【Special Living Live】TSUKEMEN　寺岡呼人、村田陽一、Daichiとの異色コラボで魅せた一夜をレポート

結成10周年を迎えたWヴァイオリン&ピアノによる3人組インストユニット・TSUKEMEN(ツケメン)が、東京・渋谷 eplus LIVING ROOM CAFE ＆ DININGの【Special Living Live】に登場。寺岡呼人がプロデュースする人気ライブ・シリーズで、今回ホスト役に選ばれたTSUKEMENが『TSUKEMEN Summer Secrets』と銘打ち、自身としても珍しいジャンルのアーティストとコラボを繰り広げた。また、台風接近のため開催延期となった8月8日(水)の振替公演が、11月28日(水)に開催されることもアナウンスされた。
以下、8​月7日(火)・9日(木)公演の模様をお届けする。

初日・8月7日(火)のステージに登場したのは、ヒューマン・ビートボックスを自由自在に操りNET上で絶大な人気を誇るDaichi。赤いハットを被り颯爽と登場し、挨拶代りのコラボとしてアニメ音楽「ルパン三世のテーマ」が披露された。耳馴染みのあるメロディが、そこにはない様々な楽器で奏でられる異様な光景に、観客は早速度肝を抜かれた。TSUKEMENのWヴァイオリン・ピアノとの絡みも早くも上々。

目玉曲として事前発表されていた｢闘う者達」(ゲームソフト「ファイナルファンタジーⅦ」より)では、演奏者自身がプレイしていたゲームソフトということもありその思い入れも強く、さらに熱を帯び迫力を増した演奏が広がった。そして、本編最後には事前にDaichiのYouTubeチャンネル上でコラボ動画が公開され話題になっていたTSUKEMEN「Volcano」が、生演奏で披露された。その息はぴったりで迫真のステージを生み出し、会場は熱気の渦に包まれた。

アンコールには、拳を突き上げ「オー！」というコーラスをひとつに合わせる、TSUKEMENライブで人気の新定番曲「雨ノチ晴レ。」を届けた。会場を埋め尽くした観客とともに作り上げた一体感とその熱気が、ビートボックスに乗っかり、ヴァイオリン・ヴィオラ・ピアノの音と融合しライブを締め括った。

いくつの楽器音が飛び交っただろう。驚きと発散の初日だった。TSUKEMENとDaichiの最も異色なコラボは、違和感のないひとつのチーム・サウンドを創り出した。終演後、笑い合い固い握手を交わした4人だった。

続く8月8日(水)に予定されていた、斬新かつ先進的な和太鼓プレイヤー 大多和正樹と、この夏世界大会で優勝を果たした尺八 黒田鈴尊とのコラボは、台風接近のため来場者の安全を最優先し開催延期となっていたが、このたび11月28日(水)に振替開催が決定した。この和洋楽器が絡み合うスペシャル・コラボは、必ず勢いを増しものすごいステージを見せてくれることだろう。すぐそこに、熱い音色と鼓動が聴こえてきそうな期待に駆られる。

最終日・8月9日(木)は、世界的トロンボーン奏者・村田陽一、さらにライブ・プロデューサーである寺岡呼人も加わり開催された。TSUKEMENの映画音楽『Volcano』のヴァイオリン・ヴィオラ・ピアノに深いトロンボーンの音が寄り添う。メンバーも希望していた管楽器がTSUKEMENサウンドに加わり、一気にその世界観は広がった。村田陽一が繰り出した特徴的な手法、ルーパーを使用し現場の音をリアルタイムに拾い演奏曲に反映していくプレイはこの日驚きの声と未体験の感動を会場にもたらした。タンゴの奇才アストル・ピアソラの「Night Club 1960」、村田陽一オーケストラの「Bustle and Silence」、スティングの「Englishman in New York」など大人の雰囲気を纏った楽曲の中で、村田陽一とTSUKEMENのプレイが溶け合った。

満を持して登場した当企画のライブ・プロデューサーの寺岡呼人は、TSUKEMENとの出会いの一曲とも言える「Dear Doctor」にアコースティック・ギターで参加。最後には出演者全員そろっての「デイ・ドリーム・ビリーバー」を唄い奏で、華々しい夜に幕を下ろした。

これまで、全国のホールでの単独ライブを中心に10年間活動を行ってきたTSUKEMEN。コラボ・ライブ自体が新境地とも呼べる取り組みではあったが、心地よい音の融合と共に、これが一時の出来事ではなくこの先にも光を照らすことになる……そんな予感がした。

なお、これらのステージの模様は、9月にTSUKEMENのレギュラー番組『TSUKEMEN TV』(J:COMテレビ)において放送されるので、お見逃しなく。