宝塚歌劇星組・紅ゆずるが、菊田一夫の戯曲『霧深きエルベのほとり』で、愛に翻弄される船乗りを快演
Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』 撮影:森好弘
宝塚歌劇星組公演のOnce upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』、スーパー・レビュー『ESTRELLAS(エストレージャス)〜星たち〜』が1月1日(火)、兵庫県・宝塚大劇場にて開幕した。
■Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』<作/菊田 一夫 潤色・演出/上田久美子>
●船乗りと令嬢、身分の違いが運命の愛を歪ませる
『霧深きエルベのほとり』は、日本で初めてブルードウェイ・ミュージカルを上演したことでも知られる劇作家・菊田一夫が宝塚歌劇のために書き下ろし、1963年の初演以来、4度にわたって再演されてきた名作。物語の舞台は、エルベ河に隣接するドイツの港町、ハンブルク。年に一度のビア祭りで賑わう中、船乗りのカール(紅ゆずる)、そして父親との確執で家出中の名家の令嬢・マルギット(綺咲愛里)は運命の出会いを果たす。二人はたちまち恋に落ち、結婚を誓い合うが、船乗りと良家の娘という身分の違いがお互いの気持ちの歯車を狂わせていく。
「たとえどうなろうとも、二人が惚れ合っていたらそれでいいじゃないか」と燃え上がる、カールとマルギットの関係。愛する人と過ごす時間がいかに尊いかを綴りながら、一方で、愛とはまるでビールの泡のように儚いものであることを見せていく。愛における誤解、疑い、すれ違いを描き出し、観客の感情を揺さぶっていく。
Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』 撮影:森好弘
船乗り・カールを演じたのは、星組トップスターの紅ゆずる。周囲からはおっちょこちょいな悪党に思われながら、しかし実は愛に対してナイーブな一面を持つカールを、陽気さとシリアスさの両面を使い分けて表現。そしてマルギットには、トップ娘役の綺咲愛里。カールの強気な愛情にどんどんひかれていくマルギットを、可憐さを漂わせながら好演している。
Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』 撮影:森好弘
今回、36年ぶりに『霧深きエルベのほとり』の再演を実現させたのは、以前より同作に惚れ込んでいた演出家・上田久美子。ごきげんな歌とダンス、めくるめくようにチェンジするセットがリズミカルな展開を生み、登場人物の心情の交錯を切なく描くだけではなく、笑いもこぼれる明るさ溢れるロマンス劇を作り上げている。
Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』 撮影:森好弘
■スーパー・レビュー『ESTRELLAS(エストレージャス)〜星たち〜』<作・演出/中村暁>
スーパー・レビュー『ESTRELLAS(エストレージャス)〜星たち〜』 撮影:森好弘
本作のタイトルになった「ESTRELLAS」とは、スペイン語で「星々」を意味しており、星組生たちが、人々の心に輝きを届ける満点の星々を体現。夜空を想起させるセットや衣装には綺羅星のような装飾が施され、「誰もが星のように光を与えることができる」というテーマのもと、まばゆいパフォーマンスを披露。ヒットソングなど、テーマに沿った楽曲もふんだんに盛り込まれている。
スーパー・レビュー『ESTRELLAS(エストレージャス)〜星たち〜』 撮影:森好弘
Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』、スーパー・レビュー『ESTRELLAS(エストレージャス)〜星たち〜』は2月4日まで宝塚大劇場にて、東京宝塚劇場では2月15日から3月24日まで開催される。
公演情報
潤色・演出/上田 久美子
作・演出/中村 暁
<兵庫公演>
■日程:2019年1月1日(火)~ 2月4日(月)
■会場:宝塚大劇場(兵庫)
■日程:2019年2月15日(金)~ 3月24日(日)
■会場:東京宝塚劇場(東京)