舞台『文豪ストレイドッグス』開幕、鳥越裕貴「舞台としての新たな魅力を伝えられたら」
『文豪ストレイドッグス』
現代風にキャラクター化した文豪たちが、架空の都市<ヨコハマ>で繰り広げる異能力を使ったアクションバトルを描いた大人気コミックス『文豪ストレイドッグス』を原作とした待望の舞台が2017年12月22日(金)より神奈川・KAAT神奈川芸術劇場にて開幕した。公演初日には、公開ゲネプロと囲み会見が行われ、鳥越裕貴、多和田秀弥、輝馬、橋本祥平、植田圭輔が公演への思いを語った。
『文豪ストレイドッグス』
2016年にTVアニメ化され、コミックスと合わせて大きな話題となった本作。新進気鋭の演出家・劇団「柿喰う客」の代表、中屋敷法仁を演出に迎え、舞台『弱虫ペダル』やミュージカル『刀剣乱舞』など数々の話題作に立て続けに出演する、鳥越を主役に舞台化される。
『文豪ストレイドッグス』
登場人物たちが使う異能力やバトルシーンをどう描くかなど、舞台化が決定して以降、その演出方法に注目が集まった本作だが、ゲネプロでそのステージに広がっていたのは、“演劇らしい”演出に溢れた世界だった。
『文豪ストレイドッグス』
昨今の舞台作品では、映像によって表現する手法がとられることが多い。しかし、本作では、アンサンブルが黒子の役割も果たし、観客は想像力を使ってその世界観を完結させる。アンサンブルは川になり、小道具を届ける黒子にもなるのだ。とはいえ、もちろん、この作品は2.5次元舞台。演出方法がどうということを考えるまでもなく、文豪たちが作り出す世界観にどっぷりと浸かって、ただただハラハラドキドキするようなバトルを楽しむことができる作品である。特に、迫力満点のアクションシーンがあり、シリアスで、それでいて笑いたっぷりの物語は、原作ファンも納得の作品となっていることだろう。
『文豪ストレイドッグス』
ゲネプロ後に行われた会見で、中島敦役の鳥越は「文豪の愛を全力でみんなでぶつけて、舞台『文豪ストレイドッグス』として新たな魅力を伝えられたらと思います」と意気込み、本作の見どころを「敦の成長をぜひ見ていただけたら」と語った。
『文豪ストレイドッグス』
一方、太宰治役の多和田は「みんなが愛を注いで一生懸命やっているので、きっと“文スト”のファンの方にも、その愛が届くと思います。僕たちとお客さんとで新しい一歩を踏み出せたらと思っています」とアピールし、「太宰治は、登場人物それぞれから、いろいろな思いをぶつけられるキャラクターなので、そのモテ具合を楽しんでいただけたら。そして、自殺愛好者という役柄なので、どんな自殺方法をするのかも見てもらえたら」と話した。
『文豪ストレイドッグス』
また、国木田独歩役の輝馬は「お客さまの予想をいい意味で裏切って、想像以上のものを作っていきたいと思います」、芥川龍之介役の橋本は「この作品がみんな大好きで、このおもしろい作品を早くみなさんに見ていただきたいと思っています。ポートマフィアとして、全力で武装探偵社を叩きのめしにいきたいと思います!」と意気込みを語った。
『文豪ストレイドッグス』
また、中原中也役の植田は「この作品を舞台化するにあたって、どう表現するんだろうと思っていることが多々あると思いますが、いい意味で裏切っていけると思います」と自信をのぞかせる。そして、「(この作品で)“ちびかっこいい”というジャンルを世間に広めようかなと思っています。中原中也は本当にかっこいい男だということを伝えて、“ちびかっこいい”を広めたい!」と“ちびかっこいい”を連呼してアピールした。
『文豪ストレイドッグス』
囲み取材では、誰かがボケるとすぐに鳥越がすぐさま突っ込み、笑いあふれる会話で盛り上げてくれたキャストたち。鳥越は「ボケばっかりなんで、突っ込みの人間としては、稽古中からどんどん突っ込んで、和やかにしてきました」と笑う。この日のゲネプロ前には、舞台袖で、キャスト全員でそれぞれ、好きな言葉を叫んで気合いを入れたというエピソードも聞かれた。多くのキャストが「うぇい~」「ああ~」などの雄叫びをあげたようだが、その中で一人、植田は「橋本祥平!」と叫んだことを明かし、会場は爆笑に包まれた。
『文豪ストレイドッグス』
最後に鳥越は「これでお客さんが入れば、お客さんの力も借りて、よりマシマシでこの作品を届けられるんじゃないかと思っています」とゲネプロの手応えを語り、「お客さんの愛を、僕らの愛でマシマシで返せるようにしたいと思っています。劇場に来て『演劇』を体感していただけたらと思います」とファンへメッセージを贈った。
『文豪ストレイドッグス』
取材・文・撮影=嶋田真己
■公演日時・会場
2017年12月22日(金)~12月24日(日) 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場
2018年1月12日(金)・1月13日(土) 大阪・森ノ宮ピロティホール
2018年1月31日(水)~2月4日(日) 東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
■作:御笠ノ忠次
■演出:中屋敷法仁
■出演
中島敦:鳥越裕貴
太宰治:多和田秀弥
国木田独歩:輝馬
江戸川乱歩:長江崚行
谷崎潤一郎:桑野晃輔
宮沢賢治:堀之内仁
与謝野晶子:今村美歩
谷崎ナオミ:齋藤明里
芥川龍之介:橋本祥平
梶井基次郎:正木航平
泉鏡花:桑江咲菜
樋口一葉:平田裕香
中原中也:植田圭輔
■公式サイト:http://bungo-stage.com/