ニューロティカ×人間椅子 あまりに個性的な2組の交錯はどんな化学反応を生んだのか

2018.9.19
レポート
音楽

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

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『Way to 2000 2 MAN SHOW』ニューロティカ×人間椅子  2018.9.14  渋谷TSUTAYA O-WEST

10月20日(土)東京・ZEPP TOKYOにて行われる、通算2000本目のライブ『Zepp de NEW ROTE'KA ~祝2000本達成ライブ~』を控え、2000本を目前としたカウントダウン・ライブシリーズ『Way to 2000 2 MAN SHOW』を開催中のニューロティカ。通算1995本目のライブであり、ツーマンシリーズ2本目となる人間椅子とのツーマンライブが、9月14日(金)渋谷O-Westにて行われた。共に“90年メジャーデビュー”と同じ時代を生きながら、ライブでは交わることのなかった両組。開演前、「初のツーマンで、化学反応を起こすこと間違いナシ!」とあっちゃん(Vo)も影アナで煽った、貴重すぎるライブの幕が切って落とされた。

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

人間椅子 撮影=中島たくみ

先行は人間椅子。怪しげなSEが流れる中、独特の雰囲気と貫禄を醸しながらメンバー登場。印象的なギターイントロで始まり、和嶋慎治(Gt/Vo)がボーカルを取るヘヴィな「超自然現象」から、名曲「りんごの泪」のイントロが鳴ると、フロアから大きな歓声が起きる。鈴木研一(Ba/Vo)がボーカルを取り、和嶋が津軽三味線を彷彿とさせるギターソロから、津軽弁ラップを聴かせると、会場を怪しく激しくおどろおどろしい人間椅子の世界に染まる。

人間椅子 撮影=中島たくみ

ニューロティカの1995本目のライブにようこそおいで下さいました」と鈴木の挨拶で始まったMCは、「2000本って凄いよね。まず、数えてたことが凄い! 人間椅子は来年30周年って言ってるけど、果たして本当に30周年なのか?」と呟き、「核心をついたことを言いましたね!」と和嶋に突っ込まれる。確かに89年には「イカ天」に出演しているので、“結成30周年”というのとはちょっと違いそうだが、「我々は世の中に出てから30年。平成の世と共に30年を迎えました」という和嶋の説明を聞いて納得。

人間椅子 撮影=中島たくみ

「我々はあっちゃんと違って雑だから覚えてない」と鈴木が笑い、和やかなMCを終えると、和嶋の怪しいギターで始まる「賽の河原」で、再び観客をおどろおどろしい世界へ引き戻す。先日終えたばかりのツアーでもやってないという「もののけフィーバー」を披露し、この日限りのスペシャル感を演出すると、和嶋が「ニューロティカ人間椅子ももう30年」としみじみ語り始め、「彼らも命ある限りやっていくと思いますよ。僕らも死ぬまでバンドやっていきますから」と力強く宣言。新曲「命売ります」で見せた最新型の人間椅子は、ナカジマノブ(Dr)の力強い高速ビートに乗せた渾身の歌と演奏が胸に迫る、勢いに満ちた攻めの楽曲で“死ぬまでやっていく”の言葉の説得力がさらに増すものだった。

人間椅子 撮影=中島たくみ

3人の強い結束や仲の良さが見える、呼吸の合った演奏が最高に気持ち良かった「芳一受難」、「どっとはらい」と続くと、「人間椅子はドラムも歌うバンドだぜ!」と「超能力があったなら」ではナカジマがボーカルを取って美声を披露。和嶋がギターを弾きながらテルミンを演奏する妙技も見せ、ロックバンドの型にハマらない人間椅子の面白さに興奮してるとライブは早くも終盤。ラストは激しく重厚な演奏で魅せた「人面瘡」、勢いと疾走感のある楽曲にフロアを沸かせ、和嶋の泣きのギターや背面弾きに大歓声が起きた「針の山」で最高潮の盛り上がりが生まれる中、終演。同じ時代を共に戦い、ここからも共に戦っていく戦友にエールを送るべく、全身全霊で挑んだ人間椅子のステージは本当に素晴らしかったし、ニューロティカへのリスペクトもしっかり感じさせた。

人間椅子 撮影=中島たくみ

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

「2000回まであと5回! やりたいことをやらなきゃ、嘘になっちまうぜ!」とあっちゃんが叫び、「嘘になっちまうぜ」でいきなりフルスピードで始まった、後攻のニューロティカのステージ。「五十の夜」でフロアの合唱を起こして観客の心をガッチリ掴むと、「夏・NANCY・16才」、「L・O・E」、「A・T・K・T」とハードな初期楽曲が続き、ナボ(Dr)の高速ビートはどんどん加速。カタル(Ba)の野太いベースにジェームスのギターが大暴れし、あっちゃんが「アタ~キタ!」と咆哮を放つ! 

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

と、パンク・バンド然とした勢いあるステージで見せた前半戦。突然始まったおどろおどろしい演奏に、観客が思わず声を上げたのは、人間椅子「陰獣」のカバー。ツービートの疾走感あるパンクロックの印象が強いロティカだが、自身以外の曲をカバーする姿からは、メンバーそれぞれの演奏技術の高さも改めて見える。人の曲を歌うのが苦手なあっちゃんも頑張って怖い顔を作って低く太い声で歌い上げて、檀家のみなさん(人間椅子ファン)から大きな拍手を受ける。「こんばんは、ニューロティカです」と、そのまま怪しげな声で挨拶すると、舌を出してニヤニヤしたまま「人の曲は難しいけど、やり切ったぜ、顔は」と怖い顔をしておどけるあっちゃん。しっかり掴んだおかげでMCもウケて、ゴキゲンなまま「おかしなお菓子屋ロックンロール」へ突入。ロティカを初めて見る檀家さんも巻き込んで、♪イェイイェイとピースサインを合わせる。初めて見たって、曲なんか知らなくたって、すぐに一緒に歌って踊れるキャッチーさは、ニューロティカ最強の武器!

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

新旧織り交ぜた楽曲で盛り上げた中盤戦。「こんなもんじゃねぇだろう」の痛快なビートで会場を揺らし、「毎日恋してないと生きていけないぜ」と「青春山脈」でちょっぴりシリアスで感傷的な面を見せると、「元気があれば何でもできる!」と「悲しきラガー」でハシャギまくる。過去楽曲だろうと最新楽曲だろうと、あっちゃんが歌うと古臭さを一切感じず、現在の曲になってしまうから不思議。それはきっと結成当時から嘘をつかず本当のことを歌い続けてきたこと、変わらぬ信念でバンドを続けていられるからだと思うが。30年以上も前に作った曲が古臭いものやノスタルジックなものにならず、今もリアルに新鮮に届けられるバンドがどれだけいるだろう?

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

ハイテンションのまま突入した「絶体絶命のピンチに尻尾を高くあげろ」からの終盤は、30年間歌い続けてる「DRINKIN' BOYS」、そして「チョイスで会おうぜ」とアッパーな曲を畳み込む。カタルはステージを全力で駆け回り、あっちゃんは疲れを感じさせないハイジャンプを見せ、会場中が笑顔で歌い踊る中で明るく楽しくフィニッシュ。どっちのファンとか関係なしに、その場にいる全ての人を否応なしに巻き込み、最後は力づくにでも笑顔にするのが34年間変わらないニューロティカの流儀だ。

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

そして、ここで終わっておけばカッコいいのに、ついつい余計なことをするのもニューロティカ。一度ステージをはけて、和装に丸メガネというスタイルで戻ってきたあっちゃん。似てない和嶋慎治のコスプレで「りんごの唄」のカバーを披露。さらにステージには高台に乗せた座布団が用意されて、たぶんコスプレした姿が落語家に見えたという理由だけで、あっちゃんの落語が始まる。失笑する観客をよそに小話を披露して、満足そうなあっちゃん。観客のパラパラとした拍手を受けながら、「せっかくだから、最後は人間椅子を呼んで、洋楽の名曲をセッションしましょう」とセッティングが始まる。

ニューロティカ 撮影=中島たくみ

なぜかメンバーが楽器を置き、あっちゃんが再びいなくなったステージ。一体、何が始まるんだろう? と見守っていると、横並びに並べられたマイクに両メンバーがスタンバイし、星条旗柄の衣装を着たあっちゃんが登場。7人で披露したセッション曲は、西城秀樹の「ヤングマン(Y.M.C.A)」! ♪ヤングマン! と、拳を突き出して踊る7人のおじさんに会場中が大爆笑!!  最後にとんでもない化学反応を起こしてくれたロティカと人間椅子は、最後に全員並んで繋いだ手を上げて挨拶をして、笑顔で大団円を迎えた。

ニューロティカ / 人間椅子 撮影=中島たくみ

ニューロティカ / 人間椅子 撮影=中島たくみ

ニューロティカの今後の予定は『Way to 2000 2 MAN SHOW』として、9月19日(水)グループ魂 、9月21日(金)四星球、9月24日(月)氣志團を迎えてのツーマンライブを開催。そして、10月13日(土)のGAUZE主催『消毒GIG VOL.170』に出演し、10月20日(土)東京・Zepp Tokyoにて『Zepp de NEW ROTE'KA ~祝2000本達成ライブ~』を開催。まずは貴重なツーマンライブに参加して2000本目に向けての気持ちを高め、偉大な記録を達成するその日を共に祝おう! 


取材・文=フジジュン  撮影=中島たくみ

ニューロティカ / 人間椅子 撮影=中島たくみ

ライブ情報

Way to 2000 2 MAN SHOW

#1996
2018年9月19日 渋谷TSUTAYA O-WEST
開場 18:15 開演 19:00
w/グループ魂
#1997
2018年9月21日 渋谷TSUTAYA O-WEST
開場 18:15 開演 19:00
w/四星球
#1998
2018年9月24日 渋谷TSUTAYA O-WEST
開場 18:15 開演 19:00
w/氣志團
  
Zepp de NEW ROTE'KA ~祝2000本達成ライブ~
2018年10月20日 Zepp Tokyo
開場 18:00 開演 19:00