年末恒例“祭”シリーズ『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』が開幕 笑って泣ける舞台で平成最後の年越し
『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』
佐奈宏紀と内藤大希がW主演する『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』の公開稽古が2018年12月27日(木)に行われた。本作は、2011年から、演劇製作会社る・ひまわりと老舗大劇場の明治座がタッグを組み、歴史ものをテーマに上演を続けてきた「祭」シリーズの第8弾。今や風物詩ともなった年末恒例の2部構成の公演で、4時間に渡って芝居、歌、ダンスによる極上のエンターテインメントが繰り広げられる。
これまで、忠臣蔵や源義経、阿弓流為など、歴史的にも有名な物語や人物を題材にし、様々な畑から集まった俳優たちが笑いあり、歌あり、涙ありの歴史エンターテインメントを上演してきた本シリーズ。
『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』
今回の第1部では、『風林火山をす・る』と題し、戦国最強軍団と謳われた武田軍がいかにして誕生したのかを、武田晴信(のちの信玄)と山本勘助の出会いから描く。続く第2部では、キャストたちが歴史上の人物をモチーフにしたアイドルユニットを組み、オリジナル楽曲を歌い踊り、会場をライブ会場さながらに盛り上げる。
第1部冒頭、松本岳、近藤頌利、松村優の3人が花道から舞台上に登場し、物語がスタート。劇場の番人(加藤啓)が出迎えると、幕が開き、舞台上には衣装をつけた登場人物たちが佇んでいる。ここで早速、番人による出演者いじり。この日は、番人による無茶ぶり気味なパントマイムを、武田信康役の田中涼星と村上義清役の木ノ本嶺浩が披露。会場からはどっと笑いが起こった。
『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』
『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』
物語は、武田軍の伝説の快進撃を描いたもの。歴史好きにとってはお馴染みの武田晴信をはじめとした武将やその側近たちを、個性豊かにキャラ付けし、歴史を全く知らなくても楽しめるエンターテインメントへと仕上げていた。全体的に笑い要素がたっぷりだが、ストーリーが大きく展開する重要なシーンでは、キャストたちの表情が一変し、緊迫感を漂わせる。そのギャップにすっかり魅了され、物語にどっぷりと入り込んでしまった。
また、武田信虎役の加藤茶も見どころのひとつ。往年のギャグを惜しげもなく披露し、時にアドリブを交えながら、着実に笑いを積み重ねていく。熟練の加藤の手腕と、佐奈を始めとした若手俳優たちの勢いが化学反応を起こし、新たな笑いを生み出していた。
12月31日(月)には、カウントダウン公演も行われる本作。平成最後の年末を、笑って泣いて、興奮して迎えてみてはどうだろうか。
上演に伴い、W主演の佐奈と内藤からコメントが寄せられた。
『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』
武田晴信役:佐奈宏紀
柄にもなくたくさんの不安を抱えながら稽古に入ったのですが、毎日稽古をしていく中で、漠然と悩んでいたことにも先輩が的確なアドバイスをくださり、皆さんに助けていただき、一つひとつ具体的に解消されていきました。普段は同世代の共演者が多いので、先輩がいっぱいいて、惜しみなく頼っていい、皆さんが頼らせてくれる環境がる・ひまわり作品の良いところだと思います。そして何より、(W主演の)大希君がいつもニコニコと受け入れてくれる感じが本当に支えになっています。
お芝居は歴史ものなので難しいイメージを持たれるかもしれませんが、言葉も現代に置き換えられていたり、物語も身近で誰でも当てはまる内容だったりするので、メッセージもガツンと届くと思いますし、感じてほしいと思います。
また、2部のユニット「TONO&KERAI」は先輩に頼らず若手だけで何とかできないかと皆で試行錯誤して作り上げましたが、稽古で出し切った感じがするので、10公演最後まで同じテンションで乗り切れるかというのも見どころかもしれないです(笑)。
山本勘助役:内藤大希
去年初めて参加させていただいた“祭”シリーズですが、W主演決定の発表から約半年、(8月に上演した)リーディング公演ではお客様の前でお披露目があり、昨年W主演の安西・辻本両座長からバトンを引き継ぎ、日に日に実感しています。
演出の板垣恭一さんのもと、(W主演の)佐奈と二人で自分たちができることをがんばる、二人の力を出し惜しみせず全力で稽古から臨んで本番を皆様に観に来ていただくということを念頭に稽古に励んできました。たくさんのスタッフ・共演者に支えられて最終稽古を終え、これから皆様に観て頂くのが楽しみです。
取材・文・撮影=嶋田真己
公演情報
第一部:芝居「風林火山をす・る」
第二部:ショー「KAI ROCK FESTIVAL」
◆公演日程:
<東京>2018 年 12 月 28 日(金)~31 日(月)明治座
<大阪>2019 年 1 月 19 日(土)梅田芸術劇場メインホール