SUGIZOインタビュー かつて絶望の涯にいたロックスターが最新作で光の涯を描けるようになるまで

2018.1.22
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音楽

SUGIZO

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2017年大晦日に放送された国民的音楽番組。その画面の向こうで、LUNA SEAとX JAPANという一つの時代を築き上げたビッグネームのロックバンドのギタリストを兼任するSUGIZOは、まぎれもなく誰もが羨むロックスターだった。そんなSUGIZOでさえ、その裏には人生のドン底や絶望感、孤独感にさいなまれていた時期があった。かつて絶望の涯にいたSUGIZOが、最新ソロアルバム『ONENESS M』で光の涯を描けるようになるまで……。そのプロセスをこの作品から辿っていく。

――ソロアルバム『ONENESS M』に続いて、LUNA SEAのニューアルバム『LUV』が発売されたいまだからこそ聞きたいことがあるんです。まず、ソロの『ONENESS M』は「光の涯 feat.MORRIE」という柔らかな光と天使たちに包み込まれていくような至福感に満ちたエンディングが用意されていて。もう一方のLUNA SEAの『LUV』は、SUGIZOさん原曲の「BLACK AND BLUE」で、天使たちとともに勇敢に光降る場所へと進んでいくようなエンディングが用意されていた。このどちらも、その根底にはポジティヴな光が感じられるんですよ。それが、いまのSUGIZOさんのテンション感ということなんでしょうか?

意図はしていなかったんですけど、いい意味で、前回の(ソロ作品)『音』で闇を吐き出したからかもしれないですね。あのときは“自分の中にたまったネガティヴを吐き出そう”というコンセプトだったので。あのとき自分がグッチャグチャになってしまえ、と思う存分解放して、発狂したように音楽と向かい合っていたら、ああいう作品が生まれた。それが、自分を多少なりとも浄化してくれたのかなと思っているんです、いまはね。だから、意図してないんです。今回、光に向かったものを作ろうとか、未来に対するポジティヴなものをとか。いまの自分が自然にできることを、本当に自然に綴ってるだけなんですよね。とくに、今回は両方ともそう。

――ソロもLUNA SEAもそういうモードでの創作だったと。

ええ。本当にたまたまなんですけど、『ONENESS M』とLUNA SEAのアルバムが同時進行だった訳。ずっと。

――昨年の夏にお会いしたときも、並行してしてレコーディングされてましたもんね?

そう。同じ日に同じスタジオで、ここまではソロ、ここからはLUNA SEAの作業ってやってた日もあったから。だから、ギターサウンドとかはかなり近いんですよ。システムも近いし、スタッフも同じだし。そこに、プラスX JAPANも入ってくるもんだから、夏はその3つのプロジェクトを同時進行というありえない状況だったんですよね。

――SUGIZOさんのハードワーカーっぷりは、もう聞き慣れてますんで(微笑)。

でもRYU(RYUICHI)も凄かったんですよ。『LUV』のレコーディングしながら、『ONENESS M』の「永遠 feat.RYUICHI」も一緒に録ってくれていましたから。それをしながら彼はソロのツアーもやってましたからね。みんな去年の夏はそういう状況だったんですよ。LUNA SEAは。

――RYUICHIさんを始め『ONENESS M』は10人のシンガーをフィーチャリングした、いわばヴォーカルアルバムだったじゃないですか? なぜ本作ではシンガーに歌ってもらおうと思ったんですか?

むしろ逆です。何年も前からヴォーカリストを招いてフィーチャリング作品を作りたいなというのは、おぼろげながら思っていたんです。僕の周りには超絶シンガーがすでにたくさんいたので。一番身近にはRYUICHIとToshl(X JAPAN)さんという日本屈指の世界に誇れるシンガーがいて、身近な後輩にはTERUGLAY)やちゃん(DIR EN GREY)がいて、敬愛する先輩にはMORRIEさん(DEAD END/Creature Creature)がいる。違う畑なんだけど、意気投合しているTOSHI-LOW(BRAHMAN)君やK Dub(Shine)さんもいる。なかなかこういうつながりも稀有なものだなと思うので、それを作品化したら面白いんじゃないかなと思っていたんです。漠然と。

――なるほど。

なんですけど、僕の(ソロの)音楽の主軸はインストゥルメンタル作品ですからね。より実験的なもの、よりアンダーグラウンドなもの、よりアート方向で、よりプリミティヴな電子音響作品を作ってきたつもりだし、これからもそうでいたい。だから、今回出した作品を唐突にリリースしたとしても、自分のなかでは脈略が合わないんですね。なので、ちょうどソロ活動20周年ということで、20周年の企画アルバムにできたらと考えたんです。この作品はこういう節目だからこそできたお祭り的な企画作品。僕のなかでは、そういう位置づけなんですね。

――だから、『ONENESS M』はこれまでのSUGIZO作品とは一線を画した作品かと思いきや、サウンドのテクスチャーは『音』以降のいまのSUGIZOさんだと思ったんですが。

それは嬉しいですね。僕がいろいろ実験をしまくった『音』と今作で大きく違うのは、前回は変拍子がメインで今回は変拍子が少ない。それぐらい。あとは、おっしゃっていただいた通り、僕のなかでは地続きで。今作のヴォーカレス・インスト・アルバム(初回限定盤特典CD)を聴くと、『音』と繋がってるのが分かると思います。今回は歌ものだから、自然とギターで作る曲が多かったんですよ。なので、前回は主となる楽器の割合でいうと、7割がシンセで3割がギターだったんだけど、今回は7割がギターで3割がシンセ。そういう違いはあれど、その使い方やアプローチ、自分のこだわりは前作となんら変わらないので、音の質感、世界観はまさに地続きになっていると思います。

――ですよね。なのに、そこにシンガーがフィーチャリングされたとたんに『音』とは違って、本作はパーンと間口が広がった楽曲に変化する。

それは、今回参加してくれたヴォーカリストたちが素晴らしいからです。すごい人たちが集まってるから。その人の声がひと言入るだけで、その人の世界に一瞬で持っていく。全員に対して感服しました。

――だから、これだけ実験色の強いSUGIZOサウンドを“歌もの”という印象に変えることができた訳ですね?

ええ。その大前提として、僕がすごく大好きで尊敬するシンガー。“この人はすごい!”と思う人だけとやりたかった。そうじゃない人とはもうやりたくない。この人はすごいと思う人と一緒にお手合わせしてみたら、やっぱり素晴らしかったですよ。だから、これは僕の作品ではあるけれども、ある意味一人ひとりのシンガーのポテンシャルを最大まで発揮してもらうことが、僕の一番の理想でもありました。

 

――それぞれのシンガーたちをプロデュースしていくという視点も今回はあった訳ですね。

そうです。プロデューサー、コンポーザー、サウンドクリエイターという視点に立った作品です。そうして、それぞれのシンガーがポテンシャルを本当に発揮してくれたとき、また新しい化学反応が生まれるんですよ。そこでまた、SUGIZO というアーティストとのケミストリーが生まれて、自分が想像もしていなかった次元に音楽が向かっていく。今回は、ほぼ全曲でそれが起きましたね。なので、僕はただ流れに身を任せていただけ。

――計算して設計図を作って、化学変化を起こすんじゃなく。

宇宙の流れに身を任せる。そのためにも設計図は作りすぎない。LUNA SEAも近年はそう。作りすぎない。最初に理想のイメージを。

――とくに『LUV』は、そこがダイレクトに伝わってきた作品でした。

だから、とっても自由にやってます。

――『ONENESS M』も自由にやってもらったんですか?

表現に関しては自由にやってもらいましたけど、詞のコンセプトは細かく打ち合わせをしたり。メロは99%僕のものがあったので、それをお渡しているので。そこに添いながら、各々が自分の表現をしてくれた感じです。そのなかでも、特に清春とTERUの楽曲に関しては僕が以前に書いたものなので、僕のメロディと僕の詞のなかで、シンガーとしてのポテンシャルを2人は存分に発揮してくれた訳ですよ。どんな状況でも彼らはシンガーとして自分のポテンシャルを発揮できるんですね。流石としか言いようがありません。

――「巡り逢えるなら feat.TERU」は、SUGIZOさんが絶望のなかをさまよっていた頃の曲じゃないですか? でも、それをTERUさんが歌うと、絶望が絶望じゃなくなるというか。

そこがTERUはすごいんですよ。どんなネガティヴでも、彼を通すと光に変えてしまう。そんな魔力を彼は持っている。GLAYGLAYとして、なぜ国民的なバンドとして君臨していられるのか。それは、TERUの存在が大きいよね。やっぱり、勇気をもらうもん。彼の声からは。

――もらいますね。

だからこそ、この曲をあえて入れたかったの。僕の最悪にネガティヴで絶望の言葉を、彼が歌うことによって光に昇華してくれるんじゃないかって目論んだら、その通り。それ以上になりました。あれは、僕が最も絶望していた時期。究極の疎外感や孤独感を感じていた頃に生まれた曲なんですね。でも、その感覚をいま持ってる人たちって、少なくないと思うんです。イジメのなかにいる人、貧困のなかにいる人、もしくはなんらかの障害に苦しんでいる人、施設の子供たちや難民の人たち。そういう苦しい状況に苛まれている人たちは少なくないと思うの。そこに、TERUのエネルギーは届くはずだと思ったんですよね。

――どんなにいま苦しい状況にあったとしても、光はあるんだということを、TERUさんに歌ってもらうことで、みんなにメッセージしたかった。

そうですね。だって、どんな状況であったとしても、光は感じられるでしょ? 例えば、お金がないという絶望があったとする。そのとき、明日億万長者になれる訳じゃないけど、100円拾ったとしたら、それを光に感じるじゃないですか。お腹が空いてなにも食べるものがないとき、キャベツを見つけたらそれだけで救われる。そういうことだと思う。だから、必要以上に多くを求めるべきじゃないんじゃないかな。

――人間は。

うん。そうすれば、真っ暗な世界にいたとしても、一瞬光が差しただけで、その光を強く感じることができるだろうし。もちろん、最上級の光を求めてはきたよ?

――SUGIZOさんも多くを求めていた時期はあったと。

だけど、この10年ぐらいは、僕はね、多くを求めてないんですよね。多くを求めず、でも一歩一歩を粛々と感謝を持って生きる。自分のやるべきことをちゃんと進めていたら、気がついたらいまここにいるという感じですかね。だから、少なくともいまは絶望はしていない。でも、だからといって当然100%満たされてる訳ではない。恐らくロックフェラーだって満たされてないはず。数100兆円の資産を持ち得ている人ですらね。人間ってそういうものだと思うから。人間は常に満たされていなくて、逆に常に“いま”が完璧なんだと思う。そう思って、いまを生きています。

――でも、満たされていないことにもがき苦しむこともありますよね?

もがくことをネガティヴにとらえると、絶望している、苦しんでいるとなるけど。僕はそれをいまはポジティヴにとらえていて。もがくこと=学びと考えてるんです。

――もがくことが?

ええ。例えば僕は常に自分のクオリティー、自分のスキル、自分の能力に満足ができない。もしくは、そこに落胆して苛立っている。なんとかもがいてこの上にいきたいって気持ちになる。そこで結局なにをするかっていうと、自分を磨くしかないですからね。もがくっていうのは、実は自分磨きということなんだなと思いますよ。いまはね。たしかに絶望していた時期。だいたい2003年から2006年ぐらいが僕の人生のドン底だったんですけど。その頃、精神状態や経済的な状態や人間関係は最悪だったんですけど。そこでたまたま自分が選んだチョイスがよかったんだと思う。僕がそのとき、何を選んだかっていうと、ひたすら勉強したんですよ。

――音楽ではなくて、勉強ですか?

うん。いましかできないと思って。お金はないけど時間はあったからね(苦笑)。ひたすら本を読むとか。そのときに始めた格闘技も、いまとなっては重要な自分の一部になっていますし。そのときは特に精神性、スピリチュアルなことを学んでいたんだけど。同時に、僕の場合はエネルギーを中心とした環境活動、市民活動をすごくやっていた時期で。人からどんどん求められなくなったりとか、人がどんどん離れていったりとか、経済的にも苦しい時期だったのに、なぜか社会のために活動していると自分が満ちていったんですよね。

――(黙ってうなずく)。

人から求められてないから、どこにでもふらっと行ける訳ですよ。そこでいろんな勉強会やシンポジウム、イベントに行って市民活動、環境、エネルギー、難民、多くの勉強をした。最初の1~2年は本当にお客として行ってたんだけど、だんだん素性がバレて。「今度出てください」といわれて、シンポジウムに出るようになったんですけど。

――いまSUGIZOさんが環境問題、再生エネルギーなどをテーマに掲げたシンポジウムにパネラーとして出席されているのは、それがきっかけだったんですか?

そう思いますね。なので、どんなに絶望の時期にあっても、その時期だからこそできることがある。それを僕はうまく活用させてもらった感じです。

SUGIZO

やるべきことをやり遂げてからこの世を去るときは、すべてから祝福されると信じてる。先に向こうにいった何十人もの大切な仲間が迎えてくれるはずなんだよね。“お前よくやったぞ!! ”って抱きしめてもらいたいんだよ。

―じゃあ、そんなSUGIZOさんがいま絶望のどん底にいる人たちに伝えられることというと?

絶望の時期でも、さっきの100円拾った話じゃないけど、なにかしらのちょっとした幸せは絶対にある。そういった幸せの集積が、本当の幸福であったする。小さなことの積み重ねが大事ってことじゃないかな。僕の場合は、絶望の時期に勉強をして、自分が知らなかったことを学んだり発見したとき、すごく達成感がありましたよ。もう一つ思ったのは、そういう時期というのは、自分が本当に究極の孤独感や疎外感にさいなまれている訳ですよ。誰も自分を求めていない、必要とされていないという気持ちになるのね。でも、考えてみたら絶対にそんなことはない。どんな人でも、誰かから必要とされているし、存在を祝福されているんですよ、必ず。それを伝えたい。僕の場合は娘がいたので、最悪な時期でも娘は僕がいないと生きていけない訳だから。クタばる訳にはいかなかった。誰かから求められているという事実は、すごく自分の糧になりましたよね。必ず、かならず一人じゃないから。誰かが身の回りにいる。友だちとか、親とか。どんな状況であれ誰かに求められているんです。

――なんか、いまのお話がすべて「光の涯 feat.MORRIE」の音像につながっていきました。

それは光栄です。この曲は1stアルバム(『TRUTH?』)の最後に入れた「LUNA」と地続きなんですよ。あの作品のアンサーソング、ネクストフェイズという気持ちで作った曲なので、楽器の構成、持っていきかたもすごく似ている。それをもっとも尊敬するMORRIEさんに歌って欲しかった。詞のイメージ、コンセプトをすごく話したら、素晴らしい言葉で表現してくれて。本当に感謝しかありません。「LUNA」という曲は、当時1歳だった僕の娘に歌った曲なので、誕生をテーマに、その喜びや祝福や初めて孤独から自分が救われたという本当の自分の心の声を歌った曲でね。歌唱力に難はありますが(苦笑)、いい言葉を綴ったなと思っていて。今回は、そのネクストフェイズで、究極の祝福の歌。究極の祝福は、僕は“死”であると思ってるのね。

――えっ? 祝福が死とどうつながるんですか?

僕はね、やるべきことをやり遂げてから、この世を去るときというのは、すべてから祝福されると信じてるの。やり遂げてからですよ? やり遂げないでそこから逃げちゃいかんと思ってるので。だから究極の祝福=自分が旅立つ歌。そこをイメージして作りました。

なにかをやり遂げるために我々はここにいる訳だから。それを最後まで全うしないと、次のステップにはいけない。それを最後まで全うして次のステップに行くときは、祝福を受けるけど、全うしないで行っちゃったらお仕置きを食らっちゃうよね。「ふざけるな」って。僕の場合は、あまりにも多く大切な人が先に向こうに行っているので、いつでも早く向こうに行きたいんだけどね。イメージして下さい。山の山頂に最後に登るとき。先に登った自分の親友とか身内、みんなが最後の最後に自分の手をぎゅっと引っ張ってくれて、それで山の頂上にたどりついて感動する感じを。僕にとって、死とはそういうことで。僕が向こうに行くときは、先に向こうにいった何十人もの大切な仲間が僕を迎えてくれるはずなんだよね。それは感動すると思うよ。

――そこで感動するためには、現世でやるべきことをちゃんとやり遂げなきゃいけない。

“ここまで俺はやってきたぞ!” “どうよ!”っていえるまでね。それで“お前よくやったぞ!! ”って抱きしめてもらいたいんだよね。みんなに(微笑)。

――なるほど。やるべきことをやり遂げるという意味では、2017年のSUGIZOさんはソロ、LUNA SEA、XJAPANに加え、映画のサントラ『TOKYO DECIBELS~ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK~』までやり遂げましたけど。時間が足りないよって思うときはないんですか?

常に足りないですよ。時間は、自分で時間の概念をコントロールして作り出すんですよ。僕はこれだけ忙しくても『ブレードランナー2049』を観に行ってますし。10回は観たいんだけど、いまのところまだ6回で(※取材は2017年12月28日)。要は、自分でどう時間を設定するか。結局僕の場合、寝ることを削るしかないので。例えば移動中に眠りますね。自分で運転してるとそれは無理だから、お金を払ってでも誰かに運転してもらって、そこで時間を生み出して眠る時間を確保する。あとは、常に燃えたぎってることですよね。作りたいものがある、やりたいことがある、観たいものがある、聴きたいものがある、読みたいものがある。だとしたら、そこで欲するものがそのときの自分の栄養源になる。それが、その瞬間が生きる糧になってくれる。“『ブレードランナー2049』を観に行きたい”っていうのがあれば、レコーディング頑張るし(笑)。

――そこで“観たいけど、疲れたから寝よう”とはならないんですか?

ならない。いつも疲れてるから、これだけ忙しくても2日間ぐらい急にパッと休んで温泉行ったりするし。やるときはものすごい集中して走って、休むときはパタッと休む。人ってね、そうやって休むために走ってるんです。そして走るために休む。そのメリハリだと思います。

――LUNA SEAにしてもX JAPANにしてもサウンドプロデュースという部分を担っているSUGIZOさん、人一倍時間的にもとられちゃう訳じゃないですか? なんで俺だけこんなに忙しいんだってイラっとするときはないんですか?

全くしないですね。ずっとスタジオに籠って音の実験しているのが好きなので。僕の場合はプロデューサー資質なんで、じゅくじゅくじゅくじゅく作り続ける。それが好きなんです。僕の作り方は彫刻家とか画家だと思っていて。画家といっても油絵ね。ずっとじゅくじゅくじゅくじゅく色を重ねてイジってるの。

――それが楽しい。

そうやっていくと、また新しいなにかが見えるの。真矢やRYUやPATAさんタイプの人はね、逆に書道家のよう。一発書いたらそれがOKっていうタイプ。そういう資質の違う人たちが1つのグループにいて。その特性が、レコーディング作業のプロセスに表れてるっていことだけですよ。

――そうして、SUGIZOさんはスタジオで粛々といまできることをやるだけ。

そう。「時間がないからもういいや」って端折らない。「こうしたいけどこんなもんで済ませよう」とは絶対にならない。でも「もうここまでしか待てません」ってなったら「じゃあここまでか!」と、そこで諦める。作品なんて、すべて諦めでできてますからね。本当はもっと追求したかったけど「ここがタイムリミットです」「デッドラインです」というので諦めてストップしたものが作品化される訳ですから。ほとんどすべてがそうです。

――けれども、そのタイムリミットがくるまでは。

やるべきことは絶対に端折らない。そうやってやっていくと、近年はなんとかうまくいってますね。大事なことは、すべての一つひとつの自分の行ないを精魂込めてやることと、感謝を込めてやること。

――分かりました。では最後に2018年、SUGIZOが思い描いているビジョンがあったら聞かせてください。

毎年いってるんですけど、2017年は本当に死ぬほど忙しかったので、2018年こそちょっと緩くしたいです。時間の流れを。2018年は自分の時間として吸収する時間、学ぶ時間をメインにとりたい。春まではLUNA SEAのツアーがありますし、『LUNATIC FEST』もあるので忙しいと思うんですけれども。ツアーは週末なので、ウィークデーは自分の学びの時間をとりたいな。あー、でも2月は舞台(辻仁成が手がける舞台『99才まで生きたあかんぼう』の音楽を担当)がありました。そしてまだまだリリースしたい作品がありますね。まずずっと進めてきた『音』のリミックスアルバム『SWITCHED-ON OTO』を春前にリリースします。次に10年前に出した『COSMOSCAPE』という僕の10周年を記念したベストアルバムがあるんですけど、次の10年をまとめた『COSMOSCAPE II』を出したいと思っています。それをこれから動き始めようと思います。あとは、モジュラーシンセサイザー・アーティストのHATAKENさんと意気投合していて2人でデュオを始めたので、それを今年後半には作品化したいです。そっちは分かかりやすくいうと、(ロバート・)フリップ&(ブライアン・)イーノ的な。

――ソロ以上に、さらに過激な実験が楽しめそうなプロジェクトじゃないですか(微笑)。

ねっ! やっぱりこっちですから。僕は。ロックスターは向いてないんですよね。本質的には。

――全然、バリバリのロックスターですけどね。パブリックイメージは。

もう、いっぱいいっぱいです。そっちは。スタジオに好きなだけこもりたいです。人前に出ることが、実は本当に苦手なんですよ。ずっと昔からいってるでしょ?

――ええ。そこは変わらないですもんね。

本当に……。僕は、ものすごーくエネルギーを消耗するの、人のエネルギーを浴びるってことが。もちろん本当にありがたいことですし素晴らしいことなんですよ? でも、半分命削ってるというか。やるべきことがあってこの立場にいさせていただいてる訳ですから、すべてを感謝の念を持って受け入れています。でも、非常に自分には元来ないなにかを無理やり奮い立たせてやっているのも事実で。じつは、静かーに本だけ読んでいたいんです。本当は(微笑)。読みたい本が溜まってるんですよ。

――どんな分野の本なんですか?

2018年は僕がSF文学にハマって25周年なんで、ハヤカワ文庫を読みあさりたいんです。あと、フランク・ザッパにハマって30周年なんで、ザッパイヤーにもしたいし(笑)。

取材・文=東條祥恵
 

 
SUGIZOリリース情報
アルバム『ONENESS M』

SUGIZO

2017年11月29日発売
【初回生産限定盤】UICZ-9099 金額:10,800円(税込)
2CD(SHM-CD)+Photo Book+三方背ケース
[CD1:フィーチャリング・ヴォーカル・アルバム]
[CD2:CD1のヴォーカルレス・インスト・アルバム]
[Photo Book:撮り下ろし写真集+ライナーノーツで約100P]

【通常盤】UICZ-4411 金額:3,240円(税込)
[CD(SHM-CD):フィーチャリング・ヴォーカル・アルバム]

<収録曲>
01. 永遠 feat.RYUICHI
02. Daniela feat.Yoohei Kawakami
03. 絶彩 feat.京
04. Rebellmusik feat.K Dub Shine
05. 巡り逢えるなら feat.TERU
06. PHOENIX~HINOTORI~ feat.Toshl
07. Garcia feat.TOSHI-LOW
08. 感情漂流 feat.辻仁成
09. VOICE feat.清春
10. 光の涯 feat.MORRIE

 

LUNA SEA情報
アルバム『LUV』
発売中
■初回限定盤
最新MUSIC VIDEO 2曲とメイキング映像を収録したDVD付属の初回限定盤!
【価格】¥3,980(税別) 【品番】UPCH-7373
※スペシャルスリーブケース仕様
※(CD) 9th ALBUM 「LUV」
※(DVD) 「Limit」MUSIC VIDEO+「Hold You Down」MUSIC VIDEO&メイキング映像
■通常盤
オリジナルアルバムのみ収録の通常盤
【価格】¥3,000(税別) 【品番】UPCH-2144
※(CD) 9th ALBUM 「LUV」
アルバム「LUV」特設サイト:http://sp.universal-music.co.jp/lunasea/luv/

 
LUNA SEA LIVE TOUR 2018 
The LUV -World left behind- 

1月27日(土) [千葉] 森のホール21 17:00/18:00 (問)キョードー東京:0570-550-799
1月28日(日) [千葉] 森のホール21 15:00/16:00 (問)キョードー東京:0570-550-799
2月3日(土) [神奈川] カルッツかわさき 17:00/18:00 (問)キョードー東京:0570-550-799
2月4日(日) [神奈川] カルッツかわさき 15:00/16:00 (問)キョードー東京:0570-550-799
2月10日(土) [愛知] 名古屋国際会議場センチュリーホール 17:00/18:00 (問)サンデーフォークプロモーション:052-320-9100
2月11日(日) [愛知] 名古屋国際会議場センチュリーホール 15:00/16:00 (問)サンデーフォークプロモーション:052-320-9100
2月24日(土) [宮城] 仙台サンプラザホール 17:00/18:00 (問)キョードー東北:022-217-7788
2月25日(日) [宮城] 仙台サンプラザホール 15:00/16:00 (問)キョードー東北:022-217-7788
3月3日(土) [石川] 本多の森ホール 17:00/18:00 (問)FOB金沢:076-232-2424
3月4日(日) [石川] 本多の森ホール 15:00/16:00 (問)FOB金沢:076-232-2424
3月10日(土) [茨城] 茨城県立県民文化センター 17:00/18:00 (問)キョードー東京:0570-550-799
3月11日(日) [茨城] 茨城県立県民文化センター 15:00/16:00 (問)キョードー東京:0570-550-799
3月17日(土) [広島] 上野学園ホール 17:00/18:00 (問)HIGHERSELF:082-545-0082
3月18日(日) [広島] 上野学園ホール 15:00/16:00 (問)HIGHERSELF:082-545-0082
3月24日(土) [大阪] フェスティバルホール 17:00/18:00 (問)キョードーインフォメーション:0570-200-888
3月25日(日) [大阪] フェスティバルホール 15:00/16:00 (問)キョードーインフォメーション:0570-200-888
3月31日(土) [福岡] 福岡サンパレス 17:00/18:00 (問)キョードー西日本:092-714-0159
4月1日(日) [福岡] 福岡サンパレス 15:00/16:00 (問)キョードー西日本:092-714-0159
■LUNA SEAオフィシャルサイト:http://www.lunasea.jp/
 
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