go!go!vanillas 『FOOLs』ツアー開幕「文句なしのツアー初日になりました!」
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go!go!vanillas 2017.9.9 横浜 Bay Hall 撮影=ハタサトシ
「FOOLs」Tour 2017
2017.9.9(SAT)横浜 Bay Hall
7月26日に3rdアルバム『FOOLs』をリリースしたgo!go!vanillasが、横浜 Bay Hallにて『「FOOLs」Tour 2017』をスタートさせた。ツアー初日かつバニラズにとっては初の神奈川県ワンマン。初物尽くしの日を見届けるべくフロアにはたくさんのオーディエンスが集まり、開演前から熱気に満ちていた。
そして、4人が登場。「今日はどこにもねぇ最高の夜にしようぜ!」と牧 達弥(Vo&Gt)が投げかけ、1曲目へと突入していく。バンドの両翼を担う長谷川プリティ敬祐(Ba)と柳沢 進太郎(Gt)は、勢いそのままお立ち台に駆け上がり、くしゃくしゃの笑顔で演奏。ジェットセイヤ(Dr)は時には立ち上がりながらプレイ。フロアの奥の方まで覗き込み、表情を輝かせているのがサングラス越しでも伝わってきた。一方の牧も、語尾をずり上げたりメロディラインに少しアレンジを加えたりしながら、のびのびと唄っている。4人のグルーヴは時にオーディエンスの歌声をも巻き込みながら、その勢いをどんどん拡大させていった。
go!go!vanillas 2017.9.9 横浜 Bay Hall 撮影=ハタサトシ
go!go!vanillas 2017.9.9 横浜 Bay Hall 撮影=ハタサトシ
セットリストはアルバム曲中心。それはもちろん今回のツアーが『FOOLs』のレコ発ツアーであるからだが、それ以上に重要なのが、後のMCで牧が話していたように「進化していく自分たちを見せたいから」という意思が現在のバニラズを駆り立てているということだ。音楽的ジャンルとしてのロックンロールを大いにはみ出しながら、全13曲を通して幅広いサウンドを鳴らしたアルバム『FOOLs』の自由度を体現するため、曲によっては同期を取り入れながら演奏。
ツアーはまだまだ続くため詳述は控えるが、特に中盤では新たなゾーンに踏み入れているような感触のある場面も多く、牧がギターを置き、ハンドマイクで唄っていた曲があったのも印象的だった。ここから始まる全国行脚にかける意気込みを「俺が一番楽しみなんだよー! フゥー!」とハイテンションで叫んだ牧に続き、柳沢は「いや、良いアルバムでしょ、『FOOLs』! つまりライブもヤベーってことよ!」と初日ならではの手応えを伝えていく。
go!go!vanillas 2017.9.9 横浜 Bay Hall 撮影=ハタサトシ
go!go!vanillas 2017.9.9 横浜 Bay Hall 撮影=ハタサトシ
この日のライブを観て思ったのは、『FOOLs』収録曲をライブで演奏するにあたって、ビートとハーモニーが鍵となっているのでは? ということ。まずはビートについて。『FOOLs』リリース時のインタビューにて、先発シングル曲(「ヒンキーディンキーパーティークルー」「おはようカルチャー」「平成ペイン」)はカントリーのビートで一貫しているとセイヤが話していたが、逆に言うと、シングルとはまた異なる心持ちで制作されたアルバム曲はビートの種類がもっと多様になっている。その差異を効かせ、各曲のキャラクターを際立たせることによって、例えばアッパーチューンを連続で演奏したとしても間延びさせることなく、瞬間ごとに新鮮さをもたらすことができるようになるはずだ。続いてハーモニーについて。2015年夏に元々ギターボーカルだった柳沢が加入してからは特にコーラスに力を入れてきたバニラズ。4人が順番にメインボーカルを務める「デッドマンズチェイス」がライブ定番曲となったここ1年でその流れはさらに加速したが、今回特筆したいのはそのハーモニーの範疇は“歌声”のみに限らないということだ。例えば、ボーカル、ギター、ベースが同じ旋律を鳴らし3オクターブで聴かせる、ボーカルが音を伸ばしている間にギターが対旋律的なメロディを奏でる、など“メロディの多層化”というべきアプローチがグッと増えた印象。それによって、全体的にサウンドがふくよかに、豊かに響くようになっていた。このツアーが終わる頃には、現在の彼らが主戦場としているライブハウスのみならず、様々な会場をきちんと鳴らすことのできるバンドに成長していることを期待したい。
go!go!vanillas 2017.9.9 横浜 Bay Hall 撮影=ハタサトシ
ということで挑戦の多いツアーであるわけだが、その根底にあるのは『FOOLs』にも共通する“バカやる時は思いっきり自由に楽しむ”“その場所を守るために思考を張り巡らせ続ける”という部分だ。踊る/聴くという二極化的な楽しみ方をするのではなく、「臨機応変に楽しめるのが音楽バカ」だと前置きしながら、牧はこう語る。「これだけの人が集まってデカい音鳴らして、すっごい奇跡が起こってると思うんですよ。だから予定調和は起こしたくない」「好きに解釈して楽しんでもらえたらと思ってるんです」。
瞬間ごとに異なる表情を見せる音楽に身を委ね、感情を曝し、如何にして殻を破りながら“新しい自分”になっていけるか。それこそがこのツアーのテーマなのだろう、バンドにとっても、オーディエンスにとっても。「ここからもコロコロ変えてくよ? いい!?」(牧)と前代未聞の、しかし今のバニラズを象徴するような言葉がフロアに投げかけられると、クライマックスへ向けて場内は一層白熱していったのだった。
「文句なしのツアー初日になりました! 無事怪我なく、どんどんバカになっていけるようにしたいと思いますよ!」(牧)と終演を迎えた時には4人とも良い表情をしていたし、アンコールの曲数が急遽増えたのも充実感の表れだろう。全25公演をまわる『「FOOLs」Tour 2017』は12月2日・Zepp Tokyo公演まで続いていく。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=ハタサトシ
go!go!vanillas 2017.9.9 横浜 Bay Hall 撮影=ハタサトシ
9月9日(土) 横浜 Bay Hall
9月10日(日) 水戸 LIGHT HOUSE
9月16日(土) 熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1
9月17日(日) 高崎 club FLEEZ
9月23日(土) 神戸 Chicken George
9月24日(日) 滋賀 U-STONE
9月28日(木) 浜松 窓枠
9月30日(土) 長野 CLUB JUNK BOX
10月1日(日) 金沢 EIGHT HALL
10月6日(金) 仙台 Rensa
10月8日(日) 秋田 Club SWINDLE
10月9日(月・祝) 盛岡 Club Change WAVE
10月21日(土) 高松 MONSTER
10月22日(日) 高知 X-pt.
10月26日(木) 米子 laughs
10月28日(土) 広島 CLUB QUATTRO
10月29日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
11月9日(木) 宮崎 SR BOX
11月11日(土) 熊本 B.9 V1
11月12日(日) 福岡 DRUM LOGOS
11月18日(土) 札幌 PENNY LANE 24
11月19日(日) 札幌 PENNY LANE 24
<追加公演>
11月25日(土) Zepp Nagoya
11月26日(日) Zepp Osaka Bayside
12月2日(土) Zepp Tokyo
『FOOLs』
【完全限定生産盤】(CD+DVD) VIZL-1195 ¥3,300+税 ※スペシャルパッケージ仕様
【通常盤】(CD) VICL-64812 ¥2,700+税
※CD / DVDの収録内容をスマホで簡単再生できる「プレイパス」サービス対応
<CD収録曲>
1.We are go!
2.サクラサク
3.FUZZ LOVE
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.ラッキースター
6.平成ペイン
7.サウンドエスケープ
8.バイバイカラー
9.ストレンジャー
10.グッドドギー
11.パペット
12.ナイトピクニック
13.おはようカルチャー
<完全限定生産盤付属DVD収録内容>
1.We are go! -Recording Documentary-
2.ヒンキーディンキーパーティークルー -Music Video-
3.おはようカルチャー -Music Video-
4.平成ペイン -Music Video-