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板谷由夏が大阪で会見、ニコール・キッドマン主演舞台『PHOTOGRAPH 51』の日本版で舞台に初挑戦

2018.3.16
インタビュー
舞台

『PHOTOGRAPH51』合同取材会にて(撮影/石橋法子)

キャスターやファッションブランドのディレクターなど、多方面で活躍する女優の板谷由夏が今春、初めての舞台『PHOTOGRAPH 51』に主演する。DNAの二重らせん構造を世界で初めて発見した実在のユダヤ系イギリス人女性科学者、ロザリンド・フランクリンと5人の男性が織り成す物語。2015年、アカデミー賞受賞女優のニコール・キッドマンがロンドン公演で主演し、大好評を博した作品が早くも上陸する。演出はブロードウェイの新星、女性演出家サラナ・ラパイン。初舞台について板谷は、「意識するととてつもない不安にかられるので、今は挑戦を楽しむ意識に切り替え中」と笑う。大阪の取材会で意気込みを語った。

板谷由夏

「楽屋の暖簾や化粧前の香りは何にするか、初舞台に関するすべてが楽しみ!」

ーー初舞台『PHOTOGRAPH 51』への主演が決定しました。

初舞台に関しては、パズルのピースが合わさったというか、たまたま私にとっては今だったという感じです。舞台は観るものも好きでしたし、いつかは出演したいと思っていたので「来た! やるしかない」と率直に思いました。ロザリンド・フランクリンという役や、その役をロンドン公演ではニコール・キッドマンが演じていたこと、そして日本版の演出を同世代のニューヨーカーの女性、サラナ・ラパインがすること。それら全てを含めて、やらないという理由がありませんでした。

板谷由夏

ーー初舞台で楽しみな部分は?

本当に全部が楽しみなんですよね。このメンバーで芝居ができることもそうですし、具体的に言うと、楽屋の暖簾のデザインはどんな感じで、誰に頼もうか。楽屋見舞いのお返しや、化粧前に置く香りを何にするかなどを考えることも楽しみです。ドラマや映画ではリハーサルしたその日に本番ですが、舞台は1ヶ月稽古したものを1ヶ月通して公演するので、どうなるのかなとか。その日観たお客さんの目にしか残らないですし、自分でも観ることができないというのも、想像するとワクワクします。

ーーお稽古前ですが、台本から感じるロザリンドの印象は?

あの時代に女性として自分のやりたいことを徹底して貫かれた。その生き方には、同じ女性として「スゴいな~」と憧れにも似たものを感じます。でも、まさか彼女の研究を発端にノーベル賞を授賞した二人の男性がいたことは、台本を読むまで知りませんでした。

ーー物語の舞台は、男性社会が中心の50年代のロンドンです。

宗教的なことを含め、いろいろな理由から、女性が自分の意志を貫き通すことは、難しい時代だったのかなと思います。でも、もしかしたら現代にも当てはまることかもしれないなと。女性の活躍が言われる現代においても、分野によってはまだまだ不自由に感じる部分もあるかもしれない。だから、いま自分のやりたいことを一生懸命頑張っている人には、すごく響く作品だと思います。

板谷由夏

ーー彼女の生涯をどうご覧になりますか。

37歳の若さで亡くなったことを思うと、切なさや儚さも感じますが、でも絶対に幸せだったと思います。色々と文献を読んでいると、研究成果を横取りされたとか、それによって自分は不幸だとか嫉妬のような感情は、彼女の中には一切なかったようなんです。科学者と聞くと気難しいイメージもありますが、実際の彼女は自然や散歩が好きで、家族を大事にした、とても愛らしい人。研究室が舞台のお話なので、劇中に家族が出てくることはありませんが、彼女が家族に宛てた手紙などで、そういう一面が垣間見えるのかなと想像しています。

ーー男性らと対峙する劇中では、ロザリンドの台詞は時に痛快なほど、辛辣でもあるようですね。

男性にも負けじと、結構バシッと言いますね。男女問わず「自分の信念は曲げない」というような物言いをする女性です。ただ、もしも私がロザリンドの友人だったら、自分の思ったことを一所懸命貫くこともいいけど、もう少しまわりを見て「チームプレーをしてみたら?」と言いたい気持ちもありますね(笑)。まるで自分の寿命を知っていたかのような骨太さです。

板谷由夏

ーーロザリンドとご自身の共通点は?

演出家のサラナには「好奇心旺盛なところ」と言われました。物事にグッと没頭する感じが似ていると。私が色んな活動をするのも、すべて好奇心から。でも40代になって思うのは、結局どんなことも芝居に還したいんだなと。ニュース番組「ZERO」への出演も10年目になるのですが、毎回キャスターとして、普段出会えないような方たちに取材することも、自分で洋服を作ることも、ぐるっと一周回ってすべて芝居に戻したいんだと。自分の欲はブレないんだなと、この年齢になって思います。

ーー演出家のサラナさんとは、他にどんなお話を?

初めてお会いした時に、彼女の作品に対する愛を感じました。彼女も去年の2月にブロードウェイデビューした、男性社会の中で生きる女性なので。今回の題材が、少しご自身と重なる部分もあるのかなと。演出家として人間が好きですし、人間を掘り下げる作業が好き。私も人間が知りたくてこの仕事をしているところがあるので、何となく周波数が合うといいますか、価値観が似ている気がします。通訳を介した会話ですが、言葉より前に「この人に着いていこう!」と思えました。

「人間関係の切なさにグッとくる、大人が楽しめる普遍的な間ドラマです」

ーー舞台に向けて、準備されていることはありますか?

去年の夏ぐらいからウォーキングやプールなどの有酸素運動を始めました。体力はスゴくある方ですが、そこに甘んじていてはよくないなと。実際、舞台ではどれほどの体力を消耗するのかは、立ってみないと分からないので。1ヶ月の稽古で、身体の使い方から学ぼうと思います。

板谷由夏

ーー体力があるなと感じたエピソードは。

基本的に俳優という仕事は、体力がないとできないんですよね。夜中まで撮影した翌日も、朝5時には出ているので。それが連続ドラマだと、週に4、5日は続いちゃう。この仕事で一番大事なものは何か? と聞かれたら、女優陣はとくに「体力」と答えると思います。この年齢になって「体力が大事だな…」としみじみ感じるようにもなりました(笑)。

ーー今回の座組では5人の男優陣の中で、紅一点の存在です。初舞台で初共演の方と組まれるご心境は?

紅一点に、「みんな着いて来い!」という感じにしようかなと思っています(笑)。私はどんな現場でも全然人見知りすることはありません。それが連ドラのゲスト枠でも、ヒュ~っと入って、スーっといなくなるタイプです。男女関係なく、誰に対しても“壁なし”です(笑)。初めて会う方には、興味しかありません。ご本人と役との共通点は何かとか、相手に悟られないようにガン見するというのは、結構どの現場でもやっています(笑)。

板谷由夏

ーー(笑)。5人の中で絡みが多いのは神尾佑さん。ロザリンドの研究パートナー、イギリス人科学者のウィルキンズ役です。

ロザリンドとウィルキンズは、お互いに好意がありそうなんだけど認められなくて…、という二人です。矢崎広さんはロザリンドのイギリス人助手、中村亀鶴さんと宮崎秋人さんが結果としてロザリンドからノーベル賞を奪うことになるイギリス人とアメリカ人の科学者役。橋本淳さんはロザリンドが気持ちを寄せていて、お手紙交換などをさせていただく彼女の支えになったユダヤ系アメリカ人の科学者役です。

ーーロザリンドは、ウィルキンズに好意があったのでしょうか?

文献などでも彼女の本当の気持ちは、明らかにはなっていないようなんですけど…。私は心を許せば、そういう関係になっていたんじゃないかなと思います。その辺りを、どれくらい舞台上で表現するのかは、サラナと相談ですね。またウィルキンズが気難しい男なんですよ、頭が固くてね。対するロザリンドも頭の固い女性ですから…、何も生まれなかったのかな(笑)。二人の関係もそうですけど、例え悪気はなくてもほんのちょっとのきっかけで、その後の人生が変わるので、人間関係って難しいなと思います。

板谷由夏

ーー改めて、今作にどんな感想をお持ちですか。

彼女は決して、賞が欲しかったわけじゃないと思うんです。実際に授賞していたら、ここまで注目されることはなかったかもしれません。案外「へぇ~」で終わっていたかも。でも実際は違っていた。いま俯瞰して見ると、37歳の若さで亡くなった女性研究者が、ノーベル賞を授賞できなかったという事実が、彼女の魅力になっている。「これほど素晴らしい科学者なのに…」という所が、現代にも通じる共感を呼ぶというか、題材として光を放つのかなと思います。サラナも演出家として深読みしたくなるし、人間を掘り下げたくなると話していました。

板谷由夏

ーー最後にお客様へメッセージを。

科学者と聞くと、難しい話にも思われがちですが、すごく普遍的な人間ドラマなんです。人と人とのコミュニケーションの難しさ、切なさ、悲しさなどが、この5人が繰り広げるドラマを通して描かれるので。多分私もお稽古を通して「人間ってなんだろう?」ってところに、どっぷりハマり込んでいくと思います。多くの方に観て欲しいですね。とくに大人の方が観ると、結構グッと来る作品だと思います。

板谷由夏

取材・文・撮影=石橋法子

公演情報

『PHOTOGRAPH(フォトグラフ)51』
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■作:アナ・ジーグラ
■演出:サラナ・ラパイン
■出演:板谷由夏、神尾佑、矢崎広、宮崎秋人、橋本淳、中村亀鶴
 
<東京公演>
2018年4月6日(金) ~ 22日(日)
■会場:東京芸術劇場シアターウエスト
■料金:8,500円(全席指定・税込)
 
<大阪公演>
2018年4月25日(水) ~ 26日(木)
■会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
■料金:8,500円(全席指定・税込)
 
オフィシャルサイト
 
●板谷由夏イベント(トーク)付

東京公演
2018年4月15日(日)18:00公演 終演後
聞き手:樹里咲穂

大阪公演
2018年4月26日(木)13:00公演 終演後
聞き手:未定

販売期間
東京公演:3月16日(金)10:00~4月10日(火)23:59
大阪公演:3月16日(金)10:00~4月19日(木)23:59

●矢崎広登場!バックステージツアー付

大阪公演
2018年4月26日(木)13:00公演 終演後 (開催前ご挨拶:矢崎 広)
販売期間:3月12日(月)10:00~3月21日(水)23:59