと…。戦争を知らない若い世代の人たちに観てもらうことで、戦争の重大さを分かって貰えるきっかけになればとも思います。再演ではもう一つ落とし込んだ表現にしたいですね。

ーーエディ・バードレイスは、どういうキャラクターだと?

自信過剰でどこか人を見下すようなところがある。とはいえ21歳と若く、恋愛の経験もない。父親のように戦地へ行き勲章を貰えば地位が守られるぐらいのことしか頭にない。そんな中、ローズと出会い人の温かさを知り、人間として変わっていく。大人になっていく部分があると思います。逆にローズもくだらないゲームに行ったからこそ、「もっと自分も変わらなければ」と思っただろうし。お互いが変わることで、まわりや世界が変わっていくのかなと捉えています。ちなみに、「ドッグファイト」のゲームは兵士から人への思いやりを捨てさせるような目的もあったそうです。そうしないと戦地で戦えないから…。深いなと思いました。

2015年公演より 撮影:岸隆子(Studio Elenish)

ーーエディは言葉使いも”やんちゃ”な感じですね。

エディは僕自身とは正反対のキャラクターなので、初演では自分の中に役を落とし込む作業がすごく大変でした。テレビでは言えないような言葉を使ったり、平気で中指を立てたりする。ただ、役を落とし込んでからは凄く楽しかったですね。自分とはまったく違うので、キャラクターとして演じられるのが面白かった(笑)。

ーーどんなメッセージを届けたいですか。

一言で言えば「もっとできる」。誰にでも自信の持てないことや、何かに躊躇してしまう気持ちはあると思うけど、それはきっと自分の内面を少しでも変えれば、前向きに変わっていける。変わっていくローズに共感できるように、「もっとできるはずだよ」という思いを届けたい。

「エディは自信過剰のリーダータイプ、素顔の僕は甘えたの末っ子気質です(笑)」

ーー『Endless SHOCK』や主演ミュージカル『I LOVE A PIANO』など、再演までの間にも様々な作品でご活躍です。

ブロードウェイを代表するソングライター、アーヴィング・バーリンの楽曲で綴る『I LOVE A PIANO』では約30曲をみんなで歌いました。僕は≪ホワイト・クリスマス♪≫をピアノの弾き語りで歌ったので、毎日が戦いでした。ピアノが特技のひとつに? 全然! だってあの一曲しか弾けないですもん(笑)。ただ、クリスマスの時季には”武器”になるなとは思います(笑)。色んな作品でたくさんの経験をさせて貰えたので、『ドッグファイト』では色々とブラッシュアップしたい。今回は新キャストも加わるので、初演とは違った風が吹いてくれると思います。

ーー海兵隊の仲良しトリオ”スリー・ビーズ”の顔ぶれも、初演の屋良さん、中河内雅貴さんに、再演では矢田悠祐さんが新たに加わります。

ボーランドはすごく男らしい役なので中河内さんにぴったりのキャラクターです。前回に引き続き共演できるのはすごく嬉しい。バーンスタイン役の矢田悠祐さんとは何度か別の作品で共演させて頂いています。すごくお茶目な部分もあるし、個人的に彼の歌や声質が好きなので、歌の戦力としてもすごく頼りにしています。

ーー同じジャニーズ事務所から、海兵隊の仲間として浜中文一さん、末澤誠也さんもご出演です。

誠也とは初演の『ドッグファイト』以来なので、この2年間でお互いどこまで成長できたのか確かめ合うのが楽しみです。文ちゃんとは、帝劇での『Endless SHOCK』で一緒でした。年齢も近く頼れる存在ですね。初演では、食事に誘っても全然来なかったので、今回はいっぱい誘おうと思います。なぜか一度も来なかったんですよね、そんな影がある部分も魅力です(笑)。

ーーエディはご自身とは正反対とのことですが、具体的にはどの辺りが?

あんなにリーダーシップがあるタイプではないですね。座長をさせてもらっていますが、自分で意見したり、みんなを引っ張っていくというよりは、常に自分が一番必死になってしまうので、そこを見て頑張ろうと思って貰えれば嬉しいことですし。でも、見せるために一生懸命やっているわけじゃないですが。僕としては常に謙虚に頑張りたい。やはり自分より技術を持っている共演者の皆さんの中で、色んなものを盗んで、吸収させて貰っているので。リーダータイプでないことだけは言っておきます(笑)。

ーー作品への取り組み方など、2012年の初単独主演舞台『道化の瞳』が転機になったそうですね。

『道化の瞳』では、自分が真ん中に立つ責任を実感しました。僕はアイドルグループの出身で、そこでの主演は経験したことはありましたが、外部公演での単独主演は初めてでした。末っ子気質なので、意外と甘えたいタイプ(笑)。でも、『道化の瞳』ではジャニーズのメンバーは出ていませんでしたし、誰にも甘えられない部分もあったので。作・演出の玉野和紀さんには、色々な面でアドバイスを頂きました。今があるのは玉野さんのお陰だと感謝しています。

ーー最後にお客様へメッセージを。

「やればできる!」という作品のメッセージをさらに深く伝えるために、ブラッシュアップした内容でお届けできたらなと思います。加えてダンスナンバーもすごくエネルギッシュになると思うので、ぜひ楽しみに観に来て頂ければと思います!

取材・文・撮影=石橋法子
 
公演情報
ミュージカル『ドッグファイト』
 
■作曲・作詞:ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール
■脚本:ピーター・ドゥシャン
■演出:山田和也
■出演:屋良朝幸、宮澤エマ、中河内雅貴、矢田悠祐、浜中文一(関西ジャニーズJr.)、末澤誠也(関西ジャニーズJr.)、木内健人、七瀬りりこ、春風ひとみ、ひのあらた、保坂知寿
■公式サイト:http://www.tohostage.com/dogfight/​
 
<大阪公演>
■日程:2017年12月8日(金)~11日(月)
■会場:サンケイホールブリーゼ
 
<東京公演>
■日程:2017年12月14日(木)~30日(土)
■会場:シアタークリエ
 
<愛知公演>
■日程:2018年1月6日(土)
■会場:愛知県芸術劇場 大ホール