シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム第三十四沼(だいさんじゅうよんしょう) 『galcid世界ツアー沼!2』
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「welcome to THE沼!」
沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第三十四沼(だい34しょう)『galcid世界ツアー沼!(2)』
皆さんおげんこ??
前回に引き続き、galcidのレナです!
今回はツアーの後半、ベルリンでの話を…。
ベルリンでの今回のステイ先はクロイツベルクという場所でした。
会場からも比較的近いこの場所は色んな物が集まっていて、とても過ごしやすいところ。
ツアー前半はモントリオール、スイス、とフランス語圏で過ごし、
ようやくフランス語での挨拶が慣れてきた頃にドイツ語圏へ移動した。
なので買い物をする度に「メルシ…ダ、ダンケ!」と言いなおすハメにw
そんなベルリンでもまた色んな人に出会い、そして再会し、感動的だった。
テクノ外交官、DJトビーさん
ベルリンはgalcidのような音楽ジャンル(電子音・インダストリアル)にとっては憧れの地であり、
そういう音を好む人が多いのではないか、と期待も高まるところ!
世界的にモジュラーシンセの見本市(Super Booth)がある、という点でもミュージシャン心をくすぐる街である。
さて、そのベルリンで今回で出会った人とは
Mokoさん
Detroit Undergroundのレーベルメイトである
Yaporigami YUさん
Anna
Frank Muller(フランク・ムラー)
Hitoさん
Makotoさん
Igor(イゴール)
モジュラーショップ・シュナイダーズラーデンのスタッフ
再会した人
Mijk Van Dyke
Jason Snell
光森さん
とさまざまだ。
その中で遠隔でミュージシャンシップを固めてくれた人こそがテクノ外交官ことDJ Tobyさんだった。
私がFacebookでベルリンにチェックインしたと同時にTobyさんから連絡が入り、
「Mokoさんに会ったことある~?」
「Hitoちゃんに会ったことある~?」
と時差も関係なく日本からベルリンの人に繋いでいく様子は本当にテクノ外交官。
Tobyさんの外交マッチングシステムは寸分違わず初対面なのに、
楽しくベラベラと何時間も話せてしまうという素晴らしいセンスなのだ。
そして同時に自分もこういう先輩でありたい、と思ったのでした。
そのおかげで時間を無駄にすることなくベルリンの初日の朝から
ベルリンを拠点にDJのエージェントをしているMOKOさんに会えたり、
午後にはアメリカ時代からの古いレーベル仲間で、
お兄ちゃんみたいな存在だったJason Snellに10年以上ぶりに再会したり、
と楽しくスタートを切ることができた。
その次の日にはベルリンにあるモジュラーシンセ専門のお店、「シュナイダーズ・ラーデン」へ。
店内はどこまで行ってもモジュラー。
そんでもってイケメンのFrenzというお兄さんがモジュラーのことを熟知していて、
いろんなモジュールを試させてくれた。
翌日にある私のライブにも来てくれるということで、嬉しいのと共に緊張が!!
ベルリンでの初ライブ
ライブ当日、初めて会うオーガナイザーのイゴールと固く握手をし、セッテッィング・・・。
なんか雰囲気がよく、頑張りすぎてないこのハコの感じがとてもオシャレに見えた。
ライブでマイクを使うのに、ハコにマイクがないために、あたふた・・・。
取り敢えず、今回のイベントを作ってくれたマイク・ヴァン・ダイクと
現地で音楽活動している光森さんならば持っているのではないかと思い、
二人にマイクを持ってくることができるかと連絡を入れた。
結局、マイク・ヴァン・ダイクがマイクを持って来てくれることになったのだが、
光森さんも万が一のためにマイクを持って来てくれたw。みんな優しいな。
そして、ここでBEROSHIMAことFrank Mullarとも初めましての出会い。
Mokoさんの旦那さんでもあり、マイクやオーガナイザーのイゴール、みんなと何十年もの付き合いだそうで、安心感が半端ないw。
今回のライブツアーで痛感したのが、オープン時間にはほとんど客がいない、ということ。
もう、本番前まで入ってこなくて正直ビビりました。
そんで、10分前から入り始めて、本番始まる頃にはどんどん入って来て、ライブ途中で顔を上げたらパンパンに入ってた!!
そこではベルリン在住のレーベルメイトにも会えたし、
古くからの友人や、名前を見にて来てくれたって人もいたりして、本当に嬉しかったなー。
約束通りにモジュラー屋のFranzも来てくれて、喜んでくれた!
そしてモジュラーのシステムの作り方に驚いていた。これはシンセ番長・齋藤久師に感謝!
大満足でイベントを終え、サポートDJとしてやってくれてるだけでも豪華すぎるのに、
マイクがローディーのように私の機材をステイ先まで運んでくれて感涙。
その後、行きつけのバーに連れて行ってくれた。
タクシーに乗ったらBGMがヴァンゲリスの曲(炎のランナー)で、思わず顔を見合わせて爆笑してしまった。
やっぱりシンセと縁があるんだね・・・。
そのバーは、クラシカルな雰囲気。
バーテンダーが全員ネクタイを締め、マスターが安全ピンをピアスにしていて、
クラシカルなんだけど、どこかパンクな場所で居心地がよく、何時間か語り尽くした。
ベルリンのナイトシーン
その翌日はレンタルバイクを借りてまたモジュラーショップへ。
目当てのモジュラーをゲットした。
お目当てだったけど売り切れてたもう一つのモジュラーは、
ライブをみてくれた人がメーカーに言ってプレゼントしてくれることになった。
ラッキー!!
その日、レッドブルのフェスにマイクが出演するというので会場のfunkhausへ!!
ラインナップはめちゃくちゃ豪華!
もともとラジオ局だったというこの建物はもともとオーケストレーションを録音できるスタジオもあり、
すごい重厚な雰囲気!!
なんか、こんな廃墟っぽいのもベルリンっぽくてかっこいいな、と・・・。
一人でうろうろしていたら、フランクも遊びに来て、何軒かクラブを回ることに。
フランクはどのハコも顔パスなので、長蛇の列もすいすい入れてでラッキーだった。
それにしても、ベルリンのこのクラブ文化はものすごく潤っているな~、と感心した。
フランク曰く、easyjetというLCCで低価格でフランスやスイスなどから行き来ができるようになってから、
週末にクラブに遊びに来たりする人が一気に増えたのだそう。
おかげで24時間DJやミュージシャンも必要とされるし、お客も満載!!
すごく羨ましいサイクルだな!と。
そして、何しろ入場料も安いよね。だいたい1,000円から1,500円。
これなら気軽に入れる!!
ベルリン最後の日〜帰国
ベルリン最後の日、Tobyさんに紹介されたDJ HITOさんのストリーム番組に遊びに行った。
前情報なくお会いしに行ったのだが、会ってから別れるまでの4〜5時間、
とにかく爆笑しっぱなしだった。
本当にずーっと第一線を走っているミュージシャンって優しいし、楽しいし、最高だな、って。
また絶対にベルリンには来る!それだけは確信した。
そしてまた来たら絶対に会いたい人がいるのってなんて素敵なんだろう!!
ベルリン最終日、宿に戻って荷造りをしていた。
普段からおっちょこちょいな私はスケール(測り)も入手して、
空港でスーツケースを開けて荷物を入れ替えするようなことはないように頑張っていたw。
私の帰国日は齋藤久師の記念すべきコンサート
国際フォーラムで冨田勲先生のメモリアルコンサートのオープニングアクトを務めるという大役があったため、
私も是が非でも見に行こうと空港から直接会場に向かえるように準備していた。
そのためにも日本についたらすぐに連絡できるように現地のSIMを日本のSIMに交換できるようにしておこう!
そう思って準備をしていた。
日本のSIMカードが入っている袋・・・。
そこには穴が空いていた。
嫌な予感がした。
ちょうどSIMがすり抜けるくらいの大きさだな・・・。
そう思って見ていた。
SIMは入っていない。
去年使ったイギリスのSIMは入っていたが・・・・。
過去2回連続で海外に出るたび電話無くし、今回は3度目の正直!!と思って
電話を無くさない対策をした、というかしてもらった!!
電話機は無くさなかった。
そしてSIMをなくした。
SIMがなくては電話はできない・・・・。
「No plan, No preparation, No phone」
帰国日に国際フォーラムでDJトビーさんが私に放った言葉。
そして、その言葉に寸分違わず間違いはなかった。
私のキャッチフレーズ・・・。
人生はインプロ。
皆さんもインプロな人生の沼の住人になりませんか・・・?