50回大会目のメモリアルを制するのは誰か 日本女子オープンが名門我孫子ゴルフ倶楽部で開催
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名門我孫子ゴルフ倶楽部で行われる50回記念の日本女子オープン。畑岡奈紗の2連覇、2連勝なるか注目の一戦だ
樋口久子、小林法子、清元登子、森口祐子、小林浩美、岡本綾子、塩谷育代。日本女子オープンの歴代女王は、その舞台に相応しいプレーヤーが名を連ねる。ラッキー、アンラッキーに左右されず、良いショットにはいい結果が、悪いショットにはペナルティが課される……。そんなセッティングの中で結果を出せる真の実力者だけが、栄冠を勝ち取れる大会なのだ。今年は1930年に開場し、これからの100年に相応しいコースにと大幅に改修された名門、我孫子ゴルフ倶楽部が舞台。優勝賞金は2,800万円で、優勝者は一気にチャンピオンシップを有利に進めることができる。50回記念となるメモリアル大会に名を刻むのは誰なのか。
ここ7年の優勝スコアを見れば、この大会の威厳、コースセッティング担当者の思いが如実に伝わってくる。2011年の名古屋ゴルフ倶楽部(愛知県)の勝者、馬場ゆかりのスコアはなんと+12。翌2012年(横浜カントリークラブ)と2013年(相模原ゴルフクラブ)はフォン・シャンシャン(中国)、宮里美香のイーブンパー。2014年(琵琶湖カントリー倶楽部)こそテレサ・ルーの-8だったが、2015年(片山津ゴルフ倶楽部)、2016年(烏山城カントリークラブ)はそれぞれチョン・インジ(韓国)の-2、畑岡奈紗の-4とやはりビッグスコアは出ていない。
14本すべてのクラブを使い切り、ドライバーからウェッジまで繊細なコントロール性を要求されるのがこの日本女子オープンのセッティング。今年の舞台、我孫子のグリーンは、今まで以上にパット巧者でないとスコアメイクに苦しむ1グリーンに改修された。飛距離の出る選手だけが有利にならないような微妙なコースセッティングもされていて、ラフの長さは通常のトーナメントより長く、よりフェアウェイに置く重要性は高くなっている。それでいて我孫子特有の難しいバンカーが口を開けて待っている。高いコースマネジメント能力と運をも味方につけたものだけが美酒を味わえる。要するにすべてにおいて高バランスでスキルを持っていなくては、同大会を制することはできないのだ。
今大会は畑岡奈紗を語らないでは始まらないだろう。昨年、アマチュアで史上初のメジャー制覇という快挙を成し遂げたが、史上最年少優勝(17歳263日)というオマケまでついてきた。その畑岡は早々にプロ転向し、アメリカにその主戦場を移した。しかし、慣れない海外転戦と厚い選手層の壁に阻まれ、大きな試練を味わってきた。そんな“傷心”の畑岡だったが、闘争心は心の中で絶えることなく燃え続けていた。その証明が前週のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで、圧巻のプレーでプロ初勝利。またもや最年少での国内ツアー2勝目(18歳254日)というオマケつきだった。昨年の優勝で活躍を予感していたチョン・インジと今回、予選で同組となり、先週の優勝で自信を取り戻した畑岡がチョン・インジの目の前でその実力を示せるか大いに興味をそそられる。
そして同大会で畑岡を取り上げたら、この人にもスポットライトを照らさなければならないだろう。堀琴音だ。昨年、最終日のハーフターンを首位-5で折り返し(畑岡は-1)、自身の初優勝も賭けて挑んだバックナインでボギーを重ねて自滅。プロ全員のプライドを一人で受けとめ、そのプレッシャーと戦いながらではあったものの、心から悔しい敗戦となってしまった。前半戦で畑岡に4打差をつけておきながらの大逆転劇は、観ている方もやるせない気持ちになるほど印象に残る試合だった。そんな堀は実力をつけ、今年も最高位が2位で優勝の二文字だけしか目に映っていないだろう。いつでも優勝できる状況にある中で、このメジャー大会を迎えることとなったが、昨年の悔しさを胸に秘め、自信を持って臨むその気持ちをショットとパットに繋ぐことができるのか……。今大会の堀琴音を応援せずにはいられないファンも多いだろう。
この難しいコースセッティングを潜り抜け、活躍が期待される選手はまだまだいる。日本女子オープンという大舞台にもかかわらず、毎年優勝にからむ柏原明日架にも注目したい。2015年の片山津では3日目まで2位で迎え、最終日も16番まで首位の-2にいながら17番(パー3)でダブルボギーを打ち、75で4位タイに。2016年も3日目に2位タイと好位置につけながら、最終日に2ダブルボギー、6ボギー(3バーディー)と大失速し、結局15位タイに終わってしまった。しかし、今年のダイキンオーキッドやヤマハレディース、日本女子プロゴルフ選手権などの4日間大会では好成績を残しており(いずれも5位タイ、3位タイ、4位タイ)、難易度が高く消耗を余儀なくされる長丁場の大会にはめっぽう強い印象だ。柏原も過去最高位は2位タイで、欲しいのは初優勝だけとなっている。身長171センチで大きなショットを打てる大型選手なだけに、アプローチとパットが噛み合えば50回のメジャー大会にその名を刻むことができるかもしれない。
現在、賞金ランキングトップをひた走るキム・ハヌル(韓国)以下、イ・ミニョン(同)や最近好調の李知姫(同)、そして一昨年、昨年の賞金女王のイ・ボミ(同)などの日本ツアーで結果を残している韓国勢も虎視眈々とメジャーの称号を得ようとしている。新人らしからぬ大物ぶりを発揮している川岸史果や、ドライバーイップスから立ち直って賞金女王も狙える逸材と言われる比嘉真美子も今季2勝目が欲しいところ。昨年、最終日に畑岡が伸ばして優勝を果たしたが、それまでの3日目までアマチュア旋風を起こしていた長野未祈が今年も参戦、注目したい選手の一人だ。
50回大会の我孫子を制するのはどの選手なのか。若手、ベテラン、アマチュア、外国勢含め、今年の日本女子オープンも、きっと壮絶なドラマが待っているに違いない。
日時:9月28日(木)、29日(金) 予選ラウンド
9月30日(土)、10月1日(日) 決勝ラウンド
会場:我孫子ゴルフ倶楽部(千葉県我孫子市)
賞金:総額1億4,000万円(優勝 2,800万円)
主催:公益財団法人日本ゴルフ協会
共催:NHK
後援:スポーツ庁、千葉県、我孫子市、我孫子市教育委員会、一般社団法人関東ゴルフ連盟、千葉県アマチュアゴルフ協会、朝日新聞社
協賛:安孫子ゴルフ倶楽部
【当日券】 9月28日(木)・29日(金) 各日 3,000円(税込)
9月30日(土)・10月1日(日) 各日 5,000円(税込)
9月27日(水)指定練習日 2,000円(税込)