楢崎、藤井、野口、日本のスポーツクライミング界・トップ選手が18年の戦い方を語る

2018.2.2
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ジャパンカップへの決意をみなぎらせる(左から)藤井快、野口啓代、楢崎智亜

2月3日、4日に『第13回ボルダリングジャパンカップ』を控えた1日、東京北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで『スポーツクライミング 2018 キックオフ記者会見』が行われた。

2020年の東京オリンピックで多くのメダリスト誕生が期待されている日本のスポーツクライミング界。会場ではその頂点を極めるために重要な2018年のスケジュールが発表された。国内で12大会、ワールドカップが14試合組まれており、そのほかIFSC(国際スポーツクライミング連盟)などが主催する大会も6試合予定されている。

同競技での日本の層の厚さは特出している。2017年の男子コンバインド(3種複合)部門では、1位の楢崎智亜をはじめトップ50に日本人11人がランクイン。男子ボルダリング部門ではトップ10に5人も入っており、女子においても3人(ほか11位も日本人)がランクインしている。

これを見ても分かるように、スポーツクライミングは国内の争いが激しく、これからの成績いかんでは勢力図が入れ替わる可能性もある。それを象徴するのがコンバインド部門・世界3位でジャパンカップ3連覇を目指す藤井の「不安だらけです」という一言だ。これだけ実績のある選手でさえ、一つ間違えば入賞を逃す可能性があるほど、今の日本のレベルは高い。

JMSCAの安井博志強化委員長も「今回、第1期(強化)選手を選びましたが、第2期で選ばれた選手を(今年の)世界の大会に送りたい。中長期で戦える選手を選びたいと思っている」と、常に最強の布陣で世界への挑戦をしていくと話した。

今まで、日本選手は「ボルダリング部門」と「リード部門」は得意だったが、どうしても「スピード部門」では良い成績を残せなかった。残せなかったというよりも、この「スピード」に特化した選手がいなかった、出てこなかったというのがその理由だ。

オリンピック競技のスポーツクライミングは「ボルダリング」と「リード」に加え、この「スピード」を合わせた複合評価となるため、安井強化委員長も「今まで取り組んでこなかったこの『スピード』を強化する」と明言。そのため、今週末のジャパンカップはもちろんのこと、夏に行われる『第18回アジア競技大会』と『IFSC世界選手権』に向けて、最大限の努力をしていくという。

選手もそれを十分に意識しており、楢崎は「9月(の世界選手権)にしっかりコンバインドを経験しておきたい。そこで優勝したいが、皆のレベルも上がっている。集中力を高めて対応したい」と話した。野口も「ジャパンカップ後にインスブルック(オーストリア)の合宿に行く。合宿中の2週間、毎日スピードの練習ができるので、その環境で体に覚え込ませたい」とやはりスピード強化を課題に挙げている。

とはいえ、得意の競技(ボルダリング、リード)を盤石にして、総合力を上げていく形となるため、今年第1戦目となるジャパンカップの結果は各選手にとって大きな意味を持つ。楢崎が「今まで順位を気にしていたが、今度のジャパンカップは自分が満足できるパフォーマンスをしたい」と話すと、一方で藤井も「(日本選手の)層が厚いので、予選から熾烈な争いになる。ミスが命とりになるので、そこをしっかり克服すればおのずと結果はついてくる」と3連覇を目指す構えだ。また、女子の野口は「過去12回出ているが、昨年が(悔しい)2位だったので優勝を目指したい」と話している。

今まで日本のスポーツクライミング界を引っ張ってきた第一人者たちは、まったくその席を譲るつもりはない。中学生などの若い10代の台頭も激しいが、ベテランに若手らがどう挑むのか。ますます戦国時代となっていくこのスポーツクライミング界から、当分目が離せそうもない。

イベント情報
『第13回ボルダリング・ジャパンカップ

日時:予選 2月3日(土)
   決勝 2月4日(日)
会場:駒沢陸上競技場(東京都世田谷区)
:2月3日(土) 前売り大人 2,200円、高校生以下1,100円
    (※2月4日(日)決勝は完売)