【山人音楽祭クイックレポ】BRAHMAN 混乱、陶酔、歓喜--あらゆる感情が渦巻く全身全霊のステージを見た
BRAHMAN
山人音楽祭2017 【赤城ステージ】 BRAHMAN
2017年の『山人音楽祭』、赤城ステージは残すところBRAHMANとG-FREAK FACTORYのみとなった。定刻、KOHKI(Gt)、MAKOTO(Ba)、RONZI(Dr)の3人が繰り出す激しい演奏が会場に轟くと、大きく「反戦」という文字が書かれたTシャツを着たTOSHI-LOW(Vo)が噛みつくようにマイクスタンドに掴みかかった。「GOIN’ DOWN」だ。ステージはメンバーの激情を反映するように燃えるような赤色に染まる。「仲間のフェスだからって容赦しない。全身全霊、BRAHMAN、始めます」。仲間なのに、ではない。仲間だからこその全力だ。怒号のような重低音、空を切る鋭利なギターのフレーズ、迸る咆哮。「BEYOND THE MOUNTAIN」や「SEE OFF」では、次から次へと人が人の上を、ステージ目指して転がっていく。混乱と陶酔、歓喜。あらゆる感情を巻き込んでライブは熱量を増していく。
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後半、この『山人音楽祭』だからこそというべき、ハイライトの連続だった。美しく繊細なメロディと狂暴なサウンドとが入り混じった「ANSWER FOR…」では、まず茂木洋晃がTOSHI-LOWと向き合い、同じメロディをふたりで紡ぐ。そしてそのままTOSHI-LOWがフロアへとダイブ。ステージに向かって泳いでくるお客さんと、ぶつかり合うようにしながらTOSHI-LOWはマイクを握りしめて声を上げた。福島第一原発の作業員へのメッセージを込めた映像を流して届けたのは「鼎の問」。そこから、今度はILL-BOSSTINOを迎え入れて、最新シングル「不倶戴天」に収録されている「ラストダンス」を披露した。震災から6年が経ち、風化されていく現実への怒りを込めたレベルミュージック。いま世の中にはこういう音楽が必要であると、深いところで共鳴し合うふたりが命賭けで届けたい想いが、そこに刻まれていた。
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そして、最後にTOSHI-LOWがあらん限りの怒りを込めたのが「不倶戴天」だった。「ミュージシャンが政治を言うな、音楽に政治を持ち込むな、そんな腑抜けたことを言っている間にミサイルが俺たちのほうに向けられているんだ。さあ、いつまで黙ってんの? 俺は黙ってない。怒りを見せろよ!」。身震いするような咆哮と共に叩きつけた反逆の音楽。いつかこの曲が必要とされない日が訪れることが、彼らの願いだ。
取材・文=秦理絵 撮影=HayachiN
BRAHMAN
1. GOIN'DOWN
2. 賽の河原
3. BEYOND THE MOUNTAIN
4. SEE OFF
5. 其限
6. ANSWER FOR...
7. 警醒
8. 鼎の問
9. ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)
10. 不倶戴天