窪田正孝、柚希礼音の主演で、シアターコクーンが唐十郎の傑作『唐版 風の又三郎』を上演 ♪どっどど どどうど どどうど どどう

2018.9.20
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舞台

唐十郎、金守珍、窪田正孝、柚希礼音



唐十郎の傑作戯曲『唐版 風の又三郎』が、窪田正孝柚希礼音の主演で、2019年2月8日~3月3日にBunkamuraシアターコクーンで上演される(3月8日~13日には大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演)。他に、北村有起哉丸山智己江口のりこ石井愃一山崎銀之丞金守珍六平直政風間杜夫らも出演する。演出は金守珍(きむ・すじん)。

『唐版 風の又三郎』は1974年に唐十郎の率いる劇団状況劇場が初演。故・根津甚八、李礼仙、小林薫、大久保鷹、不破万作、唐十郎らが出演、陶酔的な美しさと感動にあふれた舞台と評された。宮沢賢治の「風の又三郎」に、オルフェウスとエウリュディケのギリシャ神話、またシェイクスピアの「ヴェニスの商人」や、さらには初演の前年となる1973年に陸上自衛隊航空学校宇都宮分校で起った若い整備員によるLM1型連絡機の無断乗り逃げ事件(そのまま消息不明となった)などを織り混ぜながら誕生させた、民衆の「神話」ともいうべき作品だ。上野不忍池の水上音楽堂や夢の島などに張られた紅テントの上演は、「♪どっどど どどうど どどうど どどう」と歌われる有名なテーマソング(故・安保由夫作曲)と併せて熱狂的な人気を博し、当日券を求め5時間並ぶことも厭わない観客も続出するほどの、演劇史上の伝説となった。また、レバノンやシリアでのパレスチナ公演もアラビア語翻訳版で敢行された。当時不忍池公演を観た吉本隆明は「猥雑な能舞台」と評した。

Bunkamuraシアターコクーンでは2016年5月に、唐十郎との縁浅からざりし芸術監督・蜷川幸雄が肝煎りのキャスティングを得て『ビニールの城』(作・唐十郎)を上演させようとしていた矢先に他界、その遺志を継ぐ形で同年8月に蜷川追悼公演『ビニールの城』が森田剛、宮沢りえ、荒川良々らの布陣で上演されたが、その際に演出を担当したのが金守珍だった。彼は唐十郎蜷川幸雄、両虎を師とし、アングラ(アンダーグラウンド)演劇に真正面から取り組んできた劇団・新宿梁山泊の主宰者だった。今回シアターコクーンは、そんな彼を再び演出に起用して、唐十郎の金字塔的名作に挑むこととなった。ちなみに金は自身の劇団でも『唐版 風の又三郎』を上演した経験がある。

精神病院から逃げてきた患者の青年「織部」を演じるのは、2013年に出演した『唐版 滝の白糸』で唐作品に初参加し、蜷川演出で骨の髄までアングラに浸かった窪田正孝。数多くの映画やドラマで主演を務め、6年ぶりとなる舞台で再び唐作品に出演することとなった。そして、宇都宮から流れてきたホステスの「エリカ」を演じるのは、宝塚歌劇団星組トップスターとして不動の地位を確立し、退団後はミュージカルのみならずストレートプレイやソロコンサートなど多方面で活躍してきた柚希礼音だ。芸歴20周年という節目の年にアングラという異ジャンルに挑む。もっとも唐十郎には宝塚を描いた『少女仮面』という初期の傑作もあり、猥雑な両性具有性を秘める唐ワールドと宝塚歌劇との間には意外な親和性も見出されるのである。

さらに、舞台・映像作品と出演作では強烈な存在感を放つ北村有起哉丸山智己江口のりこ、意外にも唐作品には初参加となるベテラン・風間杜夫山崎銀之丞、蜷川作品には欠かせない存在であった石井愃一、そして唐イズムを継承する六平直政(状況劇場および新宿梁山泊出身)、大鶴美仁音唐十郎の長女)、そして金守珍率いる劇団新宿梁山泊の面々など、若手からベテランまで豊かな顔合わせが実現する。

窪田 正孝 コメント

蜷川幸雄氏演出「唐版 滝の白糸」でアリダを演じたのが昨日のことのように感じます。
あれから5年も経っているとは。
再び唐版に携われることが光栄です。
風のようにやわらかく
風のように凶暴に
風のように自由に
風のようにカタチにとらわれず
唐版の戯曲を、言葉遊びに酔いしれたい。

柚希 礼音 コメント

この度「唐版 風の又三郎」に出演させていただくことになり身の引き締まる思いでございます。

今まで出演させていただいた作品とは全然違う世界で、そして私ごとですが、来年芸歴20周年を迎え、その幕開けがこの作品になり、新人のつもりで体当たりで全てをかけて学ばせていただきたいと思っております。

演出の金さんを始め、ご一緒させていただく窪田正孝さん、素晴らしい共演者の皆様からもたくさんのことを吸収させていただき、おもいっきり挑みたいと思います。

このような素晴らしい体験ができることに感謝しながら、今までの自分からもまた一つ殻を破ることができたら……、そして憧れのシアターコクーンで演じることができるのも楽しみです。

是非とも楽しみにお待ちください。宜しくおねがいいたします。

金 守珍 コメント

唐ワールドの魅力は何といっても異次元の世界にワープし、物語の飛躍を楽しめることだ。渦巻き状のパワーを秘めたタイムトンネルをくぐり抜けることで、限りなく自由な想像力を我々に与えてくれる。

この渦巻き状のパワーは荒々しい北風にも似て東北から生まれた宮沢賢治の世界とあいまってロマン溢れるファンタジーの世界を醸し出している。

この度、素晴らしいキャスト・スタッフと共に「唐版 風の又三郎」をシアターコクーンで上演できることはこの上ない喜びである。

ぜひとも劇場に足を運び、唐ワールドのダイナミックで美しい飛翔のイメージとノスタルジックな叙情をたっぷりあじわって頂きたい。
 



【物語】
死の花嫁を捜しにどこへ行く、オルフェ。死の魔窟は……死の耳はどこにある。分かっているよ。僕たちは分かっているんだ。そして、わざとこんな風な言いぶりで、何かを計っていることも。さあ、行こう、代々木のテイタンへ。死んだ恋の人を尋ねて。東京の下町で二人の男女が出会う。精神病院から逃げてきた青年「織部」と宇都宮から流れてきたホステスの「エリカ」。二人はこの物語の中では恋人同士ですらなく、ただ、『風の又三郎』のイメージを介して結びつくもろい関係。汚濁した世間で生きていくことができずに病院に収容され、それでも、自分を連れ去る風の少年に憧れる織部は、その面影をエリカの中に見い出す。エリカは自衛隊の練習機を乗り逃げした恋人を探す道連れとして、この純真な青年を利用する。探し当てた恋人はすでにこの世の人ではなく……。ガラスのような精神を抱え、傷つきながらもひたすらに、自らの「風」である女を守ろうとする青年と、いまわしい血の記憶に翻弄させる女との、恋よりも切ないものがたり。
 
【おもな登場人物】
織部/窪田正孝、エリカ/柚希礼音、夜の男/北村有起哉、死の青年/丸山智己、桃子/江口のりこ
死の少年/大鶴美仁音、梅子/えびねひさよ、珍腐/石井愃一、風の商人/山崎銀之丞、淫腐/金守珍、
乱腐/六平直政、教授/風間杜夫 他
[参考]:1974年状況劇場初演時の【おもな登場人物】
織部/根津甚八、エリカ/李礼仙、夜の男/大久保鷹、死の青年/小林薫、桃子/田口いくこ、死の少年/山口河童、梅子/本間光琳、珍腐/十貫寺梅軒、風の商人/天竺五郎、淫腐/田村泰二郎、乱腐/不破万作、教授/唐十郎 他
 
【プロフィール】
[作] 唐十郎
1940年2月11日生まれ、東京都出身。63年に劇団「シチュエーションの会」(翌年「状況劇場」に改名)を旗揚げ。翌64年に処女戯曲「24時53分『塔の下』行きは竹早町の駄菓子屋の前で待っている」を執筆。67年、新宿花園神社境内にて紅テントの公演を開始。国外での活動も積極的に行っており、72年に韓国、73年にはバングラデシュ、74年にはレバノン、シリアの難民キャンプにていずれも現地語での公演を行っている。88年に状況劇場を解散、劇団「唐組」を旗揚げし作・演出・出演を務める。以降、70年に第15回岸田國士戯曲賞受賞、03年に第7回鶴屋南北戯曲賞受賞、04年に第55回読売文学賞受賞、06年に第13回読売演劇大賞芸術栄誉賞といった日本での賞のほか、10年には韓国の文学賞、第3回李炳注(イ・ビョンジュ)国際文学賞受賞するなど、海外でも高い評価を得ている。また、97年から05年まで横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程教授に就任し、劇団「唐ゼミ★」を指導。05年から10年には近畿大学文芸学部客員教授を務め、12年4月より、母校である明治大学文学部の客員教授に就任している。脚本家としてだけではなく小説家としても数多くの作品を発表しており、83年には「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞、13年にはこれまでの独創的な舞台制作の功績が評価され、2012年度朝日賞を受賞している。
 
[演出] 金守珍
1954年11月23日生まれ、東京都出身。東海大学電子工学部を卒業後、演出家・蜷川幸雄に師事し蜷川スタジオに所属。「近松心中物語」等に出演し、演劇の基礎を学んだ。78年より唐十郎の状況劇場に参加し、蜷川と唐という「アングラ小劇場」の代表とも言うべき演出家から直接に指導を受けた。独自の表現スタイルであるテント演劇のノウハウを獲得し、その後、87年に新宿梁山泊を創立。旗揚げより新宿梁山泊公演の演出を手掛け、テント空間、劇場空間を存分に使うダイナミックな演出力が認められている。89年には小劇場として初めて韓国都市公演を行い、第17回『テアトロ演劇賞』を受賞。その後も、ドイツ、中国、韓国などに招聘され、高い評価を受けた。日本はもとより、オーストラリア国立演劇学校で特別講師として招かれ、世界に通用する演出家と評判を呼んだ。99年にはニューヨークで公演を行い、また01年には日韓合作映画「夜を賭けて」で監督を務め、第57回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人監督賞、第43回日本映画監督協会新人賞を受賞。エネルギッシュ且つ強烈なビジュアルを印象付ける演出力に高い評価が集まっている。また演劇公演以外にもロックコンサート、韓国伝統音楽会各種イベント、デザイン博覧会などの演出をはじめとして様々な芸術活動を行っている。近年の主な演出作品:「腰巻おぼろ~怪鯨篇」「オセロ―」(17)、「ビニールの城」(16)、「少女仮面」「二都物語」「丹下左膳~百万両の夢枕~」「ハムレット」(15)、「ジャガーの眼」(14)、「月の家」「百年~風の仲間たち」「道玄哀歌」(13)。
 
[出演]窪田正孝
1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。2006年に初出演となったドラマ「チェケラッチョ!! in TOKYO」(CX)で主演を務め俳優デビュー。同年スクリーンデビューも果たし、その後話題の映画や舞台に数多く出演。09年には「浪速の花~尾形洪庵事件簿~」(NHK)で主演を務め、12年には「平清盛」で大河ドラマにも初出演。14年のNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」、同年の「Nのために」(TBS)での演技が高く評価され、以降、映画・ドラマと数多くの主演作に出演し、若手実力派俳優として注目を集めている。舞台出演は、2013年の「唐版 滝の白糸」以来6年ぶりとなる。近年の主な出演作に【映画】「モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ」(声優)、「銀魂2 起きては破るためにこそある」「犬猿」(18)、「東京喰種 トーキョーグール」「ラストコップ THE MOVIE」(17)、【ドラマ】「ヒモメン」(18・EX)、「アンナチュラル」(18・TBS)、「僕たちがやりました」(17・CX)、「4号警備」(17・NHK)、「ヒトヤノトゲ~獄の棘~」(17・WOWOW)【舞台】朗読劇「緋色の研究」(12)、「薄桜鬼」「トライフル~reorder~」(10)など。
 
[出演]柚希礼音
6月11日生まれ、大阪府出身。1999年宝塚歌劇団入団、星組に所属。2009年宝塚歌劇団星組トップスターとなる。2014年には日本武道館での単独コンサートも実現するなど宝塚歌劇100周年を支えるトップスターとして活躍。第30回松尾芸能新人賞受賞、第65回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞受賞、第37回菊田一夫演劇賞受賞と受賞歴も多数。2015年5月10日「黒豹の如く」「Dear DIAMOND!!」にて宝塚歌劇団を退団。以降もミュージカルを中心に第一線で活躍し、17年には初のストレートプレイとなる「お気に召すまま」にも出演し、活動は多岐にわたる。近年の主な出演作品に、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15「ZEROTOPIA」「マタ・ハリ」(18)、「ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜」(17)、「バイオ ハザード~ヴォイス・オブ・ガイア~」(16)など。
 

公演情報

Bunkamura 30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019
『唐版 風の又三郎』


■作:唐十郎
■演出:金守珍
■出演:
窪田正孝、柚希礼音、北村有起哉、丸山智己、江口のりこ、
大鶴美仁音、えびねひさよ、広島光、申大樹、染野弘考、小林由尚、加藤亮介、
三浦伸子、渡会久美子、傳田圭菜、佐藤梟、日和佐美香、清水美帆子
石井愃一、山崎銀之丞、金守珍、六平直政、風間杜夫
■企画・製作:Bunkamura

 
【東京公演】
■公演期間:2019年2月8日(金)~3月3日(日)
■会場:Bunkamuraシアターコクーン
発売日:2018年11月25日(日) AM10:00~
料金:S席10,500円 A席8,500円 コクーンシート5,500円(全席指定・税込)
■主催:Bunkamura
に関する問合せ:Bunkamuraセンター 03-3477-9999(10:00~17:30)
■公演に関する問合せ:Bunkamura 03-3477-3244(10:00〜19:00) http://www.bunkamura.co.jp

 
【大阪公演】
■公演期間:2019年3月8日(金)~13日(水)
■会場:森ノ宮ピロティホール
発売日:2019年1月中旬予定
■主催:サンライズプロモーション大阪
■問合せ:キョードーインフォメ―ション 0570-200-888(10:00〜18:00) http://www.kyodo-osaka.co.jp
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