近未来の漂流者たちの群像劇で「今」に警鐘を鳴らす~Super Theater 小池博史ブリッジプロジェクト『2030世界漂流』
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2018年2月、Super Theater 小池博史ブリッジプロジェクト『2030世界漂流』が上演される。
小池博史は、2012年5月、パフォーミングアーツカンパニー「パパ・タラフマラ」の30年間の歴史に終止符を打ち、同年6月に「小池博史ブリッジプロジェクト」を発足させた。国内外問わず、人・文化・社会などあらゆるベクトルをつなぐ架け橋を造りながら、クリエイティブなネットワークを創出し、新しいプラットホームの形成を目指してきた。そんな彼が世界10か国で創作、40か国で上演を行い、国を越え文化を越えた共生と調和のあり方を問い続け、ジャンル × 国 ×時代を越えたアートを産み出す舞台空間として掲げた概念が「Super Theater」である。
今回、そのSuper Theater 小池博史ブリッジプロジェクトとして上演するのが『2030 世界漂流』である。ここにおいて新たに取り組むのは「近未来」という。「今」に警鐘を鳴らす完全オリジナル作品である。
舞台は 2030 年。紛争や迫害などで住んでいた地域を追われ、世界を漂流する登場人物たちの群像劇。元シルク・ドゥ・ソレイユでクラウンを演じ世界中を沸かせたフィリップ・エマール、インドを代表する若手女優、ムーンムーン・シンをはじめ、オペラ歌手、ダンサー、俳優など国を越えて様々なバックグラウンドを持つ総勢 13 名の出演者が集結する。
小池博史はこれまで世界中の様々なアーティストたち(インゴ・ギュンター(独)・メディア・アーティスト、ポール・ドレッシャー ( 米 )・音楽家、作曲家等々 ) と共にジャンルを越えた新たな舞台芸術を生み出してきた。今回の『2030 世界漂流』においても、雅楽演奏家でサックス奏者の太田豊や、ラッパー、ジャンベ奏者の下町兄弟などによる生演奏、浜井弘治の衣装、飯名尚人の映像により、ジャンルを越え五感に訴えかけるインスタレーション的舞台空間を創り上げる。
小池は今回の公演について次のように語る。「12年後、2030年はすぐ。だが時に時代は激烈に動く。今の世界の実情が私たちの実情にならない保証はどこにもなく、私たちは現実に足元をすくわれつつどう生きればいいか、探らなければならなくなる。世界は流動化し亡命者、難民はもとより、心の行き場を失う人々も増え続けよう。日本と同時に世界を見つめる視点が誰にも必要になった。希望はどこにあるか、それを見つめたい」
また、この公演に向けて各界著名人からも期待の声が寄せられている。
小池さんは古いものを現代に活かすことに成功しています。小池さんの作った「マハーバーラタ」をバンコクで観ましたが、きっと今後三十年、ひょっとしたらそれよりも遥か先まで、小池さんの作った「マハーバーラタ」を超える作品は生まれないかも知れないと思いました。しかし新作「2030 世界漂流」ではさらに素晴らしい作品を制作するとのこと。期待すると共に、成功を願っています。--アレックス・カー(東洋文化研究家・著述家)
前作『世界会議』を観た。歴史上の人物の魂が憑依したかのような身体は、強風に煽られながらけたたましく踊り、時に息を潜める。小池氏の舞台には大地にしっかり根を張れる身体でなければ立てないだろう。枯れても土中から水を吸上げる強さと、「今」をぎょろっと凝視できる眼を持つものでなければ務まらない。それでいてそれぞれ異なるバックラウンドの身体が舞台に集う。そこは世界会議そのものとなる。今我々が直面している課題を目前に据えながらも、誰も観たことがない舞台芸術に昇華させる演出手腕に敬服する。新作『世界漂流』では「難民問題」に小池氏独自の世界観で切り込んでいくという。見逃せない。 --森山開次(ダンサー・振付家)
公演は、2018年2月3日(土)~2月12日(月・祝)に吉祥寺シアターにて。
■日程:2018年2月3日(土)~2月12日(月・祝)
■会場:吉祥寺シアター
※上演予定時間は約85分です。(休憩なし)
■出演・振付:フィリップ・エマール ムーンムーン・シン 荒木亜矢子 谷口界 吉澤慎吾 青木賢治 甲斐美奈寿 日下麻彩 佐久間文恵 野瀬山瑞希 平多理恵子 福島梓 森ようこ (※吉澤慎吾の「吉」の字は正しくは土+口です)
■演奏:下町兄弟(ジャンベ・パーカッション)太田豊(横笛・サックス)祭美和(ボイス)
■作曲:太田豊 下町兄弟
■公式サイト:http://kikh.com/special/hyoryu