世界最注目演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェの11月東京初上演『オセロー』と、9月10日(日)深夜『サロメ』放送は見逃すべからず
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イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
いま世界の演劇シーンで最も注目を集める演出家が、ベルギー生まれのオランダの演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェだ。
トネールグループ・アムステルダム『オセロー』(c)Jan Versweyveld
イヴォ・ヴァン・ホーヴェと聞いて、多くの演劇ファンにとって、すぐに思い浮かべる作品は、昨年2016年7月にナショナル・シアター・ライブで日本上映された『橋からの眺め』(作:アーサー・ミラー)ではないだろうか。同作品は2014年にパリで初演後、2015年にロンドン上演によりオリヴィエ賞最優秀演出賞を受賞、さらにブロードウェイに進出すると2016年トニー賞演劇部門でリヴァイヴァル作品賞と最優秀演出賞を受賞した(2016年演出作品『るつぼ』もリヴァイヴァル作品賞にノミネートされていた)。あるいは2009年SPAC春の芸術祭(静岡)で招待上演された『じゃじゃ馬ならし』(作:W・シェイクスピア)を思い出す人もいるかもしれない。他にもジュリエット・ビノシュ主演『アンティゴネ』、デヴィッド・ボウイとエンダ・ウォルシュの共同執筆作品『ラザルス』、ジュード・ロウ主演『郵便配達は二度ベルを鳴らす』など現代的かつ鋭利な視点に基づく演出で好評を博し、欧米の演劇界を席捲してきた。
トネールグループ・アムステルダム『オセロー』(c)Jan Versweyveld
トネールグループ・アムステルダム『オセロー』(c)Jan Versweyveld
イヴォ・ヴァン・ホーヴェは1958年ベルギー・アントウェルペン州生まれ、現在オランダを拠点とするベルギー人演出家である。彼が芸術監督として率いるオランダ最大のレパートリーシアター、トネールフループ・アムステルダムが、2017年11月にいよいよ初の東京公演をおこなう。作品はシェイクスピアの『オセロー』。オランダ語上演、日本語字幕付き、会場は東京芸術劇場 プレイハウスである。
トネールグループ・アムステルダム『オセロー』(c)Jan Versweyveld
これまで世界中で親しまれ、現在までさまざまな演出家によって繰り返し上演されてきた『オセロー』について、イヴォ・ヴァン・ホーヴェは「情熱的な恋、ドロドロの嫉妬、血を争う権力闘争や家族の崩壊、さらには外国人への差別問題など、人間が生きていく上でのすべてのテーマが網羅されている」と分析。彼は新翻訳にモロッコ系オランダ人であるハフィッド・ブアッザを起用することで、ムーア人であるオセローがアラビア系にルーツがあることを強調。さらに、随所に光るさまざまな独自の鋭い視点によって、かつてない衝撃を日本の観客にも与えようとしている。オセロー役の俳優も顔を黒く塗るような真似はもはやしない。現代を生きるわたしたちの心に何を問い、何をもたらすのか。今年最も注目度の高い海外劇団来日公演となるに違いない。
トネールグループ・アムステルダム『オセロー』(c)Jan Versweyveld
だが、その前にぜひ見ておきたいのが、9月10日(日)深夜(9月11日)午前0時00分からNHK BSプレミアムの、プレミアムシアターで放送される、オランダ国立歌劇場の楽劇『サロメ』(作曲:リヒャルト・シュトラウス)だ。2017年6月12・27日にアムステルダムのミュージックシアターで上演されたばかりのこの舞台は、ダニエレ・ガッティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、演出がイヴォ・ヴァン・ホーヴェなのである。下のトレーラーを見ていただくだけで、その鮮烈さに打ちのめされるはずだ。演劇ファンもオペラファンも、どうしてこれを見ないで済まされようか。
Richard Strauss’ Salome by Dutch National Opera/Trailer
■放送時間:9月11日(月)【9月10日(日)深夜】午前0時00分~5時00分
■放送局:NHK BSプレミアム
■演目:
オランダ国立歌劇場
楽劇「サロメ」(全1幕)(0:04:00~1:57:30)
■出演:
ヘロデ(ユダヤの領主):ランス・ライアン
ヘロディアス(領主の妻):ドリス・ゾッフェル
サロメ(ヘロディアスの娘):マリン・ビストレム
ヨカナーン(予言者):エフゲーニ・ニキーチン
ほか
■管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
■指揮:ダニエレ・ガッティ
■演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
■収録:2017年6月12・27日 ミュージックシアター(アムステルダム)
■公式サイト:http://www4.nhk.or.jp/premium/
■会場:東京芸術劇場 プレイハウス
■作:ウィリアム・シェイクスピア
■演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
■出演:トネールグループ・アムステルダム
■公式サイト:http://www.geigeki.jp/performance/theater150/