結成50年を迎えた“アカペラの王様”ザ・キングズ・シンガーズ 最新アルバムや公演への意気込みを語ったインタビュー

2018.5.14
インタビュー
クラシック

Photo by Marco Borggreve

2018年6月2日にザ・キングズ・シンガーズが東京オペラシティコンサートホールにてコンサートを開催する。ザ・キングズ・シンガーズは、ケンブリッジ大学のキングズ・カレッジ出身の6人によって結成され、2018年で結成50周年を迎えたアカペラグループだ。彼らの最新アルバムや公演への意気込みを語ってもらった。

--今回の結成50年記念日本ツアーを前にして、これまでの歩みとともにグループが進化している部分を教えていただけますでしょうか。

メンバーこそ変わっていたものの、私たちの使命そのものは変わっていません。時代の変化とともに、インターネットやソーシャルメディア、教育の分野で起きている進化や広がりを楽しんでいます。例えば私たちは毎年、世界中のさまざまな場所で50以上のマスタークラスやワークショップを行うなど、教育活動も取り組んでおります。その辺りがグループの進化してきたところです。

--ザ・キングズ・シンガーズは “アカペラの王様” と呼ばれています。そんなキングズのハーモニーが人を惹きつけるのはなぜだと思いますか?

 “ア・カペラ”の特別なところは、電子機器や楽器などなしの人間の声のみで、和声、カラー、ハーモニーとこれらを一体化させた統一感を出せるところにあります。お互いの音を気遣いながら音楽を創っていく、そんなところに面白さも感じます。ザ・キングズ・シンガーズ​はそういったスタイルを変えずに、音楽を奏でることに50年携わってきました。そのような魅力いっぱいの私たちの歌声を日本の皆さまにも届けたいと思っています。

--今回の最新アルバム『GOLD』はグループの大きなプロジェクトだったかと思います。コンサートの曲目もこちらのアルバムから選ばれたものが多いですね。アルバムの聴きどころはどのようなところにあるでしょうか

この50周年記念アルバム『GOLD』のために、私たちは録音を始める2年前から計画し始めました。収録曲は慎重に選ばれた60以上の曲で構成されています。このアルバムで私たちは500年の音楽の歴史にまたがるたくさんのザ・キングズ・シンガーズ​のレパートリーを見せたいと思っています。それと同時に良く知られたクラシック曲のアレンジバージョン、そして50周年記念のために特別にアレンジしてくれたニコ・マーリーやボブ・チルコット、ジョン・ラター、アレクサンダー・レストレンジェ、またケンブリッジ大学の学生であるトヴィー・ヘッションに感謝を示すとともに、皆さまにとても素敵な曲をお届けできるかと思います。また、以前メンバーでもあったナイジェル・ショート(現在テネブレ合唱団指揮者)がプロデュースしてくれ、私たちはグループが持つ特別なサウンドの維持を慎重に考えることができました。そしてこのアルバムは全曲聴いていただくと3時間以上キングズの歌声をお楽しみいただけます!

--コンサートのプログラムはどれもとても魅力的な内容ですが、特におすすめの曲はありますか?

コンサートにお越しいただくと特にお分かりいただけると思いますが、公演は昔のザ・キングズ・シンガーズ​から最新の曲まで全てお楽しみいただける構成となっています。その中で特に、ボブ・チルコットの「We are (私たちは)」という曲が私たちのお気に入りです。アメリカ人の作詞家のマヤ・アンジェルー(キング牧師と共に公民運動に参加した人物)の人としてのメッセージが深く伝わってくる詩にボブが美しいメロディーをつけてくれました。「ねえ、聞いて。私たちは皆違うようで似ているのよ」というメッセージが大好きです。私たちは世界中を旅しているときにいろいろな人たちに出会いますが、そのたびに彼女のこの一節を思い出します。また、武満徹さんが1986年のザ・キングズ・シンガーズ​のために作曲してくださった「手作り諺」。この曲は、瀧口修造さんの俳句を元に作られていますが、その曲の美しいこと! その他ビートルズの名曲「オブラディ・オブラダ」が私たちにとってハッピーになれる楽しい曲でこちらも大好きです。

--今回の公演への意欲や意気込みをお聞かせください。

毎回日本へのツアーを楽しみにしています! 日本へのツアーは毎回新しい発見があるからです。今回は特に美しい東京オペラシティコンサートホールにて公演ができることがとても楽しみです。この素晴らしいホールで皆さんに私たちの歌声を届けられることは、最高にハッピーです!

--最後に来日を楽しみにしている日本のファンの皆さまへメッセージをお願いいたします。

合唱ファンやアカペラファンそしてキングズファンの皆さまとお会いできるのが楽しみで待ちきれません!ぜひ私たちのコンサートを満喫していただきたいと思っています。皆さんもう少しだけ待っていてください!そして大好きなラーメンやすしを今回も堪能したいです!

--本日はありがとうございました。会場にてザ・キングズ・シンガーズの素敵な歌声、ハーモニーを聴けることを楽しみにしております。

公演情報

 『ザ・キングズ・シンガーズ』
日程:2018年6月2日
場所:東京オペラシティ コンサートホール
 
出演者:パトリック・ダナキー(カウンターテナー) 
ティモシー・ウェイン=ライト(カウンターテナー) 
ジュリアン・グレゴリー(テナー) 
クリストファー・ブリュートン(バリトン) 
クリストファー・ガビタス(バリトン) 
ジョナサン・ハワード(バス)
 
曲目・演目: <予定曲目> 
グリーンスリーブス(イギリス民謡/編曲:B.チルコット)
3つの歌より第2曲「ヴィネータ」Op.42 (作曲:J.ブラームス)
オブラディ・オブラダ(作曲:J.レノン&P.マッカートニー/編曲:B.チルコット) 他
 
料金:S席:¥7,500 A席:¥6,000 B席:¥5,000
  • イープラス
  • The King’s Singers
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