NICO、BIGMAMA、sumikaが競演 TMGE「ダニー・ゴー」のカバーも飛び出した一夜
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NICO Touches the Walls 撮影=古渓一道
音楽と人 LIVE 2018 新木場ナイトカーニバル 〜Three-bands in sunny march〜
2018.03.22 新木場STUDIO COAST
3月22日、新木場STUDIO COASTにて、雑誌『音楽と人』の主催イベント『音楽と人LIVE 2018「新木場ナイトカーニバル〜Three-bands in sunny march〜」』が開催された。出演者は、NICO Touches the Walls、BIGMAMA、sumika。この3組はデビュー時期も音楽性も違ってはいるが、ボーカルが同世代であるほか、紆余曲折・試行錯誤を経てそれぞれのスタイルを確立してきたバンドだという共通点もある。
BIGMAMA 撮影=古渓一道
トップバッターのBIGMAMAは、普段はセットリストの終盤に持ってくることの多い「MUTOPIA」からスタートした。今年2月に始まったツアーからメンバーの立ち位置を変更。リアド偉武(Dr)の前に、(上手から順に)安井英人(Ba)、柿沼広也(Gt)、金井政人(Vo/Gt)、東出真緒(Vn)が横一列に並ぶフォーメーションとなっている。それにより、例えば歌心のあるベースラインがふと浮き上がってくるような場面が増えたり、金井と柿沼が掛け合うようにボーカルをとる曲の力強さが増したりと、曲の聴こえ方にも変化が生まれつつあった。
BIGMAMA 撮影=古渓一道
BIGMAMA 撮影=古渓一道
比較的明るい曲の多かった前半を終えると、金井が上着を投げ捨てたのを合図に「ファビュラ・フィビュラ」が始まった。金井のボーカルに勇壮なコーラスが重なり、次第にオーディエンスも歌声を上げていく。重心の低いバンドサウンドはまるで獣の唸り声のようであり、そこにオーディエンスが拳をあげて応え、大きな一体感をもたらしていく。そのあとはジャーンとギターを鳴らしたまま、金井が「ご案内します、シンセカイへ」と告げ、「荒狂曲“シンセカイ”」に突入。続く最新シングル表題曲「Strawberry Feels」では、組曲的でプログレッシブな展開のなか、間奏でそれぞれの楽器が遊びまくっていて最高だった。
BIGMAMA 撮影=古渓一道
BIGMAMA 撮影=古渓一道
BIGMAMA 撮影=古渓一道
そして「ダイヤモンドリング」の晴れやかな響きで終了。MCはほぼなく、全9曲を立て続けに演奏するストイックな構成だからこそ、起承転結の鮮やかさがより一層映えていて、BIGMAMAの持ち味を思う存分見せつけたパフォーマンス。「また会いましょう、BIGMAMAでした。ありがとうございました!」と金井が声を張り上げ、5人はステージをあとにした。
sumika 撮影=古渓一道
2番手はsumika。ファーストフルアルバム『Familiar』の1曲目に収録されている「Answer」で幕開け。この日は、ゲストミュージシャンに井嶋啓介(Ba/Cho)を迎え、5人編成の彼らはオープニングから表情豊かなサウンドを響かせ、手拍子や大合唱を起こしていく。3曲目「カルチャーショッカー」の前には、「今宵はみなさんの手拍子も声も目線も表情も、全部楽器に変えていきたいんですけど、力をお借りしてもよろしいでしょうか!?」と片岡健太(Vo/Gt)。既に気持ちは通じているようだったが、それでもしっかり言葉で伝えるのがsumikaの流儀だ。
sumika 撮影=古渓一道
sumika 撮影=古渓一道
ポップでカラフルなサウンドはいつになく躍動的で、片岡は歌の合間に何度も「フゥー!」と叫んでいて、全体的にメンバーの身振り手振りも大きい。演奏から気合いのほどが伝わってくるその理由は、最初のMCで語られた。片岡にとって『音楽と人』は、BIGMAMAやNICO Touches the Wallsが若くして活躍していた時代から「自分のバイト代をせっせと貯めて買っていた雑誌」とのこと。「悔しい気持ちを全部成仏させるつもりでいるし、ただの対バン企画、ただの雑誌の企画では終わらせません」と宣言し、「ソーダ」へと繋げていく。
sumika 撮影=古渓一道
sumika 撮影=古渓一道
ラストには「ライブ会場に来ないと完成しない曲」と前置きし、「「伝言歌」」を演奏。ネットなどでライブ動画を観ることのできる現代では「音楽誌を買い、そのバンドに対する想像を膨らませ、答え合わせをしにライブ会場へ行く」という流れがなかなか実現しづらいということ。変わらないもののほうが珍しい時代ではあるが、じいちゃんになってもsumikaを続けたいのだということ。この曲を演奏する前、片岡はそんなことを話していた。目を見て答え合わせをすることの大切さ、それを続けていく決意。バンドのその熱い想いは演奏と<伝えたい>という言葉で伝えられ、大合唱が巻き起こった。とても美しいラストシーンだった。
NICO Touches the Walls 撮影=古渓一道
トリのNICO Touches the Wallsは、サポートに浅野尚志(Key/Gt/Vn)を迎えた5人編成でライブに臨んだ。最新作『OYSTER -EP-』の1曲目に収録されたハードなロックナンバー「mujina」から、ヴァイオリンとギターの絡みによってカントリー的な要素が増した「THE BUNGY」というオープニング。光村龍哉 (Vo/Gt)はメロディにアレンジを加えながら唄っていてご機嫌な様子だ。そして「カーニバル感は全然出せないかもしれませんけど、みんなと一緒に楽しめるようにいろいろな曲を持ってきたので、僕らの音に身を委ねて楽しんでください」と最初のMCを終えたあと演奏したのは、メジャーデビュー曲「夜の果て」。バンドと付き合いの長い、『音楽と人』が主催するイベントだからこその選曲といえるだろう。古村大介(Gt)の掻きむしるようなギターソロをはじめ、バンドの演奏にはメンバーの気合いがバッチリと反映されていた。
NICO Touches the Walls 撮影=古渓一道
NICO Touches the Walls 撮影=古渓一道
軽いセッションを経て突入した「Funny Side Up!」は、この日のひとつのハイライトだった。いつになくぶっといギターの音がバンドをグイグイ引っ張っていき、それに呼応するかのように、各楽器の演奏も白熱し、どこまでも自由になっていく。この曲を終えたあと、光村は今日が今年初のライブだったことに触れ、「久しぶりに爆音出したらやっぱ上がっちまいますね!」と笑った。
NICO Touches the Walls 撮影=古渓一道
躍動的なビートを背に「『音楽と人』に捧ぐ!」と光村がシャウト。そうして本編ラストに鳴らしたのは「Broken Youth」だった。この曲は8年半前にリリースされたものだが、<少年の向こうへ><壊せない 僕らの勝利>というフレーズたちが、試行錯誤や葛藤を経て、瑞々しいサウンドを鳴らすに至ったこのバンドの現在を象徴しているかのようで、彼らが歩んできた道のりとその思いを感じた瞬間でもあった。
NICO Touches the Walls 撮影=古渓一道
そしてアンコールにはニコのメンバーが再登場し、『音楽と人』編集長の「心の名曲」だというTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT「ダニー・ゴー」をカバー! この日限りの特別な場面で以って、3時間のカーニバルは幕を閉じたのだった。
セットリスト
2018.03.22 新木場STUDIO COAST
■BIGMAMA
01.MUTOPIA
02.神様も言う通りに
03.POPCORN STAR
04.春は風のように
05.秘密
06.ファビュラ・フィビュラ
07.荒狂曲“シンセカイ”
08.Strawberry Feels
09.ダイヤモンドリング
■sumika
01.Answer
02.Lovers
03.カルチャーショッカー
04.ソーダ
05.ふっかつのじゅもん
06.Summer Vacation
07.「伝言歌」
■NICO Touches the Walls
01.mujina
02.THE BUNGY
03.夜の果て
04.ストラト
05.天地ガエシ
06.Funny Side Up!
07.Broken Youth
<ENCORE>
08.ダニー・ゴー(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)