SPECIAL対談~知念里奈のデビュー20周年記念コンサートに“同志”中川晃教が出演!

インタビュー
音楽
舞台
2017.11.10
知念里奈・中川晃教 (撮影:荒川潤)

知念里奈・中川晃教 (撮影:荒川潤)


1996年10月に歌手としてデビュー後、2003年に『ジキル&ハイド』のエマ役で初舞台。以後『ミス・サイゴン』のキム、エレン、『レ・ミゼラブル』のコゼット、エポニーヌ、ファンテーヌなどの大役を次々と演じ、今やミュージカル界に欠かせない存在となっている知念里奈が、デビュー20周年を記念して実に7年ぶりとなるコンサートを開催! そのゲストに、ミュージカルでは共演経験のない中川晃教を選んだ理由とは……? そして、その稀有な歌声を武器に音楽界とミュージカル界を又にかけて活躍中、という共通点を持つ二人が語る“あるある”とは――。

意外な出会い(?)、そして共感・尊敬しあう現在

――まずは知念さんから、久々にコンサートを開かれることになった経緯と、中川さんにゲスト出演をオファーされた理由をお話しいただければと思います。

知念 今年の頭に、歌手デビュー20周年を記念して2枚組のアルバムを出したんです。今は音楽活動をメインではやっていないので、本当に久しぶりのリリースで。その流れで、記念のライブができたらいいねっていう話を2月くらいからしていたんですけど、あっという間に時間が経って…。最終的に10月を越えてしまったので、コンサートの日はもう21周年なんです(笑)。

中川 21周年! 僕は今年で16年目なので、大先輩ですね。知念さんがデビューした頃の音楽シーンって、僕にとってはふるさとみたいな感じなんです。日本の音楽シーンはどんどん変わってきていて、今なんてスマホで音楽が聴ける時代だけれど、自分で音源を集めてカセットを作っていたあの頃が僕にはやっぱり身近。その中でも知念さんは本当に、大好きな先輩です。

知念 私は中川君のことは、CMで初めて聴いた時から「何この歌声⁉」と思っていました。父親の影響で私もマイケル・ジャクソンのファンなんですけど、マイケルみたいな歌を歌ってる人がいる!って。生の歌声を聴きに、実は青山のイベントにも行ってるんですよ。

中川 えっ、あの時いたんですか⁉ デビューの翌年ですよ!      

知念 そう。そのあとミュージカルの世界に行かれてからも、ずーっと追いかけて観てました。

中川 マジですか! すごいな。でもミュージカルって、知念さんのほうが先じゃないですか?

知念 いえ、『ジキル&ハイド』に出る前に『モーツァルト!』を観に行った覚えがあります。

中川 じゃ、そこは俺のほうがちょっと先輩だ(ニヤリ)。

知念 そう(笑)。「♪僕こそミュージック」って歌詞がなんて似合う人なんだ!ミュージカルデビューでここまでできちゃうなんてなんて人なんだ!って思いました。音楽界からミュージカル界に行くのってとんでもなく大変で、私なんて未だに誰の足元にも及ばないのに(笑)。だからそれ以来、ずっと追っかけて観てるんですけど、残念ながら舞台でご一緒する機会はなくて。

中川 一緒のコンサートに出たことはあるけど、デュエットとかはしてないですもんね。そんな僕に、なんで今回声をかけてくれたんですか? 自分で聞くのもアレですけど(笑)。

知念 私、自分の名前でやるコンサートって7年ぶりなんですね。それで色々と考えていくうちに、これが最後になってもいいくらいのテンションで臨もう、という気持ちになって。そう思った時に、やっぱりずっと観てきた中川君とご一緒したい!と思ったんです。

中川 やめてそれ、すごいプレッシャー(笑)。これが最後とか言わないでくださいよ!

知念 本当に最後かは分からないですけど、それくらいの“ヨイショ”がないと立ち上がれないくらいのブランクなんですよ。中川君のことは、歌声はもちろん、人としてもすごく尊敬しているので、そんな人が一緒にやってくれたらとっても心強いと思ってお願いしました。

――中川さんは、ミュージカルデビューされてからの知念さんの活動をどうご覧になっていたのでしょう。

中川 さっき知念さんも言ってましたけど、音楽界からミュージカル界に飛び込むって本当に大変なことで、僕も最初は「うーわ、えらいとこ来ちゃったな」と思ったんです。同じ歌でも、自分の歌とミュージカルの歌では、共通するものはあるけど根底が違う。でも今、色んな方がミュージカルにチャレンジする時代になったのは、もしかしたら僕たちが飛び込んでコツコツと積み重ねてきたからでもあるのかな、頑張ってきて良かったんだなって、僕に感じさせてくれるのが知念さんという存在なんですよね。僕の中では、同志のような感覚です。

知念 うわ~……ありがとうございます。でも私もその感覚はあって、だから会ってすぐに意気投合したんだと思います。どんな音楽を聴いてきたかとか、そういう話ですごく盛り上がって。ね?

中川 うん、俺が最近聴いてる曲をスマホで流したりね。でも知念さんほとんど知らないから、2~3分ですぐ全然違う話になって、それもまた俺には心地いいみたいな(笑)。

知念 ごめんなさい(笑)! 私は一方的に観てたからずっと知り合いみたいな気持ちでいたけど、実際にはご挨拶くらいしかしたことがなかったから、聞きたいことがいっぱいあるんです。

中川 僕たちは辿ってきた道が似てるから、“あるある”は多分いっぱいあるよね。例えば、ミュージカルに出ることに最初は反対されたとか。

知念 “あるある”ー! 続けてくるのも大変でしたよね。

中川 しかも知念さんは、さっき7年間ブランクがあるって言ってたのが衝撃なんだけど、それくらいミュージカルに全身全霊を捧げてきてるんだよね。すごいなと思います。

知念 私は逆に、ミュージカルもコンサートもやってる中川君がすごいなって。しかも、ご自身でクリエイトもされる方ですし。

中川 知念さんもするじゃないですか。すき焼き、すごい上手でしたよ(笑)?

知念 それはご飯の話でしょ(笑)! 料理は作りますけど、音楽を作ったり詞を書いたりはできないから、それができる中川君を大尊敬してるんです。

別々に苦労を味わって来た二人がハーモニーを奏でる!

――先ほどから、音楽界からミュージカル界にいくと大変なことがたくさん、というお話が何度か出ているのが意外な感じがします。一般論としては分かるのですが、お二人に関しては、元々ミュージカルの歌も難なく歌えていらっしゃいましたよね?

知念 中川君はそりゃもう……天才だもん。

中川 いやいやいやいや、知念さんこそ!

知念 私は、『ジキル&ハイド』に出た時なんてもう本当に下手過ぎて、毎日お客さんの前に出るのが怖くて仕方なかったです。鹿賀丈史さんの婚約者の役だったんですけど、鹿賀さんファンの方は絶対みんな「なんでお前が出てきたんだ」って怒ってると思って……。実際、裏声って何?みたいなところからのスタートでしたし、本当に泣きながらやっていましたね(笑)。

中川 俺も、『キャンディード』(2004)は泣きながらでしたよ。レナード・バーンスタイン作曲のミュージカルだから、クラシックの発声が必要で、共演にはオペラ歌手の方もいたんです。そんな中で、当時は俺も若くて“イケイケ”だったから(笑)、譜面を読まないで稽古場に行ったら歌唱指導の先生に「音取りしてきてないの?」ってめっちゃ怒られて。そこで俺、心を入れ替えたんです。まあ今思えば、音取りをして行くなんて当たり前のことなんですけど(笑)。

知念 でもじゃあ、その先生はすごく大事な人ですね。

中川 そう。痛い目に遭いながら(笑)、ちょっとずつ色んなことに気づいて今があるんです。

知念 私は今でも、とっても苦労しています。公演が長く続いて疲れてきたりすると、昔の癖が出てきて、ボイトレに行って直してもらわないといけなかったり。あります?そういうこと。

中川 ありますあります。でも『レミゼ』とか『サイゴン』みたいな王道ミュージカルの女性パートは、特に音がポップスとは全然違うから、女性のほうが如実に実感されるのかもしれない。

知念 中川君は、ポップスとミュージカルの歌は歌い分けてるんですか?

中川 歌い分けてる……ミュージカルの時は、役として歌うっていう意識が確実にありますよね。

知念 声の出し方はどうですか?

中川 あ、もう全然違います。ミュージカルでは、動きとか芝居とか感情っていうところで総合的に組み立てて声を出すけど、自分のコンサートではとにかく、会場にいる全員に届くようにどう伝えるべきか、みたいなことを考えて歌うから。

知念 はあ~(感心)。具体的な、技術も違いますか?

中川 いや、技術が違うことはないと思いますよ。ミュージカルで得た技術は、自分の音楽に確実に跳ね返っている、っていうのが俺の実感としてあります。……ってこれ、なんかすごい専門的な話になってるけど大丈夫ですか(笑)?

知念 ごめんなさい、聞きたいことがいっぱいあって(笑)。実はついこの間、ステージで久しぶりにデビュー曲の≪DO-DO FOR ME≫を歌ったんですけど、キーがとても高くて、短期集中で訓練をしてからじゃないと歌えなかったんですよ。ミュージカルの歌にも高いものはありますけど、使う喉のポジションが違うような感じがあって。中川君はコンサートで、ご自分の歌もミュージカルの歌も歌われるから、発声はどうしてるんだろうと思って。

中川 うーん、僕は発声ってあくまでも基礎で、それを全ての楽曲に応用したら、自分が歌いたい歌ではなくなることもあると思うんです。ミュージカルは、僕じゃなく役として表現するものだから基礎が役立つけれど、コンサートはみんなが“その人の歌”を聴きたくて来る場所。だからミュージカルの歌も、コンサートで歌う時は、基礎にとらわれないようにしてますね。

知念 じゃあコンサートで大事なのは、そのサジ加減…?

中川 僕がいちばん大事にしてるのは、聴いてる人にとって気持ちいい歌声で歌うことですね。同じキーなのに、ミュージカルの歌なら難なく出ても、自分の昔の歌だと頑張らないと出ないことは僕にもあって。それをひもといていくと、若い時は頑張って出す声も良かった、ってことだと思うんですよ。でも今、お客さんに気持ち良く聴いてもらうためには、この年齢に応じた歌い方が必要。そうなった時、ミュージカルで学んだ基礎が役立つことがあったりするんですよね。

知念 へえ~面白い! やっぱり中川君はすごい人ですね。

――このお話を受けて、知念さんが今回のコンサートでどんな発声をされるのかも楽しみになってきました。最後にコンサートの内容について、少し具体的に教えていただければと思います。

知念 それが、まだちょっと……(笑)。候補曲は出してるんですけど、7年ぶりだから、「あの曲歌わなかった!」っていう“モレ”がないようにしたい、と思うと絞り切れなくて。

中川 編成はどんな感じなんですか?

知念 ピアノとカホンとギターとベース。でも昔のポップスナンバーは、聴いてくださる皆さんも当時を思い出せるように、音源を使ってなるべくそのままやりたいと思ってるんです。

中川 当時のアレンジのまま、人生経験を経た今の歌声で聴けるっていいですよね。ミュージカルナンバーに関しては、やっぱり『サイゴン』『レミゼ』『ジキハイ』が中心?

知念 そうですね、その3つは私のミュージカル人生を振り返る上で欠かせない作品です。出演したことのない作品にもいいナンバーはいっぱいあるんですけど、来てくださるお客様みんなが楽しめるものにしたいと思うと、今回は私の20年の要所要所をかいつまむような内容がいいなって。そしてその中のいくつかを、中川君とデュエットさせていただきたいと思ってます。

中川 いいですね~。知念さんの情感あふるる歌声が僕は大好きだし、歩まれてきた20年という時間が今の知念さんを通してどう届くのか、僕もお客さんの立場で楽しみにしています。どんなセットリストになるにしても、音楽とミュージカルのどちらもやってきた知念さんならではの、今しか感じられない贅沢なコンサートになるでしょうね。知念さんのターニングポイントとなるような瞬間に呼んでいただけたことは、同じような道を辿ってきたことを考えると、僕にとっても意味のあること。知念さんの歩まれてきた時間をお客さんにちゃんと感じてもらえるように、僕は自分の役割をしっかり果たしたいなと思っています。

知念 すごい……! もう本っ当に、ありがとうございます。私からはこれ以上の言葉は出てこないと思うので、今ので終わりにしてもいいですか(笑)?

中川 いやいや、ぜひ意気込みを話してください(笑)。ファンの方々みんな、知念さんの言葉を待ってますから。…って、なんで俺が仕切ってるんだろう(笑)。出しゃばってすいません!

知念 いつもごめんね(笑)。中川君は本当に本当に愛がいっぱいな人で、私のコンサートにこんなにも想いを持って出てくれることに、改めて本当に感動しています。ありがとうございます!

中川 こちらこそありがとうございます。僕のことはいいので、意気込みをどうぞ(笑)。

知念 はい(笑)。そうですね……私、歌手活動とミュージカル活動のどちらが好きかと言ったら、今ではもう舞台のほうなんですよ。「知念里奈です!」って出ていって歌うより、自分とは違う人になって作品の中での役割を果たすほうが、私の性根に合っているのだと思います。でも一方で、20年前の曲を今も支持してくださる方がいるのってとっても嬉しくてありがたいことで、それも大事にしたい。今回こうして20年を振り返るいいきっかけをいただいたので、これを節目にして、また次のステップに踏み出せるようなコンサートにできたらと思います。とにかくお祭りのように、皆さんに楽しんでもらいたいので…皆さんぜひ、発声してからいらしてください(笑)。

中川 えっ、発声(笑)?

知念 うん、一緒に声を出すための準備体操をしてきてもらえたらなって(笑)。今回は博物館の隣の会場ということで、厳かな感じだから「ここで声を出していいのかな?」と思われる方もいると思うんですけど、そこは気にせず盛り上がっていただきたいですね。

中川 そうだよね、コンサートだもんね。ちなみに、名前はなんて呼ばれてるんですか?

知念 私? 知念里奈です!

中川 知ってるわ(笑)! おかしいでしょ、こんなに長いこと対談してきて今さら名前聞くって。そうじゃなくて、ファンの人になんて呼ばれてるかってこと(笑)。

知念 ああ~(笑)。“知念ちゃん”ですかね?

中川 OK、じゃあ大いに皆さん、“知念ちゃん”コールをしてくださいということで!

知念 はい、ぜひ。一緒に楽しみましょう!

取材・文=町田麻子  撮影=荒川潤

公演情報
知念里奈 20th Anniversary Memorial Concert

■公演日:11月30日(木)計2公演
15:00開演/19:00開演 ※開場時間は開演30分前
■会場:東京国立博物館 平成館大講堂
■出演:知念里奈/中川晃教/岡村隆史(ナインティナイン)※19:00のみ出演/サプライズゲスト
■チケット料金:全席指定7,500円(税込)
※未就学児童入場不可
■一般発売日:2017年11月12日(日)10:00~ ※各プレイガイドにて一斉販売
■公式サイト:http://www.rising-pro.jp/artist/chinen/news/?nID=VFFtOsy42k

 
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