「私たちよ、伝われ!」きゃわふるTORNADO初ロングインタビュー 思いを持ち続けた一年を振り返る

2018.4.19
インタビュー
音楽

左から別所佳恋・宮瀬しおり・道地文子・神咲くるみ・杏斉ゆか・石川野乃花

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「全力で旋風を巻き起こすアイドル」として2017年にデビューしたアイドルグループ「きゃわふるTORNADO」。先日まで、ライブ収入の50%が生活費、宿泊交通食費会場費全部込みで自分たちで稼ぐという『2nd Single「NEVER ENDING STORY」サバイバルツアー』を行っていた彼女たちに初のロングインタビューを行った。SPICEで『きゃわふるTORNADO の“武道館までの道のり”』と名してコラムも連載中の彼女たち。ツアーの内容はコラムで語ってもらうとして、アイドルとして生きたこの一年の道程と未来、焦燥と希望について語ってもらった。


――まずは1周年おめでとうございます。

全員:ありがとうございます!

――初めてのインタビューになりますが、1周年ライブを終えて、きゃわふるTORNADO(以下、きゃわふる)としての1年はどうでしたか?

神咲:やっぱりやる前と今とじゃ全然気持ちも違いますね。元々アイドルとして立派にというか、ちゃんとやっていきたいと思っていたんですけど、ファンの人と向き合うことで得られる自分の責任感とかやる気とか、アイドルじゃなきゃ分からないということがすごく大きいなと。改めてファンの人の凄さを感じますし、きゃわふるで良かったなと思いますね。

――大変なこともあったと思いますが、この1年で印象的だったことはありますか?

杏斉:ストリートライブをずっとやってきているんです。夏のワンマンライブ前は寒さとか肉体的な辛さはあまりなかったんですけど、今回は真冬にストリートライブをして、衣装も半袖だったのですごく寒くて。そんな中でもファンの方が来てくださって応援してくれるというのがすごく印象に残ってますね。

石川:伝えたいことと伝わることの組み違いというか。ファンの人はこの1年間の私たちを見て応援してくださっていて、それはもう嬉しいことではあるんです!でも私たちが挑戦したいのは、ファンの人たちに助けられる空間づくりではなくて、アイドル界に新しい風を起こしたり、この6人で色々な物事にアプローチやアクションを起こしていくってことで、そこに共感をもって応援してくれると嬉しいなと。

――もっと自分たちからムーブメントを起こしたい?

石川:そうですね。ステージに立って表現を伝えるものとして、言葉やパフォーマンスが噛み合わない瞬間というのもこの1年で感じていて。やっぱり本気の思いを全部さらけ出さなきゃ伝わらないんだなって実感して。その細かいニュアンスは言葉だけじゃ伝わらないこともあるし、パフォーマンスだけじゃ伝わらないところもあるし、そこがすごく難しいなと思う1年でしたね。何かを流行らせたいって事よりも「私たちよ、伝われ」って気持ちだけはどの場面でも持ち続けています。

――皆さんは年齢もバラバラですが、メンバー内の結束や喧嘩などはありましたか?

別所:喧嘩するようになったというより、8月のワンマンを終えてから、みんな意見を言うようになったかな。意見が増えたからこそのぶつかりが多くなった気がします。

――印象に残っているエピソードなどはありますか。

杏斉:1周年ワンマンのテーマが2190だったんです。私たち6人とファンが365日間共に歩んだ軌跡ということで。成功させるためのプロジェクトとして、2190枚のポスターを貼ってもらったり、 クリアファイルを配ることをやったんですが、その前に2190mの山にみんなで登って、そこからスタートしようという話になって、長野県にある恵那山を登りに行ったんです(標高2,191m)。でも登る山を間違えてしまって(笑)。隣の山を登っちゃって、頂上前ぐらいで気付いたんです。ロープウェイで下に降りられる道があったんですけど、車をそのロープウェイの中間地点に停めていたので、誰かが車をピックアップしないといけないってことで、二組に別れたんですよ。そしたら、別れた時に意見が食い違ってしまって、宮瀬とちょっと言い合いをしてしまって(笑)。

宮瀬:言い合いはしてないよー!(笑)

別所:その時はまだ杏斉がリーダーだったので、リーダーとして言ってくれた部分もあって。

――そうですね、リーダーも初代の杏斉さんから神咲さんに変更になりました。これは何か理由があったんですか?

杏斉:交代は私から相談しました。1年間リーダーをやってきて、違う立場としてメンバーを支えていきたいなと思ったんです。すごく悩んで、スタッフさんとも話して、最後は自分で決断したんですけど。

――神咲さんはお話を受けた時はいかがでしたか?

神咲:話をされたのが、確かワンマンライブの5日前だったんですよ。リハーサルをやる10分前に呼ばれてその話をされて。いやなんで私?最初からできる子がやったほうがもっと伸びるんじゃない?とかも思いました。すごく考えたんですけど……だけどスタッフさん、両親、そしてゆか(杏斉)もすごく背中を押してくれて、「くる(神咲)になら任せられるよ」って言ってくれたんです。あまり実感がなかったんですけど、そう言ってくれるなら自分が変わるきっかけにもなるかもしれないし、きゃわふるがもっと上に行くためにはここで決めなきゃいけないのかなと思って、決断しましたね。

――リーダーが変わったことによってグループが変わった部分はあったんですか?

杏斉:グループでいうと、ステージ裏の掛け声がくる(神咲)の担当になってほんわかしてます。本当にこれからライブ始まるの?みたいな(笑)。

一同: (爆笑)

杏斉:個人的には、リーダーを経験した人間として、私にしか分からないことってたくさんあると思うので、くるを一番近くで支えられる存在になりたいなという気持ちにすごく変わりましたね。

――ここ何年か“アイドル戦国時代”と言われていますが、今アイドルの形がガラッと変わってきているタイミングだと思うんです。乃木坂や欅坂が人気の中、BiSみたいな激しいライブをやるグループも、Maison book girlやsora tob sakanaみたいな聞かせるアイドルも居る。そんな中1年間アイドルをやってきて、皆さんの中の“アイドル像”って変わりましたか?

石川:私もすごくアイドル好きなので、今までファン目線で見ていた部分もあるんですけど、自分が活動してみて今思うのは、今必要なのはグループ力なのかなと思います。スターを生まなきゃいけない!というのとは違って、そのグループに何の力があって、そのメンバーだからこそ何ができるのか、みたいな。

――なるほど。

石川:というのはももいろクローバーZさんを見ていて、有安さんの卒業とかあって思ったことなんです。5人のももクロさんの時のあの空気感やパフォーマンス力というのは凄いわけで、でも今の4人でのももいろクローバーZさんもめちゃくちゃパワーがある。ぶっちゃけた話きゃわふるには、スターがいるわけじゃないし、飛び抜けてすごく可愛い子がいるわけじゃないし、飛び抜けて歌が上手いとか、ダンスがすごいみたいなパフォーマンス力とかがあるわけじゃないんですけど……団結力。中の芯の部分というか、アイドルでいう決意の部分というものを出していけるグループが多分これから出ていくんじゃないかな、というのは活動していてすごく見方が変わった部分です。

――別所さんは、やってみてどうでしょうか。

別所:やる前は本当に何も分からなかったけど、最近ちょっとずつわかってきました。ファンの人との接し方もそうだし、以前は何喋ったらいいかわからないし、知らない人だから緊張していたんです。だけど今は喋れるようになってきたり、ライブのパフォーマンスも一人でも多くの人に届けって気持ちでやっています。パフォーマンス力もどんどん上がっていけたらいいなと思いますね。

――じゃあ逆に、アイドルをやってみて、思っていたよりもイヤだったことってありますか?

道地:私ももともとアイドルオタクから入ってきた身なので、楽屋で他のアイドルさんの話をこそっと聞くと、普通の女の子の部分とかが出てくることがあるんですよ。そういうのを聞くと、ああやっぱりこの世界ってちょっと怖いんだな、という(笑)。ステージに立っていたら「職業アイドル」って言うのをこの子はちゃんとやっているんだな、という凄さもそこで感じたり。

――アイドルオタク的にはずっとアイドルでいてほしいという夢もあったりしますよね。

道地:その時はそう思いました。でもよくよく自分に照らし合わせると、多分自分も一緒なんだろうな、というのはあったから。だからこそ自分はどういうアイドルになれるのかなと思って、全アイドルオタクがああこの子良いなと思えるような、オタクにコミットするじゃないけど(笑)、 オタクに寄り添えるアイドルになりたいなって思いましたね。

――6人ともアイドルは見るのも好きということですが、アイドル好きから見たアイドルの理想というものはありますか。こういう人であってほしいとか。

神咲:さっき文ちゃん(道地)も言ったんですけど、裏側を絶対見せないアイドルが私は好きなんです。ステージに立っている以上は人から理想とされるというか……私にとってはそういう存在は渡辺麻友ちゃんで。麻友ちゃんって絶対プライベートを見せないんですよ。ブログでもTwitterでもそういう部分は見せない。それがすごく魅力で、アイドルでいる限りは、ステージに立ってる以上は、キラキラしていて笑顔でいてくれる存在であって欲しいなと私は思っています。

別所:対バンとかすると一緒に撮って下さい、って共演者さんに写真を頼みに行くんですよ。そこで塩対応されたら、推しているこっちもあっ……となるし(笑)。ああそういう子なんだなと思うから、運営さんとかファンだけではなくて、共演のアイドルさんにも愛されるアイドルになりたいです。

――それは自分もできている感があるという人はこの中にいますか?

道地:なんか写真を頼まれたらオタクが出ちゃうんですよね。こんなオタクなんですけどいいですか……みたいな(笑)。

別所:でも写真頼まれることがあんまりないよね。有名じゃないから、写真撮ってくださいと言われることがないんですよ……。

道地:頼まれるぐらいになりたい……。

別所:アイドルに撮られたいですね、一緒に。

――自分たちの中でこのグループには負けたくない、というライバルはいるんですか。

杏斉:メンバーが結構意識していたのは、26時のマスカレイドさんですかね。同じ6人組で、というのがあって。

別所:同じぐらいのデビュー時期だったしね。

道地:向こうが今、結構勢いがすごくて。

別所:でもパフォーマンス面では自信があります!

――他にも追いつきたいグループなどはいるんですか?

別所:notallさん!同じ事務所の先輩のグループなんですけど。notallさんの妹分だからきゃわふるのことも見に来てくれている人が多くて……嬉しい反面、悔しいというか。

石川:ワンマンでも言われちゃったり……。

別所:「notallさんがいなかったら多分こんなにいなかったよ」みたいな。

石川:でも確かは確か、その現実を受け入れることも今はできますね……。

――さて、1年目を終えて2年目の活動になります。アイドルって何年やれるか分からないものだと思っていますが、今後はどうなっていきたいですか? 解散してもアイドルでいたいでしょうか。

杏斉:正直解散したらもうやらないです。これに賭けてるので。実家は京都なんですけど、オーディションに受かって、もう本気でこのグループで夢叶えたいと思って上京したので。

別所:解散したくない。解散するという前提の考えがイヤで。

道地:発狂しそう、解散ってなったら。

石川:最近、契約時期なのか、大手プロダクションを始め、解散だったり卒業というのを聞くけど、むっちゃ多いですよね。でもきゃわふるで卒業・解散って想像ができないというか、共におばあちゃんになり共に結婚を迎え子供生まれましたみたいな、そんなイメージしかないですね。

宮瀬:私は……うーん。一つ一つに精一杯なので、解散とかは考えたことないですね。

神咲:私もその時によると思うんですけど、きゃわふるが日本武道館まで行っての解散だったら「もういい」ってなるかもしれないけど、今の自分はこれじゃ満足できないってところだったら、次のステージで……ってなるかもです。

――みんなそれぞれの思いがありますね。

神咲:1周年ワンマンライブを終えて、すごく今ファンの方たちが私達に期待してくれているのを感じてるんです。その期待を裏切らないようなグループになりたいし、今一度自分を見つめ直してみんなで一歩ずつ前に進んでいきたいと思います、よろしくお願いします!

インタビュー・文:加東岳史

ライブ情報

きゃわふるTORNADO ONE MAN LIVE T-03 TOUR 〜夏のきゃわ騒き

2018年7月22日(日)
15:30 OPEN / 16:00 START
【会場】
梅田Zeela
 
【日時】
2018年8月11日(土・祝)
16:00 OPEN / 17:00 START
【会場】
新宿ReNY