橋本さとし「これは最高のミュージカルでは!?」と自画自賛 『アダムス・ファミリー』3年ぶりの再演が開幕

レポート
舞台
2017.10.28
ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』

ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』


2017年10月28日(土)にKAAT 神奈川芸術劇場<ホール>にてブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』が開幕する。それに先駆け、フォトセッションとして舞台の一部が公開。併せて、囲み会見が行われた。

1990年代に映画、アニメ、CMなどが作られ、人気を博してきた『アダムス・ファミリー』。舞台作品としては、2008年にブロードウェイでミュージカル化され、ロングラン上演を記録。日本では、2014年4月に白井晃の演出で初演され、キャラクターにぴったりのキャスト陣と楽しい楽曲の数々で評判を呼んだ。

約3年ぶりの再演となる今回、一部新キャストを迎えた「アダムスファミリー」が誕生した。アダムス家のパパ・ゴメス役には再び橋本さとし。橋本は、初演時に本作で2014年度読売演劇大賞優秀男優賞を受賞した。ママ・モーティシア役の真琴つばさ、長女ウェンズデー役の昆夏美、フェスターおじさん役の今井清隆、執事ラーチ役の澤魁士も続投。

(前列左から)村井良大、昆夏美、真琴つばさ、橋本さとし、壮一帆、庄司ゆらの、(後列左から)樹里咲穂、戸井勝海、澤魁士、今井清隆、梅沢昌代

(前列左から)村井良大、昆夏美、真琴つばさ、橋本さとし、壮一帆、庄司ゆらの、(後列左から)樹里咲穂、戸井勝海、澤魁士、今井清隆、梅沢昌代

新キャストとしては、真琴とWキャストでモーティシアを演じる壮一帆、女子高生ながらオーディションで弟パグズリー役に選ばれた庄司ゆらの、グランマとして梅沢昌代が加わった。さらに、登場するもう一つの家族「バイネッケファミリー」も、ルーカス役に村井良大、母アリス役に樹里咲穂、父マル役に戸井勝海と新キャストを迎えている。

樹里咲穂、戸井勝海

樹里咲穂、戸井勝海

囲み会見には、橋本、真琴、壮、昆、村井の5名が登壇し、取材に応じた。

橋本は「ニューメンバーも加わりまして、再演ですが気持ちは完全にフレッシュな感じ。『これ、最高のミュージカルなんじゃないですかね?』という手応えばっちりです」と自信を見せた。

橋本さとし

橋本さとし

真琴も「最高の脚本、最高の演出、最高の音楽、そして最高のキャストで、劇場を沸かせたいと思っています」と続く。壮も「初演から続投の皆様の熱量に負けないように、丁寧に稽古をしてまいりました。初参加だということを感じさせないぐらい、私も負けないエネルギーで、初日からぶっ飛ばしていきたいと思います」と意気込んだ。

真琴つばさ

真琴つばさ

今回、二人の妻役がいることについて、橋本が「どっちを見てもモーティシアって、すごい不思議な現象(笑)。稽古でも、後ろからだとどっちがどっちだか、分からないぐらい!(舞台セットの)木かな?と思ったら、モーティシアだったり」と、ボケ(?)を交えながら打ち明けると、真琴からモーティシアボイスで「ひどいわ」とツッコミが入り、笑いを誘った。

その上で、橋本は「初演はずっと真琴さんのモーティシアとやらせていただいていて、ある意味、僕の演じるゴメスは、真琴さんのモーティシアから生まれたような気がしていました。壮さんからは、答えがありきではなく、すべて自分のものにしてしまうエネルギーを感じていて。また、新たなゴメスを引き出していただいた気がしています。もう、最高ですよね!」と満面の笑み。

そんな二人のモーティシア。それぞれの見どころについて、真琴は「Wキャストですが、初演の自分と、今の自分、壮さんと、心の中ではトリプルキャストのような気持ちでした。つい数日前からやっと2017年版のモーティシアが見えてきて…昨日、白井さんから『今日はやけに色っぽかったね』と言われたんですよ。今回“妖艶”をテーマにしていたので、ちょいと近づけたかなと思います」と明かした。

壮一帆

壮一帆

壮は、宝塚歌劇団出身の先輩でもある真琴と同役を演じることに、最初はプレッシャーや葛藤があったようだが「そんなことを考えていても仕方がないかなと、常に上を目指して一生懸命やってきました。(真琴さんとは)違うアプローチでやってみたりもしたんですけど、お稽古中に一度、さとしさんに『全然(役に対する)アプローチが違うのに、一周回って同じところに着地するんだね』とお話いただいたことがあって。自分も(モーティシア像に)少しでも近づけていたのならこんな嬉しいことはないですし、さらに私のモーティシアに磨きをかけて、家族の皆さんを愛しぬいて、生きることができたらと思います」と語った。

また、真琴は「今回、壮一帆さんの舞台上での、初キスシーンがあります!」とアピール(もちろん真琴も)。その言葉に、壮は「事務所の先輩(=橋本)に女優にしてもらいました…」と大照れ。このゴメスとモーティシアのキスシーンは、初演にはなかった演出ということもあり、いろんな意味で注目シーンとなりそうだ。

壮一帆、橋本さとし

壮一帆、橋本さとし

そして「自分が出ているので、客席からは絶対に観ることができないんですけど…こんなに観たいと思う舞台は、なかなかないんです」と言う昆。本作は、昆が演じるウェンズデーと村井演じるボーイフレンド・ルーカスを恋の行方が大きなカギとなる。「白井さんから『ウェンズデーとルーカス、二人の成長物語でもある。いろんなことがあるけれど、二人は好き同士だから離れられない、二人は引力で引き合っているんだよ』というお話をいただきました。新キャストの村井くんと、そういう見えない糸みたいなものを作っていけたらと思います」。

昆夏美

昆夏美

また昆は、村井の「ふにゃっとした笑顔が、ルーカスにぴったりだなと」と言う。それに対し、村井はさっそくその笑顔で「ありがとうございます!これからもがんばって、ふにゃってします(笑)」と応えていた。

村井良大(右)

村井良大(右)

そんな村井は「初演の皆さんからは、すでに本番を踏んでいる百戦錬磨感を、最初の稽古から感じていましたね。その中で自分がどういるべきなのか、バイネッケファミリーでたくさん話し合ったり、白井さんとお話したりして、食らいついていくという気持ちが大きかったです。ルーカスとしても、ちょっと変わった家族に食らいついていくというエネルギーが大事だと思ったので。そうしているうちに、本番が近づくにつれ一つの大きな“家族”のようになっている気がして、いい初日を迎えられるのではないかなと思っています」と、再びふにゃっと笑った。

昆夏美、村井良大

昆夏美、村井良大

 

最後に橋本は「シーンごとに絵本を開いていくみたいに、モノトーンで上品で小粋な演出になっています。そして、技術的が進む中、あえてすべて人が動かしているという、とてもアナログな舞台でもあります。人がすべてを作っていく、それが総合芸術であり、舞台の醍醐味でもあるんじゃないかと思います。初めて舞台を観る方にも“アダムスファミリー”の仲間に入ったという気持ちになっていただければ」と締めくくった。

フォトコールでは、作品を印象づける冒頭の「我らアダムス」、モーティシアが自分に秘密を持っていたゴメスに激怒しながらも明るく歌い上げる「死は近くにいる」、ルーカス&とウェンズデーとルーカスの両親がそれぞれの気持ちを高めあう「狂ってる」、家出しようとするモーティシアと引き止めるゴメスが昔話と共に歌う「死ぬまで生きよう」など、印象的な楽曲が次々披露された。

風変わりな一家に巻き起こる騒動を、ブラックな笑いとゴシックなテイストで、エンターテイメントの仕上げた本作。海外で作られた作品のはずなのに、キャスト全員がハマり役!ぜひ、この愛すべきファミリーに会いに行ってみては。

ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』

ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』

なお、10月29日(日)、10月31日(火)、11月1日(水)の3ステージでは、「トリックオア トリート・カーテンコール」「仮装DAY」「舞台上で記念撮影(抽選で50名)」といった、ハロウィンで盛り上がるこの時期にぴったりのイベントも用意されている。ぜひ、公演と共に満喫してほしい。

橋本さとしのウインク☆大人の色気たっぷり!

橋本さとしのウインク☆大人の色気たっぷり!

取材・文・撮影=折原 怜

公演情報
パルコプロデュース
ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』


■台本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
■作詞・作曲:アンドリュー・リッパ
■原案:チャールズ・アダムス
■翻訳:目黒条/白井晃
■訳詞:森雪之丞
■演出:白井晃
■出演:橋本さとし、真琴つばさ/壮一帆、昆夏美、村井良大、樹里咲穂、戸井勝海、澤魁士、庄司ゆらの、梅沢昌代、今井清隆 ほか

■公式サイト:http://www.parco-play.com/web/play/addams2017/

■日時・会場
【神奈川公演】KAAT神奈川芸術劇場
・2017年10月28日〜11月12日



【大阪公演】豊中市立文化芸術センター・大ホール
・2017年11月18日、19日



【富山公演】オーバード・ホール
・2017年11月24日、25日

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