インディーズゲームのススメ第8回 可愛らしい人型兵器を使い捨てるシミュレーションゲーム「とつげき!人間戦車」

コラム
アニメ/ゲーム
2015.10.8
 ©焼肉万歳

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コミカルなやり取りとは裏腹にハードな世界観を持つ戦争ゲーム

 インディーズゲームのススメ第8回目の今回は、PCゲーム「とつげき!人間戦車」を紹介します。「とつげき!人間戦車」とは同人サークル「焼肉万歳」が販売する使い捨て戦術シミュレーションゲームです。ゲームの舞台になるのは「ジャポン帝国」と「ジャポン王国」という2つの国が戦争を繰り広げる現代風の世界で、プレイヤーはジャポン帝国の指揮官となって劣勢の帝国を勝利に導くのが目的となります。

 本作に登場する兵器は人間戦車と呼ばれる愛らしい見た目をした人型の兵器です。彼女らは戦闘能力こそ高いものの知能が低く、戦争の道具として使われる悲しい存在です。ですが、そんな悲しい様子は微塵も見せず、指揮官に付き従う姿は健気で可愛らしいです。そんな人間戦車と、指揮官としての才に恵まれながら厄介な存在として国の敗北寸前まで封印されていた最強の司令官である主人公との交流や戦争風景を時にシリアスに、時にはコミカルに描いた作品です。また、本作は特定の戦闘で負けることでルートが分岐するマルチシナリオを採用しています。ルートごとに出現する敵やステージ、シナリオまで全てが異なるため、かなりボリュームがあります。

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 この記事ではそんな可愛い絵柄にハードな世界観を詰め込みつつ、その絵柄に合ったゆるさも併せ持った本格シミュレーション「とつげき!人間戦車」を紹介します。ちなみに本シリーズは続編として「とつげき!人間戦車 ALTeR」と「とつげき!人間戦車 LIMITED OPERATIONS」の2作品も販売されています。本作合わせてどの作品もゲーム配信サイトで手軽に購入が可能です。

何も見えない戦場を制する鍵は情報

 本作の戦闘システムはマス目の上にユニットがいて、それらを動かして戦う一般的なシミュレーションゲームのそれと基本的には変わりません。ですが、本作の最大の特徴として戦闘中は自身のユニットの周辺しか見えず、それ以外の場所の様子はわからないというものがあります。この見えない戦場を如何に確認し、もしくは推理して戦うかが戦闘のポイントとなります。

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 視界は特定のユニットで索敵することで一定時間その索敵範囲内の状況を確認できます。また、視界が見えてない場所でも攻撃した際にその場所に敵がいるとその敵を攻撃したことになりますので、見えない場所を攻撃して敵がいたら撃破、そうでなくとも“そこに敵はいない”という情報を入手できます。また、相手も同じように情報を得ようと色々な行動をしてきますが、そうやって適当に攻撃してきた範囲から、そこに攻撃してきたということは大体この辺りに敵がいるに違いないと推理できるでしょう。このように、見えない中で得られる情報を駆使して如何に相手の位置を把握するかが重要です。

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 また、本作で操作する人間戦車は敵味方ともに体力の概念がありません。なので、パーツを全て破壊されないかぎり壊れない大型ユニットや、確率で回避する回避型ユニットなど、一部の例外を除いて攻撃されると1発で壊れてしまい、戦闘終了後も復活せず永遠に失ってしまいます。といっても、一部の固有キャラ以外はお金を払えばすぐに同じユニットが作れることと、その一部固有キャラは破壊されてもロストしない固有装備が付いているので、破壊を恐れる必要はありません。ガンガン使い潰していきましょう。

 とはいえ、適当に突っ込んでも全滅するだけなので、適当に自身のユニットを囮にしたりとある程度の犠牲を覚悟に上記の索敵や攻撃で自分チームの視界や敵の大体の位置の目星を予めつけてから、一方的に攻撃できるようなユニットの位置取りを探しましょう。ちなみに、本作の視界情報は自分だけでなく、CPUも同じ条件で行われており、この情報戦を如何に制するかが本作の戦闘の醍醐味です。

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お金を稼いで自分なりの最強の軍を作り出す

 戦闘で使用するユニットは最初から存在するへしこや、条件を満たすと仲間になる固有ユニットを除いて、全て自分で生産したものを使います。種類は攻撃から索敵までそつなくこなし、この兵種が戦場に1体以上いないと敗北となる指揮車両、行動速度を示す通信速度が早い代わりに自爆以外に攻撃手段を持たない強襲車両、索敵能力がない代わりに攻撃に特化した性能を持つ突撃車両、移動能力が低い代わりに遠距離攻撃が出来る砲撃車両、攻撃性能は低いが索敵能力が高い索敵車両の5種類、ゲーム途中から一定範囲の砲撃車両からの攻撃を無効化する迎撃車両、射程は短いものの、攻撃を回避できる騎士/剣客車両が追加され、合計7種類になります。このユニットをどう使うかで戦術が大きく変わるので、自分の好きな戦術、もしくは敵の編成との相性を考えてユニットを生産しましょう。

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 これらのユニットはお金と特定のユニットを消費することで上位ユニットを開発できます。上位ユニットは生産費こそ上がりますが、大きくパワーアップするため、メインで使っているユニットは極力強化しておきたいところです。また、ユニットの他にプラグインという人間戦車につける装備品も開発でき、その効果は索敵能力アップや攻撃能力アップ、通信速度アップなど強力なものが多いです。ただし、装備したユニットが破壊されてしまうと装備していたプラグインは失ってしまうので装備する際は装備したユニットをなるべく破壊しないように注意しましょう。。

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 これらの開発に必要なお金の入手方法ですが、これはメインミッションのクリア報酬の他に、インターミッション時にいけるフリーミッションでも稼ぐことが出来ます。このフリーミッションでは以前にプレイしたメインクエストのステージをもう一度プレイでき、その時と同じくらいの報酬が入手できますので、戦力の不足を感じたらフリーミッションでお金を稼いで戦力を増強させましょう。ただし、フリーミッションは回数制限がなく、簡単にお金を稼げるので快適な反面、やりすぎるとメインミッションが簡単になりすぎる危険があります。なので、手応えを感じたい人はほどほどの利用をオススメします。もちろん、圧倒的戦力で無双したい人はその限りではありません。

 本作の嬉しい所は、かなり自由に自分好みの部隊を編成できることでしょう。私は情報を制するものがこのゲームの戦闘を制すると考えていたので、何よりも優先して索敵車両を強化していましたが、別の方は突撃車両を鍛え、攻撃範囲を鍛えて攻撃と情報入手を兼ねていたり、はたまた製作者さんのブログを見ると、行動速度の早い強襲車両で固めた編成などもあるようです。このように、かなり自由に自軍の編成を考えられるのが本作の嬉しいところです。

 周囲が見えない状態の戦場で自分の育てた部隊を率いて進軍する「とつげき!人間戦車」。新しい形のシミュレーションゲームをプレイしたい方にオススメしたい作品です。

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