五木ひろしインタビュー~「明治座」公演に向けて
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五木ひろし (撮影 田中聖太郎)
劇場界隈は歴史ある町。僕らの公演、美味しい物やお土産探し、町歩き、一日たっぷり楽しんで下さい。
劇場公演5000回を突破した五木ひろしが坂本冬美を特別出演ゲストに迎え、2018年2月23日から 3月29日まで東京・明治座で座長公演を行う。坂本とは、いきものがかりの水野良樹が作詞作曲を手がけたデュエットの新曲も披露。公演のみどころと幅広い年代の人が劇場公演を楽しむためのコツを五木に聞いた。
--46年間、途切れることなく劇場公演を続け5000回を突破。坂本さんからは「次は5555回を目指して」と言われていますね。今回は第一部がお芝居「紺屋と高尾」、第二部が歌の「ビッグショー」。「紺屋と高尾」は落語を題材にした作品です。この演目を選ばれた理由は。
このお芝居の主人公は、生まれて初めて花魁道中を見て、きれいな高尾太夫に一目ぼれして恋の病に落ちてしまう職人です。もう一度会いたい一心で必死に働く。昭和の名優、松竹新喜劇の藤山寛美さんが長く演じたお芝居で、僕が演じさせていただくのは二回目です。泣いて笑ってわかりやすい。どんな世代の方にも楽しんでいただけるいい話だと思って選びました。
--ズッコケたり気弱だったりする主人公は、ステージでの熱唱する五木さんとは、かなりイメージが違います。「五木さんが喜劇?」と思われる方も多いかもしれませんね。
初演のときは、“歌手五木ひろしの世界”とのあまりの違いにお客様は驚き、同時に喜んでいただきました。僕は劇場公演では、シリアスな作品も喜劇も両方やりたいと思っています。特に喜劇は、三木のり平先生から直々に江戸前の笑いをたっぷり教え込まれ、関西では藤山寛美さんともご縁をいただいて、作品をやらせていただいている。関東、関西、両方制覇したいと頑張ってきました。歌番組でしか僕を見たことがない方には、そのギャップを楽しんでもらいたい。それに今回は冬美ちゃんの高尾太夫の美しさはすごいですから! 一瞬で恋の病に落ちるのもよくわかります(笑)
--お芝居の後は、五木さん構成・演出による「ビッグショー」。一月発売の新曲「恋歌酒場」は阿久悠さん作詞作品、坂本さんとのデュエット新曲は、いきものがかりの水野良樹さん作詞作曲作品と松井五郎さん作詞・水野さん作曲の二曲。発売前から注目されています。
「恋歌酒場」は阿久さんの未発表詞に徳久広司さんに作曲をお願いしました。三拍子でとても歌いやすい。ステキな曲です。カラオケにもぴったりだと思います。僕がプロデュースしたデュエット曲は、さすが水野さんらしい新しい発想と若さがあります。詞ひとつみても「お前とおれ」ではなく「君と僕」。この言葉だけでも新鮮でしたね。冬美ちゃんの「また君に恋してる」の作詞家松井五郎さんは、今回もとてもいい曲を書いてくれました。ぜひ、劇場でライブで聴いていただきたいですね。
--明治座に初めて足を運ぶお客様も多いと思います。座長として、劇場公演の楽しむコツがあれば。
長く愛される作品は、初めてご覧になっても絶対、そのよさが伝わります。ご夫婦、ご友人、若い方はご両親を誘って、シニアの方はお子さんを誘っていただいてもいい。劇場周辺は江戸時代から続く芝居町で、美味しいお店もたくさんあります。明治座での僕らの公演を中心に、町歩き、美味しい物やお土産探し、一日たっぷり楽しんでください。家に帰ってからもいい思い出として残ると思いますよ。
--公演中、3月14日のホワイトデーにお誕生日を迎えられる五木さん。古稀とは思えない若々しさです!
冬美ちゃんは、元気過ぎる僕のことを「超人」て言うんですよ(笑)。古稀というと、確かに還暦のときとは重みが違いますね。ただ、僕は実年齢と実際に自分が感じる体力や声は少し違うと思います。だいたい八掛けくらいかな。70歳でも56歳から50歳過ぎくらいの感覚ですね。僕が思うに70歳くらいから、バリバリ元気でいく人と少しくたびれてくる人と道が分かれるような気がします。ここで頑張らないと。気を引き締めています。
--体感年齢八掛けの法則とは、まさに「超人」! お芝居や歌だけでなく、ピアノやサックス、津軽三味線などさまざまな楽器も見事に演奏する五木さんの公演を見て「元気になる」というお客様が多いのも納得です。
今回も35日間に46公演。稽古も入れるとほぼ二か月。日々大変ですし、責任は重いです。でも、大変なら大変なほど、無事終わったときの達成感はたまらない。僕は基本的に楽しくなければ仕事じゃないと思う。楽器の練習も、30歳のときから、ずっと楽しみながら続けてきました。どんなに忙しくても、一日一時間、30分くらいは使えます。毎日一時間、一年続けたら365時間、十年続けたら3650時間ですからね。根気と「ここまでやるぞ」と目標を持って続ければ、必ず自分のためになる。今回の公演でもお芝居に歌に、僕の新しい一歩をお見せします。ご期待ください。
インタビュアー:ペリー荻野
■会場:明治座
■演目:
<第一部>松竹新喜劇十八番より 紺屋と高尾
口演:一竜斎貞丈
脚本:平戸敬二
補綴・演出:浅香哲哉
監修:渋谷天外
出演:
五木ひろし 坂本冬美
藤山扇治郎 曽我廼家寬太郎 曽我廼家八十吉 森山愛子
高田次郎 大津嶺子 井上惠美子 いま寛大
<第二部>ビッグショー
構成・演出:松園明
■公式サイト:http://www.meijiza.co.jp/lineup/2018/02/