SPARTA LOCALS・オリジナルメンバーでは13年ぶりのアルバム『underground』ーー昔と変わらないヒリヒリ感が未だ健在の謎に迫る
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SPARTA LOCALS 撮影=森好弘
2009年に解散するも、2016年に再結成ライブを行ない、この2月、オリジナルメンバーとしては13年ぶりのアルバム『underground』をリリース。結果、そんな長期間のブランクを全く感じさせないバッキバッキでキッレキッレの現役感しか無いアルバムとなった。自分が好きなバンドが久しぶりに動き出した時に、懐メロになっていた時のショックはエグいものがある。だが、長期間のブランクがあったら、それは仕方ない事で、再度動き出してくれた事に、ただただ感謝しないといけないなんて事は、よくある事。じゃあ、何故そんな事態にSPARTA LOCALSは陥らなかったのか? それは、このインタビューを読んで頂いたら、一発でわかってもらえる。昔から聴いてる人は、あのヒリヒリ感を想い出せるだろう。そして、今から聴き始める人は、「このヒリヒリ感か」と納得するだろう。とにかく今すぐアルバムを聴いて、間に合うライブに今すぐ向かって欲しい。
――制作期間は、いつ頃ですか?
安部コウセイ(以下、コウセイ):いつやったけ? 覚えてない。夏くらい?
伊東真一(以下、伊東):初夏くらいかな。
――その時に楽曲は揃ってたのですか?
コウセイ:無いです、無いです。
SPARTA LOCALS 撮影=森好弘
――HPでのオフィシャルインタビューをさせてもらった時に、あれは一昨年でしたけど、「今年(2017年)はアルバムはない」というのはおっしゃっていたんですよね。なので、2018年には何か動きはあるのかなと、勝手に期待はしていたんです。
コウセイ:アルバムについては特に言及はしてなかったですが、作りたいという淡い目標はあって。でも、一番最初は煮詰まったんですね。何でかというと、昔のスパルタを一瞬追いかけそうになって、勝手にプレッシャーを感じていたんです。ちゃんとしたカッコ良いもんを作らないといけないと。そうでないと、自分が終わってしまうなって。それくらいの重要なアルバムだなと。自分の中で大きくし過ぎて、考え過ぎていたんですよね。そういう事もあって曲作りの速度も遅過ぎて、でも、レコーディング期間は決まっていて……。なので、最後の方は2人(伊東と光広)に助けを求めて、曲作りに加わってもらったのですが、そこからはスピード感凄かったですね!そうやって後半は一気に作っていったので、その熱量も反映されていますね。
安部光広(以下、光広):僕は気を遣って、つつかないようにしようとしてました。「どうなってんの?」とか言っちゃうと良くないなって。何かあれば、声掛けをしてくるとも思ってましたし。僕は兄貴ほどのプレッシャーは無かったけど、真君はプレッシャーを感じてた?
コウセイ:俺は(再結成の)言いだしっぺだからね。
伊東:プレッシャーは無かったですけど、力は入りますよね。(スパルタのアルバムは)どんな作り方してたっけとは考えました。再結成を言い出したのはコウセイなんで、コウセイが作るのを待ってたんですけど、流石に期限も迫っていて、このままでは間に合わないなとは薄々気付いていました。
コウセイ:ギリギリでしたね。最初はデモテープを作って、みんなで再現かなと想って思っていて、でも、その作り方だけだと時間たりなくなってしまったので。そんな中で今回の皆んなでスタジオで組み立ててゆく作り方に辿り着きました。スタジオに入って、突発的に出てくるフレーズのは、初期衝動というと安っぽいですけど、刺激的でした。瞬発力大事かだなと。出てきたものに対して、練り過ぎないで、信じて走り抜く感じでした。スピードと熱量は本当に出ましたね。一個の方法としては、この作り方はスパルタに合ってるなと。若い時は時間もたくさんあったし、誰か弾き始めたものにセッションして1曲になっていったんですよ。例えば、「ピース」とか。
光広:苦労談ばっか言うのはあれですけど、(今回のレコーディング作業は)覚えてないですね。盤になって、ようやく落ち着いてきました。
伊東:僕は、レコーディングは楽しかったです。曲作りがひとりじゃ無理と聴いてからは、僕もリフとか作って持っていたりしましたし、一緒にやってからのスピード感は本当に早かったです。最初は13年前のスパルタらしさとかを変に考えてましたけど、それは意味の無い事だなと思えてきて。これは新しいバンドと想えばいいんだなって。
光広:3人ともよく頑張ったよ!(笑)
コウセイ:いや、4人ね(笑)。でも、あきちゃん(ドラム中山昭仁)も昔と比べたら、精神的にもゆとりが生まれてた。子供が生まれたり、管理職をやったりして、心のキャパが広くなってた。彼の野性味のあるドラムは重要な要素ですから。あの楽観的な感じがバンドを救ってますしね。前向きなエネルギーですよ。若い時は気付けなかったですけど。これバンドあるあるですけど、ボーカルはドラムを責めがちなんですよ。今思えば、僕がいい曲を作ればいいだけなんです。自分を含む全ボーカルに言いたいですが、「ドラムのせいではなくて、お前のせいだぞ!」と(笑)。
SPARTA LOCALS 撮影=森好弘
――だけど、改めて思いますが、本当に野性的で攻撃的な実にスパルタらしいアルバムになったなと思うんです。
コウセイ:僕個人で言うと、生活とかが満たされていたら、こういうアルバムにはならなかったですよ。何かしら困窮していて苦しいから、こういうアルバムが出来たんです。
光広:最初は僕もどういうベースをつけたら、スパルタっぽいかを考えてましたけど、途中で意味ないなと思って止めました。僕ら4人がやったら、スパルタになるんだなって。3人はHINTOと一緒なんですけど、やっぱり違うものになるんですよね。
伊東:HINTOで培ってきたものが、スパルタにも影響を与えているんですよ、HINTO風味というか。
コウセイ:若い時は何も考えずにやりたい事をやってましたが、HINTOではプロデュース能力が足りない事に気付いて、勉強しました。
――一番最初に出来た曲は、どれになるのですか?
コウセイ:1曲目の「夢くれ」です。出来た順番に(曲順が)並んでいるんですよ。粋でしょ~(笑)?! まぁ、何となく、それがかっこいいかなと。真君がアレンジ完成順にレコーディングをするのがいいんじゃないかと言ってくれてたんです。ギミカルよりドキュメント性が重要かなと。この考え方自体が、HINTOをやってたからこそ、出来たかなと思います。
伊東:単純にライブでやり慣れてる曲もあったので、その順からの方が良いかなと。あきちゃんも13年ぶりのレコーディングだし、もし自分なら緊張するだろうなと思って。
光広:(出来た順が曲順なのを)さっき知ったんですよ! 気付いてなくて、そう言われれば、そうだなと(笑)。
SPARTA LOCALS 撮影=森好弘
――僕は3曲目の「jumpin」が好きなんですけど、いわゆるラジオでのOA推薦曲、推し曲ってやつにも選ばれていて嬉しかったです。
コウセイ:推し曲にしたのは何となくですけど、いわゆるスパルタ感がわかりやすく入っているんです。肉体的というか。僕らライブバンドなんで、ライブで武器なるなって。聴いていても、毎回胸にきますよね。特に《世界は今から君のもの》という歌詞からの間奏は、むちゃくちゃ今でも高揚するし、感動しますね。
光広:兄貴から「「ピース」とかみたいなシンプルに踊れるベースを弾いて」とは言われました。
コウセイ:昔みたいな事をやらないようにするというのは裏を返せば凄く昔を意識してるんですよね。変に無理せず昔の手グセでいいんだよって事ですね。
光広:全く昔と違う事をやってと言われたら、逆に何も出てこないですしね。
コウセイ:音楽的な話をすると、最初はドラムがテンポに対して遅いんですよ。さっき言った途中の間奏からドラムがジャストになるんです。最初からジャストのリズムだったら、後半の高揚感は出てなかった。たまたま、結果それが良かったんですよね。
光広:当然、狙ってやってないやろしね(笑)。
SPARTA LOCALS 撮影=森好弘
――アルバムタイトル『underground』についても、お伺いしたいです。
コウセイ:レコーディング途中からタイトルはあって、真君には伝えてましたね。帰りがけに言ったよね。
伊東:「あぁ~、いいね~」と言ったと思います。タイトルといったフレーズも瞬発力で考えていくのは、スパルタっぽいなと。わかりやすいですし。
光広:兄貴がこういうタイトルをつけるのは珍しいなと思いましたけど、かっこいいから、いいんじゃないかなと思いましたね。
――楽曲タイトルでも「アンダーグラウンド」という曲がありますよね、4曲目に。
コウセイ:これは地下のコミュニティに住んでる人の話ですね。歌詞に全ては書いてませんがそこから地上に出て、男女が結婚して子供が生まれるけど結局、地上の世界に馴染めず、また地下にもどるみたいなイメージの歌詞でしたね。
光広:村上龍の『五分後の世界』を思い出した。あれに通じるなって。
コウセイ:あ~~~~~。昔読んでいるけど、しっかりは覚えてない。懐かしい。言葉自体が色んな解釈をされる言葉ですけど、アンダーグラウンドが別に反骨精神とは想わないし、オーバーグラウンドを否定しているわけでもないですしね。この曲に関しては言葉に依存してるかも知れないし、自分の気持ちを抽象化して物語を作っていますね。そのまま歌詞を書くと、それは日記になりますしね。
SPARTA LOCALS 撮影=森好弘
――そして、ジャケットもかっこいいですよね。
コウセイ:一番最初は真っ銀銀を考えていたんですけど、そこからピンクを思いついて、最高にかっこいいなと思いましたね。ピンクって、パンクのイメージもあるんです。
光広:男臭いマッチョな男がピンクを着るとかっこいいしね。
コウセイ:下品な色にしたかったんですよ。体に悪そうな色にしたくて(笑)。
――ハハハ!とにかくむちゃくちゃかっこいいアルバムなので、とにかくむちゃくちゃライブを楽しみにしています!
SPARTA LOCALS 撮影=森好弘
取材・文=鈴木淳史 撮影=森好弘
リリース情報
1.夢くれ
2.コールタール0
3.jumpin
4.アンダーグラウンド
5.battle
6.GOD
7.Leaky drive
8.noRmaL
販売元:P-VINE 発売元:cat fish label
品番:PCD-25274 定価:¥2,500+税
ライブ情報
2019/03/24(日)
会場 : 大阪府・梅田シャングリラ
開場 : 17:15 開演 : 18:00
前売 : ¥4,000(D代別)
INFO 清水音泉 06-6357-3666(平日12:00~17:00)
会場 : 東京都・恵比寿リキッドルーム
開場 : 18:30 開演 : 19:30
前売 : ¥4,000(D代別)
INFO ディスクガレージ 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)