三宅裕司率いる熱海五郎一座、小林幸子とスウィングする『船上のカナリアは陽気な不協和音』が開幕

2018.6.1
レポート
舞台

熱海五郎一座 左から、春風亭昇太、渡辺正行、ラサール石井、小林幸子、小倉久寛、三宅裕司、東貴博

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三宅裕司率いる熱海五郎一座が6月1日(金)、新橋演舞場で東京喜劇『船上のカナリアは陽気な不協和音~Don't stop singing~』の初日を迎えた。ゲスト女優は小林幸子。出演は三宅裕司のほか、渡辺正行ラサール石井小倉久寛春風亭昇太東貴博(Wキャスト)、深沢邦之(Wキャスト)らお馴染みのメンバー。豪華客船を舞台にした劇中で、ビッグバンドジャズの生演奏も楽しめる。

開幕前日の5月31日(木)、新橋演舞場で囲み取材とゲネプロ(総通し稽古)が行われた。キャストたちの意気込みと本作の見どころを、舞台写真とともにレポートする。

<あらすじ>演歌界のラスボスとして君臨していた千夜子は、突如、歌の世界から姿を消す。バカンスのため後援会会長であり防衛大臣の永田真彦(渡辺正行)と豪華客船に乗船する。しかしその船に常駐するバンドのバンマスが、千夜子の引退のきっかけとなる演奏ミスをした日野“ビン太”晴正(三宅裕司)だった。

囲み取材は、劇中の衣装で行われた。熱海五郎一座への出演が2009年以来2度目となる小林幸子は、「東京喜劇の第一人者である皆さんと、三宅さんの音楽と共演できるということで、ワクワクしています」「稽古をしていても楽しいですし本当に面白い。これにお客さんが入るとどれだけ面白くなるか!」と声を弾ませる。

小林にオファーした理由を、座長の三宅裕司は次のように明かす。

「今回はビッグバンドが出ることもあり、ジャズが歌える方に出てほしい。でもジャズ歌手が出てもつまらない。演歌歌手の方にお願いしたい。演歌の方でジャズが歌える方ということで小林さんにお願いしました」

小林が「本当にかっこいい! ほれぼれします」と絶賛するのが、三宅のドラム演奏だ。劇中に登場する「三宅裕司 & Light Joke Jazz Orchestra」は、2007年結成のビッグバンド。三宅以外の全員がプロミュージシャンだ。

「小林さんと絡むシーンがおおくてドキドキした」と語るのは渡辺正行。元大御所演歌歌手・迫芝千夜子(小林)の後援会会長であり現役防衛大臣の永田真彦役をつとめる。天才外科医役で出演する春風亭昇太は、劇中に歌唱シーンがある。「自分の歌のあとで小林幸子さんが歌を歌うので、公開処刑みたいな感じですね。一座の捨て石となってがんばります!」と意気込む。

ラサール石井は自身の役どころを尋ねられるも「サプライズに次ぐサプライズで、ここでは何もしゃべれません。でも、ここにきて一番タイムリーな設定の役」だと説明する。

過去にも熱海五郎一座の劇中の設定が、偶然実際のニュースとリンクすることが起きていることから、会見終了後も「あの事件じゃない?」「でもタイムリーっていっていたよ?」など記者たちをざわつかせていた。

「若大将に憧れているので、海の男の役作りはばっちり」と語るのは、小倉久寛。豪華客船の船長役を演じる。副船長役は東貴博。「僕の役もちょっと(サプライズがあり)言えないことばかりなのですが、この中の誰かと、一座始まって以来のラブシーンがあります」とアピール。なお、この場に欠席していた深沢邦之は、東貴博とWキャスト。

小林は前回出演時は独身で、その後結婚をした。記者から結婚生活について話をふられると「(熟年婚は)いいですよ~。寄りかかるではなく、寄り添う。あ、今いいこと言っちゃいましたね!」と茶目っ気たっぷりに回答。これに三宅が「この一座に出ると、結婚できるというジンクスができるかも」と便乗するも、すかさず昇太が「僕ずっと出てるんですけど!」と声を上げ、「この人(昇太)10数年出てます」とラサ―ルがダメ押し。一同を笑わせた。

新橋演舞場進出5周年記念という節目の公演。三宅は「ビッグバンドジャズを使ったギャグ、贅沢な話ですよ?」「最初から最後まで、爆笑の連続を狙っています。それに加え、次々と起こる出来事、登場人物が背負ってるもの、レベルの高い音楽にダンス。これはもう、全部が見どころです!」と自信を見せた。

その言葉のとおり「こんなに贅沢なセットとキャストで、そんなせこいギャグを!?」と、驚きとともに笑い、最後は涙も誘う物語。つづいて、公演の見どころをレポートする。

豪華客船タイタニック号ならぬ、エビタニック号出航!

幕は伊東四朗一座より贈られたもの

熱海五郎一座によるエンタテイメントのおもてなしは、上演時間5分前からスタートする。

東貴博による渾身の前説だ。毎年時事ネタを取り上げ、開幕前の客席を盛り上げる。劇場へ行く際は、ぜひ時間に余裕をもって到着してほしい。

今年もホットなネタで客席を沸かせたところで上演時間となり、幕が開いた。新橋演舞場の花道を桟橋に、客が豪華客船に乗り込んでいく。後援会会長で防衛大臣の永田真彦(渡辺)と元大物歌手・迫芝千夜子(小林)はお忍び旅行。しかし、千夜子は衣装も言動もいちいち華やか!

社員の慰安旅行で乗船する麦原一味(むぎはらかずみ。ラサール石井)。バカンスで訪れた天才外科医の山井渉瑠(やまいかかる。春風亭昇太)。豪華客船エビタニック号に、個性的な面々がそろっていく。

ラサール石井(一番右)

春風亭昇太(一番左)

船内には、食事をしながらショーを楽しむことができるダイニングルームがある。そこで生演奏をするビックバンドのバンドマスターが、日野”ビンタ”晴正(三宅)。日野こそが、千夜子の引退の原因となる歌謡祭での演奏ミスをした男だ。千夜子の乗船に気づいた日野は、クルーの力を借りて鉢合わせないよう画策する。

船長の荒波絓琉(あらなみしける。小倉)は、どうやら千夜子のファンらしい。日野に、自分を千夜子に紹介してほしいと持ちかける。三宅と小倉は、台詞ともアドリブとも見分けがつかないユルい掛け合いをじわじわと笑いに変え、独特の空気感を生む。記者席もクスクス笑いが絶えなかった。

春風亭昇太が囲み取材で「公開処刑」と語った歌唱シーンは、前半の見どころのひとつ。

バンドのエネルギッシュで粋なビートにのり、昇太は“ジャズのスタンダード・ナンバー”を伸びやかに歌う。ドラムの三宅裕司はバックバンドに徹し、ゴージャスな舞台セットに、煌びやかな衣装のダンサーも登場。新橋演舞場にいることを忘れそうになる一幕だった。

小林は、お忍び旅行なのに大御所オーラを隠せない天真爛漫な千夜子役をきっちりつとめ、ギャグをいうわけでもないのに爆笑を誘う。一幕終盤のラスボス感溢れる高笑いは一見の価値あり! 渡辺正行が、安定のクサイ演技でその相手役をつとめ、三宅、ラサール、東も大真面目な演技で笑いを誘う。

三宅裕司。真剣な面持ちでくだらない台詞も。

誰もがボケ役にもツッコミ役にも回れるベテランぞろいの一座では、物語を(ほぼ)脱線することなく笑いのパスがつづく。登場人物たちの絡み合った事情が次第に明らかになっていく中で、歌あり、ダンスあり、アクションあり、そして涙もあり。フィナーレは、小林の歌うジャズと三宅のビートに盛り上がり、大きな拍手が贈られた。

観劇後「熱海五郎一座ってこんなに格好良かった?!」と思わされるのは、ビッグバンドの魔法かもしれない。熱海五郎一座が初めての方にもおすすめしたい、新橋演舞場進出5周年記念公演 「東京喜劇『船上のカナリアは陽気な不協和音~Don't stop singing~』」は6月1日(金)より28日(木)まで新橋演舞場で上演。後半の伏線となる台詞も多いので、手をたたき笑いながらも、油断せずに観劇してほしい。

取材・文・撮影=塚田史香

公演情報

新橋演舞場シリーズ5周年記念
熱海五郎一座
東京喜劇 船上のカナリアは陽気な不協和音
〜 Don’t stop singing 〜

 
■会場:新橋演舞場 (東京都)
■日程:2018/6/1(金)~18/6/28(木)
■出演・構成・演出:三宅裕司 
■出演:渡辺正行/ラサール石井/小倉久寛/春風亭昇太/東貴博(交互出演)/深沢邦之(交互出演)■ゲスト出演:小林幸子
■公式サイト:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/2018_atamigoro/
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