サカナクション、THE BAWDIES、NICOら所縁の深い者たちの名演 『SWEET LOVE SHOWER 2018』DAY2

2018.9.2
レポート
音楽

サカナクション Photo by 上山陽介

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SWEET LOVE SHOWER 2018・DAY1 2018.9.1  山中湖交流プラザ きらら

SWEET LOVE SHOWER 2018』2日目=9月1日に出演したアーティストのうち、6組のライブレポートをお届けする。この日は通算出演回数10回を誇る、このフェスと所縁の深いアーティストが3組も出演していた。

BURNOUT SYNDROMES Photo by 上山陽介

FOREST STAGEで最初に音を鳴らしたのはBURNOUT SYNDROMES。朝一番のこのステージには、オープニングアクトとしてスペースシャワーTVが注目する新鋭アーティストが出演する。そのため、出演者側も爪痕を残さんと気合十分。定刻前、彼らは「いきなりとっておきのやつを」と、アニメ主題歌として広く知られている「FLY HIGH!!」を演奏していた(後にライブ本編でも披露)。そして本編へ。

BURNOUT SYNDROMES Photo by 上山陽介

バンドの大黒柱、軸の太いビートを繰り出す廣瀬拓哉(Dr)も笑顔で楽しそう。躍動的なベースラインが持ち味の石川大裕(Ba)はヘッドセットマイクを着用。「総合司会」も務め、オーディエンスとの距離をグッと縮めてみせる。歌唱力抜群、熊谷和海(Gt/Vo)の男気溢れる歌声は、壁のない場内をスイスイと進んでいく。特に1曲目「花一匁」、ギターとボーカルのみの歌い出しは格別だった。最新曲「世界を回せ」も披露。「あなたのSWEET LOVE SHOWERを最高の一日に!」という熊谷の言葉が力強く響いた。

UNISON SQUARE GARDEN Photo by 古溪一道

LAKESIDE STAGEのトップバッターはUNISON SQUARE GARDEN。「おはようございまーす!」と斎藤宏介(Vo/Gt)が挨拶をし、「君の瞳に恋してない」でスタートだ。「シャンデリア・ワルツ」を終えると短いセッションへ。「ライドオンタイム」では、斎藤のボーカル+田淵智也(Ba)&鈴木貴雄(Dr)のコーラスによる三声のハーモニーが気持ちよく響いた。ベースラインがうねり、バスドラが連打され、4曲目は「パンデミックサドンデス」——と、前半はだんだんテンポアップしていく構成。<徐々にスピード上げる季節の中  少しだけでいいから 見つけてみて/自分の心を加速させる様な確かな事>という「シャンデリア・ワルツ」のフレーズが後になって刺さってきた。

UNISON SQUARE GARDEN Photo by 古溪一道

後半では、趣の異なる春の曲をふたつ続け、「シュガーソングとビターステップ」で締め。スティックを回したり上着をかぶりながら叩く鈴木、回し蹴り的な動きをしながら踊るようなメロディを奏でる田淵、間奏にある怒涛の展開を涼しい顔して牽引する斎藤。数々の妙技で魅せ、颯爽と去っていく姿が痛快だった。

NICO Touches the Walls Photo by 岸田哲平

NICO Touches the Wallsは、10度目の『SWEET LOVE SHOWER』出演。光村龍哉 (Vo/Gt)は金髪&サングラス姿という出で立ちで登場したのだが、「mujina」で炸裂する重心の低いバンドサウンド、挑発的なボーカルを耳にすれば、きっとそういうモードなのだろうと納得がいく。「スーパーサポートミュージシャン」こと浅野尚志(Vn,Key&Gt)とともに5人編成で臨んだ彼らは、中盤に披露した2曲が印象的だった。起承転結鮮やかな「SHOW」はこのバンド自身のことを歌ったような曲で、全楽器が鳴きまくるクライマックスが圧巻。「いい天気でよかったです」と始めた「天地ガエシ」はボーカル&コーラスによるハーモニーが風に乗っていく様子が美しかったのだ。

NICO Touches the Walls Photo by 岸田哲平

次に鳴らされたのは「Funny Side Up!」であり、振り返れば、6曲中4曲はこの1年以内にリリースされた曲だった。「今」の自分たちが、一番心の高鳴る音楽をやり続けていたいということだろう。音に任せて身を揺らす光村が煽り気味の口調で発した、「ほらほら、もっと自由になれー!」という言葉、胸に刺さった人もいたのでは。

OKAMOTO'S Photo by 高田梓

そしてすぐさまFOREST STAGEへ移動。OKAMOTO'Sのライブは「BROTHER」でスタートした。どこまでも開けたメロディ。よく聴くとクレイジーな、一筋縄でない展開。そして<俺のことわかるやついるか?>という問いかけ。すべてを知り得ることのない「他人」同士が、それでも共に歌い踊るためのオープニングナンバー。「せっかくみんなに観てもらえるなら、MCよりも曲を観てもらえた方がいいかなって」と、リフで、ビートで、オーディエンスの身体を揺らし続ける彼らのやり方を見て、これも一つの「自由」の形だと思った。

OKAMOTO'S Photo by 高田梓

哀愁漂うボーカルが浮かび上がる「BEDROOM」、ヒップホップの要素を汲み入れた「NEKO」など、ハイライト多数な上にその色合いが全て違っているからすごい。最後に演奏した「90'S TOKYO BOY」のアウトロで、オカモトショウ(Vo)は改めてメンバー一人ひとりのことを紹介してからステージを去っていく。その後「燃え残り一切なし」と言わんばかりに3人のセッションがさらに白熱していったのが、ぐうの音も出ないほどのカッコよさだった。

THE BAWDIES Photo by 岸田哲平

THE BAWDIESは結成15周年、デビュー10周年、『SWEET LOVE SHOWER』には10度目の出演である。そのためだろう、「THE BAWDIESはこの曲から始まりました!」(ROY/Vo,Ba)と、インディーズ期の曲「EMOTION POTION」を3曲目に演奏したのだった。同曲では、ROYがオーディエンスにシャウトを求めたあと、お返しを披露。そのハイトーンにみんな感嘆しきりだったが、直後、やりきったような顔をカメラに抜かれてしまうお茶目さもあるのがこの人だ。

THE BAWDIES Photo by 岸田哲平

ここでROYが改めて、今年がメモリアルイヤーであることを説明し、しかし自分たちはこれからも転がり続けるバンドなのだと宣言。その証明としての新曲「FEELIN' FREE」を、まさにこの場に刻み込むような熱演で以って届けていく。そして、スターウォーズ風の小芝居(ライトセーバーをパンに挟むという強引なオチ)からの「HOT DOG」、「デッカい打ち上げ花火が見たい」とオーディエンスを踊らせた「JUST BE COOL」、「カモン、MARCY!」を合図にドラムのビートから始まる「KEEP ON ROCKIN'」で終了。Mt.Fuji STAGEに響きわたる締めの「スウィート・ラブ・シャわっしょーい!」コールに、このバンドが如何に愛されているかが表れていたように思う。

サカナクション Photo by 上山陽介

LAKESIDE STAGEのトリはサカナクション。デビュー10周年にして10度目の出演ということはTHE BAWDIESと同様だ。ライブの冒頭は、ステージから強烈な光が放たれ、こちらからはメンバーのシルエットのみが確認できる状態。山口一郎(Vo/G)の指揮に合わせ、音を鳴らすバンドの姿は神々しくすら見えた。静かにギターが奏でられ、1曲目は『NIGHT FISHING』収録の「サンプル」。そこからセットリストが進んでいく最中、山口がフィールドを見渡しながら、ポロッと「すごい!」と言っていたのが印象的だった。

サカナクション Photo by 上山陽介

中盤には「ルーキー」が演奏されたのだが、その直前のセッション中、あのコーラス部と同じメロディが先行して流れているという周到っぷり。曲中のフォーメーションチェンジ、どんどん生っぽくなっていくバンドサウンドが昂揚感を誘う「ミュージック」は、このバンドのことを端的に語る曲なのだと改めて思った。そしてラストには最新曲「陽炎」を披露。「サカナクションでした!」という山口の挨拶の直後に打ち上げられた大きな花火は、大切な夏の思い出として、多くの人の胸に焼きついたに違いない。


取材・文=蜂須賀ちなみ