天使の歌声がやってくる! ウィーン少年合唱団 2019年日本公演記者会見レポート

2019.4.28
レポート
クラシック

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「天使の歌声」で知られ、世界各地でツアーを行うウィーンの“音楽大使”「ウィーン少年合唱団」。創立1498年という500年以上の歴史を持つ、10歳から14歳の少年たちで構成されたこの世界有数の少年合唱団は、1955年の初来日以来日本でも絶大な人気を博し、長年に渡る来日公演が続けられている。
そんな『ウィーン少年合唱団2019年日本公演』が、日本とオーストリア国交樹立150周年の記念すべき年に全国各地33公演のスケールで行われることになり、4月26日都内で1名の日本人団員を含む、26名の来日メンバー「ブルックナー組」と、彼らを指導し指揮を担うカベルマイスター、マノロ・カニン。ウィーン少年合唱団団長・芸術監督のゲラルト・ビルト。オーストリア連邦共和国駐日大使フーベルト・ハイッス。特別協賛企業のキャノン・マーケティング株式会社取締役専務執行役員松阪喜幸、そして招聘元のジャパン・アーツ代表取締役社長二瓶純一が登壇した記者会見がサントリーホールブルーローズで開かれ、公演への意気込み、またブルックナー組によるひと足早い歌唱披露が行われた。

まず二瓶社長から「新たな令和の時代に皇室との所縁の深いウィーン少年合唱団が今年も帰って参ります」と、公演が長く定期的に行われていることを感じさせる言葉があった。

ジャパン・アーツ 二瓶純一取締役社長

 

さらにこの皇位継承の年にちなみ、これまでもウィーン少年合唱団がレパートリーとしてきた美智子皇后陛下御作詞による「ねむの木の子守歌」(山本正美作曲)をはじめ、明仁天皇陛下御作詞、美智子皇后陛下御作曲による「歌声の響き」また、日本とオーストリアの友好150周年を記念し、団長・芸術監督ゲラルト・ビルト作曲による「Peace Within」が、多彩な楽曲で構成されたA、B二つのプログラムで披露されるので、是非ご期待いただきたい。2020年東京オリンピックを控え、日本に世界の注目が集まる中で、世界各国の少年たちが集うウィーン少年合唱団の多様性は貴重になるばかりだと思う。是非ツアーを盛り上げていただきたい、との挨拶が。

 

キヤノンマーケティングジャパン 松阪喜幸取締役専務執行役員

 

続いて特別協賛のキャノンマーケティング株式会社の松阪専務から、2005年からウィーン少年合唱団日本公演への特別協賛を続け、14回目を数えることを大変嬉しく思う。ウィーン少年合唱団の理念に「共生」がある。世界中の人種が、異なる言語、宗教、文化を乗り越えて共に生き、幸せになる素晴らしい理念に共感するし、日本とオーストリア国交樹立150周年記念の年に、さらに両国の文化交流が発展していくことに役立てれば。東京公演には同じ年ごろの養護施設の子供たちを招待して、世界で活躍する同年代の子供たちの活躍に、夢や希望を感じて欲しいと思っている。毎回の恒例として、ブルックナー組全員にキャノンのデジタルカメラをプレゼントし、良い写真はウィーン少年合唱団の公式ホームページにも掲載されるので、こちらも併せて楽しみにしていただきたい、と語った。

 

オーストリア連邦共和国駐日大使 フーベルト・ハイッス

 

駐日オーストリア大使フーベルト・ハイッスからは、ウィーン少年合唱団が創設された1498年はコロンブスがアメリカ大陸に渡ってから数年後のことで、日本にも1955年から来日公演が続いている。2019年はオーストリアと日本にとって特別な年にあたり、オーストリアの最高のものを皆さんにご覧いただきたいと思っている。このウィーン少年合唱団公演を筆頭に、上野の東京都美術館では「クリムト展 ウィーンと日本 1900」、六本木の国立新美術館では「日本・オーストリア外交樹立150周年記念ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」が開催されている。ゴールデンウィークにウィーン少年合唱団公演と共にこれらの展覧会もご観覧いただき、いずれは是非オーストリアへも直接足を運んでいただきたい、と、ウィーン少年合唱団公演はもちろん、オーストリアへの関心も高めてもらえたらという想いが語られた。

 

ゲラルト・ヴィルト芸術監督

 

ウィーン少年合唱団団長・芸術監督のゲラルト・ビルトは、ウィーン少年合唱団は長い来日公演の歴史を重ねてきたが、その長い歴史の中でも日本にくるたびに感動と興奮を覚える。今回の来日メンバーの中には、日本にくるのが初めての団員もいるし、カベル・マイスターのマノロ・カニンも2回目の来日となる。団員たちにとってこの来日公演は特別なものになるし、今日いただいたカメラで撮影した写真は、おそらく30年後自分がウィーン少年合唱団の団員として日本を訪れた最高の思い出として、彼らの子供たちに語り継がれるものになるだろう。私共ウィーン少年合唱団が、福島県特別大使に任命されていることもとても名誉なことと思うし、今回の日本公演の最中に、日本の年号が変わり私達が祝福のメッセ―ジを贈れることも大変嬉しく、天皇皇后両陛下のオーストリアご訪問の折にはウィーン少年合唱団を訪ねていただいている。新しい年号「令和」はビューティフル・ハーモニーと英訳されているそうで、私達が迎えるべきビューティフル・ハーモニーの時代にちなみ、特別な曲「Peace Within」を携えてきた。歌詞の大意は「花のところまでいかなくても花は内なるものに咲く。その美しさを見つめながら平和を祈って欲しい」という、想いをこめて創ったものなので、是非皆様にお聴きいただきたい、との熱い想いが語られた。

 

カペルマイスター:マノロ・カニン

 

カベル・マイスターのマノロ・カニンは「色々と申し上げたいことがあったのですが、ここまでですべて語られているようです」と笑わせたあと、言葉で語るよりも音楽で語る方が得意な人間だと自負しているが、再び日本にくることができて嬉しく思っている。本来は2011年にも来日していて、今回が3回目の来日となったはずだったが、東日本大震災、福島の原発事故の為にそれが叶わず、本当に心を傷めた。団員たちにとってもその悲しさはひとしおで、第二のふるさととも言える日本に想いを馳せ、痛みを分かち合いたいと願っていた。その4年後に初来日が果たせ、今回が再来日となったが、日本とオーストリア国交樹立150周年を記念し、ウィーンの曲も多々あり、日本の曲も多く、クラシックありポップスありの非常に楽しめる特別なプログラムを用意してきた。是非皆様にはA、B両方のプログラムをお聴きいただきたいと思っている。ブルックナー組はとても熱心なモチベーション溢れる少年たちで、プロフェッショナル意識も非常に高い、私の大好きなグループだ。団員たちは来日をとても楽しみにしていて、期待を裏切らないような音楽をお届けできると信じている。是非皆様に公演をお楽しみいただきたい。と、ブルックナー組への信頼を感じさせる言葉が続いた。

また、質疑応答では「ウィーン少年合唱団に500年受け継がれている魂は?」という大きな質問に対して、ゲラルト・ビルトは「2、3日のシンポジウムでご説明することが可能な質問です」と前置きした上で、音楽は人の心を確かに動かす力があるもので、それは現在脳科学の分野で証明もされており、それにウィーン少年合唱団の特徴を加味して言えば、少年の持つ特有の声の響きがあげられる。それはマクシミリアン皇帝がウィーン少年合唱団を創設しようとした時からすでに、その響きを伝えたいという想いがあり、それが魂として受け継がれている。もうひとつの側面として教育という面があり、元々合唱には「統一」を旨とする大切な教育理念があるが、特に今日のウィーン少年合唱団には海外公演に出かけることで、人間的な成長が望めるなどの少年たちの成長に寄与するたくさんのものがある。私達が音楽の楽しみ、人の前で音楽を伝えることの喜びを後世に伝えることも大切で、すでに団員たちの中には生涯に渡って音楽を続けていこうと決意している者たちがたくさんいる。彼らが大人になりアーティストして、また教育者として、今度は後世に音楽の楽しみを伝えていく役割を果たしてくれるだろう、と長い歴史を支える根幹について語った。

「ブルックナー組の音楽的特徴は?」との問いにはマノロ・カニンから「こちらも2日間かけてお伝えするだけのものがありますが、端的に申し上げるとブルックナー組という名前は、作曲家アントン・ブルックナーからもらったもので、ブルックナーは勉強熱心で、人を敬う気持ちを持ち、謙虚で音楽を深く愛した作曲家だという気質を私共も受け継いでいますが、ひとつ言えるのは、今回のブルックナー組は他の組よりもサッカーが得意です」と語り、会場から爆笑が起こる一幕も。さらに自分はイタリア出身なので、イタリアで重視されているベルカントのコンセプトをブルックナー組に受け継がせていて、全員個性豊かな人材揃いの団員たちと、特に歌詞の研究に勤しんでいる。音楽は練習を重ねて奏でるものだが、その為に歌詞をどう解釈するか? を重要視していて、特に例えば今回日本語の歌詞の楽曲があるが、この日本語の意味はどういうものか、どう解釈するか? を理解すると子供たちのリアクションが違ってくる。団員にとってそれほど言葉は重要なツールで、さらに観客とコミュニケーションをとるという観点でも大切な意味を持つので、ブルックナー組の歌詞を深く解釈した音楽を皆様にお届けしたい、と、非常に重要なポイントが伝えられた。

Kento君

また、唯一の日本人団員のKento君に「ドイツ語はどうやって覚えましたか? 今は皆とドイツ語でのコミュニケーションが取れていますか?」との質問があり「ドイツ語は日本にいた頃はやっていなくて、ドイツの小学校に入って皆と一緒に話すことで習っていきました」と、子供の言語の吸収力を感じさせる答えがあった。

続いて、マノロ・カニン指揮、ゲラルト・ビルトピアノ伴奏によるブルックナー組の演奏が披露された。
1曲目はBプログラムで歌われるヨハン・シュトラウス2世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」。街角のうわさ話(トラッチ)やおしゃべりが音遊び感覚で表現されているポルカで、ウィーン少年合唱団の定番レパートリーのひとつだ。少年たちの軽快な表現と、会見の間、度々団員の少年たちに気を配り、一人ひとりとのアイコンタクトを重ねて、良き指導者ぶりを随所に見せていたマノロ・カニンの、一転してアグレッシブでパッショネイトな指揮が際立った。

2曲目はA、B両プログラムで歌われる、美智子皇后陛下御作詞、山本正美作曲の「ねむの木の子守歌」。美しい調べと共に、温かい詩情あふれる歌詞を団員の少年たちがよく理解して歌っていることが感じられ、国境を越える音楽の力と両国の友好が伝わり、ウィーン少年合唱団2019年日本公演への期待が高まる時間となっていた。

公演情報

『ウィーン少年合唱団 2019 日本公演』
 
【東京公演】
5月3日(金・祝)14:00開演/サントリーホール/Aプロ
5月4日(土・祝)14:00開演/サントリーホール/Bプロ
5月29日(水)14:00開演/東京芸術劇場コンサートホール/Aプロ
6月14日(金)13:30開演/東京オペラシティ コンサートホール/Bプロ
6月15日(土)14:00開演/東京オペラシティ コンサートホール/Aプロ
6月16日(日)14:00開演/東京オペラシティ コンサートホール/Bプロ
 
そのほか、全国公演あり
 
主催 : ジャパン・アーツ/フジテレビジョン
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム/オーストリア政府観光局
協力:ユニバーサル ミュージック/ウィーン少年合唱団ファンクラブ 
特別協賛:キヤノンマーケティングジャパン株式会社