ASCA 「自分の全力を出せる楽曲をいただけた」 「RESISTER」の歌詞に込めた『SAO』とASCAの重なる部分
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撮影:中田智章
TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」の第2期OPテーマでエモーショナルな歌声を響かせるボーカリスト、ASCA。愛知県出身の彼女が、歌手になるという夢を追いチャンスをつかむまでの経緯から、『ソードアート・オンライン』(以下、SAO)シリーズへの愛と「RESISTER」に込めた想いを聞いた。
■「RESISTER」に感じた「ASCA」らしさと歌詞に込めた6年間の葛藤
――SPICEには初登場ということで、2017年にソロプロジェクト「ASCA」が始まるまでの経緯からお聞かせください。
中学校のころに「アニソングランプリ」というオーディションに参加して一度デビューもさせてもらったんですけど、その後6年間くらい間が開いてしまって。その間はチャンスをつかむために東京に通ってレコーディングをしたり、地元で路上ライブなどの活動をしていました。でも、なかなかチャンスがつかめずにいて、ちょうど20歳になったときに「今、行くしかないんじゃないか」と。
――育ってきた愛知県を出ることを決めたと。
高校を卒業してからずっとアルバイトをしていて「歌がやりたいのに、ここで自分は何をしているんだろう」と思うことがすごく増えてきて。それで、節目のタイミングで思い切って上京して、そこでチャンスのきっかけをつかむことができました。
――2017年に『Fate/Apocrypha』第2期EDテーマ、「KOE」をリリースします。大きなチャンスをつかめましたね。
デビューのタイミングでビッグタイトルのタイアップをいただけて。そのお話を聞いたときのことは、今でもすごく鮮明に覚えています。本当に上京して良かったなという思いが強かったです。
――もともとアニメは好きだったんですか?
はい。家族の影響で。最初は妹と姉がすごくアニメを観ていて、いろいろ紹介とかしてもらって自分でも観るようになりました。
――今回リリースされた4thシングル「RESISTER」はTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』というとても人気のある作品の第2期OPテーマです。家族の反応も大きかったんじゃないですか。
家族のみならず、ですね。友だちだったりとかそういう方からも「え、『ソードアート・オンライン』やるの?」って。すごく反応が大きかったですね。
――そのぶん、プレッシャーも大きかったのでは。
ありましたね。最初はもちろんうれしい気持ちもありましたけど、私がすごく尊敬しているアーティストの方々が(これまでの主題歌を)担当されているっていうこともあって「私に務まるのだろうか」みたいな思いもありましたね。
――TVアニメではLiSAさん、藍井エイルさん、春奈るなさん。アスナ役の声優でもある戸松遥さんが歴代オープニング、エンディングテーマを担当されていました。
はい。すごくずっと聴いていたので、そこに私が加わることになるという驚きはありました。音楽から入って『SAO』の作品も好きで。
――ツイッターのほうでもかなり『SAO』の話をされていますよね。イベント出演で香港に行かれているときに、親とテレビ電話をつないで最新話を視聴したとありました。
前の週が総集編だったんですよ。その前のお話がすごく気になるところで終わっていたので、どうしてもリアルタイムで観たくて。『SAO』は本当に毎回「ここで終わるのか!?」っていう気になる展開がすごくって。中毒性があるなと思いますね。
――オープニングで「RESITER」が流れたときは、どういった気持ちでした?
感動しましたね。作詞のところに自分の名前が出たりするのも、アニメのタイアップでは今回が初めてだったのでスクショして。映像も綺麗で、情報量が多くて濃密で、すごくうれしかったです。
――楽曲自体も『SAO』にすごく合っている曲だなと感じました。曲を聴いたときの印象はどうでしたか?
そういう印象もありましたし、最初に聴いたときは今まで私が歌わせてもらった楽曲。ASCAらしい楽曲だなということも感じて。ビッグタイトルのオープニングを担当させていただくというなかで、自分の全力を出せる楽曲をいただけたなという感覚がすごくあって。ありがとうございます!という感じでした。
撮影:中田智章
――「RESISTER」の歌詞について。作詞のクレジットにはASCAさんと重永亮介さんの名前があります。どういった分担をされたのでしょう。
1番の歌詞は重永さんがまとめてくださって、そこからあとを私が書いた感じですね。
――では2番以降はすべてASCAさんの作詞と。「貫いていけ」「切り裂いていけ」といった剣にちなんだ言葉が選ばれていたり、強い意志で運命を変えていくという部分が「SAO」とリンクしているように感じます。
アリシゼーション編のお話を読ませていただいたときに、主人公のキリト君がユージオ君を叱咤激励して一緒に戦っていくような…兄弟みたいな感じがあって。私が主題歌を担当させていただく章は、(キリトたちが)どんな厳しい状況や運命にも逆らっていくというところだったので、個人的にすごく印象に残ったシーンと自分の経験で重なるところを考えました。それが、自分が上京したときの気持ちかなと思ったんですね。
――先ほどお話いただいたデビュー前の時期ですね。
上京するまでの6年間で、すごく葛藤があったんですよね。「早く東京に行きたい、行かねば」みたいな気持ちだったりとか、上京を決めたときにずっと応援してくれている家族や友だち、歌を聴いてくれている人からの「ずっと歌ってね」といった応援してくれる言葉で決意できた。そういう部分を歌詞にすることができたらいいなと思って作詞させていただきました。
――お話を聞いていて、ユージオの立場や抱えていた気持ちに近いように思います。
そうですね、応援してもらいながら悩んでいた時間というのが、自分のなかにすごく大きくあるので、フォーカスして書かせてもらいました。
撮影:中田智章
■リリースイベントの手応えと“成長”したこと、そして4月の初ワンマンライブへ
――「RESISTER」を歌っていて、とくに気持ちが入るようなフレーズはありますか?
今回、Dメロに「君がいるから歌い続けるよ」というフレーズがあるんですけど、そこは自分の経験とか物語というわけではなくて、ここまで応援してくれていた人にこめたメッセージになっています。今はリリースイベントで披露させていただく機会があるんですけど、そこはもうすごく感情がこもりますね。来てくれている方の目をガーっと見て。自然に「ありがとう」という気持ちで歌っています。
――では、生で「RESISTER」を聴くときは耳を澄ませて。
目を合わせていただきたいですね。
――リリースイベントでお客さんの前で歌われて、どういった手応えでしょうか。
イベントの最後に歌わせていただいているんですけど、会場の空気も「待ち望んでいた」感と言いますか。曲にグッと皆さんが集中して聴いてくださっている印象があります。
――お客さんも『SAO』が好きなんでしょうね。
イベントの最後にサイン会をさせていただいているんですけど「SAOで知りました」と言ってくださる方がすごく多くて。期間限定盤の(アニメ絵柄の)ジャケットを差し出してくださる方もいるので「『SAO』で知ってくださる方がいっぱいいるんだな」と実感しました。
――カップリングで収録されている曲についてもうかがいます。「道シルベ」はASCAさんの1stシングル「KOE」でも作詞・作曲・編曲を担当されているSakuさんが書かれています。
今回のシングルを出すにあたって、ライブをするときにお客さんと盛り上がれる曲がないねという話をずっとしていて。今回はお客さんと楽しめる曲をということで、Sakuさんに作っていただきました。
――コールアンドレスポンスなどで一緒に盛り上がれると。
そうですね、リリースイベントで初めて披露させていただいたときもすごく盛り上がったので、お客さんとコールアンドレスポンスなどを作って楽しんでいける楽曲になるなと思っています。
――「Mirage」はVRゲーム『東京クロノス』EDテーマになっています。こちらは作品ありきの楽曲ですね。
そうですね。作詞・作曲も「東京クロノス」の方に作っていただいたものです。もともとゲームのエンディングで流れると聴いていて、最初に聴いたときの印象も映画のエンドロールで流れるようなイメージが強くて。私のとても好きな曲調で、ゲームの内容やストーリーが走馬燈のように流れてくる歌になればいいなと思って歌いました。
――ゲームをやっている方は、より深く楽しめそうですね。もう1曲、「ただいま。-studio ver.-」ではASCAさんが作詞を担当されています。
初回限定盤にボーナストラックを入れようという話になったんですね。私の楽曲は作品として作りこんだものが多いので、私のパーソナルな部分を出した楽曲があると面白いんじゃないかということで、おばあちゃんについて書きました。
――パーソナルな部分という出発点で、おばあちゃんを題材にするのは珍しいですね。
私はすごくおばあちゃんっ子で、ホームシックになったときに地元に帰って、そのとき久しぶりにおばあちゃんに会うと、けっこうお節介な言葉とか言ってきたりするじゃないですか。前だったら「うるさいなあ」と思っていたんですけど、久しぶりに会うと良いものだなと思ったり。帰省する度に、あと何回この時間を過ごせるのかなと考えたりもして。上京しなかったら感じていなかった気持ちを書けたので良かったです。
撮影:中田智章
――「道シルベ」について、ライブで歌うことを意識して作ったというお話がありましたが、この後、3月21日にはReoNaさんと『ASCA・ReoNa Special Live』がありますね。どういった内容になりそうですか?
今回『アリシゼーション』オープニングとエンディングを担当している2人で一緒にライブをさせていただけるので、やっぱり、作品が好きで来てくださる方が喜んでいただけるイベントにしたいと思います。具体的な内容を決めるのはこれからなんですけど。ReoNaちゃんの歌声は大好きなので、個人的にもすごく楽しみにしています。
――そして、4月28日には初ワンマンライブ『ASCA LIVE 2019 -絶対零度-』が開催されます。
もう念願の……!といった感じです。「ワンマンライブをやりたい」とつねづね言っていたので、ようやくできるなと。すごく楽しみです。
――これまでの曲を出し惜しみせず歌うようなライブになるのでしょうか。
普段イベントで歌わせていただく曲は表題曲が多いので、あまり生で披露する機会がない楽曲もいっぱい歌うので、ぜひ遊びに来ていただけたらなと思います。
――配信限定の楽曲ではいろいろな方とコラボされています。こちらを楽しみにしている方もいると思います。
そうですね、めったに歌わせていただく機会がないので、ぜひ歌いたいなと思います。
――念願の1stワンマンという言葉もありましたが、その先にやってみたいことや目標はありますか?
そうですねえ…この間、初めて北海道にイベントで行かせてもらったんですね。ずっと行きたかった北海道で歌えたときに、お客さんの顔が晴れやかですごく歓迎していただけたので、それまで行けていない場所に次はワンマンライブで行けたらいいなとすごく強く思いました。
――ちなみに、北海道に行きたかった理由というのは?
食べ物です……海鮮がおいしいと聞いていて。実は貝類がちょっと苦手だったんですね。周りから「魚介が苦手だったら克服できるから北海道に行け!」と言われていて、ずっと行きたかったんですよ。
――無事に克服できましたか?
はい。ウニも食べられるようになりましたし、ホタテとか北寄貝とかも食べられるようになりました。
――苦手の克服も含めて成長ですからね。今後の活躍が楽しみです。
ありがとうございます。1stワンマンライブを無事に成功させて、地元の愛知県を含めてツアーなんかもできたらいいなと思っています。
撮影:中田智章
取材・文=藤村修二 撮影:中田智章
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