そらる、“夢見るたまご”が見せた可能性 1万人を魅了した横浜アリーナ公演をレポート
-
ポスト -
シェア - 送る
そらる
SORARU LIVE TOUR 2017~夢見るセカイの歩き方~
2017.11.25 横浜アリーナ
可能性という名の未来を内包した、大きなたまご。それはおそらく、そらるにとって自己を投影したひとつの象徴物だったのではなかろうか。
そらる
11月8日にゲーム世界をモチーフとしたミニアルバム『夢見るたまごの育て方』をリリースしたのち、約1年4ヵ月ぶりのワンマンツアーとなる『SORARU LIVE TOUR 2017~夢見るセカイの歩き方~』で各地を廻ってきたそらるが、このたびの旅をしめくくる場所として選んでいたのは、なんと1万超キャパの大会場・横浜アリーナ。
そらる
開演前から場内はそらるのイメージカラーである、ブルーのペンライトを手にした観客たちであふれ返っていたのだが、一方で大きなステージ上には太い幹の樹を模したオブジェや、大きな“たまご”がなんとも意味あり気に置かれていた。
「さぁ、ツアーファイナルを始めようか。横浜アリーナ!」
開演時刻とほぼ同時に、ファンタジー系のゲームキャラを彷彿とさせるコスチュームをまとったそらるが登場して、今宵まず歌い始めたのは「マキュリア」。この歌詞の中にある<これから始まるものがたり>であったり、<僕の中の冒険(ものがたり)だ>といったフレーズは、まさに『夢見るセカイの歩き方』という冒険(ものがたり)のプロローグにぴったりな選曲であったはず。
そらる
そらる
「よろしくお願いします、そらるです! というか、別に「そらるです」って言わなくてもここに来ている人は、なんと皆が俺のことを知っているっていうね(笑)。凄いことですよ。だって、今日は1万人以上が来てくれているのに、その全員が俺を知っているなんて。そしてやっぱり、ここはとっても広いねぇ。いやー、広いわぁ(笑)。横浜アリーナというのは、自分にとってはちょっと非現実的で大それた感じがする場所でしたけど、それでもずっと凄いワクワクしていたし、今こうして実際にステージに立ってみてもホントに最高です。(中略)今夜は全力でやらせていただきますので、皆さん最後まで楽しんでいってください!!」
そらる
そらる
そらる
『夢見るたまご~』からの「グッドナイトフォール」や「ねえ、レイン」などをはじめとして、時に力強く時に優しく時に伸びやかにと、大観衆を相手にさまざまな情景を歌で描き出してゆくそらるの姿は、なんとも頼もしく同時に至極楽しそうでもある。
「今回の『夢見るセカイの歩き方』というツアーでは、先日出した『夢見るたまごの育て方』というミニアルバムの曲たちも含めて、ファンタジーな世界観の中でファンタジーな歌を歌ってきました。この横浜アリーナでのファイナルは、大きさ的にも僕にとってラスボスみたいな存在になるのかな(笑)。ちなみに、僕はソロとはまた別にAfter the Rainというユニットでも頑張っているんですが、今日この会場のどこかからまふまふが観ているかもしれないし、観ていないかもしれないんですけど(笑)、今日はせっかくなのでAfter the Rainの曲とか、まふまふの曲を歌ってみようと思います」
とのMCをはさんだうえで、本編中盤でのそらるはステージから長く客席フロアへと伸びた花道センターにて、まふまふ作による名曲「夢のまた夢」を披露。また、ここから続いたAfter the Rainにとっての鉄板曲である「四季折々に揺蕩いて」では、これまでだとまふまふとふたりで歌われている光景を目にする機会が多かった中で、難易度の面でも相当に高度なこの曲を、そらるがひとりで鮮やかに歌い切ってみせたことが、そのまま大きな見せ場となっていたのは言うまでもない。
そらる
そらる
なお、見せ場と言えば高所恐怖症であることでも知られているそらるが、「彗星ハネムーン」にて高いトロッコへと乗り込み、横浜アリーナ内を大周回した場面についても、その事実を知っているオーディエンスにとっては“高いところは苦手なはずなのに、ここまでのサービスをしてくれた”という意味での、大変な胸熱ポイントになっていたのではないかと思われる。
そればかりか、本編後半の「FirePit」と「彗星列車のベルが鳴る」ではステージ上に生のフルオーケストラまでが登場し、スケール感のある音像の中でそらるがボーカリストとしてのポテンシャルを最大限に発揮してみせるさまは、圧巻だったと言えるだろう。
そらる
そらる
そらる
「去年に続いてアルバムを出させてもらって、しかも自分の大好きな人たちに曲を書いてもらったわけなんですけど、ライブの面でも今年まさかこんな風に横浜アリーナでやれるとは思っていなかったです。自分にとってライブはずっとこわいものだったし、小さい会場でも充分満足していたので。でも、今日のこの素晴らしい景色はずっと忘れないと思います。皆、本当にありがとう。では、ここで最後に……」
むろん、ここで場内の大観衆から一斉に「えーっ!(もう終わりなの?というニュアンス)」という声が湧き上がることに。
「その「えー」っていう声は、そのくらい皆が楽しんでくれたからだと思うので(苦笑)、あらためてありがとうございます。(中略)こうして横浜アリーナという大それたステージに立てて、本当に良かったです。僕は自分の人生にはかなり満足してて、当たりクジをひいたなと思うんですよ。SRくらいはひいたかな、っていう感じがします(笑)。とにかく、超楽しかった!」
ラスボスを倒したうえで獲得した、SRとはこれいかに。かくして、本編最後はそらる自身が作詞・作曲を手掛けた「僕のヒーロー」が、これまた生オケの深い響きとともに我々へと供されたのだった。
そらる
だが、そらるの繰り広げる夢見るセカイにはまだ続きがあったのである。
「なんかね。自分の成長は全然ゆるやかなのに、ライブの会場ばっかり大きくなっていっているな、って感じている自分もいて。動画投稿とかを始めたことがキッカケで始まって、気が付いたらここまで来ちゃっていたんですよ。でも、それってその分だけまだまだ自分は成長出来るということでもあると思うんです。というか、少しずつでも成長出来たら良いなと思っているんですよ。もっともっとここから頑張って行くので、皆さんそんな僕をこれからも見守っていてください。本当に今日はありがとうございました!」
アンコールにて、再び舞台上へと現れたそらるはある種の真情を吐露しながら、この先に向けての展望をもはっきりと言葉にしてみせた。そのうえで、彼が最後の最後に歌い上げたのはこれまた自身の作詞・作曲による「夕溜まりのしおり」にほかならない。
産み落とされたばかりのたまごも、孵化直前のたまごも見た目そのものはそう変わらないものだが――この旅の間にそらるが大事に温めてきたたまごは、きっと孵化直前のところまで育ちあがったに違いない。この先、夢見るたまごが生み出すことになるであろう、新たなセカイ。その到来を、今は心待ちにしていたい。
取材・文=杉江由紀 撮影=小松陽祐(ODD JOB)、岡本麻衣
そらる
2017.11.25 横浜アリーナ
1. マキュリア
2. 捨て子のステラ
3. 染色
4. シャルル
5. グッドナイトフォール
6. 文学少年の憂鬱
7. ねえ、レイン
8. ビー玉の中の宇宙
9. 音のカイブツ
10. 時間は記憶を忘れない
11. 夢のまた夢
12. 四季折々に揺蕩いて
13. セーブフロムインベーダー
14. 彗星ハネムーン
15. 嘘つき魔女と灰色の虹
16. FirePit
17. 彗星列車のベルが鳴る
18. 僕のヒーロー
[ENCORE]
19. 夕溜まりのしおり
12月23日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
12月24日(日)OPEN 15:00 / START 16:00
■会場:神戸ワールド記念ホール
■開催日時:
12月26日(火)OPEN 17:00 / START 18:00
■会場:Zepp Nagoya
■開催日時:
12月27日(水)OPEN 16:00 / START 17:00
■会場:Zepp Osaka Bayside
■開催日時:
12月29日(金)OPEN 17:00 / START 18:00
■会場:Zepp Tokyo
■開催日時:
12月31日(日)OPEN 21:30 / START 22:30
■会場:TOKYO DOME CITY HALL
[出演]そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田