読響2016/17シーズンプログラムの聴きどころ
-
ポスト -
シェア - 送る
個性豊かな世界的音楽家が居並ぶ壮観な陣容
ゴージャスかつ重厚なサウンドにますます磨きがかかる読売日本交響楽団。2016/17シーズンも豪奢なラインナップが目を引く。ここでは、柱を成す「定期演奏会」と、土曜&日曜の「マチネーシリーズ」の聴きどころをご紹介しよう。
常任指揮者として7年目を迎えるシルヴァン・カンブルランは、6月、10月、17年1月に登場する。最注目はメシアン最晩年の傑作「彼方の閃光」(17年1月)。解脱の如き美感を湛えた、100人以上の大編成オーケストラを必要とする全11楽章の大作を、現代有数のメシアン指揮者が聴かせる同公演は必聴だ。このほか、デュティユー、ストラヴィンスキー等の十八番はもとより、ブルックナーの3番、シューベルトの「グレイト」、チャイコフスキーの5番といった名交響曲での清新なアプローチに期待が弾む。
両シリーズを振る海外指揮者勢では、まず名誉指揮者ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(9月)。来年85歳を迎えるロシアの巨匠は4年ぶりに客演し、オール・ショスタコーヴィチ、チャイコフスキー「三大バレエ名曲選」という極めつけのプログラムを振る。ここは華麗で豪快な真骨頂をぜひ耳に焼き付けておきたい。また、1976年ウクライナに生まれた“ニューカマー指揮者”の一人、キリル・カラビッツ(5月)の、プロコフィエフを軸にしたエキサイティングな演目も楽しみ。対照的にドイツの歌劇場から叩き上げ、バイロイトや東京・春・音楽祭の《マイスタージンガー》などで評価を高めたセバスティアン・ヴァイグレ(8月)の、R.シュトラウス・プロと独墺名曲プログラムでは、名職人の手腕が聴きものとなる。
各シリーズ単独では、2人のドイツ勢に目を向けたい。1980年生まれのコルネリウス・マイスター(7月)も、ニューカマーの一角。読響では昨年9月の「アルプス交響曲」の颯爽たる快演が記憶に新しく、ハイドンとマーラーの交響曲第6番を一夜で組むという選曲にも意欲が漲る。一方マルクス・シュテンツ(12月)は、今や同国の代表格と称される急浮上株。演目も「第九」だけに期待が募る。
日本勢では、山田和樹(4月)に注目。飛ぶ鳥を落とす“世界のヤマカズ”が読響をいかにリードするか? に熱視線が注がれる。また特別客演指揮者の小林研一郎(11月)は、自身近年では珍しくブラームスの交響曲第4番を披露。さらには首席客演指揮者の下野竜也が4月定期で振る、フィンジの「霊魂不滅の啓示」も聴き逃せない。近代イギリスの劇的で美しい音楽ゆえに、隠れた名曲発見の喜びを味わえる。
ソリスト陣も超豪華。定期では、エマニュエル・パユ(フルート/5月)、ジャン=ギアン・ケラス(チェロ/6月)、五嶋みどり(ヴァイオリン/10月)、イーヴォ・ポゴレリッチ(ピアノ/12月)。マチネーでは、ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン/5月)、マルティン・シュタットフェルト(ピアノ/10月)など、スターが続々出演する。中でも、五嶋みどりがカンブルランとコラボするコルンゴルト、鬼才ポゴレリッチが弾くラフマニノフには、足を運ばずにおれない。
個性豊かな世界的音楽家が居並ぶ陣容は、読響の充実の証し。ぜひとも各シリーズ通しで堪能したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)
読売日本交響楽団 2016/17シーズン
年間会員券 12/5(土)発売
問合わせ:読響
※年間会員券以外の発売日ほか詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://yomikyo.or.jp