舞台「攻殻機動隊 ARISE:GHOST is ALIVE」観劇レポ―ト

2015.11.10
レポート
舞台
アニメ/ゲーム

©士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

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リアルとバーチャルが融合した瞬間がそこにあった

 士郎正宗の原作誕生から25周年を迎えた「攻殻機動隊」シリーズ。TVアニメや映画の新作公開、ハリウッドでの実写化決定とファンには嬉しいニュースが続く中、衝撃度MAXなのが「攻殻機動隊 ARISE:GHOST is ALIVE」の舞台化だろう。東京芸術劇場プレイハウスにて11月15日まで上演中の本公演。その公開ゲネプロに直撃した。
 

 

 舞台『ペルソナ』シリーズや『BLOOD-C The LAST MIND』など映像を駆使したステージで定評のある、映画監督・映像作家・演出家の奥秀太郎が演出を手掛ける本作。明治大学総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 福地研究室の協力によって実現したのは、役者によるリアルな演技と、3Dのバーチャルな映像が複雑に絡みあう前代未聞の特殊演出。舞台で3D映像を使用するのは、日本初の試みだという。受付では渡される3Dメガネを着用し、期待が高まる中いよいよ上演開始。

 物語は2028年、攻殻機動隊結成前夜を描いたもの。完全義体サイボーグのヒロイン・草薙素子が公安9課に新部隊を組織するべく、かつて戦場で顔をあわせてきたバトー・イシカワ・ボーマ・サイトー・パズとともに、多発する爆破テロの捜査を開始。素子がかつて所属していた陸軍501機関や、内戦が続くクザン共和国のサイード博士、素子の恋人であるホセらの野望や思惑、そして正体不明のハッカーやウイルスによる被害が複雑に絡みあいながら、現在と過去・現実と虚構の間を激しく行き来し物語は進んでいく。

 最初の見どころはステージ序盤で早くも訪れる。バトーらにより、迫力ある最初のバトル・シーンが展開される中、透明人間のようにぼんやりと浮かびあがるシルエットが現れ、次々と敵を倒していく。その不思議な光景に目を奪われていくと、テレポーテーションしたように生身の草薙素子の姿がいきなり出現し、さらに激しい立ち回りが繰り広げられる。3D映像による特殊効果と、ポップアップによるせり上がりを掛け合わせた演出なのだが、緻密かつスムーズな演技によって、リアルとバーチャルの境目がわからなくなるような、鳥肌モノの瞬間であった。

 このように、バーチャルな映像演出と肉体を使った迫力あるアクション、また従来から用いられている舞台装置やアナログな演劇的手法、そして音響効果を巧みに融合させながら、まさに「立体的」に演劇空間が構築されていく先鋭的な表現を目撃するだけでも、この「攻殻機動隊 ARISE:GHOST is ALIVE」を観る価値はあるだろう。前述したシーンなどはまだ序の口、クライマックスに進むにつれ、映像演出と舞台演出はさらに目まぐるしくカオティックに融合されていく。

 

 もちろんテクニカルな側面のみならず、俳優陣の好演も光る。若き日の草薙素子を凛々しく、かつセクシーに演じるのは、現役モデルとして活躍する見事なスタイルを備えながら、空手初段の腕前を活かした迫力あるアクションを披露する青野楓。過去にも奥秀太郎作品に出演経験のある彼女だが、映像演出との細やかな連携も必要とされる難しい演技を、舞台初主演作ながら見事にこなしている。また、スピーディなアクションで魅了する八神蓮(バトー役)や伊阪達也(イシカワ役)ら登場キャラクターの再現度も注目すべきところ。なんと公安9課の課長・荒巻大輔は、アニメ版でも同役を担当した塾一久が演じている。グラドルとしても活躍する護あさな(クルツ役)や、実力派女優・吉川麻美(サイード役)、キュートかつミステリアスな魅力を振りまく桃瀬美咲(ツダ・エマ役)といった女優たちの美しさも、荒涼としたストーリーに華を添えている。

 

 「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」にも参加した藤咲淳一による脚本は、原作の世界観を忠実に引き継ぎながらも、攻殻機動隊シリーズの全貌に触れていない観客にも入りやすい配慮も施され、本作単体だけでも充分に楽しめる内容に仕上がった。

 特殊な3D映像演出を多用していることもあり、映像作品化や放映などはまったく予定されていないという、舞台「攻殻機動隊 ARISE:GHOST is ALIVE」。その伝説的なステージを見逃す手はない。

舞台『攻殻機動隊ARISE:GHOST is ALIVE』は2015年15日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演中。


文=宮内 健

©士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

イベント情報
攻殻機動隊ARISE:GHOST is ALIVE​

 日時:2015年11月5日(木)~15日(日)
 会場:東京芸術劇場プレイハウス
 原作:士郎正宗 監修:冲方丁 演出:奥秀太郎 脚本:藤咲淳一
 出演:草薙素子:青野楓 バトー:八神蓮 トグサ:兼崎健太郎 荒巻大輔:塾一久
    イシカワ:伊阪達也 パズ:井深克彦 サイトー:松村龍之介 ボーマ:松崎裕
    イバチ:髙﨑俊吾 クルツ:護あさな サイード:吉川麻美 
    ツダ・エマ:桃瀬美咲 ホセ:南圭介
 製作:攻殻機動隊ARISE STAGE PROJECT