Helsinki Lambda Club、新代田FEVERを狂喜乱舞させた5周年ワンマンツアー初日
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Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
ワンマンライブツアー“エブリバディ・ウォンツ・ヘル!” 2018.6.30 新代田FEVER
「ロックンロールは、別に俺たちを苦悩から解放してもくれないし逃避させてもくれない。 ただ、悩んだまま躍らせるんだ」――ピート・タウンゼント(The Who)。もしも彼の言葉がロックの定義とするなら、あの日、僕らは身をもって“それ”を味わった。
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
2018年6月30日。Helsinki Lambda Clubのバンド結成5周年を祝うワンマンライブツアー“エブリバディ・ウォンツ・ヘル!”の初日公演が東京・新代田FEVERで開催された。始めはみんな心地良くリズムに乗っていた……それが2時間後、全身の細胞が目覚めたかのうように狂喜乱舞する人々。ダイバーたちが最前めがけて次々に飛んでいく。ステージでは橋本薫がギンギンに瞳孔を開かせて叫びまくり、稲葉航大はベースを弾きながらキレキレのダンスをかまして、熊谷太起は一心不乱にギターをかき鳴らし、柿内宏介はとり憑かれたようにドラムを叩きまくる。理性とは反対の、本能をむき出しにしたステージングがそこにあった。
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
MCで稲葉が「初ライブが7月21日だったんです。(満員のお客さんを見渡しながら)本当にね、あの時はこうなると思ってなかったですよ。しかも、最初のライブに太起さんがお客さんとして遊びに来てて……今やメンバーですから」と感慨深げに話した通り、誰よりも彼ら自身が、今のヘルシンキの姿を想像できていなかったと思う。
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
――2013年にHelsinki Lambda Clubを結成。2014年にUK.PROJECT主催のオーディションで最優秀賞を獲得してデビュー。2016年に開催したツアーファイナルは渋谷WWWでソールドアウト。順風満帆に見えたが、2017年にギターの佐久間公平、ドラムのアベヨウスケが脱退。同年、Group2の熊谷が正式加入。ドラムにはYap!!!の柿内宏介をサポートメンバーに迎えた。5年とは思えないほど、本当に色々な出来事が起きたバンドだ。
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
この日はFEVERに集まった300人の観客へ「今まで支えてくれて、ありがとう!これからも頑張ります」的なことではなく、「かかってこいや」と言わんばかりのファイティングポーズを音で示しているようで。最高の演奏に対して、我々がいかに食らいついていくか、そういう勝負の2時間だった。
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
僕が驚いたのは観客が全然帰ろうとしない、ということ。「ワンマンを観るために集まっているんだから、当たり前だろ」と思うかもしれないが、そうじゃない。本編が終わっても1人も帰らず、アンコールが終わっても1人も帰らず、Wアンコールが終わっても誰も帰ろうとしないのだ。「これ何ラウンドあるんだ!?」とツッコミを入れたくなるほど、アンコールが止むことはなかった。しかも、客席に照明がついた後も数分間はみんなが立ち尽くしたままステージを見つめ続けた。恐らく、先ほどまで演奏していた4人の余韻を噛みしめていたんだと思う。それぐらい、今のヘルシンキは仕上がっているのだ。
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
終演後、ボーッとした頭を抱えたまま新代田から下北沢まで歩いて帰った。途中、コンビニへ入るとラジオが流れていて、この日の東京は6月としては39年ぶり6日連続の真夏日を記録したことが伝えられた。ツアーは残り2公演。ヘルシンキの夏は、まだ始まったばかりだ。
文=真貝聡 撮影=マスダレンゾ
Helsinki Lambda Club 撮影=マスダレンゾ
ツアー情報
“エブリバディ・ウォンツ・ヘル!”
The Voodoo Lounge
会場:愛知・名古屋ROCK’N'ROLL