加藤健一事務所が24年ぶりにレイ・クーニーの笑劇に挑む！『Out of Order ～イカれてるぜ！～』いよいよ開幕

加藤健一事務所vol.103『Out of Order ～イカれてるぜ！～』が2018年9月26日（水）より東京・下北沢の本多劇場にて上演される（10月10日まで）。その後、10月13日（土）京都府立府民ホールアルティ、10月14日（日）兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールを巡演する。

『Out of Order ～イカれてるぜ！～』（原題：Out of Order）はイギリスの笑劇作家レイ・クーニーの戯曲。レイ・クーニーは、1932年ロンドン生まれで今年86歳。笑いの水準が世界一高いイギリスにあって、その頂点にそびえ立つコメディのキングである。彼は劇作家のみならず演出家、プロデューサー、さらには俳優として八面六臂の活躍をする天才だ。彼の戯曲は日本での上演機会も多く、加藤健一事務所も、傑作の誉れ高き『ラン・フォー・ユア・ワイフ』と『パパ、I LOVE YOU！』を過去に上演している。ちなみに、同タイプの笑劇を書く、息子のマイケル・クーニー作品も昨今、我が国ではよく舞台に取り上げられている。

さて、今回のあらすじは……臨時国会をさぼり、ホテルで野党議員の秘書ジェーン（加藤忍）と浮気に耽る英国与党の副大臣リチャード・ウィリー（加藤健一）。ところが、ある事件が発生。バレたら議員人生を棒にふる。そこで、秘書（浅野雅博）を巻き込んでの必死の隠蔽工作。しかし事態はどんどん悪い方向、悪い方向へとこじらせていくばかり……。

レイ・クーニーならではのおなじみのパタンだが、爆笑シチュエーション・コメディ。海外のウェルメイドな芝居を上演し続けて今年で38年になる加藤健一事務所、90年代はクーニーやフェドーなどの笑劇を上演していたが、近年はシリアスな物語やテーマ性の強いもの、笑って泣ける感動ものの舞台が続いていた。よって、バカバカしさが弾ける王道のコメディを上演するのは、今回久しぶりとなる。レイ・クーニー作品は実に24年ぶりとなる。

演出を務めるのは、前作Vol.102公演『煙が目にしみる』の演出を務めた堤泰之。前回に引き続き加藤とタッグを組む。稽古初日の顔合せで加藤と堤は「コメディは真剣さ、真面目さが極めて重要。狙って笑わそうとしていてはいいものはできない」と力説、翻訳の小田島恒志氏は「いい大人たちがこのバカバカしい芝居を真剣になってやっているのがまた面白い光景だ」と笑った。また、副大臣に振り回され続ける秘書役・浅野雅博（文学座）は、「真面目にやればやるほど面白くなる役。役者がどれだけ苦しむかでコメディは大きく変わる。頑張ります」と意気込んだ。

他の共演は、加藤健一事務所のコメディに無くてはならない最強メンバー、加藤忍、日下由美、新井康弘、さとうこうじ。シェイクスピア作品からコント芝居、文学・美術館等の朗読まで、幅広く活躍する坂本岳大。また、小劇場で活躍する注目劇団からは、ハイリンドのはざまみゆき、温泉ドラゴン主宰の阪本 篤。また今回、加藤健一事務所初出演となる文学座の女優・頼経明子は、ファンケルのCM“大人のカロリミット「同窓会乙女太め篇」”の女性として、その顔はよく知られている。

生の舞台でしか味わえない「笑いの強度」を体験したくば、加藤健一事務所のレイ・クーニーを絶対に観るべきと、とりあえず断言しておこう。