『デッドプール2』デヴィッド・リーチ監督って何者?ステイサムと闘い、ルッソ兄弟らに学び、セリーヌ・ディオンMVを撮ったヤバいヤツ

2018.5.27
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(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation  

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映画『デッドプール』の続編『デッドプール2』が6月1日から日本で公開される。『デッドプール』は、『アベンジャーズ』や『X-MEN』などで知られるマーベルコミックスの中でも、屈指の過激なヒーローを実写映画化したシリーズだ。特殊部隊出身の傭兵ウェイド・ウィルソンがひょんなことから不死身の肉体を手に入れ、自ら作ったユニフォームに身をつつんだ“デッドプール”として戦う物語だ。能天気で無責任で毒舌、さらに劇中を飛び出して観客や作者に話しかけることの出来る“第四の壁”突破能力をもつ異色のヒーロー像は全世界で人気を集め、映画化第一弾『デッドプール』はR指定映画の全米オープニング記録を樹立するヒット作となった。

5月18日に全米および世界81ヶ国で封切られた続編も、すべての国でオープニング1位に輝き、3日間で3億ドル(約330億円)を稼ぎ出すヒットスタート。米映画批評サイトRotten Tomatoesでも、批評家・観客ともに80%を超える高いスコアをキープしている(5月24日現在)。そんな『デッドプール2』だが、前作とは異なる人物が監督していることをご存じだろうか。メガホンをとったのは、『アトミック・ブロンド』で単独初監督をつとめたデヴィッド・リーチ。経験が浅いはずのリーチ監督は、なぜ“大ヒット作の続編”のプレッシャーに負けず、高評価を得ることが出来たのか? リーチの経歴をたどりながら、彼がどんなキャリアをたどった人物なのかをご紹介しよう。

 

スタントマン、コーディネーターとしてハリウッドアクションを支え続けた男 

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1990年代前半にスタントマンとしてキャリアをスタートしたリーチは、『サウスパーク』のトレイ・パーカー&マット・ストーン監督によるコメディ『ベースケットボール/裸の球を持つ男』『オーガズモ』などにスタントで参加。その後も、あらゆるジャンルのドラマ・映画に関わっている。やがて、スタントだけでなく、ジャン=クロード・ヴァン・ダムやブラッド・ピット、マット・デイモンのスタントダブルとしても活躍。ブラッド・ピットに至っては、代表作の『ファイト・クラブ』から5作品にわたって吹替えを担当している。こうして、リーチは2010年ごろまでに、『ブレイド』『マトリックス リローデッド』『300〈スリーハンドレッド〉』『トリプルX』に参加。一方で、2005年ごろからはスタントコーディネーターとして『ニンジャ・アサシン』『スピード・レーサー』『メカニック』『トロン』、デッドプールが実写映画に初登場した『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』など多数の作品に参加。『メカニック』では、俳優としてジェイソン・ステイサムと死闘を繰り広げ、日本のゲーム実写化作『ザ・キング・オブ・ファイターズ』ではテリー・ボガード役で出演も果たしている。いわば、近年のハリウッド・アクション映画を支えてきた人物なのである。

デヴィッド・リーチとチャド・スタエルスキ(『ジョン・ウィック』シリーズ監督)のソードアクションレーニング


そんなリーチに対し、『デッドプール』シリーズで脚本・製作総指揮を兼任したレット・リースは、「デヴィッドは、“デッドプール”をきちんと理解している。彼は世界屈指のアクション監督の一人で、本作のアクションを恐ろしいほどのレベルに仕立てた」と、リーチ監督の手腕を評価。同じく脚本家と製作総指揮を兼任したポール・ワーニックも「我々はデヴィッド・リーチという最高の作り手の一人を手にした。彼のアクションに比べれば、他の作品は大昔の映画に見えてしまうほど、本作のアクションは並外れている」とまで言い切っている。主演のライアン・レイノルズも「1作目では、デッドプールは大勢のザコキャラを相手に戦った。銃を使って離れた敵を相手にすることが多かったんだ。本作はもっとナイフを使った接近戦というか、首の血管が浮き出るような、より危険度の高い肉弾戦が多くなっていて、その点がとても気に入っている。特にケーブルとデッドプールの戦いはとても激しい接近戦だ」と、アクションの充実ぶりを明言している。

 

8年間で18本!セカンド・ユニット・ディレクターとしての豊富な経験

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リーチ監督はスタントマン・コーディネーターとしてだけでなく、映画製作の現場でさまざまな経験を積んでいる。2008年頃からは、コーディネーターと並行してセカンド・ユニット・ディレクター=第二班監督としての活動もスタート。特にアクション作品では、スタントコーディネーターがセカンド・ユニット・ディレクターを兼任することが多いので、リーチも多数の作品でこの役割を経験しているのである。セカンド・ユニット・ディレクターはいわば共同監督で、メインキャラクター以外が登場するインサートショットや、スケジュール上複数のロケ地で平行して撮影しなければならな場合、アクションパートなどを担当することが多い。作品への深い理解と監督と意思の疎通が要求される役割であるため、キャリアの浅い監督が経験を積むには最適な仕事なのである。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのゴラム役で知られるアンディ・サーキスが、『ホビット』三部作のセカンド・ユニット・ディレクターを担当して経験し、その後監督デビューを決めている。

デヴィッド・リーチ セカンド・ユニット監督としての仕事ぶり


リーチは、2008年から約8年間で実に18作品の第二班監督を経験。『ニンジャ・アサシン』のようなアクションだけでなく、『ミッドナイト・ミート・トレイン』(北村龍平監督)のようなホラー、モーションキャプチャーを多用する『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』シリーズ、CGIやアニマトロニクスを使う『ジュラシック・ワールド』、そして現在飛ぶ鳥を落とす勢いのルッソ兄弟が監督する『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』など幅広いジャンルの作品で演出を学んだ。つまり、リーチは監督経験こそ少ないものの、それを補ってあまりあるほどの現場経験を積んだクリエイターなのである。その手腕は、初の単独監督作『アトミック・ブロンド』に顕著に表れている。主演シャーリーズ・セロンのリアル指向の殺陣や、疑似ワンカットなどのアクションが注目されがちな同作だが、実際にはスパイ・サスペンスの要素が非常に強い。好みは別れるところだろうが、これはリーチがアクションだけに偏重しない、広い視野を持っている証拠だろう。

『アホリックス リローデッド』予告


また、リーチはアクション以外で好きなジャンルとして、コメディを挙げている。2005年には、後の『デッドプール』に続くコメディ作品も製作しているのだ。『アホリックス リローデッド』(原題『Confessions of an Action Star/アクションスターの告白』)という酷い邦題でリリースされたこの作品で、彼は主演・脚本を担当。場末のストリップダンサーがアクションスターとして成功し、アルコール依存症で落ちぶれていく壮絶な半生を、ドキュメンタリータッチのミュージカルコメディとして描いている。同作では、『ウエスト・サイド物語』『燃えよドラゴン』『ロッキー3』『ラッシュアワー』『マトリックス』といった映画パロディし、『デッドプール2』でも使われた『フラッシュダンス』の水浴びシーンを嬉々として再現しているのである。そのほかにも、リーチが監督した『デッドプール』の短編『No Good Deed』や、セリーヌ・ディオンのミュージックビデオ「アッシュズ」ではほとんどアクションを使わず、デッドプールらしい掛け合い巧み演出してみせている。これらの作品群からは、リーチがいかにコメディに対する高い適性を持っているかがわかるはずだ。


 

製作・脚本も兼任しているレイノルズは、こういったリーチ監督のクリエイターとしての実力も非常に高く評価し、「ただただ優秀で、すべてにおいてスマートだ。そしてキャラクター一人ひとりを深く理解している。スタントマンをしていたし、エンタメ業界のあらゆる職種を経験していて、彼はある意味で俳優といえる。だから監督経験は少ないのに、とても熟練しているんだ。まったく嫌味のない超ベテランという感じで、それが『デッドプール』に最適だった」と、『デッドプール2』への起用理由を明かしいている。

最後に、リーチの長所は“経験に裏打ちされたスキル”や“コメディセンス”だけはない。20年以上ハリウッドで活躍し続けてきたが故の、“人望と人脈”も彼の大きな武器の一つである。『アホリックス リローデッド』には、キャリー=アン・モスやヒューゴ・ウィービングを出演させているし、製作・共同監督をつとめた『ジョン・ウィック』はキアヌ・リーブスとの親交がなければ実現しなかった企画だ。同じく、『デッドプール2』にも、彼がこれまで関わった作品で親交を育んだ多数の俳優たちが(とんでもない役柄で)出演しているので注目。もちろん、監督自身も俳優として、ほんの少しだけ登場している。

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リーチ監督自身は、「デッドプールの世界には、間違いなく人を魅了するものがある。その世界が広大なおかげで、創造力を発揮しながらも、第1作に忠実であり続けることができる」と自信をのぞかせている。アクションを知り尽くし、さまざまなハリウッド映画のノウハウを学び、コメディのセンスも持ち合わせた異色の監督は、マーベル屈指の異色ヒーローをどう描いたのか。なお、リーチは今後、ドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムを主人公に据えた『ワイルド・スピード』シリーズのスピンオフ『Hobbs and Shaw』を監督することも決まっている。

『デッドプール2』は6月1日(金)全国公開。

作品情報

映画『デッドプール2』

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監督:デヴィッド・リーチ 
出演:ライアン・レイノルズ ジョシュ・ブローリン モリーナ・バッカリン ジュリアン・デニソン ザジ・ビーツ T・J・ミラー ブリアナ・ヒルデブランド ジャック・ケーシー
原題:DEADPOOL 2  
全米公開日:2018年5月18日  
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト:http://deadpool.jp/
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イベント情報

Celine Dion Live 2018 in Japan
開催日程: 2018年6月26日(火)
開催会場: 東京ドーム
公演時間: 16:00開場 18:00開演(予定)
公式サイト: http://celine-dion.jp
企画制作: AEG PRESENTS/エイベックス・エンタテインメント
運営協力: サンライズプロモーション東京
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