崎山つばさ×Chiyu『御茶ノ水ロック』対談 「新しいライブの楽しみ方が生まれる空間になるかもしれない」

2018.2.11
インタビュー
音楽
舞台

崎山つばさ×Chiyu 撮影=髙村直希

画像を全て表示(15件)

TVドラマ×舞台×漫画×小説というメディアミックス展開で話題を呼ぶ御茶ノ水ロック』(通称“おちゃろく”)。現在、テレビではDYDARABOTCHとThe DIE is CASTという2つのバンドが熱い青春を繰り広げているこの物語が、3月30日からはそのステージをAiiA 2.5Theater Tokyoへと変えて『御茶ノ水ロック-THE LIVE STAGE-』として舞台化。舞台ではキャストが演じるバンドが見せる生演奏も見どころとなる。SPICEでは、The DIE is CASTのリーダー兼ボーカリストであるSHOこと逢坂翔平役の崎山つばさと、同バンドのベーシストであるKO-TAこと吉原公太役の元SuGのChiyuを招いて『御茶ノ水ロック』の魅力を役者目線、ミュージシャン目線からたっぷりと語ってもらった。


――すでにプライベートでも食事にいったりしているそうですが。お互いどう呼び合っているんですか?

Chiyu:“つーちゃん”か役名の“SHO”かな。

崎山:僕は“神様”と呼ばせて頂いてます(真顔)。

Chiyu:嘘つけ(笑)。なるほどな。役者の勉強になるわ。

崎山:ははっ(笑)。“Chiyu君”と呼んでます。

――初めて会ったときの印象は憶えてらっしゃいますか?

Chiyu:俺は俳優の人たちとか全然知らなかったから、ほかのみんなに対してもそうだったんですけど“俳優顔してるな”と思いましたね。

――普段見慣れているミュージシャンとは違いましたか?

Chiyu:違いました。放ってる空気感から明らかに違う。俺の周りにいるミュージシャンと違って、お上品なんですよ。そのなかで、つーちゃんは最初から腰が低くて。「宜しくお願いします!」って挨拶してきてくれたんで、こっちも入りやすかった。

崎山つばさ×Chiyu 撮影=髙村直希

――崎山さんはいかがでしたか? ChiyuさんがやってらっしゃったSuGはご存知だったんでしょうか?

崎山:僕はベースをかじってたんで(真顔)。

Chiyu:ぐっふふふっ(含笑)。

――偶然にもベースをやられていたと。

崎山:全然やってないです(笑顔でキッパリ)。

Chiyu:だから、気ぃつけて。この人には(笑)。

崎山:僕はSuGも知らなかったので、Chiyu君と出会っていろいろ調べた感じです。Chiyu君は最初から“俺、これやで!”って、裏表がない感じで自分全開でドーンときてくれたから、こっちも入りやすかったです。大人の余裕というか、お兄さん的な雰囲気があって。

――役者さんとは放っている空気が違いましたか?

崎山:どうだろう。僕はそんなに違和感は感じなかったですね。「こういう現場に来るのが初めてだから」って言ってたんですけど、僕は最初から普通にその現場に集まった役者として見てました。

崎山つばさ 撮影=髙村直希

Chiyu 撮影=髙村直希

――では、今作のなかでのそれぞれが演じている役柄を教えて下さい。

崎山:僕は、(染谷俊之演じる)片山亮さんがプロデュースすることになるバンド、The DIE is CASTのボーカルで。自分は音楽が好きで、やりたい音楽があるんですけど。でも、亮さんが求めるものもあって。自分がやりたいことと求められるもの、その違いに葛藤していくんです。キャラクターとしては人当たりが強いがゆえに、ライバルであるDYDARABOTCHの(佐藤流司演じる)ボーカルの(片山)始にヒドいことをいったりする。そういう、ちょっと嫌なところもありながら、本当にバンドのことを愛していて、メンバーのことは大好きという人間ですね。

Chiyu:強い言葉を発するのは、バンドを愛してるが故で。だから、すごいリーダー気質のボーカリストなんですよね。グイグイ自分でバンドを引っ張っていってくれるボーカルですね。俺は、そんなSHOに対してすごく信頼をおいていて「SHOがそう言うんならそれについていくよ」という感じのKO-TAというベーシスト。

――The DIE is CASTはどんなバンド設定なんでしたっけ?

Chiyu:まず、一番最初は俺らのバンド名は“ヘブンズドア”という名前だったんです。

崎山:そうですね。

Chiyu:自分たちプロデュースで、誰の手も借りずにやってる頃はそう名乗ってたんですけど。そこに、片山亮という大人の手が入ってきて。「この名前だと大衆にも受けないしヴィジュアル系過ぎるから」と言われ、バンド名が変わり、プロデュースをしてもらっていくんですけど。ヘブンズドア時代から俺らがやってる曲は思いのほか爽やかな感じやな?

崎山:そうなんですよね。ポップだし。

Chiyu :なんなら、DYDARABOTCHの曲のほうがヴィジュアル系っぽい気がせえへん?

崎山:そう思います。

Chiyu:ゴリゴリしたロック感はDYDARABOTCHの方があって。今後大人の手が入ることで、俺らの音楽性もここから変わっていくんでしょうけど。

Chiyu 撮影=髙村直希

崎山つばさ 撮影=髙村直希

――Chiyuさんはミュージシャンで、演技をするのは今回が初。やってみていかがでしたか?

Chiyu:監督からは、フィッティングのときに「演技は現場で教えるよ」と言われてたんで、“あーよかった”と思って安心してたんですけど。結果、何も言われずに終わりました。

崎山:ふははっ(笑)。

Chiyu:だから、大丈夫やったのかどうかは、ドラマのオンエアを見て確認する感じで。

――演技する自分を見てどう感じました?

Chiyu:恥ずかしくて見れたもんじゃないです(苦笑)。

――ライブシーンは?

Chiyu:それはね、いままで何10年やってきてますから。“ここはこう動こう”“こうやって動いたらこう見えるからこうしよう”とか、自分でちゃんとできるんですよ。でも、演技は分からん(笑)。だから、メンバーにいろいろ聞いてたりはしたんですけど、みんながやさしいのか、メンバーはメンバーで「全然大丈夫だよ」しか言ってくれなくて(笑)。

崎山:ははははっ(笑)。

――崎山さんから見て、Chiyuさんの演技はどうでしたか?

崎山:いや。心の底から「全然大丈夫」と思いましたよ、僕は。変に構えてやってなかったので、それがナチュラルなお芝居としてTV画面を通すと見えるので。

崎山つばさ 撮影=髙村直希

Chiyu 撮影=髙村直希

――では、崎山さんはこのバンドのボーカルとしてライブシーンを演じてみて、いかがでしたか?

崎山:僕はChiyu君と逆ですね。ライブシーンのほうが恥ずかしくて見れない。見れることは見れるんですけど、どうしても粗を探してしまうので。ライブシーンは、オンエアを見て、単純に“もっとChiyu君に教えてもらおう”と思いました。僕はバンドをやった経験がないので。

――Chiyuさんは、崎山さんが演じるライブシーンを見て、なにか感じたことはありますか?

Chiyu:ギターとかベースとかドラムという楽器陣と違って、ボーカルっていうのは歌うこと以外にMCをしたり(オーディエンスを)煽ったりという要素があるんですね。しかも、それを本人の感覚ではなくて、このキャラやったら「お前ら、いくぞ!」なのか「いこう!」なのか。煽り文句一つとっても役のなかのキャラクターを想定して、考えてやってたはずやから。そこは難しかったんだろうなと思って見てました。

崎山:ああー。でも、そこで本当に助かったのは、隣りでめっちゃ動いてくれたんですよ、Chiyu君が。僕がそんなに動かなくてもChiyu君が動いてくれるから、それでバランスがとれて1つのバンドとして成立できてるなというのがあったんで。そこはすごく助けられましたね。さすがだなと思いました。

Chiyu:だって、そこしか俺の生きる道ないし(笑)。

崎山:いやいやいや。そういうChiyu君の動きに影響されて、ギターの動きも変わりましたよね?

Chiyu:ちょっとずつグイグイくるようになったやろ?

崎山:そうそうそう(笑顔)。

Chiyu:“おーそうそう。来い来い来い”って思って(笑)。そういうのが楽しかったですね。本当のバンドの楽しさみたいなものが、そういうところには出てると思います。

――役だけではなく、バンドみたいな関係性がメンバー間に生まれている?

Chiyu:そうですね。そのきっかけを作ってくれたのはつーちゃんなんですよ。

――役と同じようにみんなを先導して。

Chiyu:一番最初のフィッティングが終わったあと、監督にも「メンバー間の仲の良さは空気感として出てしまうものやから、仲良くなっといて欲しい」みたいなことを言われて。そうしたら、つーちゃがメンバーをまとめて、「みんなでご飯行こか?」って言ってくれて。それがすごいよかったと思うんですよ。

崎山:ただ、全員揃ってでは1回も行けなかったんですけどね(苦笑)。最初からテレビの撮影期間は短いと聞いてたんで、仲良くなる前に撮影したものが映像として残ってしまうのは嫌だなと思ったから、なるべく時間があるときはみんなと過ごしたいという気持ちでやったことが、功を奏したのならよかったです。

崎山つばさ×Chiyu 撮影=髙村直希

――今作はテレビのオンエアが終わったあと、舞台もある訳ですが。ストーリーは、テレビと舞台、別物になるんでしょうか。

崎山:どうなんでしょう。そこは僕らもまだ台本をもらっていないので分からないんです。でも、つながりはあると思います。まったく別という訳ではなく。

――舞台は、それぞれのバンドの生演奏が見られるんですよね?

崎山:その予定です(微笑)。

Chiyu:まだ何も練習してないですけどね。だから、舞台に向けて「スタジオに入りたいね」という話も今していて。そこで、曲をどういう風にやるのか、つめていこうかなと思ってます。

――そういうときはChiyuさんが率先して。

崎山:そうですね。

Chiyu:って、なに勝手に「そうですね」いうとんねん!(笑)

崎山:実はバンドのリーダーなんで。

Chiyu:リーダーはあなたでしょ?

崎山:物語の設定上では僕がリーダーですけど、ちゃんとしたリーダーはこちら(Chiyu)ですから。

Chiyu:怖いわー。こういうときだけ、年上を利用して(笑)。

崎山つばさ×Chiyu 撮影=髙村直希

――キャストが生演奏するという舞台も珍しいですよね?

崎山:そうですね。ミュージカルともまた違いますし。ミュージカルは芝居の延長線上に歌があるので、芝居の心情で歌うことが多いと思うんですね。バンドももちろん、歌詞に込めた思いを歌で表現するんですけど。それをレコーディングで歌うのと舞台の上で歌うのとでは全然違う。そういうことを僕は最近実感したばかりなので。これから稽古のなかで、歌をどう表現するかをつかんでいけたらなと思ってます。

Chiyu:今回のレコーディング、苦戦した?

崎山:いや。そんなにしなかったですね。レコーディングは一人で歌ったけど、そこにメンバーが入ってくると歌も変わってくると思うんです。

Chiyu:たしかにね。

崎山:今回舞台で歌うのは楽しみといえば楽しみなんですよ。

Chiyu:ドラマと違って、本当に全部が生演奏やからね、舞台は。ライブ感があってなんぼやから、別にCD通りやる必要もないし。そこは、ある意味DYDARABOTCHとの戦いやと俺は思ってるんですよ。ステージ上で、その戦いは絶対に負けたくない。それが、空気感として出れば出るほど、いい舞台になっていくんじゃないかなと思うし。だから、つーちゃんが歌に集中して、客席を煽れないところはこっちが煽りにいくし。バンドって、結局そういう助け合いみたいなところもあるんで。俺は、いつでもみんなの補助をできるように見守る立場にいたい。そういうところは、メンバーのなかで一番経験があると思うんで。生演奏だから、楽器の音が途中で出なくなるというようなアクシデントもあるかもしれないじゃないですか? そうなったときに慌てず、俺がステージの上を動いて盛り上げるとか。いきなりのトラブルがあったら、そういうところは全然頼ってもらえたら対処するし。

――頼もしい存在ですね。

崎山:安心感があります。頼りにしてます!

Chiyu:ほんっと、早くスタジオ入りたいんですよ。ギターの砂ちゃん(ARASHIこと五十嵐隼人役の砂原健佑)も「もう弾けるから早くスタジオ入りたい」ってうずうずしてるみたいやし。

崎山つばさ×Chiyu 撮影=髙村直希

――舞台ではライブ感ある生演奏が楽しめそうですね。

崎山:そうですね。僕はバンド未経験だからこそ、そこではいままで味わったことがない感情が出てきそうで。そこはすごい楽しみ。

――これまでやってきた舞台とはまったく違う崎山さんがもしかしたら見られるかもしれない。

崎山:だと思います。役柄的にも自分とはまったく違うタイプですし。自分の持ってる信念を貫き通すというところは、自分もすごく共感できるところではあるんです。ただ、僕は普段、SHOみたいに人に「気にくわねぇんだよ」とか言ったりしない。人に対して毒づくことはないんですよ、平和主義なんで。なるべく争いをしたくないタイプだから。

Chiyu:分かるよ。すごく分かるんやけど、平和主義だからって面倒くさいことをうまいこと人に投げるところもあるけどな(笑)。

――舞台に立つときは、どんなボーカリストでありたいと思っていますか?

崎山:毒づくのは「DYDARABOTCHに負けてないんだ」という気持ちの表れなんで、本当に自分たちの音楽、バンドが一番なんだと心から思えるボーカリスト、リーダーでいたいなと思ってます。

――この舞台で、生の音楽ライブを初めて観るという人に何かアドバイスはありますか?

崎山:ライブハウスに来ている感覚で、純粋に音楽を聴いて感じてもらっていいし。好きなメンバーに熱狂してというのでも楽しめると思いますし。舞台だからこそ、実は新しいライブの楽しみ方がいろいろ生まれる空間になるかもしれないので。その日ならではのノリ方とか雰囲気を作りつつも、変わらないのは自分たちとお客さんの一体感。そこを楽しんでもらえたらいいなと思ってます。

――では、最後にこれを読んでいるみなさんにメッセージをお願いします。

Chiyu:バンドに対して大人が出てきての葛藤、メンバー同士の友情、ライバルとの戦い。バンドを通して、いろんな人間模様が織り込まれた作品になってます。バンドに憧れてる人、いまやってる人、昔やってた人もバンドに対する情熱をすごい感じられるんじゃないかな。舞台は生演奏なので、毎回毎回変わると思うから、そういうところを楽しみにしていて欲しい。回数を重ねるごとに、メンバー同士いろいろ仕掛けていって、そこにお客さんを巻き込んでいく。それがライブのよさだから。自分たちのライブシーンは、ワンマンライブをしてるような一体感ある盛り上がりを作りたいですね。

崎山:ドラマも舞台もそうですけど、音楽ってすごく身近なものだと思うんですよ。通勤、通学で聴く音楽、髪の毛を乾かしながら聴く音楽、人によっていろいろあると思うんですが。この作品は『御茶ノ水ロック』というぐらいですから、ロックというジャンルの音楽なんですね。だけど、これまでロックを聴いていない人でもすんなり入れる。構えることなく楽しめるコンテンツだと思います。ロックにもいろんな意味があって。僕は、やりたい音楽があって、その信念を貫いてるところにこの作品のロックなところを感じていて。それは、歌にも出ると思うんですね。そういう、いろんな形のロックを僕自身も楽しめたらと思ってますし。文字通り音を楽しむ、そんな音楽をお届けできたらと思います。

――舞台が終わったあと、このメンバーでライブをやりたくなるんじゃないですか?

Chiyu:舞台ではなくライブだけの対バン。俺らとDYDARABOTCHの。そういうのがやれたら面白いですよね。やりたいな~。


取材・文=東條祥恵 撮影=髙村直希

崎山つばさ×Chiyu 撮影=髙村直希

 
企画情報
<ドラマ版>
御茶ノ水ロック
放送:テレビ東京にて1月10日より毎週水曜深夜2:35〜
出演:佐藤流司
      崎山つばさ・前山剛久・松本岳・宮城紘大
      砂原健佑・Chiyu・夛留見啓助
      谷水力・中西良太/染谷俊之
脚本:田中眞一  
監督:横尾初喜、直、畝田光記
 
<舞台版>
「御茶ノ水ロック-THE LIVE STAGE-」
公演日:2018年3月30日(金)〜4月15日(日)全23公演
劇場:AiiA 2.5 Theater Tokyo
出演:佐藤流司
   崎山つばさ、前山剛久、谷水力、松本岳、宮城紘大
   砂原健佑、Chiyu、夛留見啓助、菊田大輔
   荒木宏文/染谷俊之ほか
:一般発売 2月12日(月・休) 10:00 ~

 

<漫画版>
「御茶ノ水ロック」
2017年12月15日(金)1月号より「月刊コミックジーン」にて連載
 
企画制作:ポリゴンマジック
製作:御茶ノ水ロック製作委員会
(C)御茶ノ水ロック製作委員会
公式HP: http://ocharoku.jp/
公式Twitter: twitter.com/ocharoku_pr

 

リリース情報
ミニアルバム『御茶ノ水ロック』
発売日:2018年3月14日(水)
仕様: CD  1,800円 (税抜)  商品品番:EMPC-0076
    CD+DVD(MV2曲収録) 2,400円 (税抜)   商品品番:EMPC-0077
<収録楽曲>
1. FREE YOUR HAND (The DIE is CAST)
2. SA MI DA RE (DYDARABOTCH)
3. Why?(The DIE is CAST)
4. SIMPLE PLAN (DYDARABOTCH)
5. Believer (The DIE is CAST)
6. TRIPLET (DYDARABOTCH)
 
DVD ドラマ『御茶ノ水ロック』
発売日:2018年3月28日(水)
内容:本編8話+メイキング100分以上
仕様:Blu-ray 14,000円 (税抜)  商品品番:EMPB-0010
   DVD   12,000円 (税抜)  商品品番:EMPV-0016
sikroad store(https://silkroadstore.jp)にて先行予約開始
  • イープラス
  • SuG
  • 崎山つばさ×Chiyu『御茶ノ水ロック』対談 「新しいライブの楽しみ方が生まれる空間になるかもしれない」