指揮者ブラッド・ケリー勇退!ラストツアーは『ヘラクレス』で 『ディズニー・オン・クラシック』記者発表会

2018.6.4
レポート
クラシック
アニメ/ゲーム

ブラッド・ケリー、リチャード・カーシー

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ディズニーのアニメーションや映画作品、テーマパークの名曲がふんだんに演奏されるコンサートツアーディズニー・オン・クラシック~まほうの夜の音楽会』が2018年9月22日(土)から全国27都市にて上演される。6月4日(月)都内で行われた本公演の記者発表会では、15周年の節目を迎える今年のコンサートツアーの概要と、第1回から指揮・編曲を務めてきたブラッド・ケリーが今ツアーをもって勇退し、リチャード・カーシーに後を託すことが発表された。

会見には、『ディズニー・オン・クラシック』のエグゼクティブ・プロデューサーであるシェイクスピア悦子、企画制作会社のハーモニー・ジャパン株式会社の日下部勝德、そしてブラッド・ケリーとリチャード・カーシーが登壇。『ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会』のナビゲーターを務める、ささきフランチェスコの司会にて発表会が進行した。

今年の『ディズニー・オン・クラシック』は「Find Your Hero ~そして君のもとへ」をテーマに、ディズニー音楽の巨匠、アラン・メンケンが手掛けた映画『ヘラクレス』(1997年上映)をメインプログラムとして、「ゴー・ザ・ディスタンス」「ゼロ・トゥー・ヒーロー」「恋してるなんて言えない」「スター・イズ・ボーン」などの名曲が全編演奏される。(本作の全編演奏は世界初)このほか、東京ディズニーリゾート35周年“Happiest Celebration!”のテーマソング「Brand New Day」、また『アラジン』『美女と野獣』『リトル・マーメイド』などアラン・メンケンの楽曲、さらにミッキー・マウスのスクリーンデビュー90周年を記念して『蒸気船ウィリー』全編が演奏されるという、いずれもディズニーファン垂涎の内容となるようだ。

ブラッド・ケリー

このツアーで勇退するブラッドは「ちょうど『リトル・マーメイド』アリエルのオリジナル・キャラクターボイスを担当したジョディ・ベンソンと共に出演した、1年目のツアーを今でも鮮明に覚えています。名古屋公演では終演後に急遽サイン会を行ったんですが、お客様の熱狂で現場がパニックになったこともありました。その時この企画のエネルギーを感じました。1998年10月に東京ディズニー・シーの立ち上げに向けて音楽監督、そして指揮者として携わったのが日本での仕事の始まり。あれからもう20年になったんですね。そんな節目の年に私は『ディズニー・オン・クラシック』を卒業することになりました」と振り返る。

そして勇退後、新たに立ち上げるプロジェクト『ディズニー・ワールド・ビート!』について話を続けた。「ディズニーとジャズ音楽に焦点を当てたプロジェクトです。ジャズという音楽、ディズニーという最高のエンターテイメントはアメリカでほぼ同時に誕生したわけですが、その関連性に注目したとても興味深いプログラムです。私がアレンジャーや音楽監督としてキャリアを積む前は、トロンボーン奏者として、アメリカやカナダなどでポップス、ジャズの音楽を演奏してきました。J.J. ジョンソン、マイルス・デイヴィス、カウント・ベイシー、ルイ・アームストロング、スタン・ケントンといったジャズ界のレジェンドに強く憧れていました。いわば私のルーツのような音楽を皆さんにお届けするのが非常に楽しみです。そして『ディズニー・オン・クラシック』は卒業しますが、まだまだ音楽活動は続けていきますので、引き続き応援をお願いします」と挨拶、会場からは拍手が沸き起こっていた。

リチャード・カーシー

そして、ブラッドは自身の後任を務めるリチャード・カーシーを会見場に呼び込む。リチャードは、ニューヨークを中心に、指揮者、編曲者、ピアニスト、俳優と幅広く活躍し、ミュージカル『オペラ座の怪人』のブロードウェイ公演および全米ツアーの指揮者を担当、ブロードウェイミュージカルのスーパーバイザーや音楽監督を務めてきた人物。2016年より『ディズニー・オン・クラシック』のNYキャストの音楽ディレクターを担当してきた。

「日本の皆さん、リチャードと呼んでください」と日本語で挨拶したリチャードは、本公演に向けた想いを述べた。「『ディズニー・オン・クラシック』の指揮者として抜擢していただき、とても光栄に思っています。今や『ディズニー・オン・クラシック』は日本だけでなくニューヨークを初めとするアメリカのミュージカル界でも広く認知されています。私自身、NYキャストの音楽ディレクターを3年間させていただきましたが、音楽への強い愛情を感じており、また特別な思いを持って携わっています。『ディズニー・オン・クラシック』のNYクリエイティブ・ディレクターであり、長年出演してきたトニー・クレメンツとは実に30年来の親友です。またトニーさんはじめディズニーの素晴らしいチームの皆さんと共にこの仕事に関われることを光栄に思っています。また、言うまでもないことですが、ディズニーのあらゆるエンターテイメントの大ファンでディズニー音楽を心から愛しています。(ここでディズニーランドのアトラクションを楽しむリチャードの写真がスクリーンに映し出され、会場が和やかな空気に!)
15年間に渡り受け継がれてきたディズニー音楽のレガシーを受け継ぎ、ブラッドの哲学や音楽性も十分に教わった上で2019年の春公演から指揮を務めます。皆様と舞台をともにできる子をと恐縮に思いつつも、皆さまと一緒に素敵でマジカルなものを作っていけることを楽しみにしています。
今年のディズニー・オン・クラシックでは、12月後半の公演では私も数公演だけ参加してファンの皆さんに直接ご挨拶します」。最後に日本語で『心を込めてお送りします』と挨拶を締め、大きな拍手に包まれていた。

ブラッドから指揮棒を引き継がれるリチャード

質疑応答で『ディズニー・オン・クラシック』を卒業する今の心境を問われたブラッドは「『大切な子には旅をさせよ』という歌がありますが、『ディズニー・オン・クラシック』は私の手を離れてもきっと大きく育っていくと思います」と親のような目線で想いを口にした。そんなブラッドの“子ども”を受け継ぐリチャードは「立派なキャデラックの新車をいただいたような気持ちです。この乗り物に乗っていけば何も心配はいらない、というような安心感を抱いています。そして引き継ぐ責任も感じています。私の強みであるミュージカルを武器に『ディズニー・オン・クラシック』に向き合っていきたいです」と力を込めた。

なお、リチャードが今後『ディズニー・オン・クラシック』にて指揮をしてみたいディズニー作品について質問が及ぶと「いっぱいありすぎて困る」と笑いながら前置きした上で「子どもの頃から大好きだった『ピノキオ』、そしてディズニースタジオが映画で新たな展開を見せるきっかけとなった『美女と野獣』、もう一つはオペラのようなアプローチがあり、『オペラ座の怪人』にも通じるところがある『ノートルダムの鐘』を指揮してみたいです」と笑顔を見せていた。

(左から)日下部勝德、ブラッド・ケリー、リチャード・カーシー、シェイクスピア悦子

取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

『ディズニー・オン・クラシック』
 
■日程・会場:
9月22日(土)~24日(月・祝)東京・文京シビックホール 大ホール【プルミエ・コンサート】
9月28日(金)~30日(日)大阪・フェスティバルホール
10月4日(木)東京・昭和女子大学 人見記念講堂【クローズド ※一般発売なし】
10月6日(土)神奈川・カルッツかわさき 川崎市スポーツ・文化総合センター
10月7日(日)三重・三重県文化会館
10月8日(月・祝)・9日(火)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
10月12日(金)静岡・アクトシティ浜松 大ホール
10月13日(土)神奈川・秦野市文化会館
10月14日(日)千葉・松戸・森のホール21
10月19日(金)栃木・宇都宮市文化会館
10月20日(土)山形・シェルターなんようホール(南陽市文化会館)
10月21日(日)福島・とうほう・みんなの文化センター(福島県文化センター)
10月26日(金)石川・本多の森ホール(旧石川厚生年金会館)
10月28日(日)富山・富山オーバード・ホール
11月2日(金)埼玉・大宮ソニックシティ ホール【ミステリアス&ダーク スペシャル】
11月3日(土・祝)群馬・ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
11月4日(日)長野・ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
11月9日(金)札幌・札幌文化芸術劇場hitaru【ミステリアス&ダーク スペシャル】
11月10日(土)札幌・札幌文化芸術劇場hitaru
11月13日(火)東京・オリンパスホール八王子
11月16日(金)東京・東京国際フォーラム ホールA【ミステリアス&ダーク スペシャル】
11月17日・昼(土)東京・東京国際フォーラム ホールA
11月17日・夜(土)東京・東京国際フォーラム ホールA【ミステリアス&ダーク スペシャル】
11月18日(日)東京・東京国際フォーラム ホールA
11月21日(水)高知・高知県立県民文化ホール オレンジホール
11月23日(金・祝)徳島・アスティとくしま 多目的ホール
11月24日(土)和歌山・和歌山県民文化会館
11月25日(日)滋賀・滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
11月27日(火)熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
11月28日(水)福岡・久留米シティプラザ・ザ・グランドホール
11月30日(金)福岡・福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)
12月1日(土)鹿児島・鹿児島市民文化ホール 第一
12月2日(日)広島・広島文化学園HBGホール(広島市文化交流会館)
12月6日(木)東京・サントリーホール【スペシャル・コンサート】
12月7日(金)神奈川・横浜みなとみらいホール 大ホール【スペシャル・コンサート】
12月8日(土)埼玉・所沢市民文化センター ミューズアークホール【スペシャル・コンサート】
12月9日(日)東京・すみだトリフォニーホール【スペシャル・コンサート】
12月12日(水)静岡・静岡市民文化会館 大ホール
12月14日(金)岐阜・長良川国際会議場メインホール
12月15日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール【クリスマス・スペシャル】
12月16日(日)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
12月20日(木)東京・東京国際フォーラム ホールA【クリスマス・スペシャル】【ファイナル・コンサート】
12月21日(金)東京・東京国際フォーラム ホールA【ファイナル・コンサート】
12月22日(土)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール【ファイナル・コンサート】
12月23日(日・祝)大阪・フェスティバルホール【クリスマス・スペシャル】【ファイナル・コンサート】
12月24日(月・休)大阪・フェスティバルホール【ファイナル・コンサート】

 
※【プルミエ・コンサート】
「プルミエ」とは特にヨーロッパで使われ、オペラやバレエの初日(初演)のことを表す言葉です。コンサートツアーの幕開けを記念し、<プルミエ(初日公演)限定>特製グッズ(非売品)をご来場者全員にプレゼント!
※【ミステリアス&ダーク スペシャル】
個性的な悪役やスリリングなアトラクション音楽にフォーカスし、迫力満点のステージをお贈りします。
※【スペシャル・コンサート】
オーケストラの規模が大きくなった編成でお贈りするコンサート。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなどの弦楽器の数を増やすことで、
より迫力の増したアコースティック・サウンドを充分にお楽しみいただけます。
※【クリスマス・スペシャル】
プログラムの一部を、特別にプログラムされた“クリスマス・コレクション”でお贈りします。「クリスマス・スペシャル」で演奏される曲目は、公演当日のお楽しみ♪ 
※【ファイナル・コンサート】
約3か月間におよぶ夢のツアーを締めくくる感動のコンサート!9月の公演から回数を重ねるにつれて、どんどん変化を遂げていくディズニー・オン・クラシック。指揮者、オーケストラ、ソリスト、そしてお客様の熱い熱い思いは、クライマックスを迎えます。

■公式サイト:http://d-classic.jp​