シド 3年半ぶりアルバム『NOMAD』に込めた新たな世界を縦横無尽に表現、ツアー折り返しの東京公演レポ

レポート
音楽
2017.11.1
シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

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SID TOUR 2017 「NOMAD」
2017.10.27 国際フォーラム ホールA

10月27日(金)、東京国際フォーラム ホールAでシドを観た。9月にリリースされた約3年半ぶりのニューアルバム『NOMAD』は、かつてなく洗練されたアレンジメントと音像、骨太なバンドサウンドを軸に高い完成度を誇るアルバムだったが、果たしてライブはどうなるか。この日は16か所を回るツアーの8本目、マラソンで言えばちょうど折り返し。ツアー中のバンドの成長度を測るためには、絶好の観測地点だ。

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

1曲目はアルバムのオープニングと同じ「NOMAD」だった。荘厳な、と言いたいほど重厚なギターサウンドに、大きなうねりを伴うミドルテンポのロックチューン。そのまま一気に速度を上げて「XYZ」へ突き抜ける展開も、アルバムと同じ。だが、こうしてネタばらしをしても構わないと思えるほど、バンドの生演奏には力強さと自信が溢れ、音源で聴くよりも数倍エモーショナルに感じる。ゆうやが叩き出す頑丈なビートの土台に、明希の骨太なベースが太い柱を立て、Shinjiのクールで正確なギターが堅牢な部屋を作り、マオの歌が華麗な装飾を施す、といった感じか。「東京は地元。ここで盛り上がらなかったら、(ツアーの)後半やめちゃおうかな」と、マオがジョークを飛ばす。言わずもがな、オーディンスの盛り上がる準備は万端だ。

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

セットリストは、やはり『NOMAD』からの曲が多い。「螺旋のユメ」や「硝子の瞳」といったシングル曲は、シドらしい明快なポップさが耳に心地よく、アップテンポのビートが体に気持ちいい。中でも耳を惹いたのは「KILL TIME」で、ジャジィな4ビートのアダルトでロマンチックな楽曲ながら、決してまったりとはせずにアッパーなロックチューンでもあるという新境地。『NOMAD』の曲はどれも個性がはっきりしていて、ライブではその表情の違いをより楽しむことができる。

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

「みんなのエネルギーがあって、とてもいいライブになってます。5000人の気持ちをステージにバンバン届けてほしいんだけど、どうだい?」(明希)

「最近ギターが楽しくてしょうがない。この大好きなギターで君たちに夢と希望を与えて帰るからね」(Shinji)

「アルバム作ってライブして、俺らの『NOMAD』がみんなの『NOMAD』になってきました。ライブは生もの、一回限り、みんなで『NOMAD』を作っていこう」(ゆうや)

「元気ですねみんな(笑)。待ってた感がすごいです」(マオ)

思い思いのMCのあとは、再びディープでカラフルな『NOMAD』の世界へどっぷりと。シティポップやソウルミュージックの香りがする冬のバラード「スノウ」の優しさ、そしてダークでスロー、マオが魂を振り絞るかのような歌声を聴かせる「低温」の激しさ。同じスローナンバーでも伝わる感情がまったく違う。「嘘」はかなり懐かしい曲だが、うねるような16ビートの緻密なグルーヴは、今のシドのスタイルにこそぴったりと馴染む。そんな曲でもヘドバン、手振りを欠かさないオーディエンス。シドのファンはいつも熱く、そして音楽に忠実だ。

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

国際フォーラム ホールAは天井が高く、音がどこまでも広がってゆく感覚があるので、「バタフライエフェクト」のようなスケールの大きなロックチューンは聴き応えがある。強烈な青、赤、ストロボと、照明も刺激的だ。このツアーのセットは比較的シンプルで、ゆうやのドラム台が一段上に置かれているほかは、背後に設置されたLEDの照明板と、刻々と色を変える照明のみ。音楽そのものを聴かせたい、そんな思いが伝わってくるダイナミックなステージ。どんどん曲をたたみかけ、気がつけばマオが「ラストいくぞ、トーキョー!」と叫んでいた。たっぷり十数曲はやっているはずなのに、体感時間はあっという間だ。

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

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そんな、まだまだ聴き足りないというオーディエンスの気持ちを一気に燃えあがらせたのは、アンコール1曲目。マオがアカペラで歌い出した瞬間、あちこちから悲鳴にも似た歓声が湧き上がる。曲は「青」。インディーズ時代からの代表曲で、1stアルバム『憐哀-レンアイ‐』に収められているこの曲の生命は永遠だ。歌い終わったマオの「懐かしい思いで歌いました」「これからも、昔の曲が新しいツアーで育って行くのを見たい」というセリフに、熱い拍手が降り注ぐ。シドは、来年で結成15周年。まだまだ歌い足りない曲、もう一度歌ってほしい曲はたくさんある。

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

アンコールのラストチューンは、やはりアルバム『NOMAD』と同じく「普通の奇跡」。この曲を歌う前に、マオが長いMCをした。生きている理由がわからないという、悩みの書かれたファンレターを受けとったマオが、今日ここに来ているだろう見知らぬその人に、そしてすべてのオーディエンスに向けて語った答え。今日ここに来るだけでも生きてる理由になる。これからもどこかで会える、それが理由になる。生きてる理由を積み重ねていこう。「真面目な話は得意じゃないけど」と、控えめながら真摯に語る言葉に、静かな熱い拍手が贈られる。「普通の奇跡」の力強いロックバラードの旋律が、まばゆく降り注ぐミラーボールの光に映える。マオが満面の笑みを見せる。メンバーもみな、充実の表情だ。

終わってみれば2時間以上。『NOMAD』に込めた新しいシドの世界を縦横無尽に表現しつつ、ファンとの親密な一対一のコミュニケーションも忘れない。ライブバンドとしての確かな成長を感じさせるシドは、いよいよ来年結成15周年を迎える。その世界がどこまで広がり続けるのか、とことん見届けに行こう。
 

取材・文=宮本英夫

シド 2017.10.27 東京国際フォーラム ホールA

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ライブ情報
SID TOUR 2017 「NOMAD」
※終了公演は割愛
11/3(祝・金)神戸国際会館 こくさいホール    開場17:00/開演18:00
11/4(土)ロームシアター京都 メインホール      開場17:00/開演18:00
11/7(火)大宮ソニックシティ 開場17:30/開演18:30
11/11(土)日本特殊陶業市民会館 フォレストホール    開場17:00/開演18:00
11/12(日) 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール  開場15:00/開演16:00
11/21(火)中野サンプラザホール     開場17:30/開演18:30
11/23(祝・木)東京エレクトロンホール宮城     開場17:00/開演18:00
11/25(土)わくわくホリデーホール(札幌市民ホール) 開場17:00/開演18:00
 
【チケット料金】
¥7,300(全席指定・税込)
※4歳以上有料

 

 

リリース情報
アルバム『NOMAD』
2017年9月6日発売
【初回生産限定盤A(CD+DVD)】KSCL-2951/2952 ¥3,611+税
NOMAD -Specialインタビュー映像- 
【初回生産限定盤B(CD+写真集)】KSCL-2953/2954 ¥3,611+税
32pブックレット写真集付 
【初回仕様限定盤(CD)】KSCL-2955 ¥2,870+税
※3形態共通
01. NOMAD
02. XYZ
03. 硝子の瞳(2017年1月発売シングル/劇場版 「黒執事 Book of the Atlantic」主題歌)
04. スノウ
05. 躾
06. バタフライエフェクト(2017年5月発売シングル)
07. 低温
08. KILL TIME
09. 螺旋のユメ(2017年8月発売シングル/ TVアニメ「将国のアルタイル」オープニングテーマ)
10. 普通の奇跡

■シド『NOMAD』Special Site
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/sid/NOMAD/
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